花火の歌・童謡を保育で活かす歌詞と指導のコツ

花火の歌・童謡を保育で深く活かす歌詞と指導のポイント

「どんとなった」のフレーズだけで子どもに歌わせると、言葉の発達が遅れるケースが報告されています。

🎆 この記事でわかること
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歌詞の意味と歴史

1941年発表の文部省唱歌「花火」が生まれた背景と、歌詞に込められた情景・言葉の意味をわかりやすく解説します。

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保育での歌い方・指導のコツ

「ドン!」の表現から色の変化まで、子どもが楽しく歌えるようになる具体的な声かけと指導ポイントをご紹介します。

手遊び・製作への展開

「花火」の歌を起点に、手遊びアレンジや夏の製作活動、絵本との連携まで、保育の幅を広げる実践アイデアをまとめています。


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花火の歌・童謡の歌詞と意味をわかりやすく解説

 

童謡「花火(はなび)」は、作詞:井上赳(いのうえ たけし)、作曲:下総皖一(しもふさ かんいち)による文部省唱歌です。1941年(昭和16年)に発行された国民学校初等科第二学年用の音楽教科書『うたのほん』下巻に掲載されました。もともと井上の詩は1934年発行の『小学国語読本』第3巻に掲載された作品で、それを歌いやすいように一部修正し、下総が作曲したものです。

歌詞は2番構成で、非常にシンプルな言葉で書かれています。

  • 1番: ドンとなった 花火だ きれいだな / 空いっぱいに ひろがった / しだれやなぎが ひろがった
  • 2番: ドンとなった 何百 赤い星 / 一度にかわって 青い星 / も一度かわって 金の星

歌詞のポイントは何といっても「しだれやなぎ」という表現です。これは打ち上げ花火の代表的な種類のひとつで、柳の枝のように高い位置からゆっくりと弧を描きながら垂れ下がってくる形状の花火を指します。長い時間をかけて落ちてくる様子が、しだれ柳の枝に見えることからこの名前がついています。2番では「赤い星→青い星→金の星」と色が次々と変化する様子が描かれており、子どもにとっても視覚的なイメージが湧きやすい表現になっています。

歌詞全体を通して感じられるのは、花火を見た子どもの純粋な驚きと喜びです。難しい言葉は一切使わず、その瞬間の情景をそのまま言葉にしたスタイルは、80年以上経った今でも保育現場で愛される理由のひとつです。

作曲者の下総皖一は、あの「七夕さまたなばたさま)」の作曲者としても知られており、子どもの音楽教育に深く関わった音楽教育者でもありました。つまり、子どもの声に合わせた音域と歌いやすさへのこだわりが、この曲にも活かされているということです。歌い出しの「ドン!」が特徴的で、歌いやすく印象的な曲ということが基本です。

参考:童謡「花火」の作詞・作曲・歌詞の詳細について

花火 童謡・唱歌の歌詞と試聴(World Folksong)

花火の歌・童謡が生まれた時代背景と保育での位置づけ

この曲が発表されたのは1941年(昭和16年)です。これは太平洋戦争が始まった年であり、戦時色が非常に濃い時代でした。当時「国民学校」と呼ばれていた小学校の2年生向け教科書に掲載されたという事実は、今の保育士さんにとって少し意外に感じるかもしれません。

戦時中の教育は、多くの場合、国策に沿った内容になりがちでした。しかしこの「花火」は、そういった時代の中にあって、純粋に夏の風物詩を子どもの目線で歌い上げた数少ない曲のひとつです。意外ですね。歌詞のどこを読んでも、戦争を匂わせる言葉はひとつもありません。

著作権については、作詞者の井上赳が1965年に亡くなり、著作権保護期間が2015年に満了しています。つまり現在はパブリックドメイン(PD)の扱いです。保育現場で自由に使えますし、楽譜の複製や掲示も問題ありません。保育行事の歌として取り上げる際に、この点は知っておくと安心です。

現在の保育所保育指針においては、音楽を通じた「感性と表現」の育ちが重視されています。童謡「花火」は、色の変化・音の変化・形の広がりといった多彩な感覚刺激を、シンプルな歌詞の中に凝縮した曲です。年齢によって楽しみ方が変わることも特徴で、乳児クラスでは「ドン!」の擬音語を楽しみ、幼児クラスでは色の変化や花火の形を想像しながら歌うことができます。保育の場で長く愛されてきたことには、こうした理由があります。

参考:Wikipediaによる花火(1941年の歌曲)の概要・歌詞・楽譜情報

花火(1941年の歌曲)- Wikipedia

花火の歌・童謡の保育での歌い方と表現指導のコツ

この歌の一番のポイントは、やはり冒頭の「ドン!」という一言にあります。ここをどう歌うかで、子どもたちの表情がまったく変わります。「ドン!」は一瞬で花火が夜空に広がる瞬間を表した言葉です。ここだけは少し力強く、思い切って声に出すよう子どもたちに伝えましょう。

声かけの一例として「ドン!のあとに空が広がる様子を体でも表現してみよう」と伝えると、子どもが両手を広げる動きに自然とつながります。これは全身を使った表現体験になるため、3歳児以上のクラスで特に効果的です。これは使えそうです。

歌い方の全体的なポイントは以下のとおりです。

  • 「ドン!」→ 力強く、短く
  • 「空いっぱいに ひろがった」→ 両手を広げるようなゆったりしたイメージで
  • 「しだれやなぎが ひろがった」→ 手先を柔らかく、ゆっくり下に落とすようなイメージ
  • 「赤い星→青い星→金の星」→ 色が変わるたびに少しテンポをあげて弾むように

2番の「赤い星→青い星→金の星」という色の変化は、言葉と色の対応を楽しむ絶好の機会です。「赤はどんな色?」と問いかけながら歌うことで、1〜2歳児でも色の名前に興味を持つきっかけになります。色認識が育ちはじめる1歳後半~2歳頃に取り入れると、特に発達の観点からも効果的です。

ピアノ伴奏については、この曲はハ長調(C major)で演奏されることが多く、バイエル修了程度のスキルがあれば十分に弾けます。コード伴奏であればC・G7・Fの3つが基本で、左手をシンプルにすることで歌いながら弾きやすくなります。ピアノが苦手な保育士さんでも、コード伴奏に切り替えることで十分に対応できます。「コードで弾く童謡」の参考書や、保育向けの簡単アレンジ楽譜を活用するのが現実的な選択肢です。

参考:保育士さん向けの童謡ピアノ伴奏・コードについて解説されているページ

保育士さんにおすすめ!楽譜が苦手でも弾ける童謡ピアノ伴奏のコツ

花火の歌・童謡と手遊び・オノマトペを組み合わせた保育アレンジ

童謡「花火」は、歌うだけでなく手遊びとの組み合わせが非常に効果的な曲です。特に「ドン!」「パーン!」といったオノマトペ(擬音語・擬態語)が豊富なため、言葉の意味が理解できない乳児クラスでも体で楽しめる点が大きな強みです。

近畿大学の研究論文(2021年)によると、オノマトペは「子どもの言葉の発達、想像力、表現力の育成において効果を発揮する」ことが明らかになっています。つまり「ドン!」「しゅ〜っ」「パーン!」といった表現を繰り返すことは、単なる遊びを超えた言語発達への働きかけになっています。これが花火の歌をただ歌わせるだけにとどまらせてはいけない理由です。

「はなびがパンパンパン!」という手遊び歌(作詞・作曲:ぼくときみ。)は、1歳児から5歳児まで幅広く使える花火テーマの手遊びとして保育現場で人気を集めています。この手遊びのポイントは「パーン!」を子どもたちと声を合わせて決めることで、クラスの一体感が生まれる点にあります。先生が「せーの!」「さんはい!」と合図することで、みんなが同じタイミングで音を出す体験ができます。

以下のようにアレンジすると、さらに保育に深みが出ます。

  • 乳児向け: テンポをゆっくりにして「ドン!」のタイミングに合わせて先生が子どもを軽く抱き上げる(ふれあい遊びとして活用)
  • 2〜3歳向け: 向かい合わせになった友達と「パン!」で手を合わせる(協調性・コミュニケーション促進)
  • 4〜5歳向け: 花火の種類や色を子ども自身が決めて歌詞を変える創作活動(言語表現・想像力の発展)

これらはいずれも、活動のねらいを明確にしてから設定することが重要です。「何の力を育てるか」を先に考え、それに合ったアレンジを選びましょう。

参考:花火の手遊び「はなびがパンパンパン!」の歌詞・アレンジ・保育のコツ

夏の保育の新定番!花火の手遊び【はなびがパンパンパン!】(ぼくときみ。)

花火の歌・童謡を起点にした製作・絵本・夏祭りとの連携アイデア

童謡「花火」は、単体で歌うだけでなく、夏の保育活動全体の「軸」として使える曲です。ここでは、歌を起点にした保育の広げ方を具体的に紹介します。

製作との連携については、花火の歌を歌った後に色画用紙を使った花火製作をセットにするとスムーズです。「赤い星→青い星→金の星」という2番の歌詞に合わせて、3色の絵の具や色紙を使ったスタンピングで夜空の花火を作ることができます。0〜5歳まで対応できる点が魅力で、年齢に応じて素材や技法を変えると発達段階に合った表現遊びになります。

製作のねらいとして設定できるのは、「①夏の季節感を体で感じる」「②色の名前と色そのものを結びつける」「③手先を使った表現の楽しさを体験する」の3点です。製作の導入で「花火」を歌うことで、子どもたちの気持ちが自然と「花火の世界」へと引き込まれていきます。

絵本との連携も非常に有効です。花火をテーマにした絵本(例:『はなび ドーン』)を読んでから歌に移る流れは、特に2〜3歳児クラスで効果的です。絵本で視覚的にイメージを持たせてから歌詞を聞かせることで、「しだれやなぎ」という言葉のピンとこなかった子どもにも、花火の形がスムーズに伝わります。

参考:HoiClueによる絵本「はなびドーン」と遊びのアイデア紹介

【絵本×あそび】色いろいろ!はなび〜絵本/はなびドーン(HoiClue)

夏祭り行事との連携では、夏祭りの前日や当日のプログラムに「花火」の歌を組み込むことで、行事への期待感を自然に高められます。「明日の夏祭りには本物の花火があるかな?」と問いかけながら歌うと、子どもたちの目がいっきに輝きます。保育士が先にこの曲を覚えておき、行事に合わせて計画的に使いましょう。

パネルシアターやペープサートとの組み合わせも注目のアイデアです。「しだれやなぎ」「赤い星→青い星→金の星」といった視覚的なイメージをパネルで表現すれば、歌の世界観がよりリアルに伝わります。色の変化に合わせてパネルの花火の色を変えていくだけで、子どもたちから「わあ!」という歓声が上がります。パネルシアターは準備さえすれば繰り返し使えるため、長期的な保育コストを抑える点でも合理的です。

以下に、年齢別の活動導入の目安をまとめます。

年齢 活動のポイント
0〜1歳 「ドン!」の擬音語を楽しむ。先生と一緒にふれあいながら聞く
2〜3歳 色の名前(赤・青・金)を覚えながら歌う。身体表現と組み合わせる
4〜5歳 しだれやなぎの意味を説明しながら歌う。製作や創作活動への導入として使う

「花火」の歌を中心に据えると、言語・音楽・造形・身体表現のすべてにつながっていきます。夏の保育計画を立てるなら、この1曲を「核」にして広げていく発想が、活動に一貫性を持たせる上で非常に有効です。これが基本です。保育士として「花火」を深く理解しておくことは、7〜8月の保育の質を底上げする直接的な投資になります。

参考:8月の保育園で楽しめる花火を含む夏の歌・手遊び・童謡まとめ

【8月】保育園で人気!夏の歌・手遊び・童謡18曲(保育士バンク!)

バンドスコアピースBP1957 打上花火 / DAOKO × 米津玄師 ~映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』主題歌 (BAND SCORE PIECE)