星座の歌の歌詞を保育士が活かす全ガイド

星座の歌の歌詞を保育に活かす完全ガイド

「星座の歌の歌詞を知っているだけでは、子どもの語彙力はほとんど上がりません。」

📋 この記事でわかること
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代表的な「星座の歌」の歌詞と意味

「星めぐりの歌」「冬の星座」「星座のうた(四季版)」など、保育現場でよく使われる3つの歌の歌詞を全解説。難しい文語表現も子どもに伝わる言葉で紹介します。

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保育活動への具体的な導入方法

七夕・星空観察会・季節活動への組み込み方や、歌詞を使った語彙力アップ・好奇心の広げ方など、明日の保育から使えるアイデアを紹介します。

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著作権と使用上の注意点

宮沢賢治の「星めぐりの歌」はパブリックドメイン。しかし現代の「星座のうた」は著作権が生きています。保育園での使い方に迷わないよう、権利区分をわかりやすく整理します。


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星座の歌の歌詞【代表3曲】全文と読み方

 

保育士として「星座の歌の歌詞を調べたい」と思ったとき、実は「星座の歌」には複数の異なる楽曲が存在します。これが原因で正確な歌詞を見つけられずに困るケースが多いため、まずは代表的な3曲を整理します。

① 宮沢賢治「星めぐりの歌」(1924年頃)

青空文庫にも収録されているパブリックドメインの楽曲です。歌詞は以下の通りです。

フレーズ 登場する星・星座
あかいめだまの さそり さそり座・アンタレス(赤い1等星)
ひろげた鷲のつばさ わし座・アルタイル(七夕の彦星)
あをいめだまの小いぬ こいぬ座・プロキオン
ひかりのへびのとぐろ へび座
オリオンは高くうたひ オリオン座
アンドロメダのくもは アンドロメダ銀河(かつての「アンドロメダ星雲」)
大ぐまのあしをきたに五つのばしたところ おおぐま座・北斗七星→北極星
小熊のひたいのうへは そらのめぐりのめあて こぐま座・北極星

宮沢賢治が作詞・作曲し、「銀河鉄道の夜」や「双子の星」にも登場する詩が元になっています。2021年の東京オリンピック閉会式で聖火が消える直前のパフォーマンスとして演奏され、再び広く知られるようになりました。歌詞には実際の星座の観察から導かれた表現が多く含まれています。

② 唱歌「冬の星座」(1947年)

作詞:堀内敬三、原曲:ウィリアム・ヘイス(米国)。1947年(昭和22年)の中学音楽教科書に初掲載されました。原曲はラブソング「Mollie Darling」ですが、堀内敬三が冬の星空をテーマにした訳詞を付けています。

> 木枯らしとだえて さゆる空より/地上に降りしく 奇(くす)しき光よ/ものみないこえる しじまの中に/きらめき揺れつつ 星座はめぐる

> ほのぼの明かりて 流るる銀河/オリオン舞い立ち スバルはさざめく/無窮(むきゅう)をゆびさす 北斗の針と/きらめき揺れつつ 星座はめぐる

歌詞中の難語を押さえておきましょう。「さゆる空」は「冴えわたる空」、「奇しき(くすしき)」は「不思議な」、「しじま」は「静寂」、「無窮(むきゅう)」は「果てしなく続くこと」を意味します。オリオン座・スバル(プレアデス星団)・北斗七星が歌詞に登場します。

つまり、冬の夜空に見える代表的な星座がすべてこの2番以内に収まっているということです。

③ 学習ソング「星座のうた(四季版)」

春・夏・秋・冬の各節ごとに、その季節に見える星座の名前を歌い込んだ暗記ソングです。歌詞の一例(春の節)として「うしかい りょうけん 春の空/かに しし おとめ かんむり座/こじし座 おおかみ ケンタウルス…」とあり、春の夜空に見える星座名がテンポよく続きます。SAPIX小学部の理科監修のものや、ゆめある(保育士・教師向け教育チャンネル)による版など複数のアレンジ版があります。

星座の歌の歌詞に出てくる星座を保育でどう説明するか

歌詞に出てくる星座名や天文用語は、大人でも「どう子どもに説明すればいいか」悩む部分です。ここでは保育士向けの言い換え例を整理します。

宮沢賢治「星めぐりの歌」で最初に出てくるのが「さそり座のアンタレス」です。アンタレスは「赤いめだまの星」とまさに歌われており、「さそりの心臓にあたる赤くて明るい星」と説明するとイメージしやすくなります。「アンドロメダのくもは さかなのくちのかたち」という歌詞は、アンドロメダ銀河の楕円形を”池で口をぱくぱく開けているコイ”のように例えた表現です。賢治の豊かな観察眼が随所ににじみ出ています。

北極星の見つけ方も歌詞に込められています。「大ぐまのあしをきたに 五つのばしたところ」という部分は、北斗七星(おおぐま座の一部)のα星とβ星を結んだ延長線を5倍ほど伸ばすと北極星にたどり着くことを歌っています。これは実際に星空で実践できる内容であり、5歳児以上のクラスであれば「指を使って延ばしてみよう」と体を動かしながら伝えることができます。これは使えそうです。

「冬の星座」に登場する「スバル」は、牡牛座のプレアデス星団のことで、目のいい人なら6〜7個、一般的には5〜6個の星が固まって見えます。子どもたちに「小さな星が7個集まってるよ、いくつ見える?」と探させる遊びにもなります。

星座の名前には、神話や動物の形が元になっているものが多く、それ自体が豊かなストーリーを持っています。たとえば「わし座」の1等星アルタイルは七夕の彦星(牽牛星)として有名です。「星座のうた」を歌いながら「このわし座って、実は七夕の彦星なんだよ」と一言加えるだけで、子どもたちの反応が大きく変わります。

  • 🔴 さそり座(アンタレス):赤くて大きい「さそりの心臓」の星。夏の南の空に見える。
  • 🦅 わし座(アルタイル):七夕の彦星。夏の大三角の1つ。
  • 🐕 こいぬ座(プロキオン):冬の大三角の1つ。「青白い目玉」と賢治が表現した星。
  • ⭐ オリオン座:冬の代名詞。3つ並んだ星(三つ星)が特徴的。
  • ✨ プレアデス(スバル):おうし座の散開星団。複数の星が密集しており、見えた数で目の良さを測る昔話もある。

歌詞に出てくる星座をひとつずつ解説するとどの子どもも引き込まれます。「冬の星座」の歌詞に登場するスバルについては、「見えた数で願い事が叶うかな?」などと問いかけるだけで、夜空を見上げるきっかけになります。

「星めぐりの歌」歌詞の意味と各星座の詳細解説(世界の民謡・童謡)

保育実践での星座の歌の活用アイデア

日本保育協会の第15回保育実践研究(2021年)では、石川県の保育施設で「宇宙への興味の広がり」をテーマにした実践が優秀賞を受賞しています。3〜5歳の異年齢クラスで宇宙への興味が自然発生し、惑星図鑑・縮尺図・製作あそびへと展開していったという事例です。この実践が示すように、子どもが宇宙・星座に興味を持つきっかけは意外と小さく、歌一曲が入口になることもあります。

七夕活動との組み合わせ

七夕の時期に「星めぐりの歌」や「星座のうた(夏版)」を導入として歌うと、「わし座が彦星」「こと座が織姫」という天文的な事実とセットで伝えられます。夏の星座として「わし(アルタイル)・はくちょう(デネブ)・こと(ベガ)」の3つが「夏の大三角」を作ることも、歌詞の流れで紹介できます。歌って、星座カードで確認して、夜空を見上げるという3ステップの活動にすると、一連の学びが完結します。

季節ごとの星空観察会への導入

「星座のうた(四季版)」は春夏秋冬の4節に分かれているため、季節の変わり目に「その季節の歌」を取り上げることができます。例えば、夏なら「こと わし はくちょう 夏の空 てんびん さそり いて…」と歌い、秋には「カシオペア くじら 秋の空 やぎ みずがめ うお おひつじ…」と続きます。星座を知ることが季節の変化を体感する活動につながります。

室内での導入あそび(雨の日・短時間活動)

歌詞をもとにしたフラッシュカードや、星座の絵カードを歌に合わせて並べるゲームは、天気の悪い日でも室内で楽しめます。「冬の星座」の歌詞中の「オリオン」「スバル」「北斗」を手がかりに星座カードを探すシルエットクイズなども、幼児クラス向けに盛り上がります。

保育での活動としてまとめると、以下のような流れが想定できます。

  • 🎵 歌う:季節に合わせた「星座の歌」を朝の会帰りの会で歌う(まずは耳に馴染ませる)
  • 🃏 見る:歌詞に登場した星座の絵カード・写真を掲示し、「どれ?」と探す
  • 📖 話す:神話や星座の由来を絵本や紙芝居で紹介する(図書館の宇宙絵本も活用)
  • 🌃 眺める:帰宅前に「今夜見えるはずの星はこれだよ」と話し、夜に家族で探してもらう
  • ✏️ 作る:星座を折り紙や製作で表現する(保育士バンクでは「うお座」の折り紙動画なども公開中)

岡山大学の研究(「音楽による幼児の表現活動の意義と保育者の援助」)でも、共通の歌を知っていることが子ども同士のコミュニケーションを円滑にすると示されています。星座の歌を保育室で共有することは、「昨日の夜見えた!」という子どもの声を引き出し、日常生活と保育をつなぐ架け橋になります。

星座の歌の歌詞がもたらす語彙力と好奇心への効果

保育園における季節の歌を歌うねらいは、厚生労働省の「保育所保育指針」でも「表現」領域に分類されており、歌を通じて季節や風景への想像力を高め、自己表現を学ぶことが明示されています。星座の歌は、その中でも特に語彙力と好奇心の両面で効果が高い歌の一つです。

語彙力への効果は具体的です。宮沢賢治「星めぐりの歌」の歌詞だけでも「さそり・わし・こいぬ・へび座・オリオン・アンドロメダ・おおぐま・こぐま・北極星」という9つの専門用語が登場します。これは理科的な語彙としても豊富な量です。繰り返し歌うことで無理なく語彙として定着します。

「冬の星座」に含まれる「さゆる(冴える)」「しじま(静寂)」「無窮(むきゅう)」などの文語表現は、5歳以上の子どもが「難しい言葉」に触れる機会としても価値があります。「さゆるってどういう意味?」と子どもから聞いてくることがあれば、それ自体が言語への探究心の現れです。

好奇心の広がりに関しても、実践的な効果が報告されています。前述の石川県の保育実践研究では、宇宙への興味が子どもから自然発生した事例として、「3歳の子どもが宇宙に詳しいことが発覚したことで、クラス全体の興味が広がった」という記録があります。星座の歌は、こうした「きっかけ」になりえる素材です。好奇心の種は一曲から始まることがあります。

保育士が事前に歌詞の意味を把握しておくことで、子どもの「なんで?」に答えられる準備ができます。そのためにも、この記事でまとめた歌詞の解説を手元に置いておくことをおすすめします。語彙力・好奇心・季節感のすべてを一度に育てられるのが、星座の歌の大きな強みです。

音楽による幼児の表現活動の意義と保育者の援助(岡山大学学術リポジトリ)

星座の歌の歌詞と著作権:保育で安心して使うために

保育士が「星座の歌の歌詞をプリントして配りたい」「発表会で使いたい」と考えたとき、著作権の問題は無視できません。ただし、楽曲ごとに著作権の状況が異なるため、一律に「使えない」と諦める必要はありません。ここが原則です。

パブリックドメインで自由に使える楽曲

宮沢賢治は1933年に亡くなっており、日本の著作権法上では没後70年(2003年12月31日)で著作権が消滅しています。そのため「星めぐりの歌」の歌詞・楽曲は現在パブリックドメインです。

  • 歌詞のプリント配布:✅ OK
  • 保育室への掲示:✅ OK
  • 発表会・お遊戯会での使用:✅ OK(非営利の保育活動では問題なし)
  • YouTubeや園の動画への使用:✅ OK(非商用の場合)

「冬の星座」(堀内敬三訳詞・ウィリアム・ヘイス作曲)については、原曲作曲者ヘイス(1837〜1907年没)の作曲権は消滅しています。訳詞を行った堀内敬三(1897〜1983年没)の著作権は、没後70年で2053年12月31日まで保護されています。つまり「冬の星座」の日本語歌詞は著作権が生きています。歌詞をコピーして配る際はJASRACへの申請が必要になる場合があります。

現代の「星座のうた」系は要注意

SAPIX監修の「星座のうた」や、ゆめあるチャンネルの「星座のうた〜四季の星座を学ぼう〜」など、2000年以降に作られた楽曲はすべて著作権が存在します。YouTubeで視聴する分には問題ありませんが、歌詞のプリントや発表会での使用には著作権者への確認が必要です。

  • ✅ 宮沢賢治「星めぐりの歌」:パブリックドメイン・自由に使用可
  • ⚠️ 唱歌「冬の星座」:メロディは自由だが日本語歌詞は著作権あり(JASRAC管理)
  • ❌ 現代の「星座のうた」各種:作詞・作曲とも著作権あり・無断コピー不可

保育の中で子どもたちと一緒に歌う、という「演奏」そのものは、非営利かつ入場料を取らない保育活動であれば著作権法38条1項により著作権者の許諾なく行えます。歌詞カードの配布や録音・動画化をする場合に注意が必要です。この区別だけ覚えておけばOKです。

宮沢賢治「星めぐりの歌」全文(Wikisource・パブリックドメイン確認済み)

保育士だけが気づける「星座の歌の歌詞」の独自活用法

ここでは、一般的な音楽教育の記事では語られにくい、保育士の視点ならではの活用法を紹介します。

「歌詞の間違い探し」で科学的思考を育てる

宮沢賢治「星めぐりの歌」の歌詞には、実は天文学的な”ズレ”がひとつあります。「小熊のひたいのうへは そらのめぐりのめあて」という部分です。実際の北極星(ポラリス)の位置は「こぐまのひたいの上」ではなく、「こぐまのしっぽの先」に位置しています。賢治が詩としての表現を優先したか、あるいは歳差運動(地球の自転軸がゆっくりと変化する現象)によって将来的にその位置に北極星が来る時代があるためとも言われています。

この「ほんとはしっぽの先なんだよ」という話を5歳児クラスに伝えると、「なんで間違えたの?」「でもむかしは合ってたの?」と問いが連鎖します。これは批判的思考・科学的思考の芽生えです。歌詞のズレを活かすという発想です。

「歌で北極星を探す練習」に使う

「大ぐまのあしをきたに 五つのばしたところ」という歌詞は、北極星の見つけ方をそのまま歌にしたものです。A4の用紙に北斗七星のイラストを描き、「5倍伸ばしたら?」と指で延長させるアクティビティは、室内でも十分楽しめます。これは理科の前段階の学習として有効です。

異年齢活動での役割分担に使う

「星座のうた(四季版)」は、春・夏・秋・冬の各節を年齢別グループで担当することができます。3歳が「春の節」を担当し、4歳が「夏」、5歳が「秋・冬」というように分けると、自然と異年齢の歌の組み合わせが生まれます。原曲の「星のつどい」版では実際に「合唱の工夫として星座ごとに歌う担当者を決める」ことが推奨されています。

異年齢合唱は難しそうですが、歌詞の担当を分けるだけで十分です。小道具として星座カードを持ちながら歌うと、どの子どもも自分の担当を意識して取り組めます。視覚・聴覚・体感の3つを組み合わせた活動になります。

保護者への「家庭連携ツール」として活用する

「今週は星めぐりの歌を歌っています。夜、南の空でさそり座を探してみてください」とお便りに一言添えるだけで、家庭と保育をつなぐ活動になります。保護者が子どもと夜空を見上げる機会を意図的に作ることができます。これは、園での学びが家庭生活に広がる最も手軽な方法の一つです。

実際に「星座のうた」に興味を持った親が「興味ゼロだった子どもと一緒に図鑑を引っ張り出した」という声もあります。歌が家族の会話のきっかけになることも、この歌を保育に取り入れる大きな意義です。

「星座のうた(星のつどい)」歌詞全文・合唱の工夫(教材作家サイト)

星座-歌とことば no.6