雷の歌を子供の保育に活かす手遊びと恐怖ケアの完全ガイド
「雷が怖い」と泣く子どもへの一番の対応は、外出を控えさせることではなく歌わせることです。
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雷の歌「かみなりどんがやってきた」の歌詞と正しい振り付け
「かみなりどんがやってきた」は、あそびうた作家の鈴木翼さんが作曲し、熊木たかひとさんが作詞した手遊び歌です。保育園・幼稚園での人気は非常に高く、YouTubeでの動画再生回数も数百万回を超えるものが複数あるほど、現場に根付いた定番曲となっています。
歌詞はシンプルで、繰り返しのなかで「隠す部位」がどんどん増えていくのが最大の特徴です。
| 番 | 歌詞(共通部分) | 隠す部位 |
|---|---|---|
| 1番 | かみなりどんがやってきた ドンドコドン ドンドコドン かくさないととられるぞ ドンドコドンドンドン かくすのは… | おへそ |
| 2番 | 同上 | おへそ・おしり |
| 3番 | 同上 | おへそ・おしり・おみみ |
| 4番 | 同上 | おへそ・おしり・おみみ・おむね |
| 5番 | 同上 | おへそ・おしり・おみみ・おむね・おひざ |
振り付けの基本は4ステップで構成されています。1つ目は「かみなりどんがやってきた」のフレーズで人差し指を立て、片手ずつ頭の上にのせます。2つ目は「ドンドコドン」でお腹の前で太鼓をたたく真似をします。3つ目の「かくすのは〜」では両手を胸の前でゆっくりぐるぐると回しながら、もったいぶって間を作ります。4つ目で指定された部位を素早く隠し、「セーフ!イエス!」とポーズを取ります。
隠す部位が増えるごとに難易度が上がります。これが原則です。1番のおへそ1カ所から始まり、最終的には5カ所以上を同時に隠すことになるので、4〜5歳児でも十分に盛り上がれる設計になっています。
なお、保育現場では「おへそ・おしり・おくち・あたま・ひざ・め・はな・みみ」など、保育士がその場でアレンジして隠す部位を増やしたり、「まゆげ・まつげ」など似た部位で混乱させるバリエーションを取り入れることも多いです。アレンジ次第で0歳〜就学前まで対応できる懐の深さが、この歌が長く愛される理由のひとつといえます。
参考:「かみなりどんがやってきた」振り付け解説(ほいくる)
雷の歌を年齢別にアレンジして子供の発達を引き出すコツ
「かみなりどんがやってきた」は、テンポと隠す部位の数を変えるだけで、0歳児クラスから年長クラスまで対応できます。年齢によって楽しみ方のポイントが変わるので、保育士として意識しておくと活用の幅がぐっと広がります。
0〜1歳児(乳児クラス)への活用では、まず歌のリズムそのものを体で感じることが目的です。保育士が膝の上に乗せてあやしながらリズムに乗せたり、保育士自身が「ドンドコドン」とお腹や太ももを軽く叩いてみせることで、赤ちゃんの聴覚と触覚を同時に刺激できます。この時期は「真似する」動作までは求めず、音とリズムを楽しむ体験として十分です。
2〜3歳児(未満児クラス)になると、「おへそはどこ?」「かくして!」という保育士の声かけに反応して自分で手を動かせるようになります。隠す部位はおへそ1カ所だけに絞り、ゆっくりとしたテンポで繰り返すのが効果的です。うまく隠せたときの「セーフ!イエス!」のポーズを一緒に大げさに喜ぶことで、達成感と保育士との信頼関係を同時に育めます。これは使えそうです。
4〜5歳児(以上児クラス)では、テンポを上げたり「かくすのは〜」の間を長くもったいぶったりして、ドキドキ感を最大化できます。隠す部位を前の番号から積み上げる「記憶ゲーム」の要素が加わるため、ワーキングメモリへの刺激にもつながります。さらに「まゆげ」「まつげ」「ひじ」「ひざ」などの紛らわしいペアを組み合わせると、「えっ、どっち?!」という笑いが生まれ、活動後の切り替えもスムーズになります。
鹿児島大学の研究では、手遊び歌には「数字や身体部位の名称を自然に学べる」効果があると報告されています。特に1から順に隠す部位が増えていくこの歌は、数の概念を遊びながら導入する教材としても非常に優れています。
参考:幼稚園における手遊び歌に関する実践的研究(鹿児島大学リポジトリ)
https://ir.kagoshima-u.ac.jp/record/15765/files/24359785_v72_29-48.pdf
子供が雷を怖がる理由と保育士だからできる歌を使った安心ケア
雷を怖がる子どもに「大丈夫だよ」と声をかけても、なかなか落ち着かない経験はありませんか?それには明確な理由があります。
子どもが「怖い」という感情を明確に感じ始めるのは、だいたい3歳頃からといわれています。3歳前後から想像力と記憶力が急速に発達するため、「雷のあの大きな音=危険なもの」というネガティブな記憶が強く刻まれやすくなるのです。単なる怖がりではなく、成長の証でもあります。
雷への恐怖が特に強く出やすいのは、ASDや発達グレーゾーンの子どもで、聴覚過敏によって雷の音が「耳元で爆発したかのように」聞こえることがあります。また、気圧の変化から頭痛や体のだるさを感じる子もいます。「パニック寸前になるのに何でこんなに騒ぐんだろう」と感じていた保育士の方も、この背景を知ると関わり方が大きく変わります。
ここで雷の歌「かみなりどんがやってきた」が持つ力が活きてきます。恐怖の対象である「雷(かみなりどん)」をユーモラスなキャラクターとして扱い、「とられないように隠す」という能動的な動作と組み合わせることで、子どもは雷を「自分がコントロールできる遊びの要素」として捉え直せます。つまり脱感作の一種です。
発達科学の観点からも、「怖い刺激を楽しい体験と結びつける」アプローチは恐怖の緩和に有効だと知られています。具体的な声かけとしては「かみなりどんが来たね!おへそ隠さなきゃ!」と歌に引き込む方法が、「怖いね、大丈夫だよ」よりも子どもの注意を雷から歌へと切り替えやすいという現場報告が多くあります。
もし聴覚過敏が強い子には、イヤーマフや耳栓を「お守りアイテム」として好きなキャラクターのものを選ばせ、歌を歌いながら着用する習慣をつけると、雷の日の対応がよりスムーズになります。子ども自身が「これがあれば大丈夫」と感じるアイテムを持つことが、安心感の土台になるからです。
参考:雷が怖い子どもへの対応(発達科学コミュニケーション)

雷の歌「かみなりどんがやってきた」に隠された「おへそ」の深い由来
「なぜ雷が鳴るとおへそを隠すの?」と子どもに聞かれたとき、即答できる保育士は意外と少ないかもしれません。この由来を知っておくと、歌の文化的背景を子どもたちに伝えられる保育士になれます。
「雷が鳴ったらおへそを隠す」という日本の風習には、複数の説があります。もっとも広く知られているのは「気温低下説」で、雷雨の際に急激に気温が下がるため、お腹が冷えて体調を崩さないよう、母親が「雷様におへそをとられるよ」と言い聞かせてお腹に着物をかけさせた、という親の知恵が民間信仰として広まったものです。
江戸時代説も興味深いものです。当時の日本人は帯のあたりにお財布を入れていました。雷が落ちた際に帯のあたり(ちょうどおへそ付近)の金属に電気が集中し、焦げることが多かったため、「雷様がへそを焦がす」という話が生まれたといわれています。
さらに中世の神仏画に描かれる雷神は「立派なへそを持つ半裸の神」として描かれることが多く、「雷神はへそを好んで食べる」という民間伝承が絵から生まれたとする説もあります。
つまり「おへそを隠す」という行動には、お腹を守るという実用的な理由があったわけです。歌の中でおへそが最初に隠す部位として登場するのは、この長い民間信仰の流れを汲んでいると考えると、歌い継がれてきた理由にも納得感があります。
この背景を知ったうえで子どもたちに歌うと、「なぜおへそなの?」という自然な問いかけが生まれ、日本の文化や身体への興味関心を育む保育につなげることができます。保育士として、歌の「なぜ」を語れることは大きな武器です。
参考:雷にまつわる伝承に関する科学的検証(武庫川女子大学リポジトリ)
https://mu.repo.nii.ac.jp/record/1790/files/MUenvironmentalsciences11_04.pdf
雷の歌と絵本を組み合わせた保育士だけが知る独自アプローチ
手遊び歌「かみなりどんがやってきた」には、同名の絵本(文:中川ひろたか、絵:あおきひろえ、原案:鈴木翼・熊木たかひと、世界文化社)が存在します。この絵本の特徴は、雷の歌をそのまま絵本化したものではなく、「怖いイメージのかみなりどんが、実は美人のお母さんには頭が上がらない」というユーモラスな家族のストーリーになっている点です。
絵本と手遊び歌を組み合わせる「絵本→歌→ゲーム」の3ステップアプローチは、特に雷を怖がる子どもへの段階的なケアとして高い効果が期待できます。具体的には次の流れで進めます。
まず絵本の読み聞かせで「かみなりどんはちょっと怖いけれど、お父さんでもあり、ユーモアのあるキャラクター」というイメージを植え付けます。このとき雷の「ゴロゴロ」という音を大げさに楽しそうに演じることで、怖い音に対するネガティブな印象を少しずつ書き換えることができます。
次に手遊び歌で「おへそを隠して守る」という能動的な動作を経験させます。怖いものから逃げるのではなく、「自分で対処できる」という感覚を身につける体験です。この感覚が重要です。
最後にゲームとして「どこを隠す?」というアレンジを取り入れ、子ども自身が「かみなりどん役」になって友達に部位を指定する側に回る応用展開もできます。指示する立場になることで、雷への主体性が生まれ、恐怖の緩和につながります。
大阪芸術大学の研究では、手遊び歌は「短時間で子どもたちを集中させる効果がある」と報告されており、雨の日や雷の日で子どもたちが落ち着かない保育室内での活動導入としても非常に有効です。活動前の5分間に一度歌うだけで、室内の空気ががらりと変わることを多くの保育士が実感しています。これは保育の現場でしか得られない知恵です。
参考:保育における「手遊び」の効果(大阪芸術大学)
https://www.osaka-geidai.ac.jp/files/2021geikyou5_2.pdf

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