かぶの歌おかあさんといっしょを保育で徹底活用する方法
「うんとこしょ、どっこいしょ」と一緒に歌えば、もうかぶはあなたのクラスに根付いています。
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かぶの歌おかあさんといっしょの誕生背景と作曲家・越部信義の功績
「おおきなかぶ」(おかあさんといっしょ版)は、作詞・名村宏、作曲・越部信義というコンビによって生み出された楽曲です。越部信義は「おもちゃのチャチャチャ」や「あつまれ!ファンファンファン」といった保育の現場で今でも歌い継がれる名曲を数多く手がけた作曲家で、子ども向け音楽の第一人者と言っても過言ではありません。
つまり「おおきなかぶ」は、偶然生まれた歌ではなく、子どもの音楽体験を深く理解した作曲家が意図をもって作り上げた作品なのです。
歌詞の構造を見ると、登場人物が増えるたびに同じフレーズが繰り返されます。「かぶをひっぱる おじいさん、よいしょ よいしょ よいしょ、おおきなかぶは ぬけません」という繰り返しは、子どもが次の展開を予測しながら聴けるように設計されています。これは絵本の物語構造とまったく同じ仕掛けで、言語学習の観点からも非常に効果的な手法です。
意外ですね。
さらに注目すべきは「スプーバージョン」の存在です。2004年のおかあさんといっしょファミリーコンサートで披露されたバージョンでは、スプー、アネム、ズズ、そして会場のみんなが登場人物として歌詞に登場します。「はっぱをひっぱる スプー、スプーをひっぱる アネム、アネムをひっぱる ズズ」という構成で、観客参加型の演出になっていました。保育の現場でもこのアレンジ発想は応用できます。
歌詞を子どもたちの名前に変えてしまうのが一つの方法です。「○○ちゃんをひっぱる ○○くん」と差し替えることで、クラス全員が歌の主人公になれます。これは子どもの自己肯定感を高める上でも非常に効果的なアレンジです。
元になったお話はロシアの民話で、アレクセイ・トルストイによって再話されたものが日本では福音館書店から内田莉莎子訳・佐藤忠良画の絵本として刊行されています。1952年に月刊誌「こどものとも」に掲載され、1966年に単行本化。2018年時点で177刷を数えるロングセラーになっています。
歌が生まれる前から、物語そのものが日本で70年以上愛されてきた背景があります。おかあさんといっしょの楽曲版は、その世界観をより音楽的に昇華したものと位置づけられます。保育士がこの背景を知っているかどうかで、子どもへの語りかけの深さが変わります。
「おおきなかぶ」の起源・ロシア民話としての背景(Wikipedia)
かぶの歌で広がる手遊び・歌遊びのやり方と年齢別アレンジ
「おおきなかぶ」の歌を使った手遊びは、1歳児から5歳児まで楽しめる懐の深さが魅力です。ただし、年齢によってアプローチを変えることが重要です。年齢別に押さえておくべきポイントをお伝えします。
🧒 1〜2歳向け:歌のリズムに乗せて「よいしょ」のタイミングで両手を引く動作だけに絞ります。複雑な動作は不要です。保育士が大げさに「よいしょ!」と引く仕草を見せることで、子どもが真似をしたくなる環境を作ることが先決です。
👦 3歳向け:友だち同士で前後に並んで実際に引っ張り合う「ごっこ遊び」に発展させられます。「うんとこしょ、どっこいしょ」のかけ声で全員が一斉に動く快感は、集団の一体感を生み出します。保育のねらいとして「協力することの楽しさを感じる」を設定しやすい年齢です。
🎓 4〜5歳向け:登場人物の役割分担を子どもたちに考えさせることができます。「次は誰を呼ぼうか?」「動物は何がいい?」と問いかけることで、想像力と表現力を引き出す活動に昇華します。
これは使えそうです。
手遊びのバリエーションとして、種まきから始める一連の流れを取り入れるのもおすすめです。「たねをまく→芽が出る→大きくなる→引っ張る」という流れを体全体で表現することで、植物の成長という科学的な概念もさりげなく伝えられます。保育の「環境」領域ともつながる活動です。
保育の現場で手遊びの動作を迷ったときは、NHKの動画コンテンツを参考にするのが一つの方法です。公式配信ではよしお兄さんやりさお姉さんが実演しているバージョンが視聴できます。手の動き・表情・テンポ感が子どもに伝わりやすい見本になっています。
手遊びを保育に組み込むタイミングも工夫が必要です。朝の会・食前・降園前など、活動の切り替えに使うのが最も効果的で、5分以内で完結するため保育計画にも組み込みやすいです。
保育クリエーターさとみ先生による「おおきなかぶ」変顔ソング実演動画(YouTube)
かぶの歌を使った生活発表会・劇遊びの進め方と台本のコツ
「おおきなかぶ」は2歳児クラスから5歳児クラスまで、生活発表会の劇題材として圧倒的な人気を誇っています。理由は明快で、登場人物の数を自由に調整できるからです。
クラスの人数が多い場合は、犬・猫・ネズミをそれぞれ複数匹登場させることができます。逆に人数が少ない場合は、おじいさん・おばあさん・孫・動物1種類という最小構成でも成立します。クラスの雰囲気や人数で登場人物をアレンジできるのが「おおきなかぶ」最大のメリットです。
劇に歌を取り入れる場合、「おかあさんといっしょ」バージョンの歌を劇中歌として使うのが定番です。ポイントは楽曲の速さを少し落として弾くことです。子どもがセリフと歌のタイミングを合わせやすくなります。ピアノ伴奏が難しい場合は、音源を流しながら子どもたちが歌う形式でも問題ありません。
劇の構成を組み立てるうえで意識したいのが「繰り返し」の演出です。登場人物が一人増えるたびに「よいしょ、よいしょ」のシーンを繰り返すことで、子どもたちが自分の出番をしっかり把握できます。台詞が難しい子どもも「うんとこしょ!」のかけ声だけで参加できるのが、この題材の優れた点です。
台本を作る際は、一般的に下記のような構成が使われています。
| 場面 | 内容 | 歌・かけ声 |
|---|---|---|
| ① | おじいさんが種をまく | 歌の冒頭を流す |
| ② | かぶが育ち、引っ張り始める | 「よいしょ よいしょ」 |
| ③ | 順番に登場人物が増える | 「うんとこしょ どっこいしょ」繰り返し |
| ④ | かぶが抜ける(フィナーレ) | 歌のクライマックス+歓声 |
衣装や小道具はシンプルなもので十分です。かぶの頭飾りを付けた子を中心に置き、周りが引っ張る側に回るだけで見た目に分かりやすいステージになります。動物役の子は動物の耳を付けたカチューシャだけで十分に役割が伝わります。
生活発表会の劇での衣装は、制作コストと準備時間の観点から手軽な素材を選ぶのが原則です。
生活発表会用「おおきなかぶ」劇中歌ピアノ講座と楽譜(ほいくis)
かぶの歌おかあさんといっしょが保育士試験の実技課題になる理由
「おおきなかぶ」は、保育士試験の実技試験「言語に関する技術」において、複数年にわたって課題に選ばれてきた定番の素話題材です。2021年・2022年・2023年とほぼ連続して課題リストに登場しており、保育士を目指す方なら必ず対策しておきたい題材のひとつです。
素話の試験では「絵本や台本・道具の使用禁止」という条件のもと、3分間でお話を語ります。おおきなかぶが選ばれる理由は、話の構造がシンプルで暗記しやすいという点にあります。
素話で合格点を取るポイントは以下のとおりです。
- 🎤 繰り返しのフレーズをテンポ良く話す:「よいしょ よいしょ」の繰り返しは、引っ張る登場人物が増えるごとに少しずつ声を大きくしていくと場面の盛り上がりが伝わります。
- 😊 ナレーションに表情と抑揚をつける:おおきなかぶは会話(セリフ)が少なく、ナレーション主体のお話です。声の使い分けが苦手な受験者にはむしろ選びやすい題材ですが、単調にならないよう抑揚に気をつける必要があります。
- 🙌 身振り手振りを適切に加える:「かぶを引っ張る動作」は視覚的なアクションとして子どもに伝わりやすいです。ただし大げさすぎず、3分という時間の中でリズムよく進めることが合格の鍵です。
- 👩👧👦 子どもたち15人を想定して話す:試験の条件では「3歳の子ども15人程度に話す」想定が求められます。目線を広くしながら話すことで、全員に語りかける姿勢が評価されます。
「おおきなかぶ」は登場人物が多いですが、会話そのものは少なくナレーションベースです。これが基本です。
試験対策として、まず歌(おかあさんといっしょ版)を聴き込んで物語のテンポ感をつかむのが、意外と効率的な準備方法です。歌のリズムと素話のリズムは共通しており、メロディが頭に入っていると台詞が飛びにくくなります。
試験の合格率は例年80%前後で推移していますが、言語試験は「合格しやすい」科目の一つではあるものの、準備不足のまま臨むと単調な語りになりやすく、合格基準の30点(50点満点)を下回るリスクがあります。しっかりと録音して自分の話し方を客観的に確認する練習が有効です。
「おおきなかぶ」実演動画と保育士試験言語の攻略ポイント(ほいくis)
かぶの歌おかあさんといっしょで育まれる保育のねらいと独自の活用術
「おおきなかぶ」の歌を単に「楽しい歌」として消費してしまうのは、保育士としてもったいない使い方です。この歌には、保育の5領域(健康・人間関係・環境・言葉・表現)すべてに関わる要素が凝縮されています。
まず「人間関係」の観点から見ると、登場人物が協力し合ってかぶを抜くというストーリー構造が、子どもに「力を合わせることの大切さ」を自然に伝えます。言葉で「協力しましょう」と教えるよりも、歌や劇を通じて体験させることの方が、幼児期の学びにははるかに効果的です。
「言葉」の領域では、繰り返し構造が語彙の定着に役立ちます。「ぬけません」「ひっぱる」「よいしょ」といった言葉が自然と身につきます。特に「うんとこしょ どっこいしょ」という擬音語的な表現は、言語発達の早い段階から発語を促す効果があることが保育実践の現場でも報告されています。
これが原則です。
「環境」領域との接続としては、実際に畑でカブを育てる栽培活動と組み合わせる実践が多くの保育園・幼稚園で取り入れられています。秋にカブの種をまき、冬に収穫するというサイクルを経験した子どもが「おおきなかぶ」を歌うとき、そのリアリティはまったく違うものになります。
ここで一つ、あまり知られていない活用術を紹介します。それは「引っ張る順番を意図的に変えるアレンジ」です。通常は小さい存在(ネズミ)が最後に加わることで全体が動く構造ですが、この「最後の一押し」の役割を子どもたちに話し合わせることができます。「誰が最後に引っ張ると抜けると思う?」という問いかけは、因果関係を考える論理的思考の芽生えにもつながります。
実はここに、おかあさんといっしょ版の歌と絵本版・教科書版の大きな違いが隠れています。教科書版(西郷竹彦訳)ではおじいさんから順番に引っ張りますが、絵本版(内田莉莎子訳)ではネズミから順番が逆になっているのです。歌と絵本を並べて見せることで、子どもたちに「どちらがどうして抜けたと思う?」という対話型の思考活動を生み出すことができます。
🌱 保育の場面別・活用早見表
| 保育場面 | 活用方法 | 対象年齢の目安 |
|---|---|---|
| 朝の会 | 歌に合わせた手遊び | 1〜5歳 |
| 絵本の時間 | 絵本版と歌の聴き比べ | 3〜5歳 |
| 運動遊び | 引っ張りごっこ(ロープ使用) | 2〜4歳 |
| 栽培活動後 | カブ収穫と歌をリンクした体験活動 | 3〜5歳 |
| 生活発表会 | 劇遊び・オペレッタ | 2〜5歳 |
| 受験準備 | 保育士試験素話の練習 | 受験者向け |
最後に意識してほしいことがあります。歌は「手段」であって「目的」ではないということです。「おおきなかぶ」を保育に使う目的を自分の中で明確に持っておくことで、子どもたちへの関わり方がぐっと深まります。歌の背景、物語の意味、子どもの発達段階、この3つを組み合わせたときに、「ただ歌って終わり」ではない本当の保育実践が生まれます。
現役保育士歴10年以上のRyuによる「おおきなかぶ」保育のねらい解説(絵本紹介ブログ)

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