花摘みの歌キョーダインの謎と保育への活かし方

花摘みの歌キョーダインの謎解きと保育で使える言葉遊び

「花摘みの歌」は子ども向けに聞こえるのに、最新の暗号解読機でも解けなかった謎を持っている歌です。

この記事でわかること
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花摘みの歌とは何か

1976年放送の特撮「宇宙鉄人キョーダイン」に登場した挿入歌で、正式タイトルは「くだものやさいへんちくりん」。ストーリーの核心に関わる謎めいた歌です。

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歌詞に隠された暗号の仕組み

野菜や果物、花の名前を並べた歌詞の「頭文字」を縦に読むと「カマクラダイブツ」という言葉が浮かび上がります。これがアクロスティックと呼ばれる技法です。

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保育現場への応用方法

言葉の頭文字に着目する遊びは語彙力・思考力・音韻意識の発達に直結します。「花摘みの歌」の仕組みを参考に、子どもと一緒に楽しめる活動を紹介します。


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花摘みの歌キョーダインが生まれた背景と作品概要

 

「花摘みの歌」は、1976年4月2日から1977年3月11日まで毎日放送・東映制作でTBS系列にて放送された特撮番組『宇宙鉄人キョーダイン』(全48話)の劇中歌です。原作は石ノ森章太郎、音楽は菊池俊輔が担当しました。主題歌「宇宙鉄人キョーダイン」をさきがけてのいさおさん(ささきいさお)が歌い、爽快なメロディが当時の子どもたちを引きつけていました。

同作品はゴレンジャーのヒット後、「ポスト仮面ライダー」として製作された意欲作です。世界的ロボット工学者・葉山博士が2人の息子(譲治と竜治)の意識をロボットに移植し、スカイゼル(兄)とグランゼル(弟)からなる兄弟ロボット「キョーダイン」として活動させるという設定で、2人組ヒーローという当時としては珍しい形式でした。

「花摘みの歌」は劇中の重要なキーアイテムです。ダダ星へ拉致された葉山博士が、敵のロボット軍(ダダロイド)を倒すための超物質「X物質」の隠し場所を暗号として歌詞に埋め込みました。その暗号を解ける者は、博士が唯一師と仰ぐ海堂博士だけとされており、地球防衛軍の最新暗号解読機でも解けなかったというストーリー上の設定が、視聴者の想像力かき立てました。

つまり子どもたちは毎週、この謎めいた歌を聴きながら「どういう意味だろう?」と考え続けたのです。これが強い記憶定着につながりました。

▶ magmix.jp「特撮『宇宙鉄人キョーダイン』で流れた歌の暗号解説」

作詞は石ノ森章太郎本人が手がけており、劇中では「花つみの歌」として白川エツ子少尉役の堀江美都子さん(当時19歳)が歌いました。正式な楽曲タイトルは「くだものやさいへんちくりん」で、こおろぎ’73・コロムビアゆりかご会と共演したシングルとして発売されています。この事実を知らない人が多いのは意外なところです。

花摘みの歌キョーダインに隠された暗号のしくみ

「花摘みの歌」の歌詞は次のとおりです。

歌詞(カタカナ表記) 頭文字
カキにカボチャは カンナかな
マンゴマツタケ マンダリン
クリにクルミは クチナシさ
ライラックには ラベンダー
ダリアダイダイ ダイコンで
イチゴとイチヂク イチョウのき
ブドウコロコロ ブナの下
ツバキツクシを つき見そう

頭文字を縦に読むと「カ・マ・ク・ラ・ダ・イ・ブ・ツ」→「鎌倉大仏」になります。これがアクロスティック(頭字詩)という技法です。

アクロスティックとは、文章の各行・各句の最初の文字を縦に読むと別の意味のある言葉になる構造のことです。ラテン語で「端(akros)の詩(stikhos)」を意味し、古代ギリシャや古代ローマの詩にも使われていた由緒ある手法です。日本でいえば「折り句」とほぼ同じ技法で、百人一首の時代から親しまれてきました。

放送当時(1976〜77年)、子どもたちが最終的にこの暗号を「耳だけで」解こうとしたのは非常に難しかったと言われています。歌を何十回聴いても解けなかったという声が多く残っているほどです。文字として書き起こしてはじめてパターンが見えてくる、という構造上の妙が、子どもの知的好奇心を刺激し続けました。これは使えそうです。

▶ Wikipedia「宇宙鉄人キョーダイン」(ストーリー・楽曲詳細)

さらに注目すべきは、歌詞の全単語が「果物・野菜・花・木」という身近な自然物で構成されている点です。カキ・カボチャ・カンナという日常語が連なることで、子どもにも歌いやすく、自然と語彙が増えていく仕組みになっています。石ノ森章太郎が作詞を手がけたことの巧みさが光ります。

花摘みの歌キョーダインの歌詞が持つ言語発達への効果

「花摘みの歌」の歌詞構造は、現代の保育・幼児教育の観点から見ても、複数の発達上の効果が期待できます。ただし「知っていると保育が豊かになる」という視点で整理しておきましょう。

まず音韻意識(Phonological Awareness)への効果があります。音韻意識とは、言葉が「音の集まり」であると気づく能力で、読み書きの基礎となる重要な力です。文部科学省の学習指導要領においても、就学前の言語発達において「音の区切り」への気づきが重要とされています。「カキ・カボチャ・カンナ」のように同じ音で始まる言葉を連ねる構造(頭韻:頭文字が同じ)は、子どもの耳に同じ音が繰り返されることで自然と音韻意識が育ちます。

次に語彙量の拡充です。全8行の歌詞には、マンゴ・マツタケ・マンダリン・ライラック・ラベンダー・ダリア・クチナシなど、子どもが日常生活ではあまり触れない言葉も登場します。これは語彙の幅を広げる機会になります。語彙量が多いほど読解力・表現力が高まるとされており、幼児期の語彙獲得は将来の学力に直結するという研究知見もあります。

また、頭文字への気づきとひらがな学習との接続も期待できます。各行の最初の文字が重要であるという仕組みは、文字への注目を促す働きがあります。「花摘みの歌みたいに、みんなの名前の最初の文字を集めてみよう」という活動に発展させると、ひらがなへの関心が自然と高まります。これが基本です。

▶ 保育ナビ「言葉遊びとは?ねらいやメリット、年齢別のアイデア」

さらに、謎解き構造が生む「問いを持つ力」も見逃せません。「なぜこの歌が大切なの?」「どんな秘密があるの?」という疑問を持ち続けることは、自発的な思考の訓練です。保育士が「この歌には秘密があるよ」と一言添えるだけで、子どもの探索意欲は格段に高まります。

花摘みの歌の構造を保育活動に取り入れるアイデア

「花摘みの歌」の仕組みを保育現場でそのまま活用する必要はありません。大切なのは、この歌が持つ「頭文字を意識した言葉遊び」という構造を子どもの発達段階に合わせて応用することです。

① 頭文字あつめゲーム(年中・年長向け)

「今日は『か』から始まるものを集めよう!」と声をかけ、絵カードや身の回りの物を探す活動です。「花摘みの歌」が「カ・マ・ク・ラ…」という頭文字を集めた構造であることと同じ仕組みです。慣れてきたら「集めた頭文字を縦に読んで何か言葉になるか考えてみよう」とステップアップできます。

② 名前の折り句づくり(年長向け)

子ども自身の名前を使って、それぞれの文字から始まる言葉を一つずつ集めます。例えば「なつき」という名前なら「なすび・つくし・きのこ」のように組み合わせます。石ノ森章太郎が行った作詞の手法を体験できる活動です。完成した折り句カードを壁に貼り出すと達成感が生まれます。

③ 野菜・果物・花の頭音しりとり(年少〜年中向け)

「花摘みの歌」は野菜・果物・花の名前だけで構成されていますが、それを活かして「植物のしりとり」を行うのも効果的です。マンゴ→ゴーヤ→ヤマブキ→キンモクセイ…というように植物限定でつなぐと、食育や自然教育ともリンクします。

保育士の準備としては、花や野菜の絵カードをあらかじめ20〜30枚ほど用意しておくと活動がスムーズに進みます。市販の「食育カルタ」や「野菜カード」を使うと準備の手間も省けます。

▶ マイナビ保育士「面白い回文・言葉遊びの保育アイデア集」

活動を始める前に「宇宙鉄人キョーダイン」の映像や「くだものやさいへんちくりん」の音源を一度流してみるのも一手です。昭和の特撮ソングという背景は関係なく、リズミカルな歌が子どもの興味を引く入口になります。音源はJOYSOUNDのカラオケデータベースでも確認できます。

花摘みの歌キョーダインが保育士にとって持つ独自の意味

ここからは少し視点を変えます。「花摘みの歌」は子どもへの活用だけでなく、保育士自身の「語りかけ力」を見直すヒントにもなります。

保育士の言葉かけは、子どもの言語発達に直接影響します。厚生労働省の保育所保育指針(2017年改訂版)では「保育士は子どもが言葉に対する感覚を豊かにする環境を意図的に整えること」が求められています。何気なく歌う歌の歌詞に「仕掛け」があると知ることは、保育士が意図を持って歌を選ぶ視点を育てます。

「花摘みの歌」が50年近く経った今でも語り継がれているのは、謎解きの楽しさだけが理由ではありません。野菜・果物・花という身近な素材を使いながら、音の規則性・リズム・暗号という三つの層が重なっていることが、記憶への定着力を高めているからです。

保育士が「この歌には秘密があるよ」と言う一言は、実は非常に強力な「問いかけ」です。子どもは「秘密」「謎」という言葉に反応するように本能的に設計されています。探索本能が刺激されます。「なんで?」「どういうこと?」という問いを子ども自身が立てることは、主体的な学びの第一歩です。

また、堀江美都子さんが当時19歳でこの歌を演じていた事実も興味深いです。アニソン女王として知られる彼女は、プロとして意図的にテレビ出演を抑え、「歌手生命を長く保つ」という戦略のもとで育てられました。保育士の仕事にも通じるものがあります。目先の派手な成果を求めるのではなく、子どもが長期的に力を育む環境を整えることが、質の高い保育の本質です。

つまり「花摘みの歌」は、子どもへの活用と保育士自身の実践哲学の両方に、静かなメッセージを持っている歌といえます。これだけ覚えておけばOKです。

▶ 厚生労働省「保育所保育指針(2017年改訂版)」言葉に関する領域

花摘み歌(伊王島)