雨音CDと歌を保育に活かす方法と選び方のポイント
雨音CDをお昼寝中にずっと流し続けると、子どもの睡眠の質が下がることがあります。
雨音CDがお昼寝に効く理由:1/fゆらぎの科学
保育現場で「なぜか雨の日の方が子どもたちがすんなり寝てくれる」と感じた経験はないでしょうか。これは偶然ではなく、雨音に含まれる「1/fゆらぎ」という音の特性が、子どもの脳と自律神経に働きかけているためです。
1/fゆらぎとは、規則的すぎず不規則すぎない、ちょうどよい変化をもつリズムのことです。川のせせらぎ、風の音、ろうそくの炎の揺れなど、自然界にはこの1/fゆらぎが多く含まれています。雨音も同様で、単調すぎず変化しすぎない音のゆらぎが、耳から自律神経へと伝わり、緊張を司る交感神経を落ち着かせ、休息を司る副交感神経を優位にします。
結果として、心拍数や血圧が下がり、体がリラックス状態に移行します。
さらに、雨音には人間の可聴域(20Hz〜20,000Hz)を超えた高周波成分、いわゆる「ハイパーソニック」が含まれています。これを体で感じることで脳が活性化され、α波が発生しやすくなることがわかっています。α波は、目を閉じてリラックスしているときや、眠りに入る直前に多く現れる脳波です。子どもにとっては、まさにお昼寝の「入り口」を開いてくれる音といえます。
実際のデータとしては、一定したリズムの雨音を流したグループでは、入眠までの時間が最大40%短縮されたという報告もあります。保育の現場に当てはめると、子どもが布団に入ってから眠るまでの時間が大幅に短くなる可能性があります。これは保育士の負担軽減にも直接つながるポイントです。
雨音CDの効果を理解するために参考になる情報です。
【雨の音で眠れるのはなぜ?】自律神経の乱れを和らげる「1/fゆらぎ」について詳しく解説(della公式ブログ)
ただし、重要な注意点があります。「眠ってからも音楽をかけっぱなしにすると、眠っている間も脳に継続的な刺激を与え続けることになり、脳を十分に休ませられない」という見解が複数の保育現場でも共有されています。
つまり、雨音CDが最も効果を発揮するのは「入眠前〜眠りに落ちる直前まで」の時間帯です。子どもが眠ったら音を止める、またはタイマー機能を使って自動で止まるよう設定するのが原則です。
雨音CDと組み合わせる子守歌・童謡の選び方
雨音単体でも入眠効果は高いですが、子守歌や童謡と組み合わせることで、子どもたちにとって「これが流れたら寝る時間」というルーティンが自然と形成されます。これは「条件づけ」の効果で、同じ音楽が繰り返し使われることで、音楽を聞くだけで体と心が眠る準備を始めるようになります。
組み合わせる歌を選ぶときには、以下のポイントを意識してみてください。
- テンポが1分間に60〜80拍程度のゆっくりした曲を選ぶ(人の安静時の心拍数に近いテンポが最も安心感を与える)
- 歌詞がシンプルで、言葉の意味を追わずに聴けるもの
- オルゴールアレンジやピアノソロバージョンは特に入眠向き
定番の子守歌としては、「ゆりかごのうた」「ブラームスの子守唄」「シューベルトの子守唄」などが保育士の間でも根強く使われています。ブラームスの子守唄はテンポが穏やかで繰り返しが多く、子どもの耳になじみやすい点が特長です。
雨音との組み合わせという点では、雨音CDをベースBGMとして流しながら、オルゴールアレンジの子守歌を重ねる方法が実践されている保育園もあります。これは背景の雨音がホワイトノイズ的な役割を果たし、突然の物音をマスクしてくれるため、子どもが物音で目を覚ましにくくなる効果も期待できます。
注意したいのは、子どもが好きな「アニメソング」や「テンポの速い人気曲」をかけると、眠るどころか口ずさんで興奮状態になることもある点です。保育現場のリアルな声でも「J-POPを流したら子どもが歌って寝られなかった」というケースが報告されています。歌を取り入れるなら「眠りに向かう曲」を意識して選びましょう。
選曲に迷ったら、保育専門の音楽サービスや保育向け音楽CDを参考にするのが近道です。
保育者が選んだ寝かしつけにおすすめの歌ランキングTOP3(乳児院ウェブマガジン)
雨音CDと歌の著作権:保育で知らないと損するポイント
「保育の現場で音楽を使うだけなんだから著作権は関係ない」と思っている方も多いかもしれませんが、これは大きな誤解です。この誤解が後になって園に対するクレームや法的リスクにつながるケースがあるため、正しく理解しておく必要があります。
著作権にはいくつかの権利が含まれています。まず「著作権」(作詞・作曲者の権利)、そして「著作隣接権」(歌手やレコード会社など実演家・原盤権者の権利)の2つを意識することが重要です。
保育室でCDを流す場合、いわゆる「施設内での演奏・再生」に該当します。JASRACなどの著作権管理団体が管理する楽曲については、一定の使用許諾や使用料が必要になるケースがあります。ただし、非営利かつ無料の目的(保育サービスの提供)であっても、施設BGMとして使用する場合には手続きが必要なことがあります。
一方、保育専門会社が販売している保育向け音楽CDの多くは「保育・教育目的での使用を前提に製作・販売されているもの」が多く、これらは園内で流す分には問題ないものがほとんどです。ただし、それを録音・複製して別の場所で使う場合は別の許諾が必要です。
もっとも安心して使えるのは「著作権フリー(CCライセンス含む)」の雨音素材や歌です。近年はYouTubeの著作権フリー音楽ライブラリやフリーBGMサイトが充実しており、商用・非商用を問わず使用できる雨音素材や子守歌が多数公開されています。
使用ルールは1点で覚えておくと安心です。「購入した保育向けCDは園内再生OK、録音・複製・外部配信は要確認」が基本です。
雨音と歌を使った梅雨の保育活動:季節の情操教育として活かす方法
雨音CDと歌は、お昼寝だけでなく、梅雨の時期の保育活動全体にも活用できます。これはあまり知られていない視点です。
6月は梅雨に入り、外遊びが制限される日が多くなります。子どもたちにとっては「つまらない」「憂鬱」と感じる時期になりがちですが、保育士の働きかけ次第で、雨音や雨にまつわる歌を通じた豊かな情操教育の場に変えることができます。
季節の歌は、歌詞やリズムを通じて言葉の理解力・表現力を育む効果が知られています。特に「あめふり」「かえるの合唱」「てるてる坊主」「あめふりくまのこ」などは、雨という身近な自然現象を歌詞で表現しており、子どもたちが雨の音や情景を想像しながら歌えるため、感性を育てる教材として非常に優秀です。
具体的な活動例を挙げてみましょう。
| 活動内容 | 使う素材 | ねらい |
|---|---|---|
| 雨音CDを流しながら、窓の外の雨を観察する | 雨音CD + 窓 | 自然への関心・感性 |
| 「かえるの合唱」を輪唱で歌う | 童謡CD or ピアノ | 音楽的表現・協調性 |
| 「てるてる坊主」を工作してから歌う | 工作素材 + 歌 | 創造性と歌の連動 |
| 雨の音を聞いてどんな音?と話し合う | 雨音CD | 語彙力・観察力 |
雨音を「聞かせるだけ」でなく、「感じさせる・表現させる」ことで子どもの語彙力が育まれます。「ぽつぽつ」「ざーざー」「しとしと」といった雨のオノマトペを一緒に楽しむことも、言語発達における貴重な体験です。
さらに、雨音CDを活動開始のBGMとして使うことで、その音が流れると「今から活動が始まる」という切り替えのサインになります。入眠のルーティンと同様に、特定の音楽が特定の行動のトリガーになるというのは、保育の現場では非常に実用的な効果です。
保育士目線で選ぶ:雨音CDのタイプ別比較と失敗しない使い方
雨音CDといっても、その種類は大きく分けると3つのタイプがあります。それぞれに特徴があるため、保育の場面や目的によって使い分けることが大切です。
①純粋な雨音のみのCD(自然音タイプ)
BGMの音楽要素がなく、雨の降る音だけを収録したもの。小雨・大雨・雨粒の落ちる音など、さまざまなバリエーションがあります。ホワイトノイズとして最も機能しやすく、入眠目的であれば最も効果的です。複数の子どもがいる保育室で「突発的な物音を和らげる」マスキング効果も高くなります。
②雨音+オルゴール・子守歌のコラボCD
雨音をベースに、ゆっくりとしたオルゴールや子守歌のメロディが重なっているタイプ。入眠のルーティン形成に向いており、0歳〜2歳の乳児クラスでの使用に特に適しています。Amazon等でも「赤ちゃんが泣き止む寝かしつけミュージック〜雨の音と音楽〜」といったタイトルの商品が複数販売されています。
③雨音+自然の歌(童謡・保育向け歌)のCD
季節の保育活動用に、雨音と一緒に「かえるの合唱」などが収録されているタイプ。情操教育・季節の歌の指導補助として活用できます。保育専門の音楽出版社からのリリースが多く、著作権処理が済んでいるものが大半です。
使う場面別に整理するとわかりやすいです。
- お昼寝の入眠前10〜15分 → 自然音タイプ or コラボCD(子どもが眠ったら止める)
- 梅雨の製作・観察活動のBGM → 自然音タイプ
- 季節の歌の導入・表現活動 → 童謡コラボタイプ
失敗しやすいケースとして「大きすぎる音量」も挙げられます。保育室でのBGMは50〜60デシベル以下が目安で、これは図書館の館内程度の音量です。85デシベル以上になると子どもの聴力への悪影響が懸念されることが専門家からも指摘されています。スピーカーの位置は子どもの耳元からなるべく遠ざけ、部屋全体に柔らかく広がるよう設置することが大切です。
音量の目安は50〜60dBが条件です。
また、同じCDを毎日繰り返し使うことには大きなメリットがあります。子どもにとって「この音楽が流れると休む時間」という認識が定着し、保育士が特別な声かけをしなくても子どもが自然とお昼寝モードに切り替えやすくなります。これは保育士の肉体的・精神的な負担軽減にも直結します。


