楽譜の読み方と歌を保育士が現場で活かす全知識

楽譜の読み方と歌を保育士が現場で活かす全解説

楽譜にドレミを書き込むと、むしろ読む力が育たず子どもの前で止まりやすくなります。

この記事でわかること
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音符・休符・記号の基礎

全音符・4分音符・8分音符などの長さの違いと、強弱・反復記号の読み方を一覧でおさえます。

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歌の楽譜を読む具体的なコツ

音符の玉の位置・拍子記号・シャープ&フラットを歌につなげる実践的な順序を解説します。

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保育現場での移調・コード活用

子どもの声域に合わせた移調の考え方と、C・F・G三和音だけで伴奏を成立させる方法を紹介します。

楽譜の読み方の基本:歌に使う音符と休符の種類

 

保育の現場で歌の楽譜を開いたとき、最初に目に飛び込んでくるのが音符と休符です。「音符の形が違うのはわかるけれど、長さが混乱する」という声はとても多く聞かれます。実は覚えるべき基本の音符は5種類だけで、それ以外はすべてその応用形です。

まず最も基本となる5つを確認しましょう。

音符の名前 長さ(♩=1拍として) 特徴
全音符 4拍 白い丸だけで棒なし
2分音符 2拍 白い丸+棒
4分音符 1拍 黒い丸+棒
8分音符 1/2拍 黒い丸+棒+旗1本
16分音符 1/4拍 黒い丸+棒+旗2本

全音符の4拍というのは、手拍子を4回たたく長さです。「おーきな くりの きの したで」を4拍子で歌うと、ちょうど1小節に手拍子4回が収まるリズムになります。それが全音符1個分の長さと同じ、と覚えると体感しやすいでしょう。

音符には「付点(ふてん)」がつくことがあります。これは音符の右横についた小さな点で、元の音符の長さの半分が追加されます。つまり付点4分音符なら「1拍+0.5拍=1.5拍」になります。付点がつく音符は童謡でもよく登場するので、この「元の長さ+半分が加わる」というルールだけは確実に覚えておきましょう。

休符は「音を出さない時間」を表す記号です。全休符・2分休符・4分休符・8分休符・16分休符があり、それぞれ対応する音符と同じ長さだけ休みます。歌の楽譜では息継ぎの場所と一致していることが多く、「ここで休む」という感覚と楽譜の休符が一致すると、一気に読みやすくなります。

保育で登場する機会が多いのは4分音符・8分音符・付点4分音符の3種類です。これが原則です。まずこの3つに慣れることを目標に取り組むと、童謡の大部分はスムーズに読めるようになります。

参考:保育士向けに音符・休符を丁寧に解説したページ(図解あり)

【保育士必見】音符・休符の種類と長さを解説 – ほいくみち

楽譜の読み方で歌に直結する記号:ト音記号・拍子・強弱

音符の長さが分かったら、次は楽譜全体の「設計図」を読む段階です。歌の楽譜を左端から順に見ると、必ずト音記号→調号(♯や♭)→拍子記号という順番で並んでいます。この3つを左から右へ順番に確認するのが基本です。

ト音記号・ヘ音記号の見分け方

歌の楽譜(メロディライン)はほぼ必ずト音記号が使われます。ト音記号はくるっと丸まったような形で、五線の2本目の線(下から数えて2番目)に巻き付くように書かれています。この2本目の線が「ソ」の音です。一方、ヘ音記号は主にピアノの左手や低音域で使われ、保育の歌の楽譜で歌パートを読む際はト音記号のみで事足りる場合がほとんどです。

拍子記号の読み方

拍子記号はト音記号の右隣にある分数のような数字です。「4/4」なら「1小節に4分音符が4つ入る」、「3/4」なら「1小節に4分音符が3つ」と読みます。保育でよく使われる曲のうち、「ぞうさん」「チューリップ」は4拍子、「ゆりかごのうた」「アイアイ」は4拍子系が中心で、ワルツ系の「きらきら星変奏曲」タイプは3拍子が多くなります。3拍子は「1・2・3」と数えながら強拍(1拍目)が自然に強くなる拍子です。これが条件です。

シャープ・フラット・ナチュラル

拍子記号のさらに左(ト音記号のすぐ右)にある♯や♭の記号群が「調号」です。調号は「この曲を通じて、この音はずっと半音上げて(または下げて)歌う」という指示です。例えば♯が1つなら「ト長調(ソから始まるスケール)」で、ファをすべてファ♯(半音上の音)として歌います。

楽譜の途中に突然出てくる♯や♭は「臨時記号」といい、その小節の中だけ有効です。ナチュラル(♮)は「一度ついた♯や♭を元に戻す」記号です。意外ですね。この3つが混在する楽譜は最初は読みづらく感じますが、「その小節が終わるまでの有効期限」と覚えておけば整理しやすくなります。

強弱記号・速さ記号

  • 🎵 p(ピアノ):弱く・静かに歌う
  • 🎵 f(フォルテ):強く・大きく歌う
  • 🎵 mp(メゾピアノ):少し弱く
  • 🎵 mf(メゾフォルテ):少し強く
  • 🎵 cresc.(クレッシェンド):だんだん強く(<記号でも表される)
  • 🎵 decresc./dim.(デクレッシェンド):だんだん弱く(>記号でも表される)

速さの記号では「Andante(アンダンテ)=歩くような速さ」「Moderato(モデラート)=中ぐらい」「Allegro(アレグロ)=速く・軽快に」が頻出です。また「♩=90」のようなメトロノーム記号は「1分間に4分音符を90回打つ速さ」を意味します。これは使えそうです。

参考:保育士が現場で使う音楽記号を網羅した解説ページ

【保育士必見】音楽記号一覧!ピアノの楽譜に出てくる記号の名前と意味 – ほいくみち

楽譜の歌への読み方:音符をドレミで歌に落とし込む実践順序

楽譜の読み方が分かったあとに多くの保育士が陥りやすい落とし穴があります。それが「全音符にドレミをふる」という習慣です。一見すると効率的に見えますが、実際には3つの理由で読む力の成長を妨げます。

ドレミを書き込んではいけない理由

第1の理由は、音符の「玉の位置」が見えなくなるからです。音符は五線上のどの位置(線の上か、線と線の間か)に玉があるかで音程が決まります。カタカナのドを見てしまうと、玉の位置を確認しなくなり、いつまでも「五線上の場所と音の関係」が体に入りません。

第2の理由は、音の長さを読み取れなくなることです。音符は玉・棒・旗・付点の「全身」で長さを表しています。ドレミのカタカナに注目してしまうと、玉の形(白丸か黒丸か)や付点の有無を見落とし、リズムが崩れやすくなります。これは痛いですね。

第3の理由は、同じ「ド」でも音の高さが複数あることです。ピアノでいうと「真ん中のド」「1オクターブ上のド」など高さが異なる「ド」が存在します。カタカナで「ド」とだけ書いてあっても高さの情報がなくなるため、どの高さで歌うべきかがわからなくなります。つまり音の高さが失われます。

正しい譜読みの実践手順

では、書き込みに頼らずにどう読むのかというと、以下の順が効果的です。

  1. 🔍 まず拍子記号を確認し、1小節の拍数を把握する
  2. 📝 調号(♯・♭)を確認し、どの音が半音変わるかを押さえる
  3. 🎶 声に出して「ソ・ラ・ファ・ミ…」と音名を読む(最初は1音ずつ)
  4. 👏 手拍子を叩きながらリズムだけを声に出してさらう
  5. 🎤 リズムと音程を合わせて歌ってみる

手拍子を使った「リズム先読み」は特に重要です。拍子が体に入ると、音符のリズムと歌詞がズレる位置(例:8分音符が2つ続く場所)を事前に把握できるので、実際に歌ったときに止まりにくくなります。リズムが基本です。

また、初見でいきなり「ドレミと歌詞を同時に」読もうとすると混乱しやすくなります。「最初はリズムだけ→次に音程だけ→最後に合体」という段階を踏む方が、結果として早く覚えられることが多いです。

参考:ドレミの書き込みを避けて譜読み力を育てる解説

譜読みの時、音符にドレミを書かない方がいい。理由は3つあります – tounpipi24

楽譜の歌:保育士が知らないと損する「子どもの声域と移調」の知識

楽譜通りに弾いても子どもたちがうまく歌えない。そんな場面が保育の現場では珍しくありません。その原因のひとつが「声域のズレ」です。

子どもの声域の特徴

一般的に3〜5歳児の声域は「中央ドから高いレ程度(約1オクターブ半)」と言われています。楽譜に印刷されているデフォルトの調(キー)が子どもの声域より高すぎたり、保育士自身が歌いにくかったりすることは頻繁に起きます。つまり印刷された楽譜がそのまま最適とは限りません。

そこで必要なのが「移調(いちょう)」です。移調とは、曲全体の音の高さをまとめて上げ下げすることで、メロディの動き(音程の関係性)はそのままに、全体のキーだけを変える操作です。

移調を現場で使う最小知識

難しい理論は必要ありません。まず「ハ長調(C)にする」という考え方を持つだけで、かなり楽になります。ハ長調は♯も♭もゼロ。五線の線と間の関係がそのままドレミファソラシドになり、楽譜が読みやすい調です。

移調が必要か迷ったときのチェックポイントを以下にまとめます。

  • 🔴 子どもが苦しそうに歌っている→キーが高すぎる可能性。全体を2〜3半音下げる
  • 🟡 自分(保育士)が歌いにくい弾き歌いの安定が最優先。自分が歌える高さに合わせる
  • 🟢 伴奏が崩れる移調より先に左手をルート音(コードの根音)だけにして立て直す

移調後にどのコードを弾けばよいかは、「C(ハ長調)・F・G(またはG7)」の3つさえ押さえれば大多数の童謡は対応できます。これは大きなメリットです。Cはド・ミ・ソ、Fはファ・ラ・ド、Gはソシレがそれぞれのコードのつくりです。保育士向けの指導書や研究でも「子どものうたは主要三和音(Ⅰ・Ⅳ・Ⅴ)中心で組まれることが多い」と繰り返し示されており、この3つを覚えるだけで現場対応力は格段に変わります。

移調のリスクも押さえておく

ただし移調には注意点もあります。楽譜を移調した結果として、今度は自分の声域から外れるケースがあります。「子どもに合わせたら自分が歌えない高さになった」という状況です。このリスクを防ぐために、移調前に自分の声域(どの高さから高さまで無理なく歌えるか)を確認しておくことが重要です。

参考:保育のピアノ伴奏に使える音楽理論・移調の整理

音楽理論と保育とピアノ伴奏とコード – 保育園の歌

楽譜の読み方が歌の質に直結する:保育士が見落としがちな「拍子感」の独自視点

多くの楽譜の読み方解説は「音の高さ(音程)」と「音の長さ(リズム)」の2点に集中していますが、保育の歌の現場でもうひとつ決定的に重要な要素があります。それが「拍子感(はくしかん)」です。これはあまり語られません。

拍子感とは何か

拍子感とは、一定のリズムの中で「どの拍が強く、どの拍が弱いか」を体で感じる感覚のことです。例えば4拍子なら「強・弱・中強・弱」のパターンが繰り返され、3拍子なら「強・弱・弱」が繰り返されます。楽譜上では小節線で区切られており、小節の最初(1拍目)が最も強いのが原則です。これが基本です。

拍子感が保育の歌でなぜ重要かというと、子どもは楽譜ではなく「先生の動き・表情・声」でリズムを感じ取るからです。保育者養成の研究でも「保育士の音程が不安定だと子どもたちが戸惑い、落ち着きがなくなる」という現場の声が報告されています(近畿大学短期大学部研究紀要)。つまり楽譜を正確に読めることだけでなく、拍を体で伝えることが子どもの歌唱表現に直結するわけです。

拍子感を身につける3つの方法

  1. 🥁 声に出して拍を数えながら楽譜を読む:「1・2・3・4」と口に出しながら楽譜を指でなぞる。リズムを頭だけでなく口にも覚えさせる方法です。
  2. 👏 手拍子で1番を通しでさらう:歌詞なし・音程なしで、ただ手拍子だけで曲のリズムを通す。強拍(1拍目)を少し大きく叩くクセをつけると、子どもの前でも自然と強拍が出るようになります。
  3. 📱 メトロノームアプリで一定の拍感を確認する:「♩=〇〇」という速度記号がある場合、無料のメトロノームアプリで実際の速さを確認してから練習すると、本番のテンポが安定します。

拍子感と歌詞の関係

さらに意識すると効果的なのが、歌詞の「言葉のアクセント」と「拍の強拍」をそろえることです。日本語の童謡は、歌詞の大切な言葉(名詞や動詞の核心部分)が1拍目か3拍目に来るように作られているものが多くあります。楽譜を読む際に「この歌詞の言葉は何拍目に乗っているか」を確認するだけで、歌い方のニュアンスが自然に生まれます。

例えば「チューリップ」(咲いた咲いたチューリップの花〜)を例にすると、「さ」「た」「チュー」「の」という部分が1拍目に来ることが多く、ここを意識的にしっかり歌うと子どもにリズムが伝わりやすくなります。楽譜はそこまで教えてくれます。

なお、拍子感が自然に身についてくると、初見(初めて見る楽譜)での歌いやすさも大きく変わります。まず拍子記号を確認し、体に拍を入れてから音符を追う習慣をつけるだけで、譜読みのスピードが変わります。これは使えそうです。

参考:幼児期の歌唱とテンポの影響に関する研究(福井大学紀要)

幼児期の歌唱表現におけるテンポの影響について(PDF) – 福井大学リポジトリ

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