山小屋いっかい歌の歌詞と振り付けを保育士向けに解説
この手遊び、歌詞を1番だけ教えると子どもが混乱して泣き出すことがあります。
山小屋いっかい歌の歌詞と振り付けを全ステップ紹介
「やまごやいっけん」は、保育現場で長年にわたって歌い継がれてきたストーリー仕立ての手遊び歌です。原曲はアメリカ民謡の『Little Cabin in the Wood(リトル・キャビン・イン・ザ・ウッド)』で、日本語版は訳詞:志摩桂として広く知られています。アメリカでは「森の中の小屋に住む男性がウサギを助ける」というシンプルな物語が原型で、日本版でも「おじいさんが猟師から逃げてきたうさぎを山小屋に匿う」という温かいストーリーがそのまま引き継がれています。
歌詞の全文は以下のとおりです。
> やまごやいっけんありました
> まどからみていたおじいさん
> かわいいうさぎがぴょんぴょんぴょん
> こちらへにげてきた
>
> たすけてたすけておじいさん
> りょうしのてっぽうこわいんです
> さあさあはやくおはいんなさい
> もうだいじょうぶだよ
2番では、「うさぎ」が「きつね」に変わります。「かわいいきつねがコンコンコン」と歌詞が変わり、振り付けも親指・中指・薬指をくっつけて人差し指と小指を立てる「キツネ」の形に切り替えます。このように同じメロディで動物が変わっていく展開が、子どもたちに繰り返しの楽しさと期待感を与えます。
振り付けは10ステップで構成されています。
| ステップ | 歌詞 | 振り付け |
|---|---|---|
| 1 | やまごやいっけんありました | 両手の指先を合わせて屋根の形(△)を作る |
| 2 | まどからみていたおじいさん | 両手を丸めて両目にあて、顔を左右にゆらす |
| 3 | かわいいうさぎがぴょんぴょんぴょん | 両手を頭にあてて、うさぎの耳を作る |
| 4 | こちらへにげてきた | 両手をキラキラさせながら頭の上から下へおろす |
| 5 | たすけて(1回目) | 右手を顔の横でヒラヒラ、左手を右ひじ下でヒラヒラ |
| 6 | たすけて(2回目) | 左手を顔の横でヒラヒラ、右手を左ひじ下でヒラヒラ |
| 7 | おじいさん | ペコンと頭を下げてお辞儀 |
| 8 | りょうしのてっぽうこわいんです | 人差し指と親指で鉄砲の形を作り、上下に揺らす |
| 9 | さあさあはやくおはいんなさい | 両手で「おいでおいで」と手招きする |
| 10 | もうだいじょうぶだよ | 右手をチョキでうさぎに見立て、左手でなでる |
振り付けの動きは比較的シンプルです。保育士が丁寧に見本を見せながら進めれば、2歳児でも全体の流れについてくることができます。
はじめはゆっくりなテンポで歌い、慣れてきたら徐々にテンポを上げていくと、さらに子どもたちが盛り上がります。オリジナルの振りを加えてもOKです。
参考:やまごやいっけん 歌詞・解説(世界の民謡・童謡)

山小屋いっかい歌の2歳〜5歳の年齢別ねらいと導入のコツ
「やまごやいっけん」は2歳児から5歳児まで、幅広い年齢で楽しめます。ただし、年齢によって遊びの「ねらい」と「楽しみ方」は大きく変わります。年齢に合った導入を意識することが、この曲を最大限に活かすポイントです。
🔹 2歳児のねらいと導入
2歳児は、保育士の動作を「模倣すること」自体が大きな喜びになる時期です。「今日は山の小屋のお話だよ~」とやさしく語りかけるように始めましょう。細かい振り付けを完璧に覚えさせることより、保育士の笑顔と動きを「見て楽しむ」「真似してみる」という体験そのものが大切です。ねらいは模倣力の育成と参加意欲を高めることです。
🔹 3歳児のねらいと導入
3歳児になると、ストーリーの流れを少しずつ理解できるようになります。「このウサギさん、どんな風に逃げてきたのかな?」と問いかけながら歌い始めると、子どもたちは想像力を働かせながら参加します。ねらいはウサギやおじいさんに見立てた動作を通じて、想像力と言葉への興味を深めることです。
🔹 4歳児のねらいと導入
4歳になると、リズムやジェスチャーの切り替えを感じ取る力がつきます。「今度は他の動物でやってみようか?」と声をかけると、子どもたちが自分で動物のポーズを考えはじめます。これが表現の工夫を楽しむ練習になります。ねらいはリズム感の習得と自発的な表現力の育みです。
🔹 5歳児のねらいと導入
5歳児には、「自分たちでオリジナルのお話に変えて歌ってみよう!」と呼びかけてみましょう。登場動物を子どもたちが決めて、振り付けも自分たちで作る創造活動につなげることができます。つまり、単なる手遊びが「即興ごっこ遊び」や「劇遊びの入口」になります。
年齢差があるクラスや異年齢保育でも、この曲は有効です。物語を見て楽しむ年下の子と、振り付けをリードする年上の子が自然に役割を持てるからです。「いっけん」「りょうし」など普段使わない言葉も出てきますが、大きい子には意味を丁寧に教えることで、語彙の習得にもつながります。
これは使えそうです。
参考:保育士1年目でも使える!手遊び50選(年齢別)

山小屋いっかい歌のアレンジ・替え歌バリエーション
「やまごやいっけん」の最大の強みのひとつが、アレンジのしやすさです。同じメロディを使い、歌詞と登場キャラクターを変えるだけで、全く違う手遊びになります。保育士が曲を1つ覚えれば、3〜4パターンのバリエーションに展開できるということです。
🎵 人気のアレンジ①:パン工場バージョン(アンパンマン)
> パンこうじょうがいっけんありました
> まどからみていたアンパンマン
> かわいいチーズがワンワンワン
> こちらへかけてきた
このバージョンは2008年頃から保育現場で口コミで広まり、現在も保育園・子育て支援の場で人気があります。最後の「アンパーンチ!」のポーズで締めるのが定番です。子どもたちが大好きなアンパンマンのキャラクターが登場するため、食いつきが格段によくなります。
🎵 人気のアレンジ②:バイキンマンとドキンちゃんバージョン
バレンタインなどのイベント時期に使いやすい替え歌も存在します。「山小屋いっけん」のメロディに「ドキンちゃんが食パンマンに恋をする」ストーリーを乗せたユニークなアレンジです。
🎵 アレンジの方法(保育士が自作する場合)
替え歌を作るときに守りたいポイントは次のとおりです。
- 登場人物を変える(動物・乗り物・キャラクター)
- 鳴き声や特徴的な動き(ピョン・コンコン・ブーブー)を2番の歌詞に入れる
- 振り付けはキャラクターの特徴をジェスチャーで表現する
定番曲のメロディをベースに置くことで、子どもたちは「知っているメロディ+新しいお話」という形で新鮮に楽しめます。まったく新しい曲を覚えさせる手間が省けるという点で、保育士側の負担も軽くなります。アレンジのコツが分かれば、季節や行事に合わせたオリジナル版を数分で作れるようになります。
参考:こどもっと「バイキンマンとドキンちゃん手遊び」
山小屋いっかい歌を保育で活かす場面と導入タイミング
手遊びをどの場面で使うかによって、その効果は大きく変わります。「やまごやいっけん」はストーリー性があり曲の長さも適度なため、使いやすい場面が多いのが特徴です。
📌 活用場面1:朝の会・帰りの会の導入
子どもたちが集まってざわついている状態を落ち着かせるために、手遊びは有効な「注目を集める道具」になります。「やまごやいっけん」は曲の冒頭から物語が始まるので、歌い出した瞬間に子どもたちの視線がこちらに向きます。集中力が自然に生まれます。
📌 活用場面2:活動と活動の間の隙間時間
給食の準備待ち、次の活動に移る前のわずか3〜5分の時間は、子どもたちが落ち着かなくなりやすい場面です。こうした隙間時間に手遊びを入れることで、子どもたちの気持ちを次の活動へスムーズに切り替えられます。準備不要で、立ったままでも座ったままでも使えるのが強みです。
📌 活用場面3:実習・保育参観での発表
保育実習生にとって「手遊びを何にするか」は悩みどころです。「やまごやいっけん」はキャリアの浅い保育士でも覚えやすく、動作がシンプルで見栄えもするため、実習の場面にも適しています。保護者向けの参観日に保育士と子どもたちが一緒に披露すると、保護者に「成長した姿」を見せる良い機会にもなります。
📌 活用場面4:異年齢保育・縦割り保育
物語を「見て楽しむ」ことができる0〜1歳児から、振り付けを自分でアレンジできる5歳児まで、同じ曲で関われます。異年齢が混在する場面では、年上の子が年下の子にジェスチャーを教えるという自然な交流も生まれます。これが子ども同士の関わりを深めることにつながります。
活用の判断基準としては「今の子どもたちに何が必要か(集中か、切り替えか、関わりか)」を一つ決めてから手遊びを選ぶことが原則です。使いたいから使うのではなく、ねらいから逆算して選ぶ姿勢が、保育の質を上げるポイントです。
参考:ほいくnote「やまごやいっけん 年齢別ねらいと導入の仕方」

山小屋いっかい歌が育てる発達面での5つの効果【保育士必見】
「やまごやいっけん」はただ楽しいだけではありません。保育士が意識して使えば、子どもの発達を多角的にサポートする教材として機能します。大阪芸術大学・和歌山大学などの研究でも、手遊び歌が幼児の発達に複合的な効果をもたらすことが報告されています。
🌱 効果①:集中力・注意の切り替え
梅花女子大学の研究(越中康治, 2018)では、手遊びを「保育活動の導入」として使用した場合、その後の活動への幼児の集中力に有意な影響が見られたことが示されています。「やまごやいっけん」はストーリーが展開するたびに振り付けが変わるため、子どもが「次は何が来るか」と意識を向け続けます。これが集中力の維持につながります。
🌱 効果②:言語・語彙の発達
「いっけん(一軒)」「りょうし(猟師)」「てっぽう」など、日常会話ではなかなか出てこない言葉が歌詞に含まれています。身体動作とセットで言葉を体験することで、語彙の定着率が高まります。言語発達が促進されるということです。
🌱 効果③:手指の巧緻性と運動機能
うさぎの耳、キツネの手形、鉄砲のポーズなど、指先を細かく使う動作が随所に登場します。手先の細かい動きは、将来の書字(鉛筆を持つ力)にもつながる重要な基礎練習です。絵を描いたり制作活動に参加する前のウォームアップとしても効果的です。
🌱 効果④:想像力・共感力
おじいさんにウサギが「たすけて」と訴える場面では、子どもたちが自然と感情移入します。「助けてもらえてよかった!」という安堵感も体験でき、物語の登場人物への共感力が育まれます。感情を想像する力は、友だちとの関わりや他者理解にも直結します。
保育士と子どもが「同じ動きを合わせて楽しむ」という体験は、他者と行動を合わせる社会性の基礎になります。グループで歌ったときの一体感は、子どもにとって「みんなと一緒にいることの心地よさ」を感じさせてくれます。
これらの効果は「やまごやいっけん」という1曲で同時に得られます。発達支援の観点から手遊びを教材として意識的に選ぶ保育士が増えれば、子どもたちの育ちも一層豊かになるはずです。
参考:手遊び歌の使用法における一考察―幼児の発達段階をふまえて(國士舘大学紀要)
https://kokushikan.repo.nii.ac.jp/record/6522/files/1346_2555_011_07.pdf
参考:幼児教育における手遊びの教育目的および教育効果に関する研究(和歌山大学)
https://wakayama-u.repo.nii.ac.jp/record/2002950/files/AN0025796606512.pdf
