オオカミ歌で保育が変わる集団遊びと歌詞の使い方

オオカミの歌を保育で活かす遊び方とねらい

「オオカミ役を最初から子どもに任せると、クラスが10分以内に崩れます。」

オオカミの歌:保育で押さえるポイント3つ
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フランス発祥の遊びうた

「おおかみさん」はフランス童謡『Promenons-nous dans les bois』が起源。100年以上の歴史を持ちながら、日本の保育現場で愛され続けている集団遊びです。

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対象年齢は3〜5歳児

ルールの理解・数の概念・ドキドキ感のコントロールが必要なため、3歳以上が最適。2歳児には歌だけ・動きだけに絞った簡略版が向いています。

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ねらいは「数・ルール・社会性」

遊びながら1〜12の数字に親しみ、共通ルールを守る経験を積み、友だちと一緒に動く喜びを味わう、一石三鳥のあそびうたです。

オオカミの歌「おおかみさん」の歌詞と起源を知ろう

 

「おおかみさん」の歌い出しは「もりのこみち さんぽにいこう おおかみなんて こわくないよ」という、明るく元気なフレーズです。この歌は、フランスの童謡『Promenons-nous dans les bois(森へ散歩へ行こう)』を原曲とし、日本語にアレンジされたものです。原曲の直訳は「おおかみさんがいないうちに森へ散歩へ行こう」という、やや慎重な内容ですが、日本語版では「こわくないよ!」と堂々と宣言する、陽気で元気なニュアンスに変わっています。

この違いは、保育現場での活用においても大切なポイントです。つまり日本版の歌詞は、子どもたちに積極的なチャレンジ精神を引き出す言葉になっているということですね。原曲から100年以上の歴史を持ちながら、今も保育園・幼稚園で歌われ続けているのは、このポジティブなエネルギーが子どもたちの心に響くからではないでしょうか。

歌詞は以下のような流れで展開します。歌いながら歩き、「おおかみさーん!おおかみさーん!」と呼びかけると、オオカミ役が「いま、起きた所だよ」「今、服を着ている所だよ」などと応答する対話形式です。この「コール&レスポンス」の構造が、子どもたちを遊びに引き込む鍵になっています。

1番から複数のバリエーションがある点も特徴で、「シャツを着ている」「ズボンを履いている」「靴を履いている」と、オオカミが準備を進めるたびに緊張感が高まり、最終的に「皆を食べに行く所だよ!」でドキドキのクライマックスを迎えます。この緊張と解放の繰り返しが、子どもたちをどんどん夢中にさせます。

おおかみさん(森の小道 散歩に行こう)フランスの童謡 | WorldFolkSong

※原曲フランス語歌詞の日本語訳・解説が確認できます。

オオカミの歌を使った「おおかみさん今何時?」の遊び方と年齢別アレンジ

「オオカミさん今何時?」は、オオカミの歌の世界観をそのまま使ったおにごっこ系の集団遊びです。対象年齢は主に3〜5歳児で、保育現場での人気は非常に高い遊びの一つです。

基本のルールはシンプルです。オオカミ役が1人、それ以外は子ヤギ(こぶた)役になります。

ステップ 子ヤギ役の動き オオカミ役の動き
「オオカミさん今何時?」と聞く 「〇時!」と答える
「あ〜よかった!」と言い、言われた時間の数字と同じ歩数分近づく 再び眠ったふりをする
①②を繰り返す タイミングを見て「夜中の12時!」と言う
家(安全地帯)へ全力で逃げる 子ヤギを追いかけてタッチ

数字の大きい時間を言うほど子ヤギが近づいてくるため、オオカミ役は「いつ12時を言うか」という駆け引きが生まれます。これが実は、子どもたちにとって非常に豊かな思考の場になっています。

年齢別のアレンジ方法

  • 👶 2歳児向け:「12時」の概念は使わず、「食べに行くよ〜!」というセリフだけで追いかけっこに移行する簡略版が有効です。歌だけ・動きだけに絞ることで十分楽しめます。
  • 🧒 3歳児向け:保育士がオオカミ役を担当し、「3時」「ご飯だよ」など生活の場面と時間をセットで伝えると、1日のリズムも同時に学べます。
  • 👦 4〜5歳児向け:子ども同士でオオカミ役を交代しながら進められます。「3時→6時→12時」のように時間が進む縛りをつけるとさらに盛り上がります。

慣れてきたらオオカミ役の子どもにお面をつけたり、洋服を実際に着込む動作を大げさに演じてもらうと、遊びに物語性が生まれてより楽しい雰囲気になります。これは使えそうです。

※ねらいの設定や遊び方イラストのダウンロードもできる、保育者向けの詳細解説ページです。

オオカミの歌がもたらす発達上のねらいと保育効果

「おおかみさん」の歌と遊びには、単に楽しいだけでない、複数の発達的なねらいが重なり合っています。保育のねらいとして月案・指導案に書く際にも使いやすい内容です。

まず、数の概念を自然に育てるという点が挙げられます。「9時」と言われたら9歩近づく、「12時」は夜中——このやりとりを繰り返すことで、子どもたちは遊びの中で1〜12の数字に親しみます。机に向かった学習ではなく、体を動かす体験を通して数字と触れることが、幼児期の数的感覚の基礎につながります。

次に、ルールを守って遊ぶ社会性の育ちがあります。12時以外は逃げてはいけない、決まった時間にだけ追いかけるというシンプルなルールが、子ども同士の「共通のきまり」を守る経験を作ります。3歳頃から会話が成り立つようになり、子ども同士でのルール共有が可能になる時期に、この遊びはぴったり合います。

さらに、歌という形式が言語能力・語彙の発達にも貢献します。芦屋大学の保育者歌唱に関する研究では、手遊び・歌唱活動が「語彙の増加・言語能力の発達」「脳の発達」「数に対する理解」などに効果があることが示されています。毎日の保育に歌を取り入れることの意義は、現場の肌感覚だけでなく、研究面からも裏付けられているということですね。

加えて、「おおかみさん今何時?」は身体を大きく動かす体験にもなります。走る・止まる・方向を変えるといった全身運動が含まれるため、準備運動代わりや昼食前の活動として組み込むことも可能です。道具なしで楽しめる点も、現場での使いやすさに直結しています。

オオカミの歌の導入で失敗しないための実践ポイント

「おおかみさん」の遊びを初めてクラスに導入する際、いきなり子どもにオオカミ役を任せると遊びが崩れやすいという点は、多くの保育者が経験していることです。最初は保育士がオオカミ役を担当することが、スムーズな導入の絶対条件です。

まず導入の前に絵本を読むことをおすすめします。中川ひろたか作・山村浩二絵の絵本『おおかみさんいまなんじ?』(学研プラス)は、遊びそのものを物語にした参加型の絵本です。コール&レスポンスで楽しめる内容になっているため、絵本を読みながら自然と遊びのルールが頭に入ります。絵本から遊びへとつなぐ流れが、子どもたちの理解を助け、混乱を防ぎます。

次に、保育士がオオカミ役をやる際は、フェイントをうまく活用しましょう。「夜中のじゅう…いち時!」と言ったり、「今、靴を履いている所だよ」と台詞をたっぷり増やして焦らすのが効果的です。子どもたちが「もうすぐ来る!」というドキドキを存分に楽しんでから追いかけに移ることで、遊びの盛り上がりが全然変わります。

時間と生活場面を結びつける工夫も有効です。「お昼の12時!」「夜の7時はお風呂の時間だよ!」などとオオカミが演じると、時計の読み方や1日の流れを日常的に意識するきっかけになります。これは5歳児の生活習慣教育とも自然につながる視点です。

また、広さの確保は遊びの質に直結します。ぶつかりや転倒を防ぐために、室内で行う場合はマットや荷物を端に寄せ、走る方向をある程度決めてから始めることが大切です。子どもの安全が条件です。

  • 🔰 ステップ①:絵本『おおかみさんいまなんじ?』を読んでルールを共有する
  • 🎭 ステップ②:保育士がオオカミ役でお手本を見せる(フェイントもたっぷり)
  • 👦 ステップ③:慣れてきた子どもから順番にオオカミ役を任せる
  • 🔄 ステップ④:年齢・クラスの実態に合わせてルールをアレンジする

オオカミの歌を軸にした独自アレンジ:「着替えステージ」で表現力を引き出す

ここでは、保育現場ではあまり紹介されていない独自の活用アイデアを紹介します。それは「着替えステージ」方式のアレンジです。

通常、「おおかみさん」の遊びは保育士やオオカミ役の子どもが「今、服を着ている所だよ」と台詞を言いますが、このアレンジでは実際の衣装小道具をステージ上(またはマットの上)で着込む場面を取り入れます。帽子・マフラー・上着・手袋の4点を用意して、オオカミ役の子が一つずつ身につけていくたびに歌を繰り返す形式です。

これにより、次の3つの効果が生まれます。

  • 🎭 表現・演技力の育ち:衣装を着こなすことで「なりきる」感覚が強まり、ごっこ遊びへの意欲も高まります
  • ⏱️ 待つ力・期待感のコントロール:準備が進むにつれて緊張感が高まり、「もうすぐ来る!」という待機の体験が自制心を育てます
  • 👗 衣服の着脱練習:オオカミ役を担当した子どもが、帽子や上着を自分で脱ぎ着する練習を楽しみながらできます

衣装は100円ショップで揃えられるもので十分です。派手な柄の帽子やマフラーを用意するだけで、一気にお芝居感が増します。「オオカミの衣装コーナー」をクラスの一角に置いておくと、子どもたちが自発的に「おおかみさん遊び」を始める環境作りにもつながります。この取り組みは、「環境を通した保育」の考え方とも合致します。

運動会や発表会では、この着替えステージをクラス全体のショー的な発表に応用することも可能です。オオカミが一人ずつ衣装を身につける間、クラス全員が歌を繰り返すという構成は、観客(保護者)を自然に巻き込む演出としても効果的です。子どもたちが主役として輝ける場面を作れる、という点で保育士にとっても大きなメリットになります。

オオカミの歌を年間計画に組み込む実践的な活用法

「おおかみさん」の歌と遊びは、単発のアクティビティとしてだけでなく、年間を通した保育計画の中に意図的に組み込むことで、より大きな発達的効果を得られます。

季節や行事にあわせたアレンジが可能な点も、この遊びの強みです。たとえば、以下のような展開ができます。

  • 🌸 春(4〜5月):新入園児がクラスに慣れる導入期に、歌だけ版の「おおかみさん」でコール&レスポンスを楽しむ。声を出すことで緊張がほぐれ、クラスの一体感を作りやすい
  • ☀️ 夏(7〜8月):戸外で広い空間を使い、しっかり走る「おおかみさん今何時?」の本格版を実施。身体を使った活動量の確保にも有効
  • 🍂 秋(9〜11月):運動会発表会前のクラスまとめ期に、着替えステージアレンジを取り入れ、表現活動と組み合わせる
  • ❄️ 冬(12〜2月):室内で楽しめる「おおかみさん(歌と対話だけ版)」を取り入れ、寒い時期の身体ほぐしとして活用する

また、縦割り保育(異年齢保育)との相性もよい遊びです。5歳児がオオカミ役、2〜3歳児が子ヤギ役という配置にすると、年長児に「リーダーとして動く」役割が生まれ、年下の子どもも安心して楽しめます。年長児の主体性と責任感を引き出す機会として、縦割り保育の週案に組み込んでいる保育園も実際にあります。

月案・指導案に記載する際のねらいの例としては、「友だちと共通のルールを守って遊ぶ楽しさを味わう」「歌に合わせて身体を動かし、リズム感や協調性を育む」「1〜12の数字に遊びを通して親しむ」などが挙げられます。複数のねらいを一つの活動でカバーできる点が、保育士にとって計画を立てやすい大きな理由です。

おおかみさんいまなんじ?〜初めての集団あそびに。低年齢でもできるおにごっこ〜|HoiClue

※年齢別の工夫や絵本との連携アイデアも記載されています。保育者の現場レポートも参考になります。


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