ウシの歌を保育で活かす手遊び・童謡の選び方

ウシの歌を保育に活かす手遊び・童謡の選び方とねらい

「ウシの歌」は音域が広い曲ほど子どもの歌唱力が伸びやすい。

ウシの歌を保育で活かすポイント
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乳児(0〜2歳)向け:ふれあい手遊び

「モーモーうしさん」などシンプルな繰り返しフレーズで、発語・オノマトペの習得を促す。抱っこや仰向け状態でも実践できる。

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幼児(3〜5歳)向け:童謡・十二支のうた

「もうもう牛さん」「十二支のうた」で干支の知識・語彙力・集団での一体感を育む。歌詞の繰り返し構造が記憶力を高める。

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ウシの歌を選ぶ3つのねらい

①オノマトペ「モーモー」で発語を促す ②手や体の動きで脳と運動機能を刺激する ③繰り返しリズムで集中力・記憶力を養う

ウシの歌が持つ「オノマトペ効果」で発語を促す仕組み

 

ウシの歌に欠かせない「モーモー」という鳴き声は、保育の場ではただの擬音ではありません。「モーモー」はオノマトペ(擬音語・擬態語)の一種で、子どもの発語を促す力が医学・言語発達の観点から注目されています。

オノマトペは音と意味が一致しているため、1歳前後の子どもにとって「まねしやすく、覚えやすい言葉」の筆頭格です。「犬はワンワン・牛はモーモー」のように動物の鳴き声に触れることで、子どもは「音=意味」という言語の基本構造を直感的に学んでいきます。言語発達の専門家によれば、0〜2歳の子どもはオノマトペを含む言葉を通常の語彙より早く習得する傾向があるとされています。

つまり、ウシの歌を歌うことは発語を直接的に促す行為です。

保育士が「モーモー」と大きな声で歌うだけで、0歳の赤ちゃんは口や舌を動かそうとします。この模倣動作が繰り返されるたびに、口腔筋(こうくうきん)が発達し、将来の明瞭な発音へとつながります。保育現場でも「モーモー」と声に出す場面を意図的に作ることで、発語の遅い子どもへのさりげないサポートになります。

保護者に「うちの子、まだ言葉が出なくて…」と相談された場面でも、ウシの歌のようなオノマトペが豊富な歌を日常に取り入れることを勧めてみる価値があります。

参考:オノマトペと子どもの発語促進について

「オノマトペ」で子どもの発語を促そう!おすすめグッズや絵本も紹介(ori-ori)

ウシの歌の代表曲を保育士が知っておくべき理由

「ウシの歌」と一口に言っても、保育現場で使われる曲はいくつかのジャンルに分かれます。それぞれの特徴を知っておくことで、クラスの年齢や活動シーンに合わせた選曲ができるようになります。

まず、童謡として定番なのが「もうもう牛さん」(作詞:吉岡治、作曲:越部信義)です。「もうもう うしさん もうもうもう」という繰り返しの歌詞が特徴で、シンプルなメロディーが乳幼児にとって聞き取りやすく、口ずさみやすい構造になっています。越部信義氏は「アイアイ」や「およげ!たいやきくん」なども手がけた、子ども向け音楽の第一人者です。

次に、手遊び歌として人気が高いのが「ふれあい手遊び モーモーうしさん」です。抱っこの状態・赤ちゃんが仰向けに寝ている状態・2〜3人がお座りした状態のどの形でも実践できる点が魅力で、0歳クラスの担任を持つ保育士から特に支持されています。「とがったツノでつつきます」という歌詞に合わせて子どもの体をそっと触れる動作が、スキンシップと歌を自然に組み合わせています。

そして忘れてはならないのが、「十二支のうた」の中に登場するウシです。「ね・うし・とら・う…」と干支を順に覚える遊び歌で、3歳以上の幼児クラスで特に盛り上がります。この歌でウシは2番目に登場するため、「うし」という単語への注目度が自然と高まります。

これが全部です。3種類の歌の位置づけを整理できれば、活動計画書の「ねらい」欄にも書きやすくなります。

さらに、NHKの「おかあさんといっしょ」発の「モウモウフラダンス」も見逃せません。牛の衣装を活用した発表会の演目としても機能し、0歳児クラスの生活発表会でモーモーフラダンスを採用する園は少なくありません。親しみやすいメロディーと視覚的なインパクトがあるため、保護者の記憶にも残りやすい演目です。

ウシの歌を使った年齢別・手遊び活動のねらいと実践ポイント

手遊び歌はただ歌えばいいわけではありません。年齢ごとの発達特性を理解した上で活用することが、保育の質を大きく左右します。

0歳〜1歳のクラスでは、ウシの歌を使ったふれあい手遊びが中心になります。この時期の子どもにとって最も重要な体験は「大人との安心できる接触」です。「モーモーうしさん」を歌いながら背中やお腹をやさしく触れることで、愛着ホルモンとも呼ばれる「オキシトシン」が子どもの脳内で分泌されます。これは情緒安定と信頼関係の形成に直結します。大切なのは歌の上手さではありません。0歳児には保育士の声と温かい手のひらが「安全のサイン」として機能します。

2歳クラスでは、「モーモー」と声を合わせる場面を意図的に作ることがポイントです。2歳ごろから「一緒にやりたい」という気持ちが育ってくるため、「次はみんなでモーモーって言ってみよう!」と誘うだけで参加意欲が高まります。この「声を合わせる」体験が、集団生活における協調性の芽生えにつながります。

3〜5歳クラスでは、振り付けの複雑さをあえて上げることで達成感を引き出せます。「十二支のうた」のように12種類の動物を順番通りに覚えるゲーム性のある歌は、5歳前後になると「もう一回!」と子ども自身がリクエストしてきます。これは記憶力と達成欲が同時に育っているサインです。

これは使えそうです。

ただし、年齢に合わない複雑な振り付けは逆効果になりえます。0〜1歳の子どもに細かい指使いを求めても、手指の巧緻性(こうちせい)はまだ発達途上なので、楽しさよりも「できない」という戸惑いが先行しかねません。鹿児島大学の研究論文「幼稚園における手遊び歌に関する実践的研究」でも、手遊び歌の教材選定では発達段階との対応が不可欠である点が明記されています。

参考:手遊び歌のねらい・効果と保育実践について

保育園で手遊びをするねらいとは?期待できる効果や演じるときのポイント(保育士バンク)

ウシの歌を保育に取り入れる際の「声だけで十分」という意外な真実

「ピアノを弾きながら歌わないとウシの歌は盛り上がらない」と思っていませんか。実は違います。

鹿児島大学の手遊び歌に関する実践研究では、手遊び歌の最大の利点として「自分の声と手があればいつでもどこでも行えること」が明確に挙げられています。つまり、ピアノが苦手でも、楽器がなくても、保育士の肉声だけでウシの歌の手遊びは十分に成立します。

これには2つの大きなメリットがあります。1つ目は「機動力」です。ピアノは保育室を離れたら使えませんが、声は公園でも廊下でも、子どもが気分転換に必要なあらゆる場所で使えます。給食前の静かにさせたい時間、外遊びの切り替えのタイミング、バスの中でさえ即座に始められます。

2つ目は「アイコンタクトの量」です。ピアノを弾いている間、保育士の視線は鍵盤や楽譜に向きます。しかし声だけで歌う手遊びでは、保育士は子ども全員の顔を見ながら関わることができます。子どもと目を合わせながら「モーモー!」と言い合う体験は、子どもにとって「自分のことを見てもらえている」という安心感そのものです。この安心感が、保育士への信頼と愛着を育てます。

もちろん、ピアノ伴奏が加わることで曲の豊かさは増します。しかし、毎回ピアノを完璧に準備しようとするより、まずは声と手だけで毎日少しずつ歌うほうが、子どもとの関係構築においては効果的なこともあります。

使用頻度が高いことが基本です。週1回の完璧な歌よりも、毎日の声かけの中でさらっと歌う「モーモーうしさん」の方が、子どもの記憶と愛着に深く刻まれます。

ウシの歌が他の動物の歌より優れている独自の視点:「反復リズム」の脳科学的根拠

ウシの歌の多くには「もうもう」という2拍子の繰り返しフレーズが登場します。実はこの「2拍子の繰り返し」という構造が、乳幼児の脳の発達にとって特別な意味を持っているという点は、あまり知られていません。

人間の心拍数は安静時で約60〜100拍/分、つまり1秒に約1〜1.7拍のリズムを刻み続けています。「もうもう(モー・モー)」という2音節の繰り返しは、この心拍リズムと近い速度感を持っています。学研教室が発表した「音楽教育が子どもにもたらす効果」の資料でも、「聴覚からの刺激で脳の発達が促される」「リズムに合わせた運動が言語能力の向上にもつながる」という知見が示されています。

つまり、「もうもう」というフレーズは子どもの生理的なリズムと同期しやすく、安心感と集中を同時に引き出す音のデザインと言えます。

たとえば「ぞうさん」(1・2・3拍子の3拍子リズム)や「いぬのおまわりさん」(4拍子)と比較しても、2拍子のウシの歌は乳児期の子どもが初めてリズムを感じる教材として非常に適しています。保育士がウシの歌を0歳クラスに選ぶ理由の1つは、難しい振り付けより先に「リズムを体で感じること」を優先しているからです。

このリズム体感が積み重なると、3〜4歳ごろには自然と音楽に合わせて体を動かせるようになり、お遊戯会や発表会でのダンスや合唱への参加意欲にもつながります。保育士がウシの歌を単なる「動物の歌」として扱うのではなく、「リズム教育の入口」として意識することで、活動のねらいも格段に明確になります。

参考:音楽が子どもの発達に与える効果について

音楽教育が子どもにもたらすさまざまな効果~発達段階に沿った音楽の取り入れ方(学研教室)

ウシの歌を季節・行事計画に組み込む実践アイデア

ウシの歌を保育に取り入れるなら、年間計画の中に意図的に位置づけることで、より深い学びと体験につながります。単発のお楽しみで終わらせず、行事や季節感と結びつける工夫が保育の質を高めます。

1月・お正月時期は「十二支のうた」の出番です。十二支の順番「ね・うし・とら・う…」を歌で覚える活動は、3歳以上の幼児クラスで自然な形で導入できます。干支の話を絵本や紙芝居で行ってから「十二支のうた」を歌うと、子どもたちは歌の中にストーリーを見出し、より深く楽しめます。この流れは活動の「導入→展開→まとめ」という構成にも合致しており、実習生の指導案にも使いやすい構成です。

春から夏にかけては、牛の鳴き声を模した手遊びを外遊びの切り替えとして活用するのがおすすめです。「モーモーうしさん」を歌いながら部屋に入る合図にすると、子どもたちが「次はモーモーだ!」と自分から動きやすくなります。生活習慣の定着と手遊びを結びつけることで、保育のルーティンが楽しさで彩られます。

秋〜冬の生活発表会シーズンでは、0歳児クラスの演目として「モウモウフラダンス」の採用が増えています。牛の衣装(耳とシッポを付けただけの簡単なものでもOK)を組み合わせると、保護者から非常に好評です。0歳児の生活発表会は子どもの「演じる力」より「可愛さ」が求められるため、動作が少なくてもウシのモーモーというオノマトペのインパクトで十分に成立します。

時期 活動の目的 おすすめのウシの歌
1月 干支・伝統文化への親しみ 十二支のうた
通年 発語促進・ふれあい モーモーうしさん(ふれあい手遊び)
通年 リズム感・切り替え うしさんモーモー(キッズソング
発表会 表現・保護者へのアピール モウモウフラダンス(おかあさんといっしょ

季節との連動が条件です。ウシの歌をいつでも同じように歌い続けるより、季節や行事に合わせて「今日は特別にウシの歌をやろう!」という演出を加えることで、子どもにとって歌の思い出と季節の記憶が結びついていきます。これは情操教育における「感情と記憶の連動」として重要な働きをします。

参考:保育における手遊び歌のねらいと活用について


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