ゆかいなまきばの歌を保育で活かす完全ガイド
この歌の日本語歌詞は、日本語ではなく英語の動物の鳴き声が元になっています。
ゆかいなまきばの歌詞と各番の動物・鳴き声一覧
「ゆかいなまきば」の日本語歌詞は、作詞・小林幹治によるものが最もよく知られています。原曲の「マクドナルドじいさん(Old MacDonald)」が「いちろうさん・じろうさん・さぶろうさん…」という形に変えられており、各番の数字が登場人物の名前に組み込まれた構造になっています。これは日本独自のアレンジです。
全部で6番まで構成されており、登場する動物はひよこ・アヒル・七面鳥・子豚・子牛・ろばの6種類です。それぞれの鳴き声は次のとおりです。
| 番 | 登場人物 | 動物 | 鳴き声(日本語歌詞) | 英語の鳴き声 |
|---|---|---|---|---|
| 1番 | いちろうさん | ひよこ 🐣 | チッチッチッ | cheep cheep |
| 2番 | じろうさん | アヒル 🦆 | クワッ クワッ クワッ | quack quack |
| 3番 | さぶろうさん | 七面鳥 🦃 | グルグルグル | gobble gobble |
| 4番 | しろうさん | 子豚 🐷 | オィンオィンオィン | oink oink |
| 5番 | ごろうさん | 子牛 🐄 | モーモーモー | moo moo |
| 6番 | ろくろうさん | ろば 🫏 | ヒーホーホー | hee-haw |
歌詞をよく読むと、ひよこの鳴き声が「ピヨピヨ」ではなく「チッチッチッ」である点が目立ちます。これは英語の「cheep(チープ)」に由来する音をカタカナに転写したもので、日本語の感覚ではなく英語圏の感覚で動物の音が表現されています。つまり日本語歌詞でありながら、鳴き声は英語圏の擬声語が元になっているということです。
知らなかった人には少し驚きかもしれません。子どもたちと歌うとき、「この歌のチッチッチッは英語ではどう聞こえるの?」という声かけをするだけで、歌の時間が楽しい比較文化の時間に変わります。これは使えそうです。
もう一方の日本語版として、作詞・小林純一による「マクドナルドじいさん飼っている」という訳詞もあります。こちらはひよこの鳴き声を日本語的な「ピョピョピョ」と表記しており、登場する動物も「ひよこ・アヒル・七面鳥」の3種のみです。保育現場で使う場面に応じて、どちらのバージョンを選ぶかを考えておくとよいでしょう。
参考:ゆかいな牧場(マクドナルドじいさん)歌詞の意味・由来・英語原曲の解説
世界民謡・童謡データベース「ゆかいな牧場」歌詞と意味(worldfolksong.com)
ゆかいなまきばの歌の由来・歴史と「つみあげうた」の特徴
「ゆかいなまきば」の原曲「Old MacDonald Had a Farm」は、アメリカ・イギリスで最も子どもたちに親しまれている歌のひとつです。起源は17世紀のイングランドにまで遡るとされ、マザーグースのひとつとして長く伝えられてきました。1917年に出版された「Tommy’s Tunes」という軍事マーチ集に類似曲が収録されていることからも、その歴史の深さがうかがえます。
この曲の大きな特徴は「つみあげうた(積み上げ歌)」である点です。1番の歌詞が2番でそのまま繰り返され、さらに3番ではそれが積み上がっていく構造になっています。英語の専門用語では「Cumulative song(キュミュレイティブ・ソング)」と呼ばれ、クリスマスソングの「クリスマスの12日間(The Twelve Days of Christmas)」と同じ仕組みです。
積み上げていく構造ということですね。この仕組みが子どもたちの「次は何が出てくる?」という期待感を高め、自然と歌の先読み・記憶力の活用を促します。理論的には、英語版で正確に歌えば最終番では前の番の鳴き声をすべて連続して歌うことになり、記憶の積み上げが最大化されます。保育の現場では全番を歌い切るより「今日は何番まで積み上げられるかな?」という形で段階的に取り組むと、子どもたちの達成感が高まります。
また、日本語歌詞では各番が独立した構成になっており、原曲の「積み上げ」構造は採用されていません。これは子どもが歌いやすいように整理されたアレンジです。英語バージョンも試したい場合は、1番から少しずつ積み上げていく原曲の形式に触れさせることで、より高度な記憶のトレーニングになります。
参考:ゆかいな牧場の歴史・つみあげうたの解説
Wikipedia「ゆかいな牧場」(マザーグース・歴史・派生作品について)
ゆかいなまきばの歌を保育に活かすねらいと活用アイデア
「ゆかいなまきば」を保育活動で使うときには、ねらいを明確にしておくことが大切です。この曲で設定できる主なねらいは次の3つが考えられます。
- 🎵 音感・リズム感の育成:繰り返しのシンプルなメロディーが子どものリズム感覚を安定させます
- 🐄 動物の名前・鳴き声の学び:ひよこ、アヒル、七面鳥など6種の動物の名前と鳴き声を覚えます
- 🤝 協調性・社会性の促進:みんなで同じ歌を歌うことで一体感と協調性を養います
年齢別に活用の方向性を変えるのが原則です。0〜1歳の乳児期は、保育士が抱っこしながらゆっくりと歌い聞かせる「聞く活動」として活用します。この時期は音の気持ちよさを体ごと感じることが中心です。
2〜3歳になると、鳴き声のオノマトペ(チッチッチ・クワックワッなど)を一緒に繰り返す「まねっこ活動」が有効です。この年齢では発語を促す手遊び歌としても評価されており、発達支援の現場でも活用されています。
4〜5歳では、全6番を通して歌えることを目標にしたり、動物のカードを使いながら「今日の牧場はどの動物がいるかな?」とゲーム感覚で進める「選択・創造活動」が楽しめます。子どもが自分で動物を選んで歌詞を作る即興替え歌は、表現力を育てる独自の活用法です。
手遊びを取り入れる場合は、各動物の鳴き声に合わせた動作をつけるのが定番です。たとえばひよこなら手をくちばしの形に、子豚なら鼻を押し上げるしぐさ、ろばなら耳を作るジェスチャーなど、シンプルで体に絵が描けるような動きが子どもたちに喜ばれます。振り付きの動画を事前に確認しておくと、保育士自身の動きの確認にもなります。
参考:保育におすすめの手遊び歌と活用ポイント
ゆかいなまきばの歌で英語教育・異文化体験を取り入れる方法
「ゆかいなまきば」は保育での英語導入にも最適な1曲です。英語版「Old MacDonald Had a Farm」は、英語圏の動物の鳴き声と日本語の鳴き声の違いをそのまま学べる教材になります。英語教育に特化したコンテンツという印象がありますが、実際には文化比較のきっかけとして使うだけで十分効果があります。
英語と日本語の動物の鳴き声の違いを比べると、次のようになります。
| 動物 | 日本語の鳴き声 | 英語の鳴き声 |
|---|---|---|
| 牛 🐄 | モー | moo(ムー) |
| アヒル 🦆 | ガーガー | quack(クァッ) |
| 豚 🐷 | ブーブー | oink(オィンク) |
| 犬 🐕 | ワンワン | bow-wow(バウワウ) |
| ひよこ 🐣 | ピヨピヨ | cheep(チープ) |
この違いを子どもたちに見せるだけで「え、ぶたさんはオィンクって鳴くの?」という驚きが生まれます。意外ですね。そしてその驚きが、異なる文化への最初の気づきになります。英語の音をまねすることは「発音練習」ではなく「面白いゲーム」として体験させるのがポイントです。
保育で英語版を歌う場合は、E-I-E-I-O(イーアイ イーアイ オー)の部分だけでも一緒に口ずさんでみることから始めると無理がありません。このフレーズには明確な意味はなく、もともとは掛け声として機能しており、気軽に声に出せる点が特徴です。「E-I-E-I-O」の部分だけなら1回練習すれば覚えられます。
英語版のYouTube動画を活動前に流しておくだけで、子どもたちは自然と音を吸収していきます。英語に特化した教材を用意する必要はなく、「ゆかいなまきば」を日本語→英語の順で両方歌うだけで、保護者へのアピールにもなる英語活動が成立します。これは使えそうです。
参考:英語と日本語の動物鳴き声の違いと文化背景
子ども・学び研究所「英語と日本語の動物の鳴き声の違いも学べる!マザーグース活用法」
ゆかいなまきばのピアノ伴奏・楽譜の選び方と弾き歌いのコツ
「ゆかいなまきば」は保育士がピアノで弾き歌いするとき、難易度が非常に低い曲のひとつです。基本的にハ長調のG・C・D7の3コードだけで伴奏が完結するため、ピアノを始めて間もない方でも十分対応できます。コード3つが条件です。
楽譜の選び方については、自分のレベルに合わせた段階的な選択が大切です。初めてこの曲に挑戦する場合のおすすめは次のとおりです。
- 🎵 メロディー譜(ドレミふりがな付き):右手だけのシンプルな譜面。まず旋律を覚えるのに使います
- 🎵 入門両手楽譜:左手に簡単なコード伴奏が加わった形。右手が弾けたらすぐ移行できます
- 🎵 初級両手楽譜:左手に3音の和音が入ったバージョン。保育現場で使える完成度に近づきます
- 🎵 初〜中級楽譜:弾き歌いの安定感が増す。余裕があればこのレベルを目指すとよいです
ピアノ塾(pianojuku.info)では、ドレミ付きのメロディー譜から初〜中級の両手楽譜まで全4種類の無料楽譜を配布しています。自宅での練習に手軽に使えます。また、楽譜販売サービス「piascore」では音名ふりがな付きの弾き歌い楽譜(6番歌詞付き)が購入でき、保育現場で使いやすい形式になっています。
弾き歌いをするときのコツは、テンポを落とし過ぎないことです。「ゆかいなまきば」はもともと活気があるリズムの曲で、テンポを遅くしすぎると子どもたちの集中が途切れやすくなります。メトロノームで♩=160〜184を目安に練習しておくと、本番でちょうどよいテンポ感で弾けます。
また、歌を優先させて伴奏は最小限にするという考え方が保育現場では有効です。完璧な両手演奏にこだわるより、子どもと目を合わせながら楽しく歌える状態を優先する方が、活動として成立しやすくなります。右手メロディー+左手は1音ずつのベース音だけでも、雰囲気は十分に出ます。
参考:ゆかいなまきばの無料ピアノ楽譜(全4種)
ピアノ塾「ゆかいなまきば 無料ピアノ楽譜(ドレミ付き・入門〜中級)」
ゆかいなまきばの替え歌・派生曲を保育で活用する独自視点の使い方
「ゆかいなまきば」のメロディーを知っている保育士は多いですが、同じメロディーを使った派生曲をまるごと保育活動に組み込んでいる人はあまり多くありません。これが意外と見落とされがちな使い方です。
代表的な日本語の派生曲・替え歌は次の3つです。
- 🍉 すいかの名産地:「ともだちができた すいかの名産地♪」夏の活動にぴったりの定番曲
- 🍽️ 大阪うまいもんの歌:「大阪には うまいもんが いっぱいあるんやで~♪」食育や地域学習に活用できます
- 🎵 いちろうさんのまきばで(英語版):「Old MacDonald Had a Farm」として英語活動の導入に使えます
この3曲を「同じメロディー兄弟」として子どもたちに紹介するだけで、音楽の面白さが広がります。「今日の歌、じつはすいかの名産地と同じメロディーだよ」と声をかけると、子どもたちの反応が大きく変わります。音楽を通したつながりの発見が、子どもの好奇心を刺激するからです。
さらに、保育士オリジナルの替え歌を作る活動に発展させることもできます。「給食の名産地」「クラスのなかまの名産地」など、身近なテーマで歌詞を作るだけで、子どもたちが笑顔で参加できるオリジナル活動になります。メロディーが決まっているので言葉を当てはめるだけで完成します。替え歌づくりは語彙力・表現力の育成につながるため、5歳クラスの発表会前後の活動としても活用しやすいです。
また、七面鳥という普段あまり接しない動物が登場することも、この曲の保育的な価値のひとつです。「七面鳥ってどんな動物?」という疑問から、絵本や写真で動物について調べる探究活動へと展開できます。1曲の童謡が、動物・文化・言語・音楽という複数の学びの入口になるのが「ゆかいなまきば」の最大の強みです。
参考:すいかの名産地と大阪うまいもんの歌の原曲解説


