すずむし歌「虫のこえ」を保育で使いこなすための完全ガイド
「すずむし」の鳴き声が入った童謡を子どもに教えると、その子は一生その音を「言葉」として聞き取れるようになります。
すずむし「虫のこえ」の歌詞と誕生の背景
「虫のこえ」は1910年(明治43年)、文部省の唱歌集『尋常小学読本唱歌』に初めて掲載された文部省唱歌です。その後、1912年(明治45年)の『尋常小学唱歌 第三学年用』にも収録され、長く小学校の音楽教材として歌い継がれてきました。2006年(平成18年)には文化庁と日本PTA全国協議会が選ぶ「日本の歌百選」にも選定されており、日本を代表する童謡のひとつといえます。
作詞・作曲者はいずれも「文部省唱歌」と表記されており、個人名は現在も不明のままです。実際には、上真行・小山作之助・島崎赤太郎・楠美恩三郎・岡野貞一・南能衛など複数の音楽家が関わっていたとされますが、誰が「すずむし」のくだりを書いたかは特定されていません。これは意外ですね。
歌詞は以下のとおりです。
| 番 | 歌詞 |
|---|---|
| 1番 | あれまつむしが ないている/チンチロ チンチロ チンチロリン/あれすずむしも なきだして/リンリンリンリン リインリン/あきのよながを なきとおす/ああおもしろい むしのこえ |
| 2番 | キリキリキリキリ こおろぎや/がちゃがちゃがちゃがちゃ くつわむし/あとからうまおい おいついて/チョンチョンチョンチョン スイッチョン/あきのよながを なきとおす/ああおもしろい むしのこえ |
「すずむし」の鳴き声は「リンリンリンリン リインリン」と表現されています。実際のスズムシの鳴き声は「リーンリーン」という感じの、鈴を転がしたような美しい高音です。周波数は約4,500Hzにも達します。これは人間の話し声(主に300〜3,400Hz帯)をはるかに超える高さです。
実は、この高さのために固定電話・従来の携帯電話の音声通話では、スズムシの鳴き声は相手に届きません。電話が伝える音声帯域が最大でも3,400Hz程度だったためです。秋の風情を電話越しに届けようとしても、音そのものが消えてしまう、というのは保育のトリビアとしても子どもたちに語れる話です。


