林明子 絵本 一覧と保育士向け読み聞かせ活用ガイド

林明子の絵本一覧と保育士向け読み聞かせ活用ガイド

「林明子さんの絵本は子ども受けがいいから、どれを読んでも大丈夫」と思っているなら、年齢が1歳ずれるだけで子どもの反応が別物になって読み聞かせが空回りすることがあります。

この記事でわかること
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林明子さんの絵本一覧(年齢別)

0歳〜小学生まで対応する作品を年齢の目安とともにまとめて紹介。どの月齢クラスにどの絵本が合うかが一目でわかります。

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隠し絵・仕掛けの活用法

林明子作品に潜む”遊び絵”の存在と、保育の場で子どもの探索心を引き出す使い方を解説します。

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代表作の特徴と読み聞かせのコツ

累計発行部数251万部の『はじめてのおつかい』をはじめとした代表作の魅力と、保育士が押さえておきたい読み方のポイントを紹介します。

林明子さんのプロフィールと絵本一覧の全体像

 

林明子(はやし あきこ)さんは、1945年東京都生まれの絵本作家です。横浜国立大学教育学部美術科を卒業後、真鍋博のアトリエでアシスタントとして経験を積み、1973年に「かがくのとも」(福音館書店)に掲載された『かみひこうき』で絵本作家としてデビューしました。デビューから50年以上が経過した今も、日本を代表する絵本作家として幅広い世代に愛され続けています。

林明子さんの最大の特徴は、「女の子を描いたら日本一」と称される、子どもの表情や仕草のリアルな描写にあります。口元のほんの少しの緊張感、指先の力の入り方など、子どもが実際にやりそうな細部まで丁寧に描かれています。これは、実物の子どもや身近な子をモデルに何度もスケッチを重ねるという制作スタイルから生まれるものです。

代表作の累計発行部数は驚異的な数字をたたき出しています。『はじめてのおつかい』が約251万部、『おつきさまこんばんは』が約230万部(または238万部)、『こんとあき』が約146万部と、いずれも100万部を超えるミリオンセラーです(ミリオンブック調べ)。絵本という分野でこれほどの部数を重ねた作家は日本でも稀有な存在で、複数世代にわたって親から子へと読み継がれてきた証拠といえます。

林明子さんの絵本は、大きく分けると3つのカテゴリに整理できます。まず、0〜2歳の乳児向けの「くつくつあるけのほん」シリーズに代表される赤ちゃん絵本。次に、3〜6歳の幼児向けの物語絵本として『はじめてのおつかい』『おふろだいすき』『こんとあき』などの幼児向け物語絵本。そして小学生以上も楽しめる『もりのかくれんぼう』『はじめてのキャンプ』などのやや長い物語絵本です。保育士として現場で活用する際は、このカテゴリの区分が選書の大きな指針になります。

受賞歴も充実しており、1979年『きょうはなんのひ?』で第2回絵本にっぽん賞、1982年『おふろだいすき』で産経児童出版文化賞美術賞、1984年『はじめてのキャンプ』でフランスの絵本賞「LE GRAND PRIX DES TREIZE(13人の大賞)」を受賞、さらに『こんとあき』で講談社出版文化賞を受賞しています。国内外の権威ある賞を複数受賞しているという事実は、保育の場で林明子作品を選ぶ際の確かな裏付けになります。

なお、林明子さんの作品は英語版・中国語版・韓国語版・フランス語版など20か国以上で翻訳・刊行されており、グローバルな規模で子どもたちに届いている作家です。これだけ知っておけばOKです。

林明子さんの受賞歴・著作一覧(Wikipedia)

林明子の絵本一覧を年齢別で確認しよう

保育士が絵本を選ぶとき、一番の基準が「子どもの発達に合っているか」という点です。林明子さんの作品は幅広い年齢層をカバーしていますが、年齢に合わせて適切な作品を選ぶことで、子どもが物語に引き込まれる体験の質がぐっと変わります。以下に年齢別の主要作品を整理します。

🌟 0〜2歳向け(乳児クラス)

作品名 作・絵 出版社 特徴
くつくつあるけ 林明子 作 福音館書店 靴が擬音とともに歩き回る。歩き始めた子に◎
おててがでたよ 林明子 作 福音館書店 服を着る場面。体を触りながら読める
きゅっきゅっきゅっ 林明子 作 福音館書店 体を洗う擬音絵本。沐浴・お風呂の場面と連動できる
おつきさまこんばんは 林明子 作 福音館書店 丸いお月様に赤ちゃんが反応する。ロングセラー
でてこい でてこい 林明子 作 福音館書店 色と形から動物が出てくるシンプルな構造
ひよこさん 征矢清 作/林明子 絵 福音館書店 ひよこが眠るまでの短い物語。就寝前に最適

0〜2歳クラスでは、ページ数が少なく、擬音語・オノマトペが豊富な絵本が向いています。「きゅっきゅっきゅっ」「ぱたぱたぱた」といった言葉のリズムが、言語発達初期の子どもの聴覚を刺激します。また、「くつくつあるけのほん」シリーズはボードブック版も存在するため、誤飲リスクを考慮した選書ができる点も保育の現場にとって大きなメリットです。

🌟 3〜6歳向け(幼児クラス)

作品名 作・絵 出版社 特徴
はじめてのおつかい 筒井頼子 作/林明子 絵 福音館書店 251万部超。子どもの緊張と達成感がリアル
おふろだいすき 松岡享子 作/林明子 絵 福音館書店 お風呂ファンタジー。産経児童出版文化賞受賞
こんとあき 林明子 作 福音館書店 ぬいぐるみとの旅。146万部超のロングセラー
あさえとちいさいいもうと 筒井頼子 作/林明子 絵 福音館書店 姉妹関係。兄弟がいる子に共感を生みやすい
きょうはなんのひ? 瀬田貞二 作/林明子 絵 福音館書店 宝探し要素あり。絵本にっぽん賞受賞
とんことり 筒井頼子 作/林明子 絵 福音館書店 引っ越しと友達作り。クラス替えの時期に◎
まほうのえのぐ 林明子 作 福音館書店 お絵描きと動物のコラボ。創作活動との連携に
おでかけのまえに 筒井頼子 作/林明子 絵 福音館書店 お出かけ準備の様子。行事前に読みたい
いもうとのにゅういん 筒井頼子 作/林明子 絵 福音館書店 入院と家族の絆。思いやりを育む
はっぱのおうち 征矢清 作/林明子 絵 福音館書店 自然の中のファンタジー。自然観察と連携可
ぼくのぱん わたしのぱん 神沢利子 作/林明子 絵 福音館書店 パン作り絵本。食育活動との連携に

🌟 5歳〜小学生向け

作品名 作・絵 出版社 特徴
はじめてのキャンプ 林明子 作 福音館書店 フランス絵本賞受賞。挑戦と成長の物語
もりのかくれんぼう 末吉暁子 作/林明子 絵 偕成社 探し絵要素が強い。難易度高めで達成感あり
びゅんびゅんごまがまわったら 宮川ひろ 作/林明子 絵 福音館書店 昔遊びのこまが題材。昔遊び保育との連携に
ぼくはあるいたまっすぐまっすぐ M・W・ブラウン 作/林明子 絵 ペンギン社 おばあちゃんへの一人旅。距離感と空間認識に

つまり、0歳から小学生まで対応する幅広い作品群が林明子さんには揃っているということです。保育計画を立てる際、年齢クラスごとに「今月はこの作品」と複数作品をストックしておくと、月案・週案の絵本コーナーがスムーズに埋まります。

福音館書店公式:林明子さんの作品一覧

林明子絵本の隠し絵と仕掛けを保育に活かすコツ

林明子さんの絵本が他の作者と大きく異なる点のひとつが、作品内に仕込まれた「隠し絵(遊び絵)」の存在です。これは単なるサービスではなく、保育の場で子どもの探索心・集中力を大きく伸ばすツールになります。これは使えそうです。

最も有名な仕掛けは、複数の作品に同じキャラクターやアイテムが繰り返し登場する「クロスオーバー仕掛け」です。たとえば『はじめてのおつかい』に登場する「みいちゃん」は、『あさえとちいさいいもうと』の公園シーンにも登場しています。また「筒井商店」という店は『はじめてのおつかい』で牛乳を買いに行くお店ですが、『あさえとちいさいいもうと』の大通りシーンにも電柱として登場します。

こうしたクロスオーバーは、子どもに「あ、あの子また出てきた!」という気づきを与え、絵本読み聞かせ後の「絵さがし」タイムを生み出します。保育士として意識的にこの仕掛けを使うには、次のような手順が効果的です。

  • 最初に1冊じっくり読み聞かせをして物語を楽しませる
  • 2回目の読み聞かせの際に「この前の絵本に出てた子、どこかいるかな?」と声かけする
  • 子どもたちが絵本を囲んで自主的に探し始めたら、サポートに徹する

このアプローチは、4〜6歳クラスで特に効果を発揮します。『こんとあき』には表紙の中にチャップリンや「不思議の国のアリス」のアリスが描き込まれており、保護者への絵本紹介コーナー(保育園の玄関掲示など)でこの「隠し絵クイズ」を使う保育士も少なくありません。

また、『はじめてのおつかい』の掲示板には「えのきょうしつ」「おんがくきょうしつ」の貼り紙があり、よく見ると絵の教室の先生の名前が「はやしあきこ」と書かれています。これは林明子さん自身のユーモアであり、子どもより大人が先に「あっ!」と気づくサプライズです。読み聞かせ後に保護者懇談会でこのエピソードを紹介すると、保護者と保育士の絵本トークが弾む効果があります。

隠し絵活用の基本は「1冊読む→見つける→別の1冊でまた確認する」の流れです。クロスオーバーが多い絵本セットとしては「はじめてのおつかい+あさえとちいさいいもうと+いもうとのにゅういん」の3冊組みが特におすすめです。この3冊をクラスに常備しておくと、子ども同士の自発的な絵さがし遊びが始まる場面が増えます。

AllAbout:林明子絵本の遊び絵と複数作品のつながりを詳細解説

代表作3冊の特徴と読み聞かせのポイント

保育士なら必ず現場に置いておきたい、林明子作品の代表的な3冊についてより深く掘り下げます。それぞれの特徴と、読み聞かせの場面での具体的な使い方を解説します。

①『はじめてのおつかい』(筒井頼子 作・林明子 絵/福音館書店)

1976年に「こどものとも」3月号として刊行されたこの作品は、累計251万部を超える国民的絵本です。主人公のみいちゃん(5歳ごろの女の子)が、初めて一人でお使いに行くという、シンプルながら普遍的なテーマを描いています。対象年齢は3歳以上が目安です。

この絵本を読み聞かせる際の最大のポイントは、「みいちゃんのドキドキを子どもたちと一緒に感じること」です。声が出ない場面、転んでしまう場面、お金を坂道に転がしてしまう場面——それぞれの場面でページをめくる前に少し間を置くと、子どもたちから自然と「どうなるの!?」という声が上がります。

また、この絵本には迷い猫の張り紙・かごから逃げた鳥・絵の教室の貼り紙など、背景に多くの小さなドラマが描かれています。物語を1回読み終えた後に「絵の中に猫が隠れているよ、どこかな?」と声をかけると、3〜4歳の子どもでも夢中になって探し始めます。

②『おつきさまこんばんは』(林明子 作/福音館書店)

1986年刊行。累計230万部超のロングセラーで、0〜2歳の赤ちゃんに特に支持が高い作品です。屋根の上に座る猫がお月様に「こんばんは」と挨拶するシンプルなストーリーで、文章は非常に短く、絵が主役の作品です。

赤ちゃんが丸い形に強く反応する傾向があることは発達心理学の知見として知られており、大きくて丸いお月様の顔がページ全体に広がるこの絵本は、0歳クラスでも目線を引き付けやすい設計になっています。読み聞かせの際は声の大きさをやや抑えめにし、お月様が雲に隠れる場面でゆっくりとページをめくると、赤ちゃんが画面を追いかけようとする自然な反応が出やすくなります。

就寝前の読み聞かせとの相性も良いため、お昼寝前の絵本タイムに繰り返し登場させると、子どもが「この絵本=寝る前の落ち着く時間」と感覚的に覚え、生活リズムの定着にも貢献します。0〜1歳クラスに1冊は置いておきたい絵本です。

③『こんとあき』(林明子 作/福音館書店)

1989年刊行。累計146万部超。きつねのぬいぐるみ「こん」と女の子「あき」が、おばあちゃんの家まで電車で旅をする物語です。対象年齢は3歳以上ですが、小学生や大人が読んでも十分に感動できる深みを持っています。

この絵本で特に保育士が意識したいのが、「大切なものを守ろうとする気持ち」というテーマです。ぬいぐるみを大切にする子どもへの共感を呼びやすく、入園・進級の季節(新生活への不安が大きい時期)に読み聞かせると、子どもに「大切なものが一緒にいてくれる」という安心感を与える効果が期待できます。

電車のシーン・砂丘のシーン・お風呂のシーンなど、場面の変化が多く、読み聞かせ後に「どの場面が好きだった?」と問いかけると、子どもが自分の言葉で物語を振り返るきっかけになります。言語表現の育成という観点でも、3〜5歳クラスで非常に効果的です。表紙には『はじめてのキャンプ』の「なほちゃん」や「アリス」などの隠し絵もあり、読み終わった後の余韻も楽しめます。

絵本ナビ:林明子さんの作品一覧とレビュー

林明子絵本の独自視点——「関係性」と「空間の連続性」が子どもの社会性を育てる理由

保育の現場で林明子作品が長年愛用される理由を、通常あまり語られない視点から掘り下げます。それが「関係性の描写」と「空間の連続性」という2つの要素です。

関係性の描写とは、林明子さんが絵の中に親子関係・きょうだい関係・友達関係を非常に丁寧に織り込んでいることを指します。『あさえとちいさいいもうと』ではお姉さんの責任感と不安が細かい表情の変化として描かれており、子どもが「自分もこういう気持ちになったことがある」と感じやすい構造になっています。

保育士向けの研究でも指摘されているように、絵本を通じた「共感体験」は子どもの社会性・情動調整能力の発達に関係があるとされています。林明子作品は特に「主人公が感情を言語化せずに表情や行動で表現する」場面が多く、子どもたちが絵を見て「この子、今どんな気持ちかな?」と考えるきっかけになりやすい作りです。

空間の連続性というのは、前述したクロスオーバー仕掛けに直結するものです。同じ町・同じ通り・同じキャラクターが複数の絵本に登場することで、「林明子ワールド」という一つの仮想空間が子どもの頭の中に広がります。これは絵本の「世界観」を横断する体験であり、5〜6歳の子どもが複数の絵本をつなげながら自分なりのストーリーを語り始める「物語創造」のきっかけになることがあります。

具体的な保育への応用例として、次の3ステップが実践的です。

  • 同じシリーズ(例:筒井頼子+林明子コンビの作品)を1ヶ月かけて順番に読む
  • 読み終わるごとに「前の絵本に出てた場所や人、どこかに出てきた?」と問いかける
  • 子どもが発見したら、その発見を保育室内の掲示板に「みんなが見つけた!」として貼り出す

この「つながり発見」の積み重ねが、子どもの観察力・記憶力・コミュニケーション力を自然に伸ばしていきます。林明子絵本を単に1冊ずつ読むのではなく、複数冊を「セット」で活用することが、保育士として最大限に価値を引き出すコツです。

保育士が読み聞かせの引き出しを増やすために、年齢別・テーマ別の絵本選書の知識を深めることは長期的なキャリアにも直結します。定期的に絵本の専門的な研修や図書館の絵本担当者によるブックトークに参加することで、林明子作品のような「深みのある絵本」を子どもの発達段階に合わせて選ぶ力がつきます。

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