山の歌 歌詞を保育に活かす遊びと指導のコツ

山の歌 歌詞を保育で完全活用する方法

「山の音楽家」の歌詞に動物は一匹も出てこない——それが60年以上歌い継がれてきた”本当の原曲”です。

山の歌 歌詞 保育活用ガイド
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歌詞の由来と原曲の秘密

ドイツ民謡が原曲。動物も山も出てこないのに、水田詩仙の日本語訳で子どもに大人気の童謡に生まれ変わった

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年齢別ねらいと保育活用法

2歳児から5歳児まで対応可能。年齢ごとにねらいを変えるだけで、同じ歌詞を使いまわせる万能ソング

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2026年保育士試験の課題曲にも選定

令和8年度(2026年)保育士実技試験の課題曲に選ばれた注目の一曲。弾き歌いのコツと注意点を解説

山の歌「山の音楽家」の歌詞と基本情報

 

山の音楽家」の歌詞は、作詞・水田詩仙(本名:黒沢隆朝)、作曲はドイツ民謡で、編曲は服部克久が手がけました。1964年4月〜5月に、NHKの人気音楽番組みんなのうた』でダークダックスが歌い初放送されたことで、一気に全国に広まりました。

日本語歌詞では、全部で5番まで構成されています。各番に登場する動物と楽器の組み合わせは以下の通りです。

番号 登場する動物 演奏する楽器 擬音語
1番 リス(こりす) バイオリン キュキュ キュッキュッキュ
2番 ウサギ ピアノ ポポ ポロンポロンポロン
3番 小鳥(ことり フルート ピピピッ ピッピ
4番 タヌキ 太鼓 ポコポンポコポン
5番 山の仲間(全員) 合奏 タタタンタンタン

各番の歌詞は「わたしゃ音楽家 山の○○(動物名)/じょうずに○○(楽器名) ひいてみましょう(ふいてみましょう・たたいてみましょう)」というシンプルな構造で繰り返されます。この繰り返しパターンが、子どもの言語発達にとても有益です。

歌詞の構造が分かると、子どもが「次はどの動物かな?」と自然に先を予測しながら歌える仕掛けになっていることが分かります。つまり、聴く力と予測する力を同時に育てる設計ということですね。

保育園・幼稚園でほぼ必ず歌われるほどの定番曲で、2016年に近畿大学が行った調査でも、「やきいもグーチーパー」「きのこ」「どんぐりころころ」と並んで定番化している一曲と報告されています。

山の音楽家 – Wikipedia(作詞者・放送歴・歌詞内容の詳細)

山の歌「山の音楽家」歌詞の原曲——実はドイツ民謡で動物が一匹も出てこない

日本の保育園で親しまれている「山の音楽家」の歌詞には、リスやウサギが生き生きと登場します。しかし実は、原曲のドイツ民謡「Ich bin ein Musikante(イッヒ ビン アイン ムジカンテ)」には動物が一匹も出てきません。

原曲の内容は、「私はドイツ南部・シュヴァーベン地方からやってきた音楽家で、トランペット・バイオリン・ティンパニ・クラリネット・フルート・ピアノ・トライアングル・ファゴット・ドラムが演奏できる」という、人間の音楽家たちが楽器自慢をする内容です。これは意外ですね。

水田詩仙が日本語詞をつける際に、子どもが親しみやすいよう動物をキャラクターとして加え、楽器も4種類に絞ってシンプルに再構成したことで、独自の「山の音楽家」が生まれました。原曲が9番まであるのに対し、日本語版は5番構成になっています。この翻案の工夫が、子どもにとって格段に分かりやすい歌詞につながっているということです。

また、「山」という舞台設定も日本語版で追加されたもので、原曲には山は一切登場しません。英語版(「I Am The Music Man」)やスウェーデン版(夏至祭のフォークダンス曲「Vi äro musikanter」)など、世界中に類似バージョンが存在するほど、この原曲は国際的に愛されているメロディーです。

原曲の背景を知っておくと、5歳児クラスで「原曲ではどんな楽器が出てくるのかな?」と発展的な学びにつなげる導入として活用できます。これは使えそうです。

世界の民謡・童謡:山の音楽家の原曲「Ich bin ein musikante」解説(原曲歌詞・英語版・スウェーデン版も掲載)

山の歌 歌詞を使った年齢別の保育ねらいと活用法

「山の音楽家」の歌詞は、2歳児から5歳児まで同じ曲を使いながら、年齢に応じてねらいを変えられる点が大きなメリットです。年齢ごとに何を目的に活用するかを整理しておくと、指導案作成がぐっとスムーズになります。

  • 🐿️ 2歳児:「キュキュキュッキュッキュ」などのオノマトペをまねすることで、リズムの模倣を楽しむ。ぬいぐるみを使って「今日はリスさんが来たよ!」と動物を紹介しながら導入すると食いつきがよい。
  • 🐰 3歳児:動物と楽器の対応を意識しながら歌うことで、言葉と概念をつなげる。「リスはバイオリン、次は何かな?」と問いかけると自然に語彙が広がる。
  • 🎵 4歳児:楽器を演奏するまねの動作を取り入れた身体表現遊びに発展させる。バイオリンを弾くしぐさ、鍵盤を叩くしぐさなど、楽器ごとに異なる動作を工夫させると表現力が育つ。
  • 🌟 5歳児:「自分たちで新しい動物と楽器の組み合わせを考えよう!」という創作活動に展開する。ゾウ=チューバ、キリン=ピアニカ、スズムシ=鈴など、想像力を自由に広げられる。

特に5歳児での創作発展は、保育所保育指針が掲げる「表現」の領域で求められる「自己表現の育成」に直結する活動です。歌詞が基本の1番を覚えてしまえば、「わたしゃ音楽家 山の○○」という型を使い回せるので、子どもが発表しやすく、保育士が進行しやすいという利点があります。

年齢が上がるほど、子ども主体の活動に移行させていくのが基本です。導入→歌唱→創作の流れを意識するだけで、活動が格段に深まります。

ほいくnote:やまのおんがくか 年齢別ねらい・導入方法の詳細(2〜5歳の実演ポイントも)

山の歌 歌詞に合わせたペープサート・手遊びの実践アイデア

「山の音楽家」の歌詞の最大の強みは、視覚的な教材と非常に相性がよいことです。ペープサートやパネルシアターで動物と楽器のカードを順番に登場させるだけで、子どもの集中力が一気に高まります。

ペープサートを使う場合は、動物カードの裏に楽器を演奏している絵を描いておくと、歌詞に合わせてくるっと裏返す仕掛けが作れます。「次はどのどうぶつかな?」とカードを隠して見せながら進めると、ドキドキ感が生まれます。minne(ハンドメイドマーケット)などでは保育士向けに作成された「山の音楽家」ペープサート素材も販売されており、作る時間がないときはそういった既成品を活用するのも一つの方法です。

手遊びとして取り入れる場合のポイントを整理します。

  • 🎻 バイオリン(1番・リス):左腕を水平に伸ばし、右手で弓を引くしぐさ。「キュキュキュッキュッキュ」でテンポよく動かす
  • 🎹 ピアノ(2番・ウサギ):両手の指を鍵盤を弾くように動かす。「ポポポロンポロン」でリズムよく
  • 🪈 フルート(3番・小鳥):両手で横笛を持つしぐさ。「ピピピッピッピ」で首を小刻みに動かすと小鳥らしさが出る
  • 🥁 太鼓(4番・タヌキ):両手でバチを持ち、体の前で上下に叩くしぐさ。「ポコポンポコポン」でノリよく

擬音語を体で表現することで、子どもは楽器の音のイメージと身体感覚を同時に結びつけます。これがオノマトペによる音感育成の核心です。

保育者は各動物を演じながら語りかけるように歌うことが効果的で、声の強弱やテンポに抑揚をつけることで「聴く楽しさ」を子どもに伝えられます。

山の歌 歌詞と保育士試験(令和8年・2026年)対策の注意点

「山の音楽家」は令和8年度(2026年)の保育士実技試験・音楽表現の課題曲に選ばれています。もう一曲の「うれしいひなまつり」とあわせて、2曲とも弾き歌いすることが求められます。

試験で見落としがちな重要なポイントがいくつかあります。

まず、課題は「高い歌唱技術・演奏技術」ではなく、「子どもに正しく、楽しく歌って聞かせることができるか」という保育士としての表現力です。超絶技巧は必要ありません。四谷学院によると、実技試験では「伴奏を少し間違えても、その後に合格している受験生が多い」とのことです。

次に注意したいのが、「知っている曲だからこそ起きる思い込みミス」です。親しんだ曲ほど、実際の楽譜と自分の記憶が微妙にずれていることがあります。練習を始める前に、必ず公式楽譜を確認することが条件です。

さらに、移調は認められています。楽譜通りのキーが歌いにくい場合は、歌いやすいキーに移調してOKです。ただし、移調後に調号(♯・♭)が増えて弾きにくくなる場合があるため、歌いやすさと弾きやすさの両方を考慮して判断しましょう。

  • ✅ 歌詞はっきり発音する(特に子音。例:「どじょう」→「D」を意識)
  • ✅ 楽しそうに歌う(子どもは保育士の表情・声のトーンに敏感に反応する)
  • ✅ 試験前に必ず公式楽譜で音程・歌詞を再確認する
  • ✅ ミスタッチは致命傷にならないが、歌詞ミス・音程ズレは要注意

実技試験は50点満点で30点(6割)が合格ラインです。合格点を確実に取りにいく現実的な準備が大切です。

四谷学院:令和8年保育士試験 音楽課題曲「山の音楽家」合格のための練習ポイント解説

山の歌 歌詞を発展させるオリジナル創作遊び(保育士の独自視点)

「山の音楽家」の歌詞が5番まであることを知っている保育士は多いですが、「5番以降を自分たちで作れる歌」として活用している保育士は意外に少ないです。

歌詞の基本型「わたしゃ音楽家 山の○○(動物)/じょうずに○○(楽器) ひいてみましょう(ふいてみましょう)/○○(擬音)」は、子どもがオリジナルの”6番・7番”を作るのに最適なフレームワークです。

たとえば現場で子どもから出てきた創作例として。

  • 🐘 ゾウがチューバ → 「ブーブーブー ブーブー」
  • 🦒 キリンがトロンボーン → 「ずーずーずーずー」(首の長さを身体で表現)
  • 🐸 カエルがカスタネット → 「カタコトカタコタカタ」
  • 🦗 スズムシが鈴 → 「リンリンリリン」

創作活動の際、ただ動物を挙げさせるだけでなく「その動物の体の特徴と楽器を結びつけよう」という問いかけを加えると、思考力と創造力が同時に刺激されます。これが言語能力と論理的思考の架け橋になります。

替え歌を保育活動として行うこと自体には著作権上の問題はありませんが、SNSや動画として外部に公開・配信する場合は著作権への配慮が必要です。原詞の著作権はすでに保護期間を過ぎているものの、水田詩仙による日本語詞は保護対象となる可能性があります。発表会や動画投稿を検討する場合は、JASRAC(日本音楽著作権協会)の規定を事前に確認するひと手間が安心につながります。

この創作遊びは、5歳児が自分で作った歌を発表会で披露するプログラムにも発展させることができます。保育所保育指針の「表現」領域における「感じたことを自分なりに表現する喜び」に直結する活動として、計画に組み込む価値は十分にあります。

大田美郁「保育者養成における音楽表現としての替え歌創作」(著作権と替え歌活動の考え方を解説)

ヤマケイ文庫 定本 黒部の山賊