ロンド形式の曲で有名な名曲を保育士が現場で使う方法

ロンド形式の曲で有名な名曲を保育士が現場で活かす方法

「エリーゼのために」は実はクラシックの名曲ではなく、ベートーヴェン自身が”捨て曲”と見なしていたバガテル(小品)です。

この記事でわかること
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ロンド形式とは何か

主題が何度も繰り返し戻ってくる「A-B-A-C-A」の構造をわかりやすく解説。子どもに説明するときのヒントになります。

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保育現場でよく使われる有名曲5選

エリーゼのために・悲愴・くるみ割り人形など、ロンド形式で書かれた名曲とその特徴を整理しました。

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保育士試験にも役立つ音楽形式の知識

保育実習理論の問6に出る音楽形式の押さえ方と、日常の音楽活動への応用ポイントをまとめています。

ロンド形式の有名曲「エリーゼのために」を徹底解説

 

保育士として音楽活動を担当するとき、「エリーゼのために」はBGMや演奏曲として選ばれる機会が非常に多い曲です。しかしこの曲が「ロンド形式」で書かれていることを意識しながら聴いている人は、意外なほど少ないのではないでしょうか。

「エリーゼのために」は、ベートーヴェンが作曲したイ短調の小品で、正式には「バガテル WoO 59」という作品番号がついています。「バガテル」とはフランス語で「ちょっとしたもの」「取るに足らないもの」を意味する言葉で、つまりこの曲はベートーヴェン自身が「お気軽な小品」として書いたものです。にもかかわらず、現代では世界中で愛されるクラシックの定番曲になっているのは、なんとも面白い歴史ですね。

ロンド形式とは、主題(A)と呼ばれるメロディーが、異なるエピソード(B、C)を挟みながら何度も繰り返し戻ってくる楽曲形式のことです。「エリーゼのために」の構造を整理すると、次のようになります。

パート 内容 おおよその経過時間
A(主題) あの有名な「ミレ♯ミレ♯ミシレドラ」のメロディ 0:00〜
B(エピソード①) 明るいヘ長調に転換、華やかな展開 0:57〜
A(主題) 再びおなじみのメロディに戻る 1:23〜
C(エピソード②) 短調のまま激しく展開するクライマックス 1:53〜
A(主題) 最後にもう一度、穏やかに主題で締める 2:22〜

つまり「A-B-A-C-A」が基本形です。

この構造を知ると、「エリーゼのために」が3分半ほどの短い曲の中に、対比と回帰のドラマを凝縮していることが体感できます。最初に聴こえるあの切ないメロディが、明るいエピソードや激しいクライマックスを経て再び戻ってくる——この「帰ってくる安心感」がロンド形式の最大の魅力です。

保育現場では、この「A-B-A-C-A」の繰り返し構造を子どもたちへの音楽活動に応用することができます。主題が戻ってきたときに手拍子を加えたり、ポーズをとったりするゲームにアレンジするだけで、子どもが自然と音楽の構造を体で覚えていきます。これは使えそうです。

なお、タイトルの「エリーゼ」については、楽譜を発見・出版した音楽学者のノールが「テレーゼ」という名前を読み誤った可能性が高いとされています。本来は「テレーゼ・マルファッティ」という女性に贈られた曲だったという説が有力です。意外ですね。

ピアノ曲事典:バガテル「エリーゼのために」の楽曲詳細(ロンド形式・調性・作品番号など)

ロンド形式の有名曲「悲愴」第2楽章とくるみ割り人形の構造

「エリーゼのために」以外にも、保育や音楽教育の場で耳にする機会の多い名曲がロンド形式で書かれています。代表的なのが、ベートーヴェンの「ピアノソナタ第8番 ハ短調 Op.13(悲愴)」第2楽章と、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」です。

「悲愴」第2楽章は、ゆったりとしたイ♭長調のメロディが穏やかに展開する美しい楽章で、小ロンド形式(A-B-A-C-A)の典型例とされています。全体の演奏時間はおよそ6〜7分で、主題が3回戻ってくる間に、対照的な2つのエピソードが挟まれます。この曲のポイントは、主題が戻ってくるたびに伴奏の装飾が少し変化し、単調さを感じさせない工夫が施されている点です。主題の反復が原則です。

一方、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」より「行進曲」は、大ロンド形式(A-B-A-C-A-B-A)の有名な例として挙げられます。クリスマスの夜を舞台にした物語を彩るこの行進曲は、明るくリズミカルな主題が何度もエピソードを挟んで繰り返されるため、聴いていて非常にわかりやすいロンド形式の入門曲です。同じく「くるみ割り人形」より「葦笛の踊り」は小ロンド形式で書かれており、2つを聴き比べることで大ロンドと小ロンドの違いを体感できます。

大ロンド形式と小ロンド形式の違いを整理すると、次のとおりです。

形式名 構造 主な代表曲
大ロンド形式 A-B-A-C-A-B-A(主題4回) くるみ割り人形「行進曲」、アイネ・クライネ・ナハトムジーク第4楽章
小ロンド形式 A-B-A-C-A(主題3回) エリーゼのために、悲愴第2楽章
古典ロンド形式 A-B-A-C-A-D-A(エピソードが全て異なる) バッハパルティータ第2番 第5曲「ロンドー」

保育士として子どもたちに音楽を聴かせるとき、ジャンルや難易度で選ぶだけでなく「この曲はどんな構造になっているか」という視点を持つと、指導の幅がぐっと広がります。これが基本です。

たとえば「くるみ割り人形」は12月の保育活動でBGMとして使われることが多いですが、「行進曲の主題が戻ってきたら一緒に行進しよう」というゲームにアレンジするだけで、子どもが大ロンド形式のリズム感覚を自然に身につけられます。幼児期の音楽体験は「知識として学ぶ」のではなく、「体で感じる」ことが何より重要です。

参考として、モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」第4楽章もロンド形式の有名曲として外せません。全体の演奏時間はわずか約5分ほどで、テンポよく繰り返す主題が耳に残りやすく、幼児でも親しみやすい名曲です。

洗足オンラインスクール:ロンド形式の構造とモーツァルトのピアノソナタK.545の分析解説

ロンド形式の有名曲が保育士試験に出る?押さえておくべきポイント

保育士試験の「保育実習理論」では、音楽に関する問題が全体の約30%を占めています。その中でも問6は、毎年「音楽の基礎知識」が問われる選択問題で、楽曲の種類や形式に関する〇×問題が出されることがあります。

ロンド形式そのものが直接問われるケースは頻度が高くないものの、関連する作曲家(ベートーヴェン、モーツァルト、チャイコフスキーなど)や、楽曲形式の名称(ソナタ形式、ロンド形式など)に関する知識は出題実績があります。しっかり覚えておきたいポイントです。

覚えておくと役立つ関連事項を整理します。

  • 🎵 ロンド(Rondo):主題が繰り返し回帰する楽曲形式。語源はイタリア語で「輪・円」を意味する。
  • 🎵 ソナタ形式:提示部・展開部・再現部の3部構造。ロンド形式が進化したものがロンドソナタ形式で、さらに発展したのがソナタ形式。
  • 🎵 ベートーヴェン(1770〜1827年、ドイツ出身):ウィーン古典派の代表。エリーゼのために・悲愴・月光・運命など。
  • 🎵 モーツァルト(1756〜1791年、オーストリア出身):アイネ・クライネ・ナハトムジーク・トルコ行進曲・魔笛など。
  • 🎵 チャイコフスキー(1840〜1893年、ロシア出身):くるみ割り人形・白鳥の湖眠れる森の美女(三大バレエ)。

保育実習理論で出る音楽形式の問題は「選択肢の文が正しいかどうか」を問うことが多く、作曲家名と代表曲の組み合わせ、楽曲形式の構造をセットで覚えておくと得点につながります。たとえば「ロンド形式は主題とエピソードが交互に現れる」「ロンドはソナタ形式の前身である」といった記述は正しいので、押さえておきましょう。

一方で「エリーゼのためにはソナタ形式である」という選択肢が出た場合は、これは誤りです(正しくはロンド形式)。正しい知識が条件です。

保育士試験では音楽形式だけでなく、リトミック・コダーイシステム・オルフシステムなどの音楽教育法も頻出です。これらと組み合わせて学んでおくと、問6の得点率が安定します。

保育実習理論の音楽基礎知識まとめ:作曲家と楽曲の種類(試験対策向け)

ロンド形式の有名曲を使った保育現場での音楽活動アイデア

ロンド形式の構造は「繰り返し」と「変化」のバランスが絶妙で、子どもの音楽体験にとても向いています。子どもは繰り返しを好みます。主題が戻ってくるたびに「またあのメロディだ!」と感じる安心感が、音楽への親しみを育てる土台になるからです。

具体的な活動アイデアとして、以下のような展開が現場で取り入れやすいです。

  • 🌟 「主題が来たら手拍子」ゲーム:「エリーゼのために」や「くるみ割り人形・行進曲」を流しながら、主題(A)が登場するたびに手拍子を打つ。主題かエピソードかを聴き分ける力が自然につきます。
  • 🌟 「A-B-A」で絵を描く活動:主題のときは青、エピソードのときは赤で自由に線を描くなど、音楽の構造を色や線で表現する造形遊びとの連携。感性と論理的思考を同時に育みます。
  • 🌟 「くるみ割り人形」で季節の行事と結びつける:12月のクリスマス活動として、行進曲に合わせた行進遊びを取り入れる。主題が戻るタイミングでポーズを変えるだけで、子どもたちが自然とロンド形式を体感できます。
  • 🌟 5歳児向け:ロンド形式で即興演奏打楽器タンバリンカスタネット・鈴)をAパートで全員演奏、Bパートでグループを交代するというロンド形式そのものの活動。グループで違う楽器を担当し、Aが来たら全員で合奏する構成は、オルフシステムの考え方とも重なります。

3〜4歳児には「エリーゼのために」のような3分前後の小ロンド形式の曲が、集中力を切らさず活動しやすいです。5歳児以上になると、「くるみ割り人形・行進曲」のような大ロンド形式の曲でも、主題の回帰を楽しんで聴き取れるようになります。年齢に合わせた選曲が大切です。

保育の音楽活動に使うBGMや教材を選ぶとき、「ロンド形式か否か」という視点を一つ加えるだけで、活動の設計がしやすくなります。曲の構造を知った上で使う音楽と、なんとなく流すBGMとでは、子どもへの教育的効果に差が出ます。これは知っておくと得する知識です。

カール・オルフが開発した音楽教育法「オルフシステム」では、シンプルな繰り返し(=ロンド的な構造)の中で子どもが音楽を体感することが重視されています。ロンド形式の名曲を保育活動に取り入れることは、オルフシステムの理念とも自然につながっています。

ロンド形式の有名曲一覧と保育士が知っておきたい独自視点

ロンド形式の名曲は数多くありますが、保育現場で実際に使いやすいものを選ぶには、演奏時間・テンポ・子どもの親しみやすさという3つの基準で考えると便利です。一覧で整理します。

曲名 作曲家 形式 演奏時間 保育活動への使いやすさ
エリーゼのために ベートーヴェン 小ロンド(A-B-A-C-A) 約3分30秒 ⭐⭐⭐⭐⭐(BGM・聴き取り活動)
悲愴 第2楽章 ベートーヴェン 小ロンド(A-B-A-C-A) 約6〜7分 ⭐⭐⭐⭐(落ち着いた聴き取り・絵画BGM)
くるみ割り人形「行進曲」 チャイコフスキー 大ロンド(A-B-A-C-A-B-A) 約2分30秒 ⭐⭐⭐⭐⭐(行進遊び・クリスマス活動)
アイネ・クライネ・ナハトムジーク 第4楽章 モーツァルト 大ロンド(A-B-A-C-A-B-A) 約5分 ⭐⭐⭐⭐(テンポよく動き回る活動)
亡き王女のためのパヴァーヌ ラヴェル 小ロンド 約7分 ⭐⭐⭐(午睡BGM・感性活動)
結婚行進曲(夏の夜の夢) メンデルスゾーン 大ロンド 約5分 ⭐⭐⭐⭐(発表会・劇あそびBGM)

ここで、多くの保育士が見落としがちな独自の視点をお伝えします。「ロンド形式=クラシック専用の形式」と思っている人が多いですが、実は保育園で毎日歌われている童謡や手遊び歌の多くも、構造上ロンド的な繰り返しを持っています。「かえるのがっしょう(カエルのうた)」「おもちゃのチャチャチャ」など、サビが繰り返し戻ってくる曲はロンド形式の考え方に近いものです。

つまり、子どもは保育園生活の中で知らず知らずのうちにロンド形式の構造を体で覚えているといえます。ロンド形式が身近です。クラシックの名曲をわざわざ特別視しなくても、「主題が戻ってくる」という体験はすでに日常の歌遊びの中に潜んでいます。この視点を持つと、「今日の手遊びはロンド形式で作ってみよう」という創造的な音楽活動への発展も自然に生まれます。

たとえば「手遊びロンド」として、同じ振り付けのサビ(A)と、毎回変わる動き(B・C・D)を組み合わせたオリジナルの手遊びを子どもたちと一緒に作る活動は、4〜5歳児向けの創造的表現活動として非常に効果的です。これは使えそうです。

保育における音楽活動の記録・計画を作るとき、楽曲の形式を意識して記載しておくと、保育指導案の「ねらい」や「内容」の欄に音楽的な根拠を加えることができます。結果として、保育の質の向上と、保育士としての専門性のアピールにもつながります。

ロンド形式の解説と有名楽曲一覧:展開を秒数で確認できる詳細解説ページ

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