エリーゼのためにをピアノでゆっくり弾くコツと保育活用法
ゆっくり練習すると、速く弾くより指のミスが3倍増えやすいです。
エリーゼのためにをゆっくり弾くとき最初に知っておきたい基礎知識
「エリーゼのために」は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが1810年頃に作曲したピアノ小品で、正式名称はドイツ語で「Für Elise」と表記されます。難易度はピアノの教本でいえば「バイエル修了〜ブルクミュラー中盤」程度とされており、保育士資格の試験曲リストにも含まれることが多い親しみやすい一曲です。
この曲の最大の特徴は、冒頭の「ラ・ソ♯・ラ・ソ♯・ラ・ミ・レ・ド・ラ」という繰り返しフレーズです。耳なじみが良い反面、同じ動きを何度も繰り返すため、テンポが速くなるにつれて指がもつれやすい構造になっています。つまり「繰り返しに慣れすぎる」のが落とし穴です。
保育士向けの検定試験(保育士試験の実技・音楽表現)では、正確な音よりも「子どもに伝わる演奏」が重視されます。審査員は演奏のなめらかさや表情豊かさを見ており、完璧な速度よりも安定したテンポキープが評価されやすいです。ゆっくりでも止まらないことが基本です。
曲全体の小節数は約59〜60小節で、演奏時間は標準テンポ(♩=約76)で2分30秒前後です。ゆっくり練習用のテンポ(♩=約40〜50)で弾くと4〜5分程度かかります。意外と長い、と感じるかもしれません。
参考:全音楽譜出版社によるベートーヴェン「エリーゼのために」の楽譜情報(難易度・構成)
エリーゼのためにをピアノでゆっくり練習する正しい手順とテンポ設定
「ゆっくり弾けばそのうち速く弾ける」という考え方は、半分正解で半分間違いです。ゆっくり練習には「正しいゆっくり」と「ただ遅いだけ」の2種類があり、後者は上達に結びつかないどころか、間違った指の動きを定着させるリスクがあります。
正しいゆっくり練習の手順は次のとおりです。
- 🎵 ステップ1:片手ずつ、♩=40〜50のテンポで譜読みする(メトロノームを使う)
- 🎵 ステップ2:各小節を「止まらずに弾けるか」を確認する(1小節ずつ区切ってOK)
- 🎵 ステップ3:つまずく箇所だけを取り出し、5〜10回繰り返す
- 🎵 ステップ4:右手・左手が安定したら、♩=50〜60で両手合わせを開始する
- 🎵 ステップ5:通して弾けたら♩=5ずつテンポを上げていく
メトロノームなしで「なんとなくゆっくり」弾いていると、自分が気持ちいいと感じるテンポに無意識に合わせてしまいます。これが「弾きやすい部分は速く、難しい部分は遅くなる」という癖の原因です。メトロノームは必須です。
スマートフォン用の無料メトロノームアプリとしては「Pro Metronome」(iOS/Android対応)が機能豊富で使いやすいです。タップでBPMを設定でき、保育士試験の練習にも十分対応できます。1日15分の集中練習を2週間続けると、多くの場合は通しで弾けるようになると言われています。
参考:日本ピアノ教育連盟によるピアノ練習法の解説
エリーゼのためにの指使い・運指で保育士がつまずきやすいポイント
保育士さんがこの曲で最も苦労する箇所は、大きく分けて3か所です。それぞれ順に整理しましょう。
① 冒頭の「ラ・ソ♯・ラ」の繰り返し(右手)
最初の「ラ(5指)→ソ♯(4指)→ラ(5指)」は、薬指と小指の独立性が問われます。特に小指が力みやすく、鍵盤を押さえる深さがバラついて音量が不安定になりがちです。ここは小指を意識して「やや軽め」に触れるイメージで練習すると改善されます。
② 中間部のアルペジオ(左手)
曲の中盤(19〜29小節付近)に登場する左手のアルペジオ(分散和音)は、ハ長調・イ短調の和音を素早く広げる動きが必要です。手が小さい方は届かないこともあります。届かない場合はアルペジオを省略せず、「下の音から順番に1音ずつ少し遅れて弾く」形で対応するのが一般的です。これは違反になりません。
③ 右手の跳躍(38〜42小節)
高音域へのジャンプが連続する箇所で、目が鍵盤を追いきれずに音が外れるケースが多いです。この部分だけを取り出し、目を閉じて「手の移動距離」を体で覚える練習が有効とされています。目視に頼らない感覚が条件です。
| つまずき箇所 | 主な原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 冒頭の繰り返し(右手) | 小指・薬指の力み | 小指を軽めに意識する |
| 中間部アルペジオ(左手) | 手の小ささ・届かない | ずらして弾くアレンジを使う |
| 高音域への跳躍(右手) | 目視への依存 | 目を閉じて距離感を体で覚える |
指使いの基本として、楽譜に印刷されている運指番号(1〜5の数字)は必ず守るようにしてください。保育士試験の実技では審査員が運指まで細かくチェックするわけではありませんが、正しい運指は長期的な上達に直結します。
エリーゼのためにをゆっくり弾くための楽譜選びと無料楽譜の活用法
楽譜は「原典版」と「簡単アレンジ版」に大きく分かれます。原典版はベートーヴェンが書いたそのままの音符で構成されており、保育士試験で使う場合も基本的に原典版が推奨されます。ただし、保育現場でのBGMや弾き歌い補助として使うだけなら、簡単アレンジ版で十分です。
無料で入手できる楽譜サイトとしては「IMSLP(国際楽譜ライブラリー)」が代表的です。著作権が切れたクラシック曲の原典楽譜を無料でダウンロードでき、「Für Elise」で検索するとベートーヴェン自筆譜のスキャン画像も含む複数バージョンが入手できます。
IMSLP:エリーゼのために 楽譜ページ(imslp.org)
日本語の楽譜サイトでは「ピアノ無料楽譜.com」や「Piascore(ピアスコア)」が使いやすいです。Piascoreはスマートフォン・タブレットで楽譜を表示できるアプリで、ページめくりを足元のペダルで行う機能もあり、保育士が現場で弾く際にも便利です。これは使えそうです。
簡単アレンジ版を選ぶ際のポイントは3つです。
- 🎼 左手がコード(和音の省略形)で書かれているか(アルペジオが苦手な方向け)
- 🎼 調性が変わっていないか(イ短調のまま=原曲のイメージを保てる)
- 🎼 小節数が大きく削られていないか(主要フレーズが残っているか確認)
市販の楽譜では「保育士・幼稚園教諭のためのピアノ曲集」シリーズ(ドレミ楽譜出版社)に収録されているアレンジが難易度・編曲クオリティともに高く評価されており、価格は1冊1,500〜2,000円程度です。
エリーゼのためにを保育現場でゆっくり活用するシーンと子どもへの効果
保育士がこの曲を弾けるようになると、現場での活用シーンが広がります。単なる「発表会の演奏曲」としてではなく、日常保育のさまざまな場面に組み込めるのがこの曲の強みです。
① お昼寝・休息タイムのBGM
「エリーゼのために」は短調(イ短調)で書かれており、穏やかでやや物悲しいトーンが子どもの副交感神経を刺激しやすいとされています。♩=60前後のゆっくりテンポで弾くと、心拍数に近いリズムになり入眠を促す効果が期待されます。実際、保育士向けの指導書では「クラシックのゆったり曲は午睡時のBGMに有効」と紹介されているものが多いです。
② 季節行事・発表会での演奏
「クリスマス会」「音楽発表会」「保護者参観日」など、ピアノ演奏を披露する場面で選ばれることの多い曲です。保護者も耳なじみがあるため、演奏後の反応が得られやすく、保育士としての印象アップにも繋がります。
③ 子どもたちへの「音楽鑑賞」導入曲
3〜5歳児向けの音楽鑑賞活動で、この曲を題材にした「音楽で絵を描こう」「この曲は悲しい?嬉しい?」といった感性ワークができます。繰り返しフレーズが多い構造なので、子どもたちが「あ、また同じ音だ!」と気づきやすく、音楽の形式(リフレイン)を体験的に学べます。これは使えそうです。
④ 弾き歌いへの応用(独自視点)
一般にはあまり知られていませんが、「エリーゼのために」の冒頭フレーズに替え歌をつけた「自作おうた」を作り、朝のお集まりで使っている保育士さんが一定数います。SNSの保育士コミュニティ(X・旧Twitter)でも「エリーゼのために 替え歌 保育」で検索すると複数の実践例が見つかります。メロディーが繰り返し構造なので子どもが覚えやすく、季節や行事に合わせたオリジナル歌詞を乗せるだけで立派なオリジナル保育ソングになります。
| 活用シーン | 対象年齢の目安 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| お昼寝BGM | 0〜5歳 | 入眠促進・リラックス |
| 発表会・行事演奏 | 全年齢(保護者向け) | 保護者との信頼構築 |
| 音楽鑑賞活動 | 3〜5歳 | 感性・音楽形式の理解 |
| 替え歌おうた | 2〜4歳 | 語彙発達・音楽への興味 |
子どもの反応は正直です。演奏が安定しているほど、子どもたちは音楽に集中して聴いてくれます。ゆっくりでも止まらない演奏が原則です。日々の練習が、子どもたちへの最高のギフトになります。


