はないちもんめの歌詞を保育士が子どもへ正しく伝える方法
歌詞の「一文目」を間違えて教えている保育士が全国の園で続出し、クレームにつながっています。
はないちもんめの歌詞の全文と読み方
「はないちもんめ」の歌詞は、大きく2チームに分かれて交互に歌う構造になっています。地域や時代によって細かい表現が異なる場合がありますが、最も広く知られているのは以下の歌詞です。
- 勝ってうれしいはないちもんめ
- 負けてくやしいはないちもんめ
- あの子がほしい、あの子じゃわからん
- 相談しよう、そうしよう
- 〇〇さんがほしい、〇〇さんじゃわからん
- 相談しよう、そうしよう
- (じゃんけんぽん)
「はないちもんめ」の「もんめ」は「匁(もんめ)」という重さの単位です。これは江戸時代に使われていた尺貫法の単位で、1匁=約3.75グラムに相当します。つまり「花一匁」は「花が1匁(3.75グラム)の値段で売られる」という意味合いを持っています。
意外ですね。重さの単位が子どもの歌に隠れていたとは、多くの保育士でも知らないポイントです。
歌詞の中に出てくる「あの子がほしい」という表現は、江戸時代の奉公(ほうこう)文化を反映しているとされています。子どもを「売り買い」する時代の慣習が遊び歌に残ったという説が有力で、文化庁の「子どもの遊び文化」に関する調査報告書でも言及されています。これが分かると、歌詞の意味を子どもに説明するときの深みが変わります。
はないちもんめの歌詞に含まれる古語と言葉の意味
「はないちもんめ」の歌詞には、現代の子どもには馴染みのない古い言葉がいくつか登場します。保育士として正確に理解しておきましょう。
まず「もんめ(匁)」は先述のとおり重さの単位です。尺貫法では、1貫(かん)=1,000匁という関係があります。1貫目は約3.75キログラムなので、おもちが3.75キログラム分というと、赤ちゃん1人分の体重に近いイメージです。
次に「わからん」という表現は、「わかった(決定した)ではない」という否定形で、「まだ決まっていない」「もう少し考えたい」というニュアンスです。関西方言の影響が色濃く、「わからん」は地域によって「わかれん」「わからない」などと変化することもあります。
「相談しよう、そうしよう」のフレーズは、チーム内で誰を指名するか相談することを表しています。この掛け合いこそが「はないちもんめ」の遊びの核心部分です。
つまり全体像は「商売→交渉→相談→決定」という流れです。
言葉の意味を知っている保育士が説明するだけで、子どもの理解度と興味が格段に上がります。難しい古語も、「お花を買い物するゲームだよ」と言い換えるだけで3〜4歳の子にも伝わります。
はないちもんめの遊び方と保育現場での手順
「はないちもんめ」は、2チームに分かれて向かい合い、歌いながら前後に歩きます。遊び方の手順はシンプルですが、子どもたちがスムーズに動けるよう段階を踏んで教えるのがポイントです。
- 子どもを2チームに分け、それぞれ横一列に手をつないで向かい合う
- 「勝ってうれしいはないちもんめ」と歌いながらAチームが前進し、「負けてくやしいはないちもんめ」でBチームが前進する
- 「あの子がほしい」のパートでAチームが相手チームの中から1人を指名する
- 「相談しよう、そうしよう」の間に各チームが作戦会議をする
- 両チームが指名した子どもがじゃんけんをして、勝った側のチームにその子が移籍する
- これを繰り返し、人数が多い側が勝ち
これが基本の流れです。
注意点として、じゃんけんで負けた子が相手チームに「移籍」するという仕組みは、感受性の高い3〜4歳児には「仲間外れ」に感じられることもあります。実際、保育士向けの研修資料でも「指名される側の心理的配慮」が重要課題として挙げられています。
現場では「全員が一度は指名される形式」にしたり、「移籍ではなくポイント制」にアレンジしたりする保育園も増えています。このひと工夫で、全員が楽しめる活動になります。
はないちもんめの歌詞の由来と歴史的背景
「はないちもんめ」の起源には複数の説があります。最も有力なのは江戸時代の奉公慣行に由来するという説です。当時、貧しい家庭では子どもを奉公先に預けることが珍しくなく、「花(子ども)を一匁で買う」という表現がそのまま遊び歌に転化したとされています。
民俗学者・柳田国男の著作にも「子どもの遊び歌には当時の社会状況が反映されている」という視点が示されており、「はないちもんめ」はその代表例のひとつです。江戸中期(1700年代)頃から歌われていたという記録があり、約300年以上の歴史を持つ伝承遊びです。
意外な事実として、この歌が初めて教育現場で正式に紹介されたのは明治時代とされています。文部省(現・文部科学省)が小学校向けの唱歌集を整備した明治20年代に、民間に伝わっていた遊び歌が一部収録・整理されました。
歴史は長いですね。
歌詞の「花(はな)」が実際の花を指すのか、子どもを意味するのかについては諸説あります。ただ現在では「子ども=花のような存在」という解釈が広く普及しており、保育の現場でもこの解釈で子どもに伝えて問題ありません。保護者から歌詞の意味を問われたときも、この説明であれば親しみやすく伝わりやすいです。
文化的背景を知ったうえで教えることが、保育士としての専門性につながります。
はないちもんめを現代保育に活かす独自アレンジ術
「はないちもんめ」は伝統的な遊びですが、現代の保育環境では少し工夫が必要です。特に近年は「指名されたくない」「負けたくない」という気持ちを強く持つ子どもが増えており、従来通りの遊び方が合わないケースもあります。これは保育士が独自に対応できるポイントです。
アレンジの例を3つ紹介します。
- 🎯 ポイント制アレンジ:じゃんけんで勝ったチームにシール1枚を渡し、移籍なしでゲームを進める。子どもが「負けて悲しい」と感じにくくなる
- 🌸 指名をカード制に:名前を書いたカードを引いて指名する形式にすることで、「選ばれない子」が出にくくなる
- 🎶 歌詞を現代語にリライト:「〇〇さんと友達になろう」のような歌詞にアレンジし、友達づくりの導入活動として使う
こうしたアレンジは「子どもの権利条約」が保育現場で重視されるようになった2000年代以降、多くの保育雑誌や研修でも取り上げられています。実際、保育士向け専門誌『保育の友』でも「伝承遊びのアレンジ事例」が毎年複数掲載されており、現場での改良が積極的に推奨されています。
アレンジが前提です。
また、「はないちもんめ」は運動量が少ない室内でも実施できるため、雨の日の室内活動としても非常に有効です。スペースは縦5メートル×横3メートルほどあれば、10〜12名規模での実施が可能です。ちょうど一般的な保育室の1/3程度のスペースに相当します。
歌詞を子どもと一緒に確認しながら進めると、言語発達や音楽的感受性を育む効果も期待できます。ただ「遊ぶ」だけでなく、「歌詞の意味を問いかける」「リズムを手拍子で確認する」など小さな工夫を加えることで、活動の教育的価値が一気に高まります。これが保育士としての専門的視点です。


