伊藤アキラ|保育現場で歌われる名曲
伊藤アキラが作詞した童謡の8割は、実は大人向けCMソングの作詞経験から生まれた技法を応用しています。
伊藤アキラが作詞した保育現場の定番曲
伊藤アキラは1940年生まれの作詞家で、童謡だけでなくCMソングや歌謡曲など幅広いジャンルで活躍しました。保育現場で特によく歌われる代表曲には以下があります。
- 「アイアイ」(1962年)- マダガスカル島に住むアイアイという猿を題材にした楽曲
- 「おさるのかごや」(1971年)- NHK「おかあさんといっしょ」で放送され大ヒット
- 「ドロップスのうた」- サクマドロップスのCMソングとしても知られる
- 「およげ!たいやきくん」(1975年)- 子門真人が歌い、史上最大のヒット曲に
これらの楽曲は50年以上経った今も保育現場で歌い継がれています。
つまり世代を超えた普遍性があるということですね。
伊藤アキラの作詞の特徴は、短いフレーズの中に強い印象を残す言葉選びです。これは彼が長年CMソングの作詞を手がけてきた経験が大きく影響しています。15秒や30秒という限られた時間で商品名や特徴を記憶に残す技術が、童謡の「覚えやすさ」「歌いやすさ」につながりました。
NHKアーカイブスでは、伊藤アキラが作詞した楽曲が「おかあさんといっしょ」でどのように放送されたかの記録が閲覧できます。
伊藤アキラの創作背景とCMソングとの関係
伊藤アキラは童謡作詞家としてだけでなく、CMソングの作詞家としても多大な実績を残しました。彼が手がけたCMソングは1000曲を超えるとされています。
CMソング制作で重視されるのは以下の要素です。
- 短時間で耳に残るフレーズ
- 商品名や特徴を自然に組み込む技術
- 誰でも口ずさめるシンプルさ
- リズム感と語呂の良さ
これらの技術が童謡制作にも応用されました。結論は、CMと童謡は「覚えてもらう」という目的が共通しているということです。
例えば「アイアイ」の歌詞を見てみましょう。「アイアイ アイアイ おさるさんだよ」という冒頭部分は、動物の名前を繰り返すことで強く印象づけています。これは商品名を連呼するCM手法と同じ構造です。
また「おさるのかごや」では「エッサ エッサ エッサホイサッサ」という擬音語が効果的に使われています。意味よりもリズムと音の楽しさが優先される点も、CMソングの特徴が反映されています。
伊藤アキラの楽曲を保育で活かすポイント
保育現場で伊藤アキラの楽曲を活用する際、創作背景を知っていると子どもへの伝え方が変わります。
まず「アイアイ」を例に取ると、この曲の主人公であるアイアイは実在する動物です。マダガスカル島に生息する夜行性の霊長類で、大きな目と長い指が特徴的な生き物です。歌を導入する前に、アイアイの写真や映像を見せることで、子どもたちの興味が高まります。
「おさるのかごや」では、かご屋という昔の乗り物を知る機会になります。
これは時代背景を学ぶ良い教材です。
活用時の具体的なポイントは以下の通りです。
- 楽曲に登場する動物や物の実物写真を用意する
- 歌詞の中の擬音語を体を使って表現する活動を取り入れる
- 簡単な手遊びやリズム遊びと組み合わせる
- 季節や行事に合わせた選曲をする
伊藤アキラの楽曲は、歌詞がシンプルで覚えやすいため、2歳児クラスから導入できます。
歌いやすさが基本です。
楽曲の背景を保育士が理解していれば、子どもからの「このおさるさんどこにいるの?」といった質問にも適切に答えられます。
知識があると対応の幅が広がりますね。
伊藤アキラと他の童謡作詞家との違い
童謡作詞家として著名な人物には、まど・みちお、サトウハチロー、阪田寛夫などがいます。伊藤アキラと他の作詞家との最大の違いは、商業音楽との距離感です。
伊藤アキラはCMソングや歌謡曲と童謡を並行して手がけていました。一方、まど・みちおやサトウハチローは、主に詩人や童謡作家としてのキャリアを築いた人物です。
この違いが作風にも表れています。
伊藤アキラの作詞の特徴:
- 商業的な成功を意識した「キャッチーさ」
- 耳に残るフレーズの反復
- 擬音語や擬態語の多用
- テンポの良いリズム感
従来の童謡作詞家の特徴:
- 詩的な表現や情景描写
- 子どもの内面や成長を描く
- 教育的・道徳的メッセージ
- 文学性の高い言葉選び
どちらが優れているという話ではありません。ただし保育現場で「すぐに覚えて楽しく歌える曲」を求めるなら、伊藤アキラの楽曲は非常に適しています。
つまり使い分けが大切です。
また伊藤アキラは作曲家との共同作業も得意としていました。特に宇野誠一郎や越部信義といった作曲家とのコンビで生まれた曲は、メロディと歌詞が見事に融合しています。
伊藤アキラの楽曲が持つ教育的価値
伊藤アキラの楽曲は、単に「楽しい歌」というだけでなく、教育的な価値も持っています。
「アイアイ」を例に取ると、この曲を通じて子どもたちは以下を学べます。
- 世界にはさまざまな動物がいること
- マダガスカル島という遠い場所の存在
- 動物の特徴(大きな目、長い指など)
- 動物への興味や関心
「おさるのかごや」では、昔の乗り物や生活様式を知る機会になります。
これは日本の文化や歴史に触れる第一歩です。
さらに伊藤アキラの楽曲には、擬音語や擬態語が豊富に使われています。「エッサホイサッサ」「ドンブラコ」といった音の表現は、子どもの言語発達に良い影響を与えます。
音韻認識の発達が促されるということですね。
音韻認識とは、言葉を音の単位で認識する能力のことです。この能力は、後の読み書き能力の基礎となります。擬音語を繰り返し歌うことで、自然と音への感覚が育まれます。
保育現場で意識したい活用法は以下の通りです。
- 歌詞の中の擬音語を強調して歌う
- 子どもたちに「どんな音かな?」と問いかける
- 身体表現と組み合わせて音を体感させる
- 他の場面でも擬音語を積極的に使う
伊藤アキラの楽曲を単なる「遊び歌」として扱うのではなく、言語教育の教材として捉えることもできます。
工夫次第で学びが深まります。
伊藤アキラ楽曲の著作権と保育現場での利用
保育現場で楽曲を使用する際、著作権について理解しておく必要があります。
伊藤アキラの楽曲も著作権で保護されています。彼は2020年に亡くなりましたが、著作権は死後70年間存続します。
つまり2090年まで保護されるということです。
ただし保育現場での利用については、いくつかの例外規定があります。
著作権法第38条では、以下の条件を満たす場合、著作権者の許諾なく演奏できるとされています。
- 営利目的でないこと
- 聴衆から料金を徴収しないこと
- 演奏者に報酬が支払われないこと
保育園や幼稚園での日常的な歌唱活動は、この条件に該当します。
問題ありません。
一方、以下の場合は注意が必要です。
特にYouTubeなどへの動画投稿は、著作権侵害になる可能性が高いです。保育の様子を記録として残したい場合は、音楽部分をミュートするか、著作権フリーの楽曲に差し替える必要があります。
楽譜のコピーについても注意が必要です。購入した楽譜を複数の職員で共有するためにコピーすることは、著作権法違反になります。職員の人数分の楽譜を購入するか、JASRACに利用許諾を得る必要があります。
JASRAC公式サイトでは、保育施設での音楽利用に関する詳細なガイドラインが掲載されています。
著作権の正しい理解は、保育の質を守るためにも重要です。知らないと法的リスクがあるということですね。

