阪田寛夫 詩 有名
「サッちゃん」は童謡として歌うと子ども向けに聞こえますが、詩として読むと深い寂しさを描いた現代詩です。
阪田寛夫とは|芥川賞作家で童謡詩人
阪田寛夫(1925~2005年)は、大阪市生まれの詩人・小説家です。東京大学国史学科を卒業し、1974年に小説『土の器』で芥川賞を受賞しました。しかし彼の名を広く知らしめたのは、文学作品よりも童謡の作詞でした。honcierge+1
熱心なキリスト教徒の家庭に育った阪田は、叔父が山田耕筰の弟子だった影響もあり、童謡や子どもの詩を書くことで生計を立てました。数多くの童謡や子どもの詩を手がけたことが特徴です。dowa-ya+1
児童文学の分野では、歌曲集『うたえバンバン』で第4回日本童謡賞、詩集『サッちゃん』で第6回日本童謡賞を受賞しています。芥川賞作家という肩書きよりも、童謡作詞家としての方が一般には知られているのが実情です。honsuki+1
阪田寛夫の有名な詩|代表作と特徴
もっとも有名なのは、童謡「サッちゃん」です。2006年には阪田が通っていた幼稚園に歌碑が建立されるほど、子どもから大人まで愛される作品となりました。
「サッちゃん」以外にも、以下のような有名な童謡の作詞を担当しています。wikipedia+1
どの作品も特徴的です。
阪田の詩は、美しい日本語のリズムにのせて、人間の優しさと寂しさを鮮やかに提示します。類まれなユーモアを駆使し、抱腹絶倒の詩も数多く遺しました。テンポがよくリズミカルな言葉は、何度読んでも心に響く心地よさがあります。kinokuniya+2
阪田寛夫の詩に描かれる子どもの心理
阪田寛夫の詩の魅力は、子どもの視点と心理を的確に捉えている点にあります。「おかあさんをさがすうた」では、一貫して子どもの視点・発話によって母の不在を嘆いています。
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「おかあさん/いないんだ/いやだなあ」「でてきてよ おかあさん」という言葉で表現されるのは、母に対する不在への不安と永遠に在り続けてほしい願望という普遍的な子どもの心です。これは保育現場でも頻繁に見られる感情ですね。
詩集『てんとうむし』に収録された「練習問題」という作品では、自己肯定感を持てない子どもの心を描いています。「ぼくは つよい」「ぼくは すばらしい」と言葉の上で「練習」することで、自分を励まそうとする姿が表現されています。
保育士にとって重要なのは、こうした子どもの内面理解です。阪田の詩は、子どもの不安や願望を言語化する手助けとなります。
阪田寛夫の詩集|保育士におすすめの作品
保育士が手に取りやすい詩集として、以下の作品があります。
📖 『阪田寛夫詩集 ねこふんじゃった』(童話屋、2023年)
芥川賞作家でありながら、数多くの童謡や子どもの詩を書いた阪田のユーモアあふれる作品を集めた詩集です。表題の「ねこふんじゃった」や童謡「サっちゃん」など、保育現場で活用できる詩が収録されています。kyobunkwan+1
📖 『夕日がせなかをおしてくる 阪田寛夫 童謡詩集』(美しい日本の詩歌 7)
いろんな詩が載っていて、さみしいのや元気なもの、おもしろいものなど、バリエーション豊かな内容です。
保育の場面に応じて選べるのが便利です。
📖 『ハルキ文庫 阪田寛夫詩集』
第一詩集から未刊詩篇まで132編を収録した珠玉のアンソロジーです。「うたえバンバン」「マーチング・マーチ」「サッちゃん」「ねこふんじゃった」など、知らずに子どもの頃歌っていた曲が多数収録されています。
これらの詩集は図書館でも借りられます。まずは一冊手に取ってみると、阪田寛夫の言葉の魅力を実感できるでしょう。
こちらのページでは、阪田寛夫の詩の特徴や作品の背景について詳しく解説されています。
阪田寛夫の詩を保育実践で活かすコツ
阪田寛夫の詩は、そのリズムの良さから子どもたちと一緒に声に出して読むのに適しています。
保育現場での活用方法をいくつか紹介します。
🎵 朝の会や帰りの会での詩の朗読
「サッちゃん」や「おなかのへるうた」など、リズミカルな詩を朗読することで、子どもたちの言葉への興味を引き出せます。1日5分程度の短い時間で十分効果があります。
📝 子どもの気持ちを言葉にする教材として
「おかあさんをさがすうた」のような、子どもの不安を表現した詩を使うことで、保育士自身が子どもの感情を理解する手助けになります。子どもが言葉にできない気持ちを代弁する際の参考になるでしょう。
🎨 詩をテーマにした造形活動
「ねこふんじゃった」など、イメージしやすい詩を題材に、子どもたちと絵を描いたり工作をしたりする活動も効果的です。詩の世界を視覚化することで、想像力が育まれます。
保育士が阪田寛夫の詩を味わうことは、自身の言葉の引き出しを増やすことにつながります。子どもへの声かけや連絡帳の記述など、日々の保育に活かせるヒントが詰まっています。
阪田寛夫の詩が持つ普遍的なメッセージ
阪田寛夫の詩には、表面的な明るさの裏に深い寂しさや人間の本質が描かれています。「サッちゃん」を歌として聞くと子ども向けに思えますが、詩として読むと人間に在る深い寂しさを描いた現代詩であることが見えてきます。
詩集『含羞詩集』に収録された「グッド・イヴニング」という作品では、学徒出陣で戦死した友人への思いが綴られています。起承転結の構成で、最後の2行で詩的飛躍を遂げる手法は、阪田の詩の特徴の一つです。
「実態は改行して書き分けた生活記録だが、さりとて捨てるにしのびず、怠け者の盆栽いじりのように、思い出した時に手を入れ刈りこんでいた」と阪田自身が語っているように、日常の記録に丁寧に手を入れることで詩が生まれました。
この姿勢は、保育士の記録や子どもの観察にも通じます。日々の些細な出来事を丁寧に見つめ、言葉にすることの大切さを、阪田の詩は教えてくれます。
阪田寛夫のおすすめ本5選!童謡「サッちゃん」を作詞した詩人の詩集や絵本
こちらでは、阪田寛夫の生涯と作品について、より詳しい情報が掲載されています。


