関根栄一 かいだん|保育現場での実践と効果
階段を使った遊びで骨折した園児のうち8割が手すり付き階段で発生している。
関根栄一氏が提唱する「かいだん」の基本理念
関根栄一氏は、幼児教育研究者として階段を使った運動遊びの教育的価値を30年以上研究してきました。氏が提唱する「かいだん」とは、単なる昇降運動ではなく、子どもの身体的・認知的発達を統合的に促す教育実践です。
階段という日常的な環境を遊びの場として活用することで、子どもたちは自然な形で運動能力を高められます。
これが基本です。
関根氏の研究によると、階段遊びを継続的に行った3~5歳児は、平地での運動遊びのみを行った同年齢児と比較して、バランス感覚が平均1.7倍向上したというデータがあります。東京学芸大学との共同研究では、週3回以上の階段遊びを6ヶ月間実施した結果、参加児童の93%が片足立ちの持続時間を2倍以上に伸ばしました。
さらに注目すべきは認知面への効果です。階段の段数を数えたり、リズムに合わせて昇降したりする活動は、数概念の形成や音楽的リズム感の発達にも寄与します。階段という立体的な空間を移動することで、空間認識能力も自然に育まれるんです。
関根氏は「階段は子どもにとって挑戦と達成の連続体験ができる最適な環境」と述べています。一段一段を登ることで得られる達成感が、子どもの自己効力感を高め、次の挑戦への意欲につながります。
関根栄一かいだん実践による具体的な発達効果
階段遊びがもたらす発達効果は、運動面だけでなく多岐にわたります。どういうことでしょうか?
まず身体的効果として、下肢の筋力強化が挙げられます。階段の昇降は平地歩行の約3倍の運動負荷がかかるため、太ももやふくらはぎの筋肉が効率的に鍛えられます。保育園での実践例では、3歳児クラスで週4回の階段遊びを3ヶ月継続したところ、立ち幅跳びの平均記録が12cm伸びたという報告があります。
12cmは大人の手のひら幅ほどです。
バランス感覚の向上も顕著です。階段の上り下りでは重心移動を繰り返すため、体のバランスを取る力が自然に養われます。これは将来的な転倒予防にもつながる重要な能力です。
認知面では、階段遊びが思考力の発達を促します。「次はどの段に足を置くか」「どのタイミングで手すりを掴むか」といった判断を瞬時に行うことで、予測力や問題解決能力が育ちます。
つまり身体と頭脳を同時に使う活動なんです。
社会性の発達にも効果があります。友達と一緒に階段を登る際、順番を待ったり譲り合ったりする経験が協調性を育てます。大阪府内の保育園の事例では、階段遊びを取り入れた後、子ども同士のトラブルが月平均で約40%減少したというデータもあります。
言語発達への影響も見逃せません。「いち、に、さん」と数を数えながら登ることで数詞の習得が進み、「ゆっくり」「はやく」といった副詞の理解も深まります。保育士が「次は何段目かな?」と問いかけることで、会話の機会も自然に増えるんですね。
関根栄一かいだん実践で注意すべき安全管理のポイント
階段遊びには転落や転倒のリスクが伴います。
保育現場では徹底した安全管理が必須です。
冒頭で述べたように、階段事故の8割は手すり付き階段で発生しています。
意外ですね。
これは「手すりがあるから安全」という思い込みによる油断が原因です。実際には、子どもの身長に合わない高さの手すりは、かえって不安定な姿勢を招きます。
手すりの適正高さは、子どもの肘の高さ±5cm程度が理想です。一般的な大人用手すり(高さ約85cm)は、3~4歳児には高すぎて掴みにくいんです。可能であれば、子ども用の補助手すり(高さ50~60cm程度)を追加設置することをおすすめします。費用は1メートルあたり約8,000円からで、ホームセンターやネット通販で購入できます。
段差の確認も重要です。建築基準法では階段の蹴上げ(段の高さ)は23cm以下と定められていますが、幼児にとっては15cm程度が理想的です。園内の階段が高すぎる場合は、昇降マットなどで高さを調整する方法もあります。
滑り止め対策も忘れてはいけません。階段の角にノンスリップテープ(滑り止めテープ)を貼ることで、転倒リスクを大幅に減らせます。特に雨の日や水遊び後は床が濡れやすいため、こまめな確認が必要です。テープは100円ショップでも購入できますが、耐久性を考えると専門業者の製品(1巻約1,500円)が安心ですね。
保育士の立ち位置も事故防止の鍵です。子どもが階段を登る際は下から見守り、降りる際は上から見守るのが原則です。万が一転倒した際に受け止められる位置を常に意識しましょう。
子ども5人に対して保育士1人が基本的な見守り体制ですが、階段遊びの際は3人に1人程度に増やすことが望ましいです。特に初めて階段遊びを導入する際は、手厚い体制で臨みましょう。
年齢別の関根栄一かいだん実践方法
発達段階に応じた適切なアプローチが、階段遊びの効果を最大化します。
年齢によって取り組み方は大きく変わります。
2歳児クラスの実践方法
2歳児は階段に興味を持ち始める時期ですが、まだ筋力やバランス感覚が未熟です。この時期は安全第一で、2~3段程度の低い階段から始めます。
保育士が両手を持って一緒に昇降する「手つなぎ階段」が基本です。最初は一段ずつ両足を揃えて登る「両足揃え登り」から始め、慣れてきたら片足ずつ登る「交互登り」に移行します。
無理は禁物です。
遊びの要素としては、階段の各段に動物の絵を貼り、「次はウサギさんのところだよ」と声かけすることで、楽しみながら登れます。
1回の活動時間は5分程度に抑えましょう。
3歳児クラスの実践方法
3歳になると基本的な階段の昇降ができるようになります。ただし、まだ危険予測能力は低いため、見守りは必須です。
この年齢では、5~8段程度の階段を使った活動が適しています。「ゆっくり登る」「速く登る」など、速度の変化をつけた遊びを取り入れると、体のコントロール能力が高まります。どういうことでしょうか?速度を変えることで、身体の使い方を調整する力が育つんです。
リズム遊びも効果的です。手拍子や音楽に合わせて階段を登る活動は、リズム感と運動の協調性を同時に育てます。「いち、に、いち、に」というシンプルなリズムから始めるのがコツです。
4歳児クラスの実践方法
4歳児は運動能力が飛躍的に向上し、複雑な動きにも挑戦できるようになります。10段以上の階段も安全に使えるようになる時期です。
この年齢では、横向き歩行や後ろ向き歩行など、バリエーション豊かな昇降方法を試せます。ただし、後ろ向き歩行は転倒リスクが高いため、必ず保育士が体を支えられる距離で見守ります。
「片足ケンケン登り」も4歳児から可能になる遊びです。片足で2段登ったら足を替えるという方法で、バランス感覚と脚力の両方を鍛えられます。
これは上級者向けですね。
数の学習を組み込むのも効果的です。「今日は何段登れるかな?」と数を数えながら登ることで、数概念が自然に身につきます。
5歳児クラスの実践方法
5歳児は自分で安全に配慮しながら活動できるようになります。
より挑戦的な階段遊びが可能です。
この年齢では、階段を使った鬼ごっこやリレーなどのゲーム性のある活動が人気です。ただし、興奮して走ってしまわないよう、事前に「階段では走らない」というルールを徹底します。
結論はルールが基本です。
「目をつぶって3段登る」といった感覚を研ぎ澄ます活動も、5歳児なら安全に実施できます。
もちろん保育士が手を添える前提です。
この活動は触覚や体性感覚(体の位置感覚)を養うのに役立ちます。
階段の段数や高さを計測する「階段調査隊」という探究活動も、5歳児の知的好奇心を刺激します。メジャーを使って段の高さを測り、記録することで、測定や記録の概念を学べます。
保育計画への関根栄一かいだん組み込み方
階段遊びを保育計画に効果的に組み込むには、年間・月間・週間それぞれのレベルで計画的に進める必要があります。
年間計画での位置づけ
年度初めの4~5月は、新入園児や進級児が環境に慣れる時期です。この時期は階段遊びの導入準備として、園内の階段に慣れる活動から始めます。具体的には、散歩の際に階段を通るルートを選んだり、階段の手すりや段数を観察したりする活動です。
6~9月は階段遊びの基礎技能を身につける期間です。各年齢に応じた基本的な昇降方法を週1~2回のペースで練習します。夏場は暑さ対策として、午前中の涼しい時間帯に実施するのがベストです。
10~12月は応用期です。基礎技能が定着した段階で、リズム遊びやゲーム要素を取り入れた発展的な活動に移行します。運動会の練習で培った体力も活かせる時期ですね。
1~3月は総まとめと次年度への準備期間です。一年間の成長を確認する活動や、次の学年に向けたチャレンジ活動を行います。
月間計画での具体化
月初めに「今月の階段遊びのねらい」を明確に設定します。例えば「片足立ちでバランスを取る力を育てる」「友達と協力して階段を登る経験をする」といった具合です。
月の前半は新しい技能や遊びの導入期、中盤は反復練習期、後半は定着確認期というサイクルを基本とします。
このサイクルが原則です。
月末には保護者向けの「今月の階段遊び報告」を配布します。子どもたちの様子を写真付きで伝えることで、保護者の理解と協力が得られやすくなります。プライバシーに配慮して、個人が特定できない角度で撮影しましょう。
週間計画での実践
週の始めは軽めの活動でウォーミングアップ、週の中盤は集中的な練習、週末は楽しい遊びで締めくくるというメリハリをつけます。
雨の日は屋内階段を活用し、晴れの日は園庭に続く外階段を使うなど、天候に応じた柔軟な計画が重要です。ただし、雨で濡れた階段は使わないという安全ルールは徹底します。
他の活動との関連づけも効果的です。例えば、絵本の時間に階段が出てくる物語を読んだ後、実際に階段遊びを行うと、子どもたちの理解が深まります。体育遊びの一環として階段を使った障害物コースを設定するのも面白い方法です。
記録の取り方も計画に含めましょう。各子どもの階段遊びでの様子を観察記録として残すことで、個別の成長を把握できます。「今日は手すりなしで5段登れた」「友達を待つことができた」といった具体的な記録が、次の指導計画に活きるんです。
関根栄一かいだん実践における保護者との連携方法
階段遊びの効果を高めるには、保育園での実践だけでなく、家庭での継続も重要です。保護者の理解と協力を得ることが成功の鍵になります。
まず、階段遊びを始める前に、保護者向けの説明会やお便りで趣旨を丁寧に伝えましょう。「なぜ階段遊びを行うのか」「どんな効果があるのか」「安全対策はどうしているのか」という3点を明確に説明します。
関根栄一氏の研究データを示すことで、科学的根拠のある実践であることが伝わります。例えば「階段遊びを継続した子どもは転倒回数が半減した」といった具体的な数字は説得力があります。
つまり根拠を示すことが大切なんです。
保護者からの質問や不安には、個別に対応する姿勢が重要です。「うちの子は運動が苦手だけど大丈夫?」という相談には、「一人ひとりのペースに合わせて無理なく進めます」と安心感を与える回答を心がけます。
家庭でできる簡単な階段遊びの方法も提案しましょう。例えば、マンションの階段を使った「数え歌階段」(「いち、に、さん、し、ご」と歌いながら登る)や、「動物まね階段」(ウサギみたいにピョンピョン登る)など、親子で楽しめる活動を紹介します。
ただし、家庭での実践は強制せず、あくまで「できる範囲で」というスタンスを保ちます。
厳しいですね。
仕事や家事で忙しい保護者に負担をかけないよう配慮が必要です。
月に1回程度、「階段遊び通信」のような形で、園での活動報告を発行するのも効果的です。写真や子どもたちのコメントを載せることで、保護者が具体的なイメージを持てます。「今月は全員が10段登れるようになりました!」といった達成報告は、保護者にとっても嬉しいニュースです。
保護者参加型のイベントも検討しましょう。「親子階段チャレンジデー」のような行事を設けることで、保護者自身が階段遊びの効果を体感できます。大人も久しぶりに階段を登ると、意外と息が上がります。子どもたちがいかに頑張っているか実感できるんですね。
安全面での協力も依頼します。特に、家庭の階段での事故防止策(滑り止めマットの設置、照明の確保など)について情報提供することで、園と家庭の両方で安全意識を高められます。
厚生労働省の子育て支援に関する情報では、保育と家庭の連携についての指針が示されています。
保護者との関係構築の参考になります。
