故郷の空 歌詞 意味|保育で歌う童謡の背景

故郷の空 歌詞 意味

あなたが教えている「故郷の空」は実は原曲と全く違う歌です。

この記事の3つのポイント
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原曲と日本版の違い

スコットランド民謡「Comin’ Thro’ the Rye」が明治時代に訳され、全く異なる歌詞になった経緯

歌詞に込められた深い意味

故郷を離れた人々の郷愁と、日本の美しい自然への想いが表現された各フレーズの解釈

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保育現場での活用法

子どもたちの情緒を育む歌い方と、季節や行事に合わせた効果的な取り入れ方

故郷の空の原曲はスコットランド民謡

 

「故郷の空」は、スコットランド民謡「Comin’ Thro’ the Rye(ライ麦畑を通って)」を原曲としています。原曲は18世紀から歌われていた恋愛の歌でした。

明治時代、大和田建樹が日本語の歌詞をつけました。原曲の軽快な恋の歌から、故郷への深い郷愁を歌う曲へと大きく変化したのです。

つまり全く別の歌になったということですね。

この変化には理由があります。明治時代は近代化が進み、多くの人が故郷を離れて都市部へ移住した時代でした。そうした時代背景が、この歌詞の誕生に大きく影響しています。

原曲を知っている外国人保育士がいる園では、この違いを説明すると文化交流のきっかけになります。子どもたちにも「同じメロディーでも国によって歌詞が違う」という音楽の面白さを伝えられるでしょう。

原曲「Comin’ Thro’ the Rye」の歌詞と背景について詳しく解説

故郷の空の歌詞が表す情景と意味

「夕空晴れて 秋風吹き」という冒頭の歌詞は、秋の夕暮れ時の情景を描いています。

この時間帯を選んだのには意味があります。夕暮れは一日の終わりであり、物思いにふける時間です。秋風は日本文化において「寂しさ」や「郷愁」の象徴とされてきました。

「月影落ちて 鈴虫鳴く」では、夜の訪れとともに深まる寂しさが表現されています。月の光と虫の音という日本的な情景が、故郷への想いをより強調しているのです。

保育現場では、歌詞の情景を絵本や紙芝居で視覚化すると効果的です。3歳以上のクラスなら、秋の散歩で実際に「秋風」や「虫の音」を体験してから歌うと、歌詞の意味が子どもたちに伝わりやすくなります。

各フレーズが季節の移り変わりと心の動きを重ねている点が特徴です。

「思えば遠し故郷の空」に込められた郷愁

サビ部分の「思えば遠し故郷の空」は、この歌の核心です。

「遠し」という言葉には、物理的な距離だけでなく時間的な距離も含まれています。故郷を離れてから長い時間が経ち、簡単には戻れない状況が表現されているのです。当時は交通手段が限られていたことが背景にあります。

「空」を見上げることで故郷とつながろうとする心情が描かれています。同じ空の下にいるという感覚は、離れた場所にいる家族への想いを象徴しているのです。

これは普遍的な感情ですね。

現代の保育現場では、この部分を通じて「離れていても心はつながっている」という概念を子どもたちに伝えられます。保護者が仕事で離れているときや、転園する友達との別れの際に、この歌詞の意味が活きてくるでしょう。

言葉の選び方一つ一つに深い意味が込められています。

故郷の空を保育で歌う教育的価値

この歌には情緒を育む大きな価値があります。

まず、郷愁という複雑な感情を音楽を通じて体験できます。4〜5歳児になると、祖父母の家や以前住んでいた場所への想いを持ち始める子もいます。そうした感情に名前をつけ、表現する手段として「故郷の空」は有効です。

次に、日本の伝統的な情景描写を学べます。「月影」「鈴虫」「秋風」といった季節を表す言葉は、日本語の豊かな表現力を示しています。

語彙を増やす機会になりますね。

また、ゆったりとしたテンポは心を落ち着かせる効果があります。午睡前の活動や、運動会練習後のクールダウンとして取り入れている園も多いです。実際、この歌を歌うと子どもたちの呼吸が深くなることが観察されています。

集団で歌うことで、共感する力も育ちます。同じ感情を共有する体験は、社会性の発達に重要です。

故郷の空を季節行事で活用する方法

秋の行事との相性が特に良い曲です。

お月見会で歌うと、歌詞の「月影落ちて」の部分が実体験と結びつきます。実際の月を見ながら歌うことで、歌詞の意味がより深く理解できるでしょう。お団子作りの後に歌う活動を組み合わせると効果的です。

敬老の日の催しでも活用できます。祖父母世代には馴染みのある曲なので、一緒に歌うことで世代間交流が深まります。おじいちゃん、おばあちゃんの子ども時代の話を聞くきっかけにもなりますね。

運動会のフィナーレで使用する園もあります。興奮した気持ちを落ち着かせ、達成感と余韻を味わう時間として機能するのです。保護者からも「感動した」という声が多く聞かれます。

ただし、歌う場面の選択には配慮が必要です。

明るく元気に遊びたい場面では向きません。

静かに心を落ち着けたい場面や、しっとりとした雰囲気を作りたいときに選ぶのが基本です。

季節や行事の文脈があると、歌詞の理解が深まります。

故郷の空の歌い方と指導のコツ

ゆったりとした呼吸が大切な曲です。

まず、テンポを急がないことが重要です。1フレーズを3〜4秒かけて歌うイメージで、子どもたちにもその感覚を伝えましょう。

急ぐと歌詞の情景が伝わりません。

音程の取り方では、跳躍音程に注意が必要です。「思えば遠し」の部分は音が大きく動くため、年少クラスでは難しく感じる子もいます。最初はハミングで練習してから、歌詞をつけると良いでしょう。

表現の工夫として、強弱をつけることをおすすめします。「故郷の空」の「空」を少し伸ばして強調すると、郷愁の感情がより伝わります。年長クラスなら、この表現指導まで行えるはずです。

子どもたちへの説明では、「遠くにいる大好きな人を思い出す歌だよ」という伝え方が効果的です。抽象的な「郷愁」という言葉を使わなくても、子どもたちが共感できる表現を選びましょう。

これで十分です。

ピアノ伴奏は装飾を抑えめにすると、歌詞が引き立ちます。

故郷の空と類似曲の違いを理解する

「故郷」という別の有名な童謡があります。

「故郷」(兎追いし〜)との混同が保育現場ではよく起きます。両方とも故郷をテーマにしていますが、作者も曲調も全く違うのです。「故郷」は岡野貞一作曲、高野辰之作詞の日本オリジナル曲です。

「故郷の空」は秋の夕暮れの情景を中心に、物理的に離れた故郷への想いを歌っています。一方「故郷」は、子ども時代の具体的な思い出(兎を追った、小鮒を釣った)を懐かしむ内容です。

視点が異なりますね。

曲調の違いも明確です。「故郷の空」は長調でありながら物悲しさがあるのに対し、「故郷」は温かく懐かしい雰囲気が特徴です。

歌う場面も自然と変わってくるでしょう。

保育計画で両方を扱う場合は、この違いを意識して配置します。「故郷」を春に、「故郷の空」を秋に歌うという季節での使い分けや、「故郷」を卒園式前に、「故郷の空」を日常保育でというような使い分けが考えられます。

類似曲との違いを理解すると、選曲の幅が広がります。

故郷の空から広がる保育活動案

この歌を起点に、様々な活動を展開できます。

造形活動では、歌詞の情景を絵に描く活動が効果的です。「秋の空」「鈴虫」「月」などのモチーフを、子どもたちが自由に表現します。クレパスや絵の具を使い分けて、夕暮れの色の変化を表現するのも良いでしょう。

言語活動として、「好きな場所」について話す時間を設けられます。祖父母の家、公園、以前住んでいた街など、子どもたちが大切に思っている場所を共有するのです。

話すことで記憶が整理されます。

自然観察と組み合わせることもできます。実際に秋の虫の音を聞きに散歩に出かけ、その後で歌を歌うという流れです。体験と歌詞が結びつくことで、より深い理解につながります。

保護者参加型の活動として、「家族の故郷マップ」を作る園もあります。保護者に出身地を書いてもらい、日本地図に印をつけていく活動です。多様なルーツを持つ家庭があることを、視覚的に理解できますね。

一つの歌から、総合的な保育活動に発展させられます。


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