雪の歌の歌詞を保育士が子どもに伝えるポイント
「こんこん」と歌ってきた保育士さん、実は子どもたちに10年間、誤った歌詞を教えていた可能性があります。
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雪の歌の歌詞「こんこ」と「こんこん」どちらが正しい?
保育の現場で長年歌われてきた「ゆき」という童謡。実は、多くの保育士さんが無意識に「雪やこんこん」と歌っている場面が見られますが、正しくは「雪やこんこ」です。これはクイズ番組でも頻繁に取り上げられるほど有名な”間違い”ですが、知らないまま子どもたちに教え続けているケースが後を絶ちません。
この曲は1911年(明治44年)の『尋常小学唱歌 第二学年用』に掲載された文部省唱歌です。作詞は国文学者の武笠三(むかさ さん)とされており、作曲者は不明のままです。なんと115年以上前から愛され続けている曲ということですね。
では「こんこ」と「こんこん」はなぜ混同されているのでしょうか?それは1901年(明治34年)に瀧廉太郎が作曲し、東くめが作詞した別の幼稚園唱歌「雪やこんこん」が存在するからです。この曲は「こんこん」が正しい表記であり、まったく別の歌です。2つの曲が混同されたことで「こんこん」というフレーズが広まったと考えられています。
| 項目 | 文部省唱歌「雪(ゆき)」 | 瀧廉太郎作曲「雪やこんこん」 |
|---|---|---|
| 発表年 | 1911年(明治44年) | 1901年(明治34年) |
| 作詞 | 武笠三(不詳説あり) | 東くめ |
| 作曲 | 不詳 | 瀧廉太郎 |
| 正しい歌い出し | 雪やこんこ | 雪やこんこん |
| 種別 | 尋常小学唱歌 | 幼稚園唱歌 |
「こんこ」の語源については複数の説があります。国語学者の大野晋は「来む来む(こむこむ)」、つまり「降れ降れ」が変化したものと説明しています。国文学者の池田弥三郎は「来う来う」が語源で、「雪よ来い、歓迎する」という意味だと述べています。つまりオノマトペ(擬音語)ではなく、雪を招く歓迎の言葉なのです。これは意外ですね。
保育士として子どもに正確な歌詞を伝えることは、日本語のリズムや表現力を育てる上でも大切な役割を担っています。正しい歌詞を知っておくだけで、保護者からの信頼度も上がります。
雪やこんこ 童謡・唱歌 歌詞と試聴|World Folksong(「こんこ」の語源や瀧廉太郎の「雪やこんこん」との違いを詳しく解説)
雪の歌の歌詞「全文」と各フレーズの意味を丁寧に解説
保育の場で歌うとき、歌詞の意味をしっかり理解していると子どもへの声かけが格段に豊かになります。まず正しい全歌詞を確認しましょう。
まず「霰(あられ)」という言葉です。霰とは雪よりも硬く、氷の粒が降ってくる気象現象のことです。つまり1番は「雪よ来い、霰よ来い、どんどん積もれ」という雪を歓迎する呼びかけから始まっています。
続く「綿帽子(わたぼうし)かぶり」は比喩表現です。綿帽子とは昔の花嫁が頭にかぶる白い帽子のことで、山や野原に雪が積もって真っ白になった様子を、綿帽子をかぶった姿に例えています。
「枯木残らず花が咲く」という一節も、よく誤解されるポイントです。春が来て枯木に花が咲いた、というわけではありません。これは枯れ枝に雪が積もり、まるで白い花が咲いたように見える様子を表した比喩表現です。雪を花に例えた、とても詩的な表現ということですね。
2番に登場する犬と猫の対比がコミカルで、子どもたちにも大人気のフレーズです。この犬と猫が出てくるのは「2番」であることも間違いやすいポイントです。1番を歌ったあとに「次は犬と猫だよ!」と予告してあげると、子どもたちのワクワク感が高まります。
また「降っては降っては」(1番)と「降っても降っても」(2番)の違いも見落としがちです。1番は雪が積もっていく過程を表し、2番は降り続けてやまない様子を表しています。これが基本です。
雪(作詞者・作曲者不詳)歌詞解説|やよいかげつブログ(「こんこ」の古語としての意味、ピョンコ節のリズム解説など、音楽的観点からの詳細解説)
雪の歌を子どもに伝えるときの保育士ならではの豆知識
歌詞の正確さだけでなく、歌にまつわる豆知識を持っておくと保育の質がグッと上がります。知ってると得する情報です。
まず、この曲のリズムについてです。「ゆき」の旋律には「ピョンコ節」と呼ばれる日本特有の跳ねるリズムが使われています。西洋音楽の「タッカ(付点8分音符+16分音符)」とも三連符とも異なる、着物をまとって鞠つきをするような軽やかなリズムです。鞠つきのリズムをイメージすると歌いやすくなります。
ただし、「降っては降っては」や「山も野原も」の部分は跳ねるリズムではなく、「タタ」とフラットに刻む部分もあります。ここを「タッカタッカ」と跳ねて歌うと、本来の曲の表情が崩れてしまいます。保育の場でピアノ伴奏をするときも、この点を意識するだけで仕上がりが大きく変わります。
また、音域に関しても覚えておきたいポイントがあります。「ゆき」は使用音域が非常に狭い曲で、0歳児・1歳児の乳児クラスから無理なく歌える設計になっています。音域の広い曲は2歳以下の子どもには難しいケースが多いですが、この曲はその心配がほぼありません。これは使えそうです。
さらに面白い雑学として、「ゆき」のメロディは19世紀チェコの作曲家ドヴォルザークが1894年に作曲した歌曲集『聖書の歌』の一曲と類似しているという説があります。当時の日本の唱歌は西洋クラシックや賛美歌の影響を受けた曲が多く、研究者の間でも議論されています。子どもたちには伝えなくてもよいですが、保護者との会話のネタにはなるかもしれません。
「雪(ゆき)」は2007年(平成19年)に文部科学省の「日本の歌百選」にも選ばれています。100年以上歌い継がれ、国のお墨付きも得た文化的価値の高い曲です。自信を持って子どもたちに伝えてください。
雪の歌を活用した保育活動アイデアと年齢別の活用法
歌を歌うだけでなく、活動とセットにすることで子どもの理解と楽しさが倍増します。年齢ごとに適した関わり方を見ていきましょう。
0〜1歳児(乳児クラス)には、まず「聴かせる」ことを大切にします。音域が狭く穏やかな「ゆき」は、乳児がじっと聴けるテンポ感になっています。保育士が抱っこしながら揺れるだけでも、十分な音楽体験になります。歌詞の理解よりもリズムと声の温かさを届けることが目的です。
2〜3歳児には手遊びとの組み合わせが効果的です。たとえば「降っては降っては」の部分で両手を上からひらひらと降らせるジェスチャー、「犬は喜び」の部分で手をグーにして走る真似、「猫はこたつで」の部分で体を丸める動作を取り入れると、子どもたちの表情がぱっと明るくなります。
4〜5歳児には歌詞の意味まで踏み込んでいきましょう。「枯木残らず花が咲くって、どんな花だと思う?」と問いかけるだけで、子どもたちは活発に想像力を働かせます。雪が枯れ枝に積もった写真を絵本や図鑑で見せてから歌うと、歌詞が一気にリアルに伝わります。
また、以下のような活動との組み合わせも保育の充実度を高めます。
- ❄️ 雪の結晶制作:折り紙で六角形の結晶を切り出し、「ゆき」を歌いながら窓に貼る活動
- 🐶 犬と猫のカード遊び:2番の歌詞に合わせて、犬カードと猫カードを使った劇遊びや並べ替えゲーム
- 🎨 パネルシアター:綿帽子をかぶった山、枯木に積もった雪(花)、庭を走る犬、こたつの猫をパネルで表現しながら歌う
- 🎹 ピアノ弾き歌い練習:コード(Am・Em・G・C程度)で伴奏できるシンプルな進行なので、ピアノが苦手な保育士にも取り組みやすい
ピアノ伴奏に自信がない場合でも、基本的なコードを覚えるだけで十分に歌を支えられます。伴奏の練習には、保育士向けのコード弾き楽譜集が役立ちます。書店や通販で「保育士 コード弾き 楽譜」と検索すると複数の書籍が見つかりますので、自分のレベルに合ったものを1冊手元に置いておくのがおすすめです。
雪の歌に並んで保育で使える冬の歌6選と選び方のコツ
冬の保育で「ゆき」ばかりでは飽きてしまうこともあります。年齢や目的に応じて複数の歌を使い分けられると、保育の幅が広がります。合わせて知っておくと得する曲です。
| 曲名 | 作詞・作曲 | 対象年齢目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ゆき(雪やこんこ) | 不詳 | 0歳〜 | 音域が狭く、乳児から使える定番曲 |
| 雪のこぼうず | 村山寿子作詞・不詳作曲 | 0歳〜 | 「いとまきまき」のメロディで親しみやすい |
| ゆきのペンキやさん | 則武昭彦作詞・安藤孝作曲 | 2歳〜 | 雪をペンキ屋に例えた独特な発想が面白い |
| 北風小僧の寒太郎 | 井出隆夫作詞・福田和子作曲 | 3歳〜 | 1972年から続くNHK「みんなのうた」の名曲 |
| こんこんクシャンのうた | 香山美子作詞・湯山昭作曲 | 0歳〜 | 動物ごとの手遊びが豊富で飽きさせない |
| ゆきだるまのチャチャチャ | 多志賀明 作詞作曲 | 1歳〜 | チャチャチャのリズムで全身を使って盛り上がれる |
曲を選ぶときは「音域の広さ」「繰り返しの多さ」「手遊びの有無」の3点を確認するのが基本です。
音域が狭いほど乳児クラスに向いており、繰り返しが多いほど子どもが早く覚えられます。手遊びがある曲は集中力が続きやすく、特に活動の導入部分で効果的です。
また、冬は12月〜2月と長い期間にわたります。月ごとに使う曲を変えると季節感が増し、子どもも保護者も変化を楽しめます。12月はクリスマス系の曲、1〜2月は雪にまつわる曲という組み合わせが使いやすいですね。
「雪のこぼうず」は特に見逃しがちな隠れた名曲です。「いとまきまき」と同じメロディラインを使いながら、雪が屋根・池・草に降りて消えていく不思議を歌っています。雪が地面に落ちると消える現象を不思議に思う子どもたちの疑問と、歌の内容がぴったりリンクします。自然への興味関心を育てる絶好のきっかけになります。


