ヤンチャリカの歌詞と保育士向け完全活用ガイド
あの「ヤンチャリカ」の歌詞は、実は子どものやんちゃ行動を叱らず肯定する構造で作られていて、歌うだけで叱る回数が自然と減るという保育的効果が確認されています。
ヤンチャリカの歌詞の全文とふりがな付き解説
「ヤンチャリカ」の歌詞は、2番構成のシンプルな童謡です。歌詞全文は以下の通りです。保育士として子どもたちに教える際、まず歌詞を正確に把握しておくことが大切です。
| 番 | 歌詞 |
|---|---|
| 1番 | ヤンチャクチャボーズ ヤンチャリカ(×3) いうこときかない ヤンチャリカ ごはんをたべない ヤンチャリカ べんきょうやらない ヤンチャリカ どろんこふかない ヤンチャリカ |
| (中間) | 1234 223 3234 423 5234 623 7234 823 ヤンチャリカ |
| 2番 | ヤンチャクチャボーズ ヤンチャリカ(×3) らくがきサラサラ ヤンチャリカ おもちゃはバラバラ ヤンチャリカ こいぬはポカポカ ヤンチャリカ いたずらニコニコ ヤンチャリカ |
歌詞の中間部「1234 223 3234 423…」という箇所は数え歌のパートです。これは「1・2・3・4」「2・2・3」「3・2・3・4」「4・2・3」……という規則的なリズムで構成されており、子どもたちが手拍子や体を動かしながら数を楽しめる仕掛けになっています。
数え歌の部分が入っているのは意外ですね。単なる「やんちゃな男の子の歌」にとどまらず、リズム感と数の概念を同時に育てる設計が施されているわけです。つまり保育活動の中で複数のねらいを同時に達成できる構造が基本です。
1番の歌詞は「言うことをきかない」「ごはんを食べない」「勉強をやらない」「泥んこを踏まない(=汚れることを嫌がる)」という子どものやんちゃな行動を並べています。2番では「落書きサラサラ」「おもちゃはバラバラ」「子犬はポカポカ(たたく)」「いたずらニコニコ」と続き、やんちゃな行動を生き生きと描写しています。
ヤンチャリカの作詞・阿久悠と作曲・小林亜星の昭和最強コンビ
「ヤンチャリカ」は1968年(昭和43年)に発表された曲で、作詞は阿久悠、作曲は小林亜星が担当しています。この2人の組み合わせは、昭和の音楽シーンでは最強と言えるほどの実績があります。
阿久悠(1937〜2007年)は兵庫県淡路島出身の作詞家・放送作家で、本名は深田公之といいます。「また逢う日まで」「津軽海峡・冬景色」などの大人向けヒット曲を多数手がける一方、童謡や子ども向けの歌にも精力的に取り組みました。生涯で手がけた作品は5,000曲以上にのぼります。
一方、小林亜星(1932〜2021年)は東京都出身の作曲家・俳優です。NHK「おかあさんといっしょ」や「みんなのうた」の楽曲を多数作曲し、「あわてんぼうのサンタクロース」「にんげんっていいな」など、保育現場でおなじみの曲を世に送り出してきました。この2人が組んだ「ヤンチャリカ」は、まさに子ども向けの黄金コンビによる作品といえます。
注目すべきは阿久悠の歌詞の書き方です。「ヤンチャリカ」という言葉自体は造語で、辞書には存在しません。「やんちゃ」という日本語に語感の良い「リカ」をつけた完全なオリジナルワードです。意味のない言葉でも、耳に残るフレーズが子どもの心を引きつけるという阿久悠の作詞哲学が活かされた典型例でもあります。これは使えそうです。
子どもが意味より「音の響き」に反応する、という発達的な特性を踏まえた歌詞設計になっているということですね。保育の現場でよく見られる「子どもが意味を聞かずに歌えてしまう」現象は、こうした音優先の造語設計が生み出しています。
阿久悠 – 作詞家・放送作家としての生涯と業績(Wikipedia)
ヤンチャリカの歌詞が持つ保育的な意味と子どもへの影響
「ヤンチャリカ」の歌詞が保育上とくに興味深いのは、やんちゃな行動のすべてを「ヤンチャリカ」というひと言で受け止めている点です。怒ったり叱ったりする言葉が一切ないのです。
1番の歌詞「いうこときかない ヤンチャリカ」「ごはんをたべない ヤンチャリカ」は、大人からすれば困る子どもの行動ですが、歌の中では全て「ヤンチャリカ」として肯定的に歌われています。「べんきょうやらない ヤンチャリカ」という歌詞も同様で、ネガティブな行動をリズムに乗せて面白がる構造になっています。
2番の「らくがきサラサラ ヤンチャリカ」「おもちゃはバラバラ ヤンチャリカ」は擬音語も豊かで、子どもたちが歌いながらその場面を頭に思い浮かべやすい作りです。「こいぬはポカポカ ヤンチャリカ」という一節は、子どもが子犬をたたいてしまう場面を描いており、完全に問題行動ではあるものの、歌の中では微笑ましく表現されています。歌詞が豊かです。
この「受け止めの構造」は、保育における「肯定的な言葉かけ」の考え方と通じるものがあります。子どもの行動を頭ごなしに否定せず、まずその存在ごと受け入れる姿勢が歌詞の中に反映されているわけです。実際に保育の現場でやんちゃな行動が続いたとき、この歌を一緒に歌うだけで場の空気が和らぐことがあります。子どもが「わかってもらえた」と感じやすい曲として機能するのはそのためです。
保育士から見れば、叱り言葉の代わりに「ヤンチャリカだね〜」と笑って返せるフレーズを持てることは、現場でのコミュニケーションコストを下げる実用的な効果もあります。特に気が強くて衝突しやすい3〜4歳児のクラスで活用すると、子どもも保育士も気持ちが楽になる場面が増えます。
ヤンチャリカの歌詞を活かした年齢別保育活用アイデア
「ヤンチャリカ」は3〜5歳児向けの歌として、保育発表会や日常の音楽活動に幅広く使えます。年齢に合わせた活用法を知っておくと、準備がぐっと楽になります。
まず3歳児(年少)クラスでは、歌詞の「いうこときかない」「ごはんをたべない」などの日常行動の描写が、子どもたちにとって「自分のこと」として共感しやすい内容です。振り付けは両手を腰に当て、「ヤンチャリカ」のところで体をくるっと回すだけの簡単な動作でも十分盛り上がります。難しいステップは不要です。
4歳児(年中)クラスでは、中間部の数え歌パート「1234 223 3234…」を活用した手拍子やリズム遊びが効果的です。数字を声に出しながら手拍子を打つことで、リズム感と数の感覚を同時に育てられます。この年齢は数への興味が出てくる時期でもあるため、歌と数を結びつける活動は非常に有効です。
5歳児(年長)クラスでは発表会の演目としても選ばれています。歌詞に登場するやんちゃな行動を一つひとつ体で表現するパントマイム風の演技や、クラス全員でフォーメーションを作りながら歌うアレンジも人気です。クラスの元気なカラーをそのまま舞台で発揮できる曲として、先輩保育士からも評価が高い一曲です。
- 🎵 3歳児向け:腰に手を当てて「ヤンチャリカ」でくるっと回るシンプル振り付けから導入
- ✋ 4歳児向け:数え歌パートで手拍子を打ちながらリズム感と数の概念を育てる
- 🌟 5歳児向け:歌詞の行動をパントマイムで表現する発表会演目として活用
- 🏠 日常保育:食事・片付け場面で「ヤンチャリカだね〜」と歌いかけ、場の雰囲気を和ませる
発表会での選曲を検討している場合、ピアノ伴奏はコード奏法で対応できます。Cメジャーベースの曲ですので、初心者の保育士さんでもコードの根音を1オクターブで交互に弾くだけでリズム感のある伴奏が完成します。楽譜通りに弾くより、コード伴奏の方が元気さが出るという声も多いです。ピアノが得意でなくても安心です。
ピアノ初心者の保育士さんが弾き歌いのコツを探す場合、「保育士のためのコード伴奏入門」という解説動画や参考書が役立ちます。楽譜通りでなくても、子どもたちが楽しく歌える伴奏が実現できます。
4歳児発表会おすすめ歌7選・ヤンチャリカ解説付き(りっちゃんせんせいブログ)
ヤンチャリカの歌詞が50年以上歌い継がれる本当の理由
「ヤンチャリカ」が1968年の発表から50年以上経った今も保育現場で歌われ続けているのには、いくつかの明確な理由があります。それはただの懐かしさではありません。
一つ目は「繰り返し構造の強さ」です。「ヤンチャリカ」というフレーズが1曲で20回以上繰り返されます。子どもの記憶定着には繰り返しが非常に効果的で、2〜3回聞いただけでサビを口ずさめるようになるのはこの設計によるものです。繰り返しが最大の武器です。
二つ目は「共感性の高い歌詞テーマ」です。どの保育園にも「言うことをきかない子」「食事が進まない子」はいます。子どもたちは自分の行動が歌になっていることに喜びを感じます。また保育士にとっても、困った場面でこの歌を使えることへの実用的な価値があります。
三つ目は「音楽的な多様な活用性」です。歌唱・リズム遊び・数え歌・発表会・日常保育と、一曲で複数の使い方ができます。準備の負担が少なく、あらゆる場面に対応できる汎用性が保育士に選ばれ続ける理由の一つです。
近年の調査では、保育士が子どもに歌わせる童謡の上位に「おかあさんといっしょ」出演曲が多く含まれており、「ヤンチャリカ」もその一つとしてアンケートで名前があがっています。1968年当時の初代うたのおにいさん・田中星児が最初に歌い、その後も坂田修(おさむおにいさん)バージョン、林アキラバージョンなど複数のシンガーによって歌い継がれてきた歴史も、この曲の認知度を高めてきた要因です。
- 🔁 繰り返し構造:1曲の中で「ヤンチャリカ」が20回以上登場、子どもが短時間で覚えられる
- ❤️ 共感テーマ:どのクラスにもいる「ヤンチャな子」を肯定的に描写、子どもも保育士も楽しめる
- 🎶 活用の多様性:歌唱・リズム・数え遊び・発表会と一曲で複数ねらいに対応
- 🕰️ 歴史的裏付け:初代から現代まで複数歌手にカバーされ、世代を超えた認知度を持つ
保育現場での「定番曲」は偶然ではなく、構造的な理由で選ばれています。「ヤンチャリカ」の場合は、子どもの発達的な特性・保育士の実用的なニーズ・音楽的な豊かさの三つが揃った、稀有な一曲だということです。
長く歌われる理由があるわけです。保育士として「なぜこの歌を歌うのか」を言語化して子どもや保護者に伝えられると、保育の質がさらに上がります。


