山桜の歌を篠笛で奏でる保育士の春の表現

山桜の歌を篠笛で保育に活かすすべてのこと

篠笛を練習し始めた保育士の9割以上が、最初の1週間で「音が出ない」と感じて練習をやめてしまっています。

この記事でわかること
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「山桜の歌」の成り立ちと魅力

四世寳山左衛門が若山牧水の詩にインスピレーションを得て作曲した名曲の背景と、春の情感あふれるその音楽的特徴を解説します。

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篠笛の選び方と練習の始め方

初心者保育士でも取り組みやすい篠笛の調子の選び方や、音が出るようになるまでの具体的な練習ステップを紹介します。

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保育の現場での活かし方

「山桜の歌」を子どもたちの春の行事や卒園式などでどのように披露し、日本の伝統文化を伝えるかの実践的なアイデアをまとめています。


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山桜の歌とはどんな篠笛曲か?背景と作曲者を知る

 

「山桜の歌」は、四世寳山左衛門(ふくはらひゃくのすけ、六代目福原百之助)が作曲した篠笛の名曲です。曲の長さはCD収録版でおよそ3分30秒。歌舞伎や長唄の世界で活躍した福原流宗家の四代目が、明治・大正を代表する歌人・若山牧水が伊豆の湯ヶ島で詠んだ「うらうらと照れる光にけぶりあい咲きしずもれる山桜花」という詩に想いをよせて作曲したと伝えられています。

春の霞に包まれながら、ひっそりと咲く山桜の姿を、篠笛の繊細な音色で表現した作品です。演奏者によって解釈が異なり、福原一笛や狩野嘉宏など著名な篠笛奏者がそれぞれの個性で吹き分けています。

つまり、「山桜の歌」は詩と音楽が融合した日本らしい叙景曲です。

演奏に使われる篠笛の調子は五本調子・七本調子が多く見られますが、代表的な音源(狩野嘉宏氏)では蘭情管(らんじょうかん)の五本調子が使用されています。曲の構成は呂音(ろおん=低音域)から甲音(かんおん=高音域)まで幅広く使い、息のコントロールと指使いが演奏の鍵となります。保育士として春のBGMや卒園式の演奏曲として選ぶ方も少なくありません。

項目 内容
曲名 山桜の歌(やまざくらのうた)
作曲 四世寳山左衛門(六代目 福原百之助)
着想元 若山牧水の詩「うらうらと照れる光に…」
演奏時間目安 約3分30秒
使われる音域 呂音〜甲音(低音〜高音)
よく使われる調子 五本調子・七本調子

参考:日本音楽の巨匠「笛 寶山左衛門」収録曲リスト(日本伝統文化振興財団)

日本音楽の巨匠 笛 ── 寶山左衛門
寶山左衛門

山桜の歌を篠笛で吹くための音域と息の仕組みを理解する

「山桜の歌」を演奏するうえで最初の壁になるのが、呂音(低音域)と甲音(高音域)を自在に行き来する技術です。これが理解できれば、練習が一気にスムーズになります。

篠笛の音域は大きく3つに分かれています。

  • 呂音(ろおん):腹の底からゆっくり息を出す低音域。音量は大きく安定感があります。
  • 甲音(かんおん):息を細くして速く吹く高音域。呂音と同じ運指でも、息のスピードを上げるだけで1オクターブ跳躍します。
  • 大甲音(だいかんおん):さらに息を絞りこんだ最高音域。「い」の口の形で唇を引いて吹くのがコツです。

重要なのは、呂音から甲音への切り替えが「運指を変える」のではなく「息のスピードと唇の形を変える」だけで起こるということです。意外ですね。フルートやリコーダーに慣れた保育士ほど、指で音域を切り替えようとして混乱しがちなので注意が必要です。

「山桜の歌」では特に曲の中盤から後半にかけて甲音が多用されます。この部分で音が割れたり途切れたりする経験が演奏者のSNS投稿でも報告されています(Instagram @kanobambooflute 2025年9月投稿参照)。

甲音を安定させるための練習法として、まず2番の音(ソに相当)を5〜6秒間一定に伸ばす「ロングトーン練習」が有効です。一音で良いので毎日10分続けるだけで、2〜3か月後には音色が別物のように変わります。

参考:篠笛演奏における息コントロールと音質に関する考察

篠笛演奏における息コントロールと音質に関する考察

山桜の歌を練習する前に知っておきたい篠笛の選び方

篠笛を選ぶときに「何本調子にすればいいか」で迷う方がとても多いです。これが基本です。

篠笛には三本調子から十本調子まで種類があり、数字が大きくなるほど管が短く音が高くなります。「山桜の歌」の代表的な演奏では五本調子・七本調子が使われていますが、保育士が最初に取り組む一本として推奨されているのは七本調子か八本調子です。

その理由は次の通りです。

  • 七本調子は指穴の間隔が適度で、手の小さな方でも押さえやすい
  • 八本調子(C調)はドレミ音階に近く、ピアノなど他の楽器と合奏しやすい
  • どちらも「さくらさくら」「ふるさと」など保育でよく使う童謡の楽譜が豊富

価格は、プラスチック製なら約2,000円から始められます。竹製は10,000円以上が相場です。これは使えそうですね。

最初からこだわって竹製を買う必要はありません。プラスチック管は音色も竹とほぼ変わらず、水洗いができて衛生的なため保育の現場でも扱いやすいというメリットがあります。島村楽器の資料によれば「アルトリコーダーに比べ生徒の関心度が高い」という評価もあるほど、子どもたちが興味を持ちやすい楽器です。

篠笛の種類 価格目安 特徴 向いている人
プラスチック製 2,000円〜 丈夫・水洗い可・気軽に持ち運べる 初心者・練習用
竹製(廉価) 10,000円〜 音色が豊か・吹き心地が良い 中級者〜
竹製(上位) 数万円〜 笛師の手作り・音色に個性がある 本格的に続ける人

参考:篠笛の値段とプラスチック管・竹の比較(篠笛麻の会)

篠笛の値段は?【プラスチック管と竹で比較】
篠笛奏者のひろきです。篠笛の値段はどれくらいなのでしょうか?和楽器なので高いイメージがある方も多いと思います。せっかく始めたいと思ったのに、値段が高かったらやる気も無くなりますよね。安心してください。篠笛の値段は思っているほど高くはないです...

山桜の歌を篠笛で演奏できるようになるまでの練習ステップ

「山桜の歌」は篠笛の中では中級〜上級寄りの曲とされています。ただし、正しいステップを踏めば保育士でも十分に習得可能です。

まず目安の時間感覚をつかんでおきましょう。

  • 🎵 Step1(1〜2か月):基本的な音の出し方を習得。月3回程度の練習で簡単な童謡が吹ける。
  • 🎵 Step2(3〜6か月):呂音と甲音を切り替えられるようになる。毎日10分のロングトーン練習が効果的。
  • 🎵 Step3(6か月〜1年):音符を見ながら初見演奏ができるようになる。「山桜の歌」のフレーズ練習を開始。
  • 🎵 Step4(1年〜):「山桜の歌」を通して演奏できるレベルへ。暗譜すると舞台映えがぐっと上がります。

独学の場合、楽譜は「横笛の邦声堂」(yokobue.la.coocan.jp)などの専門サイトで入手できます。「山桜の歌」の楽譜は専門CD教材にも収録されており、同CDには福原百之助・福原百華による模範演奏も含まれています。

一音ずつ暗譜するのが基本です。特に「山桜の歌」では曲中のフレーズに独特の間(ま)があり、楽譜を見ながらの演奏よりも体で間を覚えた方が自然な表現になります。暗譜することで、保育現場でも子どもたちの方を向きながら演奏できるというメリットもあります。

練習中は、緊張や口の乾きによって本番だけ音が途切れるケースも珍しくありません。これに対処するには、水を飲んでから練習する習慣と、本番前にウォーミングアップを10分間行うことが有効です。

参考:しの笛 よくある質問・上達法(和の笛)

しの笛 良くある質問
しの笛総合サイト、 篠笛教室、篠笛販売 篠笛楽譜、篠笛の吹き方、笛製作

山桜の歌の篠笛演奏を保育の現場で活かす独自視点のアイデア

ここからが、他の記事ではほとんど語られていない内容です。

「山桜の歌」を保育の現場に取り入れる際、多くの保育士は「卒園式や発表会で演奏する」というシナリオを想定します。もちろんそれも素晴らしい活用法ですが、実は「山桜の歌」には保育の日常的な場面にこそ強みが発揮される使い方があります。

それは、「春のお昼寝BGM」や「散歩からの帰園時のBGM」として流す方法です。

若山牧水の詩に想を得たこの曲は、春の穏やかな光と山桜が霞の中に溶けていくような情景を音で表現しています。そのため、3〜5歳の子どもたちが絵本や積み木遊びに集中しているときのBGMとして非常にマッチします。静かな午睡前に流すと、子どもたちが自然と落ち着いていくという保育士の声も報告されています。

和楽器の音には特有のかすれや揺らぎがあり、これが西洋楽器の音よりも自然の音(風・水・葉ずれ)に近い周波数特性を持つとも言われています。いいことですね。

さらに、幼児教育における和楽器の研究では、伝統音楽に触れることで「共感力・協調性・文化アイデンティティ」が育まれる効果があると報告されています(サクラトーン「幼児教育における和楽器の効果」)。保育士が実際に「山桜の歌」を吹く姿を子どもたちに見せることは、音楽教育の教材としてだけでなく、日本文化への自然な誇りを育む体験にもなります。

発表会で演奏するときには、曲の由来(若山牧水の詩・山桜のイメージ)を子どもたちと一緒に絵本や春の花の写真で共有してから披露すると、子どもたちの表情と反応が大きく変わります。「音楽を聴く」から「物語を感じる」体験になるからです。

参考:幼児教育における和楽器の効果(サクラトーン)

https://sakura-tone.com/evidence/

山桜の歌―ノート他 (1958年) (肉筆版選書)