わらしべ長者のあらすじを簡単に・保育での活かし方
わらしべ長者のあらすじを読み聞かせる保育士の多くは「やさしい話だから簡単に伝えられる」と思いがちですが、実は話の構造が「だんだん話」という特殊な形式で、伝え方を誤ると子どもが途中で置いてけぼりになります。
わらしべ長者のあらすじ:簡単な流れと交換の一覧
わらしべ長者の物語は、貧しい男が観音さまのお告げに従って「わら1本」を持ち旅に出るところから始まります。 お告げの内容は「お堂を出たときに最初に手にしたものを大切にして西へ進め」というシンプルなもので、男は転んだ弾みにわらを握ります。nihon.syoukoukai+1
旅の途中、男はアブをわらに結びつけて歩いていました。泣き止まない赤ちゃんにそのわらしべを見せると喜んで泣き止み、母親がお礼にみかんをくれます。 次に、具合が悪くなった旅のお嬢様にみかんをあげると、代わりに高級な絹の反物を受け取ります。 さらに、道で倒れている死にかけの馬を強引に引き取って懸命に介抱し、元気になった馬を長者に売り、千両を得ます。 最終的には、引っ越し先の馬が足りなくて困っていた屋敷の主人に馬を譲り、屋敷と田んぼを丸ごともらって大長者となりました。ddnavi+3
これが基本です。
物々交換の流れを整理すると、以下の通りです。
| 順番 | 交換前 | 交換後 | 相手 |
|---|---|---|---|
| ① | わらしべ(藁くず) | みかん | 赤ちゃんの母親 |
| ② | みかん | 絹の反物 | 旅のお嬢様 |
| ③ | 絹の反物 | 死にかけの馬 | 旅人 |
| ④ | 元気になった馬 | 千両 or 屋敷と田んぼ | 長者・屋敷の主人 |
物語のバージョンによって細部が異なる場合もありますが、「わら1本→最終的に屋敷」という大筋は共通です。 この「だんだん話」の形式は典型的な昔話の構造で、子どもが展開を予測しながら楽しめるという特徴があります。hugkum.sho+1
わらしべ長者の原典と歴史・長谷寺との深い関係
わらしべ長者の原典は、13世紀初めに作られた説話集「宇治拾遺物語」にあります。 宇治拾遺物語は民間伝承・民話・童話などを集めた滑稽的要素の多い説話集ですが、仏教的色彩が濃く、わらしべ長者にも「観音様を信仰すれば幸せになれる」という仏教観がよく表れています。
物語に登場する観音様の舞台は、奈良県の総本山・長谷寺とされています。 長谷寺は8世紀前半に創建された古寺で、平安時代中期以降は藤原道長なども参詣した観音霊場です。 現在の本堂は徳川家光の寄進を得て1650年に完成した由緒ある建物です。masayanei+1
歴史は深いですね。
保育士が子どもにこの背景を伝える必要はありませんが、「観音様という神様が男の子を助けてくれた」という文脈を共有することで、物語への没入感が高まります。 また、800年以上語り継がれてきた物語だということを保育士自身が理解しておくと、読み聞かせの際に自信を持って伝えられます。
参考)『わらしべ長者』のあらすじは?物語に込められた教訓 – Ch…
参考リンク:長谷寺公式サイト「藁しべ長者」ページ(原典に近い物語の背景が確認できます)
わらしべ長者のあらすじに込められた教訓・子どもに伝えるポイント
わらしべ長者の教訓は大きく3つに整理できます。hamamatsu-pippi+1
- 🌾 信じる心の大切さ:男は観音様のお告げを疑わずに行動した。疑っていたら最初のわらしべを渡せず、連鎖は始まらなかった
- 🤝 やさしさが連鎖する:泣いている赤ちゃん、具合の悪いお嬢様、倒れた馬など、困っている存在に惜しみなく与えたことが次の幸運につながった
- 🔄 計画性ではなく誠実さ:男は最初から「屋敷を手に入れよう」と計算していたわけではない。目の前の人のために動いた結果、運が開けた
つまり「やさしさ→運→幸せ」が原則です。
保育の現場でこの物語を使う際は、「このとき男の子はどんな気持ちだったかな?」と子どもに問いかけるのが効果的です。 昔話研究者の小澤俊夫氏は、わらしべ長者について「子どもは自分が獲得しているものとちょうど合致するものと出会った時に次の段階に進める」と述べており、子どもの成長とも重なる物語です。 保育士が読み聞かせる際は、子どもが登場人物に感情移入できるよう、一つひとつの交換場面でテンポを落として表情豊かに読むことが重要です。hoikushibank-column+1
参考リンク:昔話に学ぶ子育ての知恵(わらしべ長者についての専門家解説)

保育士がわらしべ長者のあらすじを読み聞かせるときの年齢別ポイント
わらしべ長者の読み聞かせは、年齢によって伝え方を変えることが重要です。登場人物が多く、物々交換が4回繰り返されるため、3歳以下の子どもには展開が速すぎると感じさせる場合があります。
参考)わらしべ長者【読み聞かせ♪】朗読/日本昔ばなし/寝かしつけ【…
年齢別の目安は以下の通りです。
- 👶 3歳以下:「わら→みかん→ぬの」など、交換の数を2回程度に簡略化する。視覚的に絵本を大きく見せ、アブが飛んでいる場面など動きのある絵で引き付ける
- 🧒 4〜5歳:全編を読み通せる年齢。「次は何に変わるかな?」と問いかけながら進めると、集中力が続く
- 🏫 5〜6歳(就学前):「なぜ男の子はわらしべを持ったまま旅を続けたの?」など、登場人物の気持ちを推測する質問が有効。小学1年生の国語教材にもなっている物語なので、文字への興味にもつながるhikarinokuni+1
これは使えそうです。
特に重要なのは、「絵本の読み聞かせは子どもの語彙・集中力・想像力・共感性を同時に育む」という点です。 読み聞かせを行う際に脳科学的な裏付けがあることを保育士が知っておくと、保護者への説明にも自信が持てます。物語を聞き集中することで、脳の大脳辺縁系が刺激され、記憶力や想像力にも良い影響があるとされています。ehon-bunka+1
参考リンク:保育に役立つ読み聞かせの効果と読み方のコツ(保育士バンクコラム)
保育士だけが知るわらしべ長者の現代的な活用法と独自視点
一般的にわらしべ長者は「幸運の話」として語られますが、保育の現場では「子ども自身の交渉体験」と結びつけることで、より深い学びになります。 例えば、「砂場のおもちゃを貸してあげたら友達が喜んでくれた」という日常の経験と、わらしべ長者の「与えたら返ってきた」という流れを保育士が意識的につなげることで、子どもは自分ごととして理解できます。hugkum.sho+1
この視点は独自です。
また、わらしべ長者はビジネスの基礎とも重なるという見方もあります。 「他人が困っていることを解決するとお金になる」というビジネスの原理を、小学校の教材として扱うケースも増えています。 保育士が「やさしさの連鎖」という視点だけでなく、「人の役に立つことで世界が広がる」という社会性の視点で語ると、5〜6歳の子どもにも響く伝え方ができます。
読み聞かせ後の活動として、以下のような展開も効果的です。
- 🎨 物々交換ゲーム:クラスで好きなおもちゃや絵を描いたカードを使い、「交換してみよう」という活動をする
- 🗣️ 続きを作ろう:「もし馬の次に何を交換したらどうなる?」と子どもに創造してもらう
- 📝 感情カード:観音様・男・赤ちゃんの母親などの「気持ちカード」を作り、それぞれの場面でどう感じたか考える
保育士の読み聞かせは、物語を「聞かせるだけ」に終わらせないことが大切です。 読んだ後の問いかけや活動で、子どもが自分の言葉で感じたことを表現できる場を作ることが、語彙力・思考力・社会性の発達につながります。narasaho-c+2
参考リンク:昔話絵本の比べ読みを活用した指導と効果(奈良佐保短期大学研究紀要PDF)


