ウェールズ民謡の歌を保育に活かす完全ガイド

ウェールズ民謡の歌を保育で使いこなす全知識

「ひいらぎかざろう」は実はクリスマスソングではなく、新年を祝うウェールズの民謡が起源です。

この記事でわかること
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代表的なウェールズ民謡の歌5選

「ひいらぎかざろう」「Suo Gan」「夜もすがら」など、保育で使える代表曲の特徴と由来を解説します。

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ウェールズ民謡ならではの音楽的特徴

ハープを中心とするケルト文化の歌の魅力や、子どもの感受性を育てる音楽的要素を紹介します。

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保育現場での具体的な活用法

年齢別のおすすめ曲の選び方や、クリスマス会・お昼寝など場面別の取り入れ方を詳しく解説します。

ウェールズ民謡の歌「ひいらぎかざろう」の知られざる由来

 

保育園のクリスマス会で毎年歌われる「ひいらぎかざろう」。多くの保育士が「クリスマスソングの定番」として認識しているこの曲ですが、その起源はクリスマスとは直接関係のない、ウェールズの民謡です。原曲タイトルは「Nos Galan(ノス・ガラン)」といい、ウェールズ語で「大晦日の夜」を意味します。つまり、もともとは新年を祝う歌でした。

「カムリ(ウェールズ)の山々を愛する人には、暖かな新年が来ますように」という内容だったこの民謡が、クリスマスソングとして世界に広まったのは19世紀のこと。スコットランドの音楽家トーマス・オリファント(Thomas Oliphant, 1799〜1873年)が英語の歌詞を書き直したことで、クリスマスキャロルとして定着しました。それが日本語版の「ひいらぎかざろう」へとつながっています。

繰り返し登場する「ファラララ〜」のフレーズは、もともとハープで演奏される部分でした。歌詞のない旋律パートをそのまま音節で表現したもので、ウェールズの楽器文化の名残りが今も歌の中に残っているということです。つまり「ウェールズ民謡の歌=ハープの息吹が宿っている」ということですね。

さらに驚くべき事実として、18世紀にモーツァルトがこの曲をヴァイオリンとピアノの二重奏として用いているという記録も残っています。世界的大作曲家も注目した旋律が、今日の保育現場で子どもたちに歌い継がれているという点は、保育士として伝えてみる価値のある豆知識でしょう。

保育での活用としては、3歳以上のクラスにおすすめです。

ポイント 内容
原曲名 Nos Galan(ウェールズ語:大晦日の夜)
英語歌詞版 Deck the Halls(1862年頃)
特徴 「ファラララ〜」はハープ演奏部分が起源
保育での推奨年齢 3歳児以上

ウェールズ民謡の詳細な歌詞・解説については、世界の民謡・童謡サイトに詳しくまとまっています。

ひいらぎかざろう 歌詞の意味・和訳(世界の民謡・童謡)

ウェールズ民謡の歌「Suo Gan(スォ・ガン)」子守唄としての保育活用

「Suo Gan(スォ・ガン)」は、ウェールズ民謡の中でも特に美しい子守唄として知られています。タイトルはウェールズ語で「子守唄」そのものを意味し、「suo=あやす」「cân=歌」という2つの言葉から成り立っています。実はこの曲、1987年のスティーブン・スピルバーグ監督作品『太陽の帝国』の挿入歌として使われており、映画の中でジェームス・レインバードによるボーイソプラノで歌われる場面は多くの人々の心に残っています。

歌詞の内容は、母親が腕の中の我が子に「何も恐れることはない、夜もすがら守ってあげる」と語りかける内容です。「母の腕の中に、母の愛がある——誰にもあなたを傷つけさせない」という日本語訳に表れているように、安心感・温かさが言葉の芯に込められています。

保育現場でのお昼寝タイムや、乳児クラスの寝かしつけ時間に流すBGMとして非常に相性がよい曲です。ウェールズ語の原語の歌詞は独特の語感を持ち、「ch」音は喉を振動させる発音が特徴的で、日本語にはない音の質感が子どもの聴覚刺激にもなります。子どもは新しい音への好奇心が強いため、「違う言葉の歌」として保育士が軽く紹介するだけで、子どもの興味が大きく広がります。

英国の著名な歌手シャルロット・チャーチ(当時12歳)のデビューアルバム「天使の歌声」(1998年)にも収録されており、そのボーイソプラノに近い透明な歌声は保育の場での参考音源としても活用できます。YouTubeで「Suo Gan Welsh Lullaby」と検索すれば、複数の高品質な参考動画が見つかります。これは使えそうです。

  • 🌙 お昼寝BGMとして:ゆったりした3拍子のリズムが自然と眠気を誘います
  • 🍼 乳児クラスの寝かしつけ:母性的な歌詞が乳児の安心感を高めます
  • 🎤 ゆったり歌える曲として:幼児クラスの落ち着きタイムに声に出して歌うと効果的です

Suo Ganの歌詞・解説については以下のページが参考になります。

ウェールズ地方の子守唄「Suo Gan」歌詞の意味(世界の民謡・童謡)

ウェールズ民謡の歌「夜もすがら・とねりこの木立」保育の合唱に活かす

保育の現場でやや年長の子どもたち(5歳前後)や発表会・お遊戯会の合唱曲を探しているとき、「夜もすがら(All Through The Night)」と「とねりこの木立(The Ash Grove)」の2曲は候補として覚えておきたいウェールズ民謡です。

「夜もすがら」は英国最大のクラシック音楽祭「BBCプロムス」の最終夜で毎年演奏される定番曲で、「眠れわが子よ安らかに——夜もすがら守る天使がいる」という子守唄的な内容の英語版が広く知られています。男声合唱で歌われるイメージが強い曲ですが、女性アーティストのオリビア・ニュートン・ジョンやナナ・ムスクーリもカバーしており、あらゆる声域で歌えます。保育士が子どもたちに歌って聴かせる際、スローテンポで穏やかなメロディラインが非常に映えます。

「とねりこの木立(The Ash Grove)」は実は日本でも縁の深い曲で、中学校の音楽の授業でリコーダー演奏曲「木かげの思い出」として長年使われてきた曲がこれです。つまり、多くの保育士自身がすでに一度は演奏したことがある旋律という可能性が高いですね。「The Ash Grove」というタイトルはトネリコ(ash)の木立を指し、夏の日の木陰で懐かしい人との思い出を語るという情感豊かな内容です。

発表会の合唱曲として検討する際は、以下の点に注意すると選曲がスムーズです。

  • 🎼 夜もすがら:テンポが遅く歌詞が少ないため、3〜4歳児でも取り組みやすいです
  • 🌿 とねりこの木立:メロディが程よく動くため、5歳児以上の発表会向けに向いています
  • 📀 楽譜・音源:ミュージックエイトなど楽譜販売サイトで吹奏楽版や合唱版が入手可能です

ウェールズ民謡の合唱・楽譜については以下が参考になります。

夜もすがら All Through The Night 歌詞の意味・日本語訳(世界の民謡・童謡)
とねりこの木立 The Ash Grove(世界の民謡・童謡)

ウェールズ民謡の歌が持つ音楽的特徴と子どもへの発達効果

ウェールズは「歌の国」と称されることがあるほど、歌に対する文化的な深みが特別な土地です。この背景を知ると、ウェールズ民謡をただ「クリスマスソング」として使うだけでは少しもったいないと感じるかもしれません。

ウェールズ音楽の最大の特徴はハープとの結びつきです。ウェールズの民族楽器である「ウェルシュハープ(トリプルハープ)」は、中世の吟遊詩人たちが常に持ち歩いた楽器で、その旋律に即興で対旋律を重ねて歌うという独自の芸術「ケルド・ダントゥ(Cerdd dant)」が今も受け継がれています。このような伝統が、ウェールズ民謡の歌に独特の「重なり・響き」の美しさをもたらしているのです。

また、ウェールズの伝統音楽は19世紀にメソジスト派が浸透した際に一時演奏が途絶えかけたという歴史を持ちます。その結果、他の地域(アイルランドやスコットランド)と比べてより古い形の旋律が保存されており、原始的なシンプルさと情感の深みが共存しています。子どもが聴いても無意識に心地よいと感じる要因のひとつはここにあると言えます。

ケルト音楽(ウェールズを含む)の音階は5音階(ペンタトニック)が基本です。これは日本の民謡・わらべうたと共通する構造で、日本人の耳に自然となじみやすい理由がここにあります。保育士が「なんとなくなじみやすい感じがする」と感じるなら、それは偶然ではありません。音階の構造が似ているためです。

東京大学の教育学研究科では、ウェールズの音楽科教育が「歌を通じて子どもが自然な形で言語に親しむ」手法として注目されており、母語ではない言語の歌を幼少期から聴くことが言語感覚の拡張に寄与すると報告されています。つまり、保育現場でウェールズ民謡を使うことには、情操教育だけでなく言語教育的な意義もあるということです。

保育での活用を考えるなら、こうした背景を子どもたちに「お話」として短く伝えるだけで、歌への興味がぐっと高まります。例えば「この歌はね、遠いところのハープという楽器で演奏されていた歌なんだよ」と一言添えるだけで、子どもは音楽の「物語」に引き込まれます。音楽と文化の背景を伝えることが大切です。

  • 🎸 5音階(ペンタトニック:日本の童謡・わらべうたと同じ音階構造のため子どもになじみやすい
  • 🎶 ハープ由来の旋律:柔らかくなめらかな音の流れが子どもの聴覚に穏やかに作用します
  • 🌍 異文化・多言語刺激:ウェールズ語の音節が日本語にはない聴覚刺激を与え、語感の発達を促します

ウェールズの音楽文化・ハープの歴史については以下が参考になります。

ウェールズ民族音楽のルーツと新しい芽(Wales.com 公式)

保育士が知っておきたいウェールズ民謡の歌・独自視点:季節外れの活用術

ウェールズ民謡というと「冬・クリスマス」のイメージが強いのではないでしょうか。実際、保育の現場でウェールズ民謡が登場するのはほぼ12月のクリスマス会のみ、という保育園が多いはずです。しかしここで少し発想を変えてみると、ウェールズ民謡はむしろ「1年中使える歌」であることがわかります。これは意外ですね。

まず「Suo Gan(スォ・ガン)」は純粋な子守唄なので、クリスマスとは無関係に1年中使えます。春・夏のお昼寝タイムに流れる子守唄として取り入れると、子どもたちにとって「知っている特別な歌」として定着し、眠りへの切り替えをスムーズにする効果が期待できます。毎日同じ曲を流す「入眠ルーティン」として定番化させると、条件付け効果で子どもが短時間で眠れるようになるケースもあります。

「夜もすがら(All Through The Night)」についても、クリスマスソングとして歌われることはありますが、歌詞の内容は純粋な子守唄です。秋の夜長の静かな時間帯に流すBGMや、発表会の幕間のSEとして使うなど、季節を問わない活用が可能です。

「とねりこの木立(The Ash Grove)」は、夏の木陰の情景を描いた歌で、むしろ春〜夏に向いています。中学校の音楽授業でも使われている曲なので、年長クラス(5歳児)の保護者にとって懐かしさを感じてもらえる選曲にもなります。保護者参加型の音楽行事でウェールズ民謡を取り入れると、意外な会話のきっかけになることもあります。

また「ひいらぎかざろう」の原曲「Nos Galan」はウェールズの新年を祝う歌ですから、12月末〜1月初めのお正月シーズンに「実はこの歌、新年を祝う歌なんだよ」と子どもに伝えながら歌うと、文化的な学びの機会にもなります。元日から数日間の保育開始時期に合わせて歌うという使い方が、一般的な「クリスマス曲」としての固定観念を超えた、保育士らしい独自の視点です。

  • 🌸 春・夏(4〜8月):「とねりこの木立」「Suo Gan」——季節感に関係なく使える曲として活用
  • 🍂 秋(9〜11月):「夜もすがら」——発表会・お昼寝BGMとして導入可能
  • ❄️ 冬(12月〜1月):「ひいらぎかざろう」——本来の「新年の歌」という由来も子どもに伝える

ウェールズ民謡を保育に活かす際に役立つ楽譜情報はこちら。

夜もすがら(ウェールズ民謡)吹奏楽楽譜(ミュージックエイト)

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