栂野知子 時を越えて 歌詞の意味と保育の心を育む合唱メッセージ

栂野知子 時を越えて 歌詞

この曲を卒業式で歌う子どもは、実は歌詞の真意を理解できていません。

この記事の3つのポイント
🎵

栂野知子の制作背景

中学校教師として多くの生徒を見送った経験から、甲子園に出場した教え子の姿に感動して作曲された合唱曲

💭

「この日」と「あの日」の意味

現在の努力が未来の支えになるというメッセージが込められ、時を越えて自分を励ます力になる

👶

保育の現場での活用

子どもたちの小さな成長の瞬間を大切にし、将来の自信につながる「この日」を作るサポート

栂野知子が作詞作曲した経緯と甲子園の感動体験

 

「時を越えて」は、栂野知子が中学校教師時代に作詞作曲した混声三部合唱曲です。2008年に音楽之友社から発表され、現在も多くの学校の卒業式や合唱コンクールで歌われています。

参考)合唱団Freie Kunst 時を越えて 歌詞 – 歌ネット

この曲が生まれたきっかけは、栂野知子の教え子が甲子園に出場したことでした。応援に行った栂野は、厳しい練習に耐えて最後に涙を流す生徒たちの姿に深く感動し、帰宅後すぐにこの曲を書き上げたそうです。

つまり創作のきっかけは野球です。

参考)作者が語る『時を越えて』制作秘話、演奏・指導のポイント

栂野は「この子は一生これを忘れないで、これを糧にして生きていけるんだろうな」と感じ、頑張った経験がある人とない人では大人になったときに全然違うと考えました。今すぐ結果に結びつかなくても、その努力がいつかどこかで自分に返ってくることを伝えたかったのです。

栂野知子 時を越えて 歌詞に込められた「この日」の重要性

歌詞の中に「この日の喜びと この日の悔しさを 忘れないように 深く胸に刻み込もう」という一節があります。この「この日」という言葉には特別な意味が込められています。uta-net+1

1番の歌詞では「この日」という表現が使われ、これは夢がかなった今のことを指します。2番では「あの日」と過去形になり、一つ夢がかなった後のことを振り返っています。

これが「この日」と「あの日」の違いです。

「この日」を持っている人は、つまずいても「あの日」を思い返してまた頑張れると栂野は語ります。それが自分の誇りや自信につながっていくから、「この日」をつくるために今を生きてほしいという願いが込められているのです。何年、何十年経っても「この日」を持っている人は、時を越えて羽ばたけるというのが、この曲の根幹メッセージです。

栂野知子 時を越えて 歌詞の全文と構成の特徴

歌詞の構成は二部に分かれており、それぞれに明確な違いがあります。

1番の歌詞構成

  • 君の夢が一つ 叶おうとしているね
  • 熱い思い重ねて たどり着いた場所
  • ここまでの道のりが 長く厳しかったこと
  • たくましくなった君の背中が 教えてくれる

2番の歌詞構成

  • 君の夢が一つ 生まれようとしてるね
  • 何度も迷いながら たどり着いた道
  • あの日がゴールじゃなくて スタートだったんだと
  • 真っ直ぐに輝く君の瞳が 気づかせてくれた

1番が「叶おうとしている」という達成の瞬間を描くのに対し、2番は「生まれようとしてる」と新たな始まりを表現しています。

ゴールではなくスタートという発想です。

サビの部分では「精一杯の声を出した この瞬間がいつかきっと 君が生きていく力に 変わる時が来るから」と繰り返され、努力の意味を未来へつなげています。最後には「時を越えて羽ばたいて」というフレーズで締めくくられ、タイトルの意味が明確になります。

栂野知子の作詞における特徴は、第三者の視点から語りかける会話調のスタイルです。これは卒業生に対して保護者や教師が語りかけるような構成になっているため、歌っている本人が若干ピンとこない可能性があると指摘されています。

保育士として「時を越えて」の歌詞から学ぶ子どもへの関わり方

保育の現場では、子どもたちの小さな成長の瞬間一つひとつが「この日」になり得ます。「時を越えて」の歌詞が伝えるメッセージは、保育士として子どもたちにどう関わるかのヒントになります。

子どもが初めて逆上がりができた日、友達と協力して作品を完成させた日、苦手な野菜を食べられた日。これらすべてが将来の自信につながる「この日」です。保育士はそうした瞬間を見逃さずに、子どもと一緒に喜び、その頑張りを認める役割があります。

栂野が「頑張ってよかったと思えるときがきっとくる」と語ったように、今すぐに結果が出なくても、子どもの努力を肯定的に受け止めることが大切です。失敗や悔しさも含めて「深く胸に刻み込」む経験が、時を越えて子どもを支える力になるのです。kyoikuongaku.ontomo-mag+1

具体的には、子どもの挑戦する姿を写真や動画で記録し、卒園時にアルバムとして贈る取り組みが効果的です。

これが記憶の具体化です。

また、日々の連絡帳で保護者に子どもの小さな成長を伝えることで、家庭でも「この日」を共有できます。子どもが将来つまずいたとき、「あの日」を思い出して立ち上がる力になるでしょう。

栂野知子の他の合唱作品と保育現場での音楽活動への応用

栂野知子は「時を越えて」以外にも多くの合唱曲を作曲しています。「君と歩こう」「My Own Road〜僕が創る明日〜」「Under the Same Sky」「僕らの奇跡」など、どれも子どもたちの成長と未来への希望をテーマにした作品です。

参考)栂野知子 – Wikipedia

栂野は産休代替として札幌の小学校に赴任した際、子どもたちと打ち解けるために自作の曲を作り、朝の会で毎日のように歌っていたそうです。その際に歌っていた曲は、後に『レッツゴー!あしたへ』として出版されました。

これは実践的アプローチです。

保育の現場でも、この方法は応用できます。子どもたちとの日常をテーマにした簡単な歌を作ることで、クラスの一体感が生まれ、保育士と子どもたちの絆が深まります。専門的な音楽知識がなくても、日常の出来事を歌詞にし、簡単なメロディーをつけるだけで十分です。

例えば、お片付けの時間に歌う曲や、お散歩に行くときの歌など、生活の場面ごとにオリジナルソングを作ると効果的です。子どもたちが自分たちの歌として愛着を持ち、卒園後も思い出として心に残ります。

栂野知子が語る『時を越えて』の演奏・指導のポイントでは、Aメロは「語る」部分なので言葉を大切にすること、ユニゾンの歌い出しは気持ちをそろえて入ることなど、具体的な指導法が紹介されています。こうした技術的なアドバイスは、保育士が子どもたちと歌う際にも参考になるでしょう。

「時を越えて」の歌詞は、卒業してから時が経って、もう一度聞いてみると、幼い学生時代の自分の成長を温かい目で見守ってくれた先生達や家族の姿が目に浮かぶと言われています。この曲の真価は、卒業生として歌っている時ではなく、時を越えて大人になって振り返ってみて初めて実感できるのです。

保育士として、今日という日が子どもたちの「この日」になるよう、一つひとつの瞬間を大切に関わっていきたいですね。栂野知子の作品に込められたメッセージは、保育の現場でも十分に活かせる普遍的な価値を持っています。


小学生のための心のハーモニー ベスト!全10巻(2)学級(クラス)の歌