テヌートの意味を音楽で理解し保育士が活かす方法

テヌートの意味を音楽で正しく理解して保育に活かす

テヌートを「ただ伸ばす記号」と教えると、子どもの音楽センスが育ちません。

🎵 この記事の3ポイント要約
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テヌートの正確な意味

テヌートは「音を十分に保って演奏する」記号。単なる「長く伸ばす」ではなく、音の重さ・存在感を大切にするニュアンスが含まれている。

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他の記号との違いが重要

スタッカート・スラー・アクセントと混同しやすいが、テヌートは「音が短くならず、かつ滑らかにつながりすぎない」独自のポジションを持つ。

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保育現場での活用ポイント

子どもへの音楽指導でテヌートを正しく伝えると、歌声や楽器演奏の表現力が自然に豊かになる。日常の読み聞かせや歌遊びにも応用できる。

テヌートの意味とイタリア語の語源:音楽記号の基本

 

テヌート(tenuto)は、イタリア語の「tenere(保つ)」を語源とする音楽用語です。 楽譜上では音符の上または下に「―」という横棒で示され、「ten.」と省略されることもあります。 意味はシンプルで、「その音の長さを十分に保って演奏する」こと。短すぎず、かつ長すぎず、音符本来の長さをしっかり意識して弾く・歌うのが基本です。vrpiano.co+1

つまり「音を大事に扱う」が原則です。

保育士の立場から見ると、「テヌートって何?」と子どもに聞かれたとき、「長く伸ばす記号だよ」とだけ答えてしまいがちです。ただ、この説明だけでは本来のニュアンスが伝わりません。「この音、大切にしてね」という作曲家のメッセージが込められているのがテヌートの本質です。

保育で歌の指導をする際に「この横棒は何?」と聞かれたときのために、音楽辞典よりも分かりやすく体感できる伝え方を覚えておくと現場で即役立ちます。

テヌートの歌い方・振り方・他記号との違いを詳しく解説(エスタワコーラス)

テヌート記号の音楽的な働き:スタッカート・スラーとの違い

テヌートと混同されやすい記号に「スタッカート」と「スラー」があります。スタッカートは音を短く切る記号、スラーはフレーズ全体を滑らかにつなぐ記号です。 テヌートはその中間に位置しており、1つ1つの音符を独立させつつ、しっかり音価(音の長さ)を保つという独特の役割を持っています。

参考)テヌートの意味とは?| 歌い方・振り方・他の記号との違いを解…

それぞれの違いを整理するとこうなります。

記号 音の長さ 音のつながり 主なイメージ
スタッカート 短くなる 切れる 弾む・軽い
スラー 変わらない 滑らかにつながる 流れる・なめらか
テヌート 保つ・やや長め 切れない・つながりすぎない 重みがある・大切にする
アクセント 短くなる傾向 強調して切れる 力強い・ゴツゴツ

この違いを知っておくことが重要です。

保育の現場では、子ども向けの楽曲で「この音だけ大事に歌って」という場面に頻繁に出会います。そのときにテヌートとスタッカートを混同して指導すると、曲全体のニュアンスがまったく変わってしまいます。記号の種類を視覚的に比較できるカードや掲示物を作っておくと、子どもへの説明が格段にスムーズになります。

ヤマハ公式:スタッカート・テヌート・タイ・スラーの違いをわかりやすく解説

テヌートの演奏での解釈:「保つ」の深い意味と実践的な弾き方

テヌートを「ただ長く伸ばす」と解釈してしまう人は多いですが、実はそれだけではありません。ドイツ語の音楽辞典には「getragen(支えるように引き伸ばす)」という表現があり、単純に音を長くするというより「音に重みを乗せ、少し押さえつけるようなニュアンスを加える」意味が含まれているのです。

これは意外ですね。

日本の音楽辞典に多い「音を保つ」という訳語は、実はこのドイツ語の「持ちこたえる」という意味もしっかり内包していたとも言えます。 表面的には「音の長さを保つ」でも、内側には「音楽が進みながらも、その音に心を込めて丁寧に扱う」という演奏家への指示が込められています。

参考)テヌートの意味(音楽用語)&演奏で意識すべきこと

また、作曲家がテヌートを書く場面を考えると理解が深まります。何千もの音符の中で、作曲家があえてテヌートを書くのは「この音、絶対に短くしないで!」という強いこだわりの表れです。 保育士が子どもに歌を指導するとき、「ここは大切な音だから、気持ちを込めてしっかり出してね」という伝え方が、テヌートの本質に最も近い表現と言えます。

ピアノでのテヌートの弾き方と練習方法をプロが詳しく解説(VRピアノ)

テヌートに関連する音楽用語:ソステヌートとリテヌートの違い

「テヌート」という言葉が含まれる関連用語として「ソステヌート(sostenuto)」と「リテヌート(ritenuto)」があります。 それぞれ意味が異なるので混同に注意が必要です。

参考)テヌートの種類と意味まとめ【tenuto,sostenuto…

  • 🎵 テヌート(tenuto):その音の長さを十分に保つ。音符単位の指示。
  • 🎵 ソステヌート(sostenuto):「支えながら保つ」。フレーズ全体をゆったりと支えるように演奏する。テンポや響きを持続させるニュアンス。
  • 🎵 リテヌート(ritenuto):「直ちに速度を落とす」。リタルダンドより急激にテンポを落とす指示。

この3つは別々の意味を持ちます。

保育の現場で使う楽曲にもこれらの用語は登場します。特にソステヌートはピアノの楽譜に頻出し、「なんとなく重く弾く指示かな」と混同されがちです。テヌートが「1音単位の指示」であるのに対し、ソステヌートは「フレーズ全体のテンポ感・響き感を維持する」という広い範囲に及ぶ違いがあります。この区別を頭に入れておくと、楽譜を読む精度が上がります。

保育士向けの音楽指導本や楽典入門書に「似た用語まとめページ」がある場合は、付箋を貼っておくと現場でパッと確認できて便利です。

保育士が現場でテヌートを活かす独自視点:子どもの歌声指導への応用

保育士がテヌートを「知識として知っている」だけでは、実は子どもへの指導力に差は出ません。大切なのは「体感として伝えられる」かどうかです。

子どもにテヌートの感覚を伝えるとき、楽語そのものを教える必要はありません。たとえば「🐢 このカメさんの音は、ゆっくり丁寧に歩かせてね」「この音はふわっとじゃなくて、ぎゅっと大事に抱っこする感じで歌おう」という言葉の方が、3〜5歳の子どもの歌声に直接変化をもたらします。

テヌートの核心は「大切にする」という感覚です。

さらに、テヌートが付いた音は旋律の中で特に重要な音である場合が多く、その音を際立たせることで「音が大きくなることなく」感情的なアクセントが生まれます。 この「音量は上げないけれど存在感が増す」という効果は、子どもの合唱や歌遊びで使うと表現の幅が広がります。

具体的に保育現場で応用できる場面を以下にまとめます。

  • 🎤 お遊戯会の歌で、サビの最初の音にテヌートがある場合 → 「この音は特別だよ、しっかり届けて」と伝える
  • 🎹 ピアニカ鍵盤ハーモニカの練習でテヌートが登場したとき → 「鍵盤をそっと押さえたまま、音が終わるまで指を離さないよ」と指示する
  • 🎼 楽譜の読み合わせ時 → テヌートの「―」記号を見たら「この音を大切に!のサイン」と覚えさせる

保育士自身が楽譜を読む機会は多く、年に数回のお遊戯会・発表会で合唱曲や器楽合奏の楽譜を扱います。テヌートの記号を自信を持って読み、子どもに的確に伝えられる保育士は、音楽指導で確実に一歩差がつきます。これは保護者からの信頼にも直結します。

日常的に楽典の基礎を学び直したい場合は、「大人のための楽典入門」や「保育士試験 音楽理論」のテキストが市販されており、テヌートを含む記号一覧がまとめて確認できるのでおすすめです。

参考)ソナチネミュージック楽譜ライブラリー

テヌート・ソステヌート・リテヌートの種類と意味の違いをまとめて確認(Kanade)

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