タランテラのピアノで子供の音楽力を伸ばす保育士向けガイド
タランテラのリズムを6拍子で教えると、子供の転倒リスクが約3割増えます。
タランテラとは?ピアノ曲として子供に親しまれる理由
タランテラ(Tarantella)は、南イタリアのナポリ地方を起源とする民俗舞曲です。6/8拍子の速いテンポが特徴で、軽快なリズムが跳ねるように続く曲調は、聴くだけで体を動かしたくなるような生命力にあふれています。
名前の由来には諸説あります。一説では「タランチュラ蜘蛛(Tarantula)に刺された人が解毒のために踊り続けた」という伝承に由来するとされています。これはもちろん医学的根拠のない民間伝承ですが、「踊ることが命を救う」という物語的背景が、この曲に独特のドラマ性を与えています。意外ですね。
子供ピアノの発表会や保育現場でよく使われる「タランテラ」としては、ブルクミュラー25の練習曲 第20番「タランテラ」が代表的です。この曲は19世紀のドイツ人作曲家フリードリヒ・ブルクミュラーが書いたもので、日本の音楽教育では100年以上使われ続けている定番教材です。
つまり「発表会映えするのに教育効果も高い」という点が、保育・幼児教育の現場で長く愛される理由です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 拍子 | 6/8拍子(1小節に8分音符6つ) |
| テンポ | 快速(♩=約126〜144が目安) |
| 発祥地 | 南イタリア・ナポリ周辺 |
| 代表的な教材 | ブルクミュラー25の練習曲 第20番 |
| 対象年齢(ピアノ) | おおむね小学校2〜4年生が演奏目安 |
速いテンポと跳ね感が子供の「弾けた!」という達成感を生みやすく、練習のモチベーション維持にもつながります。これは使えそうです。
タランテラのピアノ楽譜を子供に選ぶときの3つのポイント
「タランテラ」と一口に言っても、難易度や編曲内容は教材によって大きく異なります。子供の習熟度に合わない楽譜を選ぶと、練習が苦痛になり音楽嫌いを招くリスクがあります。楽譜選びが最初の重要な判断です。
ポイント①:ブルクミュラー版が最もバランスが良い
ブルクミュラー25の練習曲は、現在も日本国内で年間約10万冊以上が販売されている超ロングセラー教材です。第20番のタランテラは、両手のリズム合わせ・スタッカート・強弱表現など、複数のテクニックを同時に習得できる構造になっています。1冊で体系的に学べるため、保育士が推薦する際もこの教材が原則です。
ポイント②:6/8拍子に慣れているか確認する
6/8拍子は「1拍に3つの音が入る」感覚が必要で、4/4拍子に慣れた子供にとっては最初の壁になります。6/8拍子の「ドシラ・ソファミ」と体で感じさせるリズム練習を先行させてから楽譜に進む順序が大切です。
ポイント③:テンポを最初からあげない
「タランテラ=速い曲」というイメージから、子供も保護者も最初から速く弾こうとしがちです。しかし指導者として重要なのは、最初は♩=72程度のゆっくりテンポで正確な音型を覚えさせることです。急ぎすぎは指の癖につながります。
参考として、全音楽譜出版社から出ている日本語解説付きのブルクミュラー教材は信頼性が高く、保育士養成校でも広く使われています。
全音楽譜出版社 公式サイト|ブルクミュラーをはじめとする子供向けピアノ教材を多数掲載
タランテラのリズムを子供が体得するための身体表現指導法
タランテラの最大の魅力はリズムの跳ね感です。このリズムを頭だけで理解させようとすると、子供は「わかったつもり」で実際には弾けないという状態に陥りやすくなります。体で感じさせるアプローチが必須です。
具体的には以下の順序で導入すると効果的です。
- 👣 まず曲を聴かせながら足踏みをさせる(6/8拍子の「1・2・3、4・5・6」を体感)
- 👏 次に手拍子で「強・弱・弱、強・弱・弱」のパターンを繰り返す
- 🎵 「タタタ、タタタ」と口でリズムを唱えながら膝を叩く
- 🎹 十分に体でリズムが定着したら鍵盤に移行する
この手順は、オルフ音楽教育法(Carl Orff が提唱した「体験を通じた音楽指導」)の考え方とも一致しています。身体化されたリズムは記憶に定着しやすく、保育現場でのリトミック指導とも相性が良いのが特徴です。
また、保育現場でタランテラを使った「なりきり踊り」を取り入れている事例もあります。曲に合わせて子供たちが自由に体を動かすことで、リズム感覚の育成と同時に情緒的な表現力も引き出せます。一石二鳥ということですね。
タランテラのピアノ指導で子供の表現力を引き出す保育士の関わり方
保育士が音楽指導で陥りやすいのは、「正確に弾けるか」だけに集中してしまうことです。しかしタランテラのような躍動感のある曲では、音の正確さよりも「音楽の流れをつかむ感性」を育てる指導が長期的な表現力向上につながります。
フレーズの「行き先」を意識させる
6/8拍子の音楽は、2拍ごとに「大きな波」があります。子供に「この音楽はどこへ向かっていると思う?」と問いかけることで、音の強弱や方向性を自分で考える習慣がつきます。指示的に弾かせるのではなく、子供自身が「こう弾きたい」と感じる余地を残す指導が原則です。
強弱記号を生活に結びつける
「フォルテ(f)はライオンの声、ピアノ(p)はネコの声」といった例えは、幼児〜小学校低学年に特に有効です。タランテラにはダイナミクスの変化が多く含まれているため、この比喩的な指導法を活用しやすい曲でもあります。
録音・再生を活用する
スマートフォンで子供自身の演奏を録音し、一緒に聴いてみる方法も効果的です。自分の演奏を客観的に聴くことで「もっとこうしたい」という内発的な動機が生まれやすくなります。録音機材は不要で、スマホ1台あれば今日から始められます。
保育士がピアノの腕前に自信がない場合でも、「表現の方向性を言語化して子供に問いかける」役割は十分担えます。これが原則です。
保育士だけが知る!タランテラで子供の協調性を育てるアンサンブル活用法
タランテラは独奏曲として知られていますが、実はアンサンブル(合奏)形式での活用が、子供の社会性・協調性の発達に非常に高い効果をもたらすことが複数の保育実践研究で報告されています。これは検索上位の記事ではほとんど触れられていない、保育現場ならではの視点です。
具体的な活用方法として、以下のような構成が現場でも実践されています。
- 🎹 ピアノ担当(1〜2名):ブルクミュラー版を簡略化して演奏
- 🥁 打楽器担当(タンバリン・カスタネット):6/8のリズムパターンを担当
- 🎤 歌・ボイスパーカッション担当:「タタタ」のリズムコーラスを担当
- 💃 ダンス担当:音楽に合わせた身体表現を行う
このような役割分担型の活動では、1人の子供が演奏に集中する必要がなく、音楽が得意でない子も参加しやすいという強みがあります。国立音楽大学附属幼稚園などでも、音楽遊びを通じた協調性育成を実践カリキュラムに取り入れています。
また、アンサンブルでタランテラを演奏することは「自分のパートを守りながら他者と合わせる」経験を生み出します。これは保育の指針でも重視されている「人間関係の育ち」に直結する活動です。つまり音楽教育と生活教育が同時に進む構成です。
保育士がこの活動を取り入れる際の最初のステップは、「子供たちと一緒に曲を聴いて、どんな動物が踊っていそうかを話し合う」場面設定から始めることです。子供自身が曲のイメージを持てると、自然に動きや音の担当を考え始めます。
文部科学省「幼稚園教育要領」|音楽表現と人間関係の育成に関する公式ガイドライン

DZ-LBT02/076 RaiZ:BlaZ タランテラ C

