タヌキ 歌を保育で活かす手遊び・童謡の全活用術

タヌキの歌を保育で活かす手遊び・童謡の全活用術

「証城寺の狸囃子」は実は死んだたぬきの鎮魂歌で、歌うと子どもが泣き止まなくなります。

この記事でわかること
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タヌキ歌の由来と意外な背景

「証城寺の狸囃子」が1924年に怪談をもとに作られた事実や、「げんこつやまのたぬきさん」の都市伝説の真相など、現場で語れるトリビアが身につきます。

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年齢別ねらいと振り付けのポイント

0歳〜5歳児それぞれの発達段階に合わせたタヌキ歌の選び方・導入方法・実演のコツを具体的に解説します。

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保育士試験にも対応!

令和7年度保育士試験の実技課題曲「証城寺の狸囃子」の対策ポイントと、無料楽譜が入手できる信頼できるリソースを紹介します。

タヌキ歌の由来と保育で使われる理由

 

保育現場でタヌキが登場する歌が多いのには、ちゃんとした理由があります。タヌキは日本の昔話や民話に古くから登場する動物で、子どもたちにとって親しみやすいキャラクターです。「ぽんぽこ」とおなかを叩く動作は音とリズムが直感的にわかりやすく、乳幼児でも体で楽しめるという利点があります。

特によく使われるタヌキの歌は、大きく分けて3つです。

曲名 作詞・作曲 発表年 特徴
証城寺の狸囃子 野口雨情 作詞/中山晋平 作曲 1924年(大正13年) 怪談・昔話がモチーフ、和のリズム
げんこつやまのたぬきさん 香山美子 作詞/小森昭宏 作曲 1970年(昭和45年) スキンシップ、ふれあい遊び
こぶたぬきつねこ 山本直純 作詞作曲 1970年代 しりとり、動物の鳴き声まね

「証城寺の狸囃子」は1924年発表という長い歴史を持ちます。作詞家・野口雨情が千葉県木更津市の證誠寺に伝わる「狸囃子伝説」をもとに書いたもので、実は元の伝説では大ダヌキが内臓破裂で死ぬという結末がありました。明るいメロディーとは対照的な背景です。それが令和7年度(2025年度)保育士試験の実技課題曲に選ばれているのは、いわば歴史の重さの証明でもあります。

「げんこつやまのたぬきさん」は1970年に作詞家・香山美子と作曲家・小森昭宏によって生み出された比較的新しい童謡です。NHK「おかあさんといっしょ」でも使われたため、全国的に知られるようになりました。元々は各地にあった伝承わらべ歌をベースに作られており、親子のスキンシップを促す内容が意図的に組み込まれています。

「こぶたぬきつねこ」は、「一年生になったら」「やきいもグーチーパー」なども手がけた作曲家・山本直純が作詞作曲を担当しています。しりとりになっているという巧みな構造が、言語発達の観点からも評価されています。つまり遊びながら語彙力も育てられる一石二鳥の曲です。

参考:野口雨情の詩・証城寺の狸囃子の成立背景

野口雨情の童謡の世界(狸囃子の成立背景)

タヌキ歌「げんこつやまのたぬきさん」の振り付けと年齢別ねらい

「げんこつやまのたぬきさん」は、0歳から楽しめる数少ないふれあい遊び歌のひとつです。基本の振り付けは次のような流れになっています。

  • 「げんこつやまのたぬきさん」…両手をグーにして上下に入れ替える
  • 「おっぱいのんで」…親指を口に当てて飲む仕草をする
  • 「ねんねして」…手のひらを合わせて頬に添える
  • 「だっこして」…両手を前に出してだっこする仕草をする
  • 「おんぶして」…両手を後ろに回しておんぶする仕草をする
  • またあした」…両手のグーを胸の前でぐるぐると回す

年齢ごとに「ねらい」が変わってくるのがこの歌の特徴です。1歳児クラスでは模倣能力が発達し始める時期なので、保育者の動きをそのまま真似して楽しむことが主なねらいになります。2歳児はリズムと体の動きを同時に楽しめるようになるため、テンポを少し変化させて反応を観察するのも効果的です。

3歳以降は歌詞の内容を理解して「意味のある行動」として動きを再現できます。この段階になると、保育者ではなく子ども同士でふれあい遊びとして楽しむことが可能です。つまり、発達段階に応じてどんどん関わり方をアップグレードできる曲、ということですね。

この歌は「都市伝説として怖い」という噂がネット上で広まることがありますが、作詞者の香山美子さんが乳幼児の安心感を意図的に表現した曲です。「おっぱいのんで」「ねんねして」「だっこして」「おんぶして」という一連の動作は、子どもが最も安心を得られる瞬間を並べたものであり、ネガティブな意味は全く含まれていません。

歌詞の意味が気になるとき、「この歌は誰が誰に向けて歌っているのか」を一度整理し直すのが原則です。親が小たぬきの行動を見ながら自分の子どもに語りかけているという構図で読むと、「またあした」は死別の言葉ではなく、翌日もまた安心して遊ぼうねという温かい締め言葉になります。

参考:げんこつやまのたぬきさんの手遊び実演と振り付け

ほいくnote|げんこつやまのたぬきさん振り付き動画

タヌキ歌「証城寺の狸囃子」の背景と保育士試験対策

「証城寺の狸囃子」は保育現場で長く使われてきた名曲であると同時に、令和7年度(2025年度)保育士試験の実技試験課題曲にもなっています。試験では「ハッピー・バースデー・トゥ・ユー」とともに2曲セットで弾き歌いが求められるため、受験を考えている方には避けて通れない曲です。

試験の方式についていくつか重要な点があります。楽譜(紙のみ)の持ち込みが可能、歌詞は1番のみでよい、ピアノのほかギターでの伴奏も認められています。また、前奏・後奏の追加は任意ですが、歌だけ・伴奏だけといった片方のみの演奏は採点対象外となるため注意が必要です。

この曲のピアノ演奏における主なポイントとしては、3拍子のリズムを安定させること、「ぽんぽこぽん」の部分でテンポが崩れやすいため事前に重点的に練習すること、の2点が挙げられます。和のリズムに慣れていない場合は、まず歌だけを何度も口ずさんで体にリズムを染み込ませてから鍵盤に向かうと習得が速くなります。

実際の曲の背景を知っておくと、演奏に説得力が増します。この曲は大正13年(1924年)に野口雨情の作詞、中山晋平の作曲で発表されました。千葉県木更津市の證誠寺に伝わる狸囃子伝説がモチーフで、モデルとなった寺の住職から「不謹慎」と抗議が来るほど話題になった曲でもあります。楽しい童謡に見えて、実は100年の歴史を持つ本格的な作品なのです。

試験に向けた無料楽譜や動画対策講座については、以下のリンクが参考になります。

参考:令和7年度保育士試験「証城寺の狸囃子」ピアノ対策講座

子どもたちに演奏・歌唱して聴かせる際は、テンポや声のトーンを変えることで物語性のある音楽体験になります。「ぽんぽこぽん」の部分でおなかや膝を叩く動作を子どもと一緒にやると、リズム感が自然と身についていきます。3歳以上のクラスでは、昔話の背景を交えて導入するとさらに盛り上がります。

タヌキ歌「こぶたぬきつねこ」のしりとり構造と活用法

「こぶたぬきつねこ」の最大の特徴は、「こぶた→たぬき→きつね→ねこ」というしりとり構造になっている点です。これは作詞作曲した山本直純による意図的な設計で、子どもが遊びながら自然にしりとりという言葉のルールを体験できる仕組みになっています。

振り付けはシンプルで覚えやすいものです。

  • 「こぶた」…人差し指を鼻に当てて豚の鼻を表現する
  • 「たぬき」…両手で目の周りに輪を作ってたぬきの目を表現する
  • 「きつね」…手を重ねてキツネの形にする
  • 「ねこ」…両手を口の横に添えてひげを表現する

同じ歌詞で振り付けの大きさや曲のテンポを変えながら繰り返すのが定番の遊び方です。ゆっくり→普通→速く、という3段階でテンポを変えると、子どもたちは自然と集中して楽しめます。これは保育現場での「場面転換」にも有効で、活動から活動への切り替え時に1曲挟むだけで子どもたちの気持ちを整えやすくなります。

対象年齢については3歳以上が基本ですが、1〜2歳でも模倣として楽しめます。3歳頃になると「こぶた→たぬき」がしりとりになっていることに自分で気づき始めるため、そこをあえて「どうなってるか気づいた?」と問いかけてみると言語的な発見の場にもなります。

動物のお面を使って劇のように発展させることもできます。「こぶた・たぬき・きつね・ねこ」の4種類のお面を子どもたちに作ってもらい、その動物になりきって歌うというアプローチは、造形活動と音楽活動を同時に組み合わせた保育計画の好例です。これは使えそうです。

参考:こぶたぬきつねこの実演動画と保育活用法

秋のタヌキ歌「ぽんぽこたぬき」と季節行事への組み合わせ方

タヌキの歌の中でも、特に秋の保育計画と相性がいいのが「ぽんぽこたぬき」です。この曲は作詞・天野蝶、作曲・一宮道子による童謡で、「おつきみ」という歌詞が登場することから十五夜・お月見の季節(9〜10月)の定番曲として保育現場で長く使われています。

「ぽんぽこぽん ぽんぽこぽん ぽんぽこたぬきがぽんぽこ おやまでおつきみだ」というフレーズは、繰り返しが多くテンポも覚えやすい構造です。2歳児でも「ぽんぽこ」という擬音語のリズムに合わせて手を叩いたり体を動かしたりできます。

季節行事との組み合わせ方としては、次のような流れが効果的です。まずお月見制作(月見団子の製作や満月の絵など)の前後に歌として導入する。次に「おつきみってどんなもの?」と子どもたちに問いかけてみる。そうすることで、歌が季節への興味関心を引き出す入口になります。

秋のタヌキ歌を活動に取り入れるタイミングとして、9月の最初の週から始めてお月見当日(十五夜)に向けて少しずつ慣れさせていくのが標準的なアプローチです。十五夜は2025年であれば10月6日でした。毎年日にちが変わるため、行事予定表に合わせて逆算しながら導入時期を決めましょう。

なお、「ぽんぽこたぬき」は2歳・3歳・4歳・5歳それぞれでねらいが異なります。2歳はリズムを楽しむことが主ねらいです。3歳はストーリーをなぞりながら表現を楽しむ。4〜5歳では「お月見」という文化的背景の理解にも発展させられます。

秋の保育計画に悩んでいる方には、タヌキ歌を「行事の導入曲」として位置付けることを提案します。歌→行事への期待感→当日の体験という流れが作れると、子どもたちの記憶にも残りやすくなります。

参考:9月・秋の保育におすすめの歌15曲

保育士バンク!|保育園で楽しめる9月の歌・秋の手遊び15曲

保育士が知っておきたいタヌキ歌の使い分けと独自視点まとめ

タヌキの歌はどれも「同じような曲」と思われがちですが、発達段階・場面・季節によって使い分けることで保育の質が大きく変わります。つまり「引き出しの中の曲数」より「使い分けの精度」が重要です。

それぞれの曲の使い分けを整理すると、次のようになります。

曲名 おすすめ場面 対象年齢の目安 主なねらい
げんこつやまのたぬきさん 朝の集まり・ふれあい遊び・入眠前 0〜5歳 スキンシップ・親子関係・安心感
証城寺の狸囃子 秋の設定保育・劇ごっこ・昔話導入 3〜5歳 伝統文化・和のリズム・表現力
こぶたぬきつねこ 場面転換・活動導入・言語遊び 1〜5歳 模倣・しりとり・動物への関心
ぽんぽこたぬき お月見・秋の行事・9〜10月 2〜5歳 季節感・行事への期待感・リズム

意外と知られていない視点として、「タヌキ歌は異年齢保育での橋渡し曲として機能する」という活用法があります。「げんこつやまのたぬきさん」を例にすると、5歳児が1歳児に向けて「歌いながら遊んであげる」という場面設定ができます。5歳児にとっては人に教える体験が自己肯定感と社会性を育み、1歳児は年上の子から直接ふれあいをもらう安心感を得られます。これは保育士が直接関わる場面を少し引いた状態で、子ども同士のコミュニティを育てる手法としても注目されています。

歌に合わせた動作は、言語が未発達な段階の子どもにとって「体での対話」でもあります。言葉が遅い子ほど、動きと音が連動した体験から言語の発達が促されることが研究でも示されています。歌は遊びであると同時に、発達支援のツールでもあります。

保育現場では毎日何かの歌を使っているはずです。その中に1曲でもタヌキ歌を意図的に織り込み、「なぜその曲をこの場面で使うのか」を言語化できるようになることが、保育の質向上につながります。行事計画書や指導案を書く際にも、「導入曲:ぽんぽこたぬき(お月見への期待感を高めるため)」といった一行があると、保育の意図が格段に伝わりやすくなります。

参考:わらべうた・童謡の年齢別ねらいと活用法

保育求人ナビ|わらべうたの特徴・効果・年齢別おすすめ曲

初春狸御殿