炭坑節 歌詞の意味を保育士が子どもに伝える方法

炭坑節 歌詞の意味と保育に活かす盆踊り指導のすべて

炭坑節は盆踊りの定番曲ではなく、もともと炭鉱の女性労働者が仕事中に口ずさんだ「選炭唄」だった。

この記事でわかること
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炭坑節の歌詞の意味

「サマちゃん」「黒ダイヤ」「サノヨイヨイ」など、子どもが疑問に思う言葉の意味をわかりやすく解説します。

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炭坑節の歴史とルーツ

明治時代の炭鉱労働者の仕事唄が、どのようにして全国の盆踊り定番曲になったのかを丁寧にたどります。

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振り付けの意味と保育への活かし方

「掘って掘って」「押して」など振り付けの一つひとつが炭鉱作業と連動している理由と、子どもへの伝え方を紹介します。

炭坑節の歌詞の意味:「サノヨイヨイ」「サマちゃん」って何のこと?

 

保育園の夏祭りや盆踊り指導のとき、子どもから「先生、『サノヨイヨイ』ってどういう意味?」と聞かれて答えに詰まった経験はないでしょうか。炭坑節の歌詞には、現代の子どもにとって聞き慣れない言葉がいくつか登場します。それぞれの意味を押さえておくと、指導の説得力がまったく変わります。

まず「ヨイヨイ」「サノヨイヨイ」は、民謡によく登場するはやし言葉(囃子詞)です。歌の意味とは直接関係なく、リズムを整えたり、歌い手が気持ちを高めるために入れる掛け声のようなものです。つまり意味はない、とシンプルに教えてOKです。「みんなが『よいしょ!』って掛け声をかけるのと同じだよ」と説明すると、子どもにも伝わりやすくなります。

次に「サマちゃん」という言葉について整理します。これは「旦那様(だんなさま)」や「あなた様」を親しみやすくもじった愛称で、「様(さま)ちゃん」が縮まった表現です。選炭場で働く女性労働者が、好意を寄せる男性の炭坑夫に向けて歌った言葉です。つまり炭坑節の歌詞の多くは、恋愛を歌った女性目線の唄ということです。

保育の現場では「好きな人のことを呼んでいる言葉だよ」という説明で十分に伝わります。歌詞に込められた人の感情を、子どもたちが自然に受け取れるような一言添えるだけで、楽曲への親しみが増します。

もう一つ見落とせないのが「黒ダイヤ」という表現です。これは石炭のことを指します。当時の炭鉱地帯では、石炭は「黒いダイヤモンド」と呼ばれるほど価値ある資源として扱われていました。子どもへの説明では「昔は石炭が宝物みたいに大切なものだったから、ダイヤモンドってよんでいたんだよ」と伝えると、イメージしやすくなります。

「月が出た出た」の歌いだしについてはよく知られていますが、実はこの歌詞の「月」は炭鉱の暗い地下での労働を終えたあと、地上に出てはじめて月を見上げる喜びを歌っているとも解釈されています。地底から地上に出る、という体験は現代の子どもには想像しにくい感覚ですが、「暗いところから出てきたら月がきれいだったね、という歌」と伝えるだけで情景がぐっと豊かになります。

言葉 意味 子どもへの説明例
ヨイヨイ・サノヨイヨイ 囃子詞(はやし言葉)。意味なし 「よいしょ!」みたいな掛け声だよ
サマちゃん 好意を寄せる男性への呼びかけ(様ちゃん) 好きな人のことを呼んでいる言葉だよ
黒ダイヤ 石炭のこと 昔は石炭がダイヤモンドくらい大切だったの
ボタ 石炭を含まない岩石くず 石炭と一緒に出てくる、いらない石のこと
ケージ 炭鉱のエレベーター(巻き上げ機の籠) 地下に降りるエレベーターみたいなもの
仇の花(あだのはな) 無駄に咲いている花/意味のない花 誰も見てくれないかわいそうな花だよ

炭坑節の歌詞と歴史:発祥は田川市、「三池炭坑」の歌詞は後から

保育士として炭坑節を子どもたちに伝えるとき、「月が出た出た、三池炭坑の上に出た」という歌詞を当たり前に教えている方は多いのではないでしょうか。しかし実は、この「三池炭坑」という歌詞は後からできた替え歌版であり、炭坑節の正真正銘の発祥は福岡県田川市の炭鉱にあります。

炭坑節のオリジナルは、明治時代の末期(明治40年頃)に福岡県の筑豊炭田地方で自然発生的に生まれた「伊田場打選炭唄(いたばうちせんたんうた)」という仕事唄です。三井田川炭鉱(田川市)で石炭の選別作業をしていた女性労働者(選炭婦)が、作業しながら歌っていた歌が原型です。

この唄が昭和7年(1932年)に初めてレコード化されました。その後、昭和23年(1948年)に芸者歌手の赤坂小梅が「三池炭坑の上に出た」という新しい歌詞で歌い直し、大ヒットしたことで現在の形が広まりました。発祥は田川市、という事実が基本です。

田川版の「正調炭坑節」では「月が出た出た、三井炭坑の上に出た」という歌詞が使われており、田川市の発祥を今も伝えています。なお歌詞に登場する「あんまり煙突が高いので、さぞやお月さん煙たかろ」の「煙突」は、現在も田川市石炭記念公園に保存されている「二本煙突」のことです。

そして炭坑節が全国に一気に広まったのには、戦後の国家政策が大きく関わっています。戦後復興の柱として政府と進駐軍が「石炭増産政策」を進めた際、ラジオが炭坑節を毎日のように放送しました。この国策の後押しにより、明るく軽快なメロディが全国の人々に浸透し、やがて盆踊りの定番曲として定着しました。

参考:炭坑節の発祥と歴史について、田川市の公式情報はこちら

炭坑節発祥の地 / 福岡県田川市

参考:炭坑節の元唄「伊田場打選炭唄」の成立背景や歌詞の詳細はこちら

炭坑節解説 ー炭坑節とその元唄ー | TAGAWAコールマインフェスティバル

炭坑節の振り付けの意味:「掘って掘って」が表す炭鉱作業

炭坑節の振り付けは、見た目は単純に見えますが、実は炭鉱の作業工程を1つひとつ丁寧に再現した動作です。これを知っているだけで、子どもへの指導がまったく違うものになります。

「掘って掘って、また掘って」の動作は、スコップで石炭をすくい上げる動きです。右足を踏み出して右側から、左足で左側から、と交互に石炭を掘る様子を体で表現しています。続く「かついで、かついで」の動きは、掘り出した石炭を背負い籠に入れる作業です。

「ながめて、ながめて」では、右手・左手を交互に目の上にかざして遠くを見る動作になります。これは坑内の広がりを見渡したり、採掘箇所を確認したりする様子を表しているともいわれています。

「押して、押して」は、石炭を積んだ炭車(トロッコ)を両手で押す作業です。当時の炭鉱では、坑内から地上へ石炭を運ぶトロッコを人力で押していました。最後の「開いて、チョチョンガチョン」は、炭車の荷箱をひっくり返して石炭を地面に広げる動作と、作業の区切りを表す締めの手拍子です。

つまり炭坑節の振り付けは、「①掘る→②籠に詰める→③見渡す→④トロッコで運ぶ→⑤荷下ろし」という一連の炭鉱作業の流れそのものです。子どもたちに「みんながやっている踊りの動きは、昔の人がお仕事でやっていた動きをまねしたものなんだよ」と伝えると、踊りへの理解と集中が大きく変わります。

保育の現場では、単に「手をこうして、足をこうして」と教えるだけでなく、動作の意味をストーリーとして語れると、子どもたちは驚くほど楽しんで踊ります。

参考:田川市公式による振り付けの詳しい説明と動画はこちら

炭坑節を踊ろう / 福岡県田川市

炭坑節の歌詞には「複数バージョン」がある:保育現場での使い分け方

保育士にとって少し悩ましいのが、炭坑節には実は複数の歌詞バージョンが存在することです。これを知らないと「歌詞が違う!」と子どもや保護者から指摘を受けることになります。歌詞の種類を整理しておくと安心です。

大きく分けると、炭坑節には「三池炭坑版」「正調炭坑節(田川版)」「全国普及版(うちのお山版)」の3つのパターンがあります。

最もよく知られているのが「月が出た出た、三池炭坑の上に出た」という昭和23年に赤坂小梅が歌って大ヒットした三池炭坑版です。全国の盆踊りで流れるのはほぼこのバージョンです。

田川市が正式に伝承する「正調炭坑節」では、冒頭に「香春岳から見下ろせば、伊田の竪坑が真正面」という歌詞が来て、「月が出た出た」の部分では「三井炭坑の上に出た」という歌詞が使われます。地域の伝統に忠実な形です。

「うちのお山の上に出た」というバージョンは、全国普及の過程で特定の地名をなくし、どこの地域でも親しみやすいよう作られた形です。保育や学校現場では、この地名なしバージョンが使われることもあります。

保育の現場での使い分けは、夏祭りや盆踊り大会では地域のやぐら(音響)に合わせることが多いため、実際に流れる曲のバージョンを事前に確認しておくことが重要です。子どもに教える際は「地域によって少し歌詞が違うこともあるよ」と一言添えるだけで、混乱を防げます。

また、炭坑節にはもともと大人向けの艶っぽい内容の歌詞も多く存在しており、Wikipediaなどでも「春歌(艶歌)起源説」が記されています。保育現場で使う際は、1番・2番程度のよく知られた歌詞に絞って指導するのが安心です。

  • 🎵 三池炭坑版:「月が出た出た、三池炭坑の上に出た」。昭和23年に赤坂小梅が歌い全国に普及した最もスタンダードな歌詞。
  • 🎵 正調炭坑節(田川版):「香春岳から見下ろせば、伊田の竪坑が真正面」から始まる。田川市が正式に伝承している発祥地のオリジナルバージョン
  • 🎵 うちのお山版:「月が出た出た、うちのお山の上に出た」と地名を省略。全国どこでも使いやすい普及版。

参考:炭坑節の歌詞解説と複数バージョンについて

炭坑節(月が出た出た)歌詞の意味 | 世界の民謡・童謡

炭坑節の歌詞を保育士が子どもに伝えるときの独自ポイント:「お仕事ごっこ」と結びつける

ここは検索上位にはない、保育士向けの独自の活用視点です。炭坑節の振り付けと歌詞の意味を知ったとき、これを保育活動の「働くことへの興味づけ」と組み合わせると、子どもの学びが一段深まります。

炭坑節は「仕事の歌」です。掘る・運ぶ・選り分けるという具体的な作業が歌と踊りに込められています。これは保育所保育指針の「身近な社会や地域に興味・関心をもつ」「人が働くことへの理解」という観点とも直結します。

実際の指導では、夏祭りの前に「昔の人たちはどんなお仕事をしていたのかな?」という問いかけから入るのが効果的です。たとえば、スコップを使って砂場や感触遊びコーナーで「掘る」動作を体験してから炭坑節を踊ると、子どもたちは振り付けの意味をリアルに感じながら踊れます。

「黒ダイヤって何かな?」とクイズ形式で問いかけるのもおすすめです。「石のような黒いもので、昔はとても大切なものだったよ」というヒントから始めて、「石炭!」という答えを引き出す導入は、4〜5歳児クラスで特に盛り上がります。

また、炭坑節の「月が出た出た」という歌い出しは、夜の星・月を観察する秋の保育活動とも結びつけられます。「昔のお仕事は夜も続いていて、地下から出てきたときに月を見て安心したんだよ」という話は、子どもの感性に静かに響く内容です。

保育士が歌詞の意味と歴史をきちんと押さえておけば、ただ「踊れる子」を育てるだけでなく、文化や歴史に興味をもつきっかけを自然に作れます。これが知識として持っておくと得する最大のポイントです。

  • 導入アイデア①「お仕事ごっこ連動」:砂場で「掘る」体験をしてから踊る。振り付けの意味がリアルに伝わる。
  • 導入アイデア②「黒ダイヤクイズ」:「昔の大切な黒い石ってなーんだ?」と問いかけ、石炭に興味をもたせる。
  • 導入アイデア③「月のお話」:「月が出た出た」の歌い出しを、月や夜空の観察活動と連動させる。
  • 導入アイデア④「歌詞カードを作る」:子どもと一緒にひらがなの歌詞カードを作り、読みながら意味を確認する。


炭坑節【参考CD付】 (POP231)