瀧廉太郎 保育園 童謡 花 唱歌

瀧廉太郎 保育園 童謡

瀧廉太郎の童謡・唱歌を保育園で生かす要点
🎵

まずは「童謡」より「唱歌」を整理

瀧廉太郎の代表曲は、いわゆる童謡というより、学校で歌われ広まった唱歌・日本歌曲としての性格が強い。だから「歌い方」だけでなく「言葉の扱い方」を先に決めると保育が安定する。

📝

「花」は“春の体験”とセットにする

「花」は1900年に歌曲集『四季』の第1曲として刊行され、隅田川の春の情景を歌う。保育園では“桜・川・夕方・月”を実体験や写真で先に共有し、歌詞をあとからのせると入る。

🧠

難しい歌詞は“意味より感覚”から

文語や古い言い回しは全解説を目標にしない。子どもが「きれい」「さびしい」「ゆっくり」など曲想を言語化できれば十分で、そこから語彙を少しずつ増やす。

瀧廉太郎 童謡 花 四季 歌詞の背景

 

保育園で瀧廉太郎を扱うとき、入口にしやすいのは「花(春のうららの隅田川)」です。

この曲は1900年(明治33年)に、瀧廉太郎の歌曲集(組歌)『四季』の第1曲として刊行されたことが、作品の位置づけを理解するうえで重要です。参考として、作品の成立(『四季』の第1曲であること)や歌詞の由来(源氏物語「胡蝶」や蘇軾「春夜」)がまとまっているページは、保育者が下調べする際に使いやすいです。

歌詞の由来は、保育室で“そのまま説明する”ためというより、保育者が「この歌は、昔の言葉や文学から言い回しを借りている」と腹落ちするために役立ちます。

そのうえで子どもへの伝え方は、文学の話よりも「春の日の川って、どんなにおいがする?」「夕方の空は何色?」のように、身体感覚に寄せるほうがスムーズです。

また「花」は有節歌曲(同じ旋律が基本)ですが、単純な繰り返しではなくところどころ旋律が変わる、と説明されています。

保育園ではここを“音楽的な違い当て”にしやすく、「いまのところ、さっきと同じ?ちがう?」と短い問いを入れるだけで、集中のスイッチになります。

「花」の概要(成立・歌詞由来の要点)

このページは『四季』の第1曲であることや歌詞の由来がまとまっています。

花 (瀧廉太郎) - Wikipedia

瀧廉太郎 保育園 童謡 花 歌い方の工夫

「花」を“保育園のうた活動”に落とすときは、正しい発声や音程より、情景が浮かぶ声の出し方を優先すると運用が簡単です。

たとえば「春のうららの」を歌う前に、園庭や散歩で見つけた“春っぽいもの”を3つ挙げてから歌うと、子どもの声が自然に柔らかくなります(導入を体験に寄せると、歌詞が理解できなくても曲想が一致しやすい)。

保育士向けの実践としては、次のような“短い声かけ”が扱いやすいです。

  • 「のぼりくだりの」:上に手、下に手。動きで言葉を支える。
  • 「おぼろ月」:丸い月ではなく“うすい月”を絵カードで見せる。
  • 「ながめを何にたとふべき」:意味説明はせず「うわあ、って気持ちだね」で止める。

「意味を全部説明しない」は手抜きではなく、年齢に合わせた分解です。

“わからない言葉がある歌”を、保育者が堂々と扱えると、子どもは「わからないままでも歌っていい」という安全感を持ち、結果的に参加が安定します。

さらに、曲のテンポは園の状態で変えてよいです。

落ち着かせたい時間(午睡前・帰りの会)ならゆっくり、活動前なら少しだけテンポを上げるなど、目的に合わせると「花」が“季節の歌”から“生活の歌”になります。

瀧廉太郎 保育園 童謡 荒城の月 唱歌の扱い

「荒城の月」は、名曲としての価値が高い一方で、保育園の年齢層には歌詞が難しく、扱い方に工夫が必要です。

ただし、研究論文では「荒城の月」は日本歌曲史の創生期を代表する芸術作品として位置づけられ、長く歌い継がれてきたこと、また現行の中学校学習指導要領でも歌唱共通教材として扱われることが整理されています。

つまり、幼児に“完全に理解して歌う”を求める曲ではなく、保育者が「文化として大切にされてきた歌」として、部分的に触れるだけでも意味があります。

保育園での現実的な落としどころは、次の2パターンです。

  • BGMとして流し、子どもが口ずさむのを待つ(無理に歌唱活動にしない)。
  • サビや印象的なフレーズだけを“鑑賞+ことば遊び”で触れる(斉唱にしない)。

意外と効くのが、「同じ歌でも伴奏で雰囲気が変わる」という視点です。

「荒城の月」は、瀧の旋律に対して山田耕筰の補作編曲版が広く親しまれてきたこと、また複数の編曲(伴奏)が教材として比較されうることが論文で述べられています。

保育園でも、“同じメロディでも、ピアノの弾き方で悲しくも静かにもなる”という体験は、情緒教育と相性がよいです。

「荒城の月」が歌唱共通教材として扱われる経緯、編曲の比較など

授業づくりの視点(背景理解・要素比較)が詳しい資料です。

https://www.ed.ehime-u.ac.jp/~kiyou/2020/pdf/02.pdf

瀧廉太郎 保育園 童謡 文語 唱歌の言葉

瀧廉太郎の作品を保育園に入れると、必ず当たる壁が「文語・古い言い回し」です。

ここは“子どもに意味を教える”より、“園の中で使える言葉に置き換えてよい範囲”を保育者同士で決めておくと事故が減ります(保護者に質問されたときも答えがぶれません)。

おすすめは、歌詞そのものは変えず、活動内の言い換えだけ用意する方法です。

たとえば「眺めを何にたとふべき」は、歌の前後の会話で「すごくきれいで、たとえる言葉が見つからない、ってこと」と保育者が短く補うだけで十分です。

また、言葉の難しさを逆に“日本語の音の面白さ”として扱う手もあります。

  • 「うらら」「おぼろ」など、音が柔らかい言葉を集める。
  • 「ちよ」「まつ」「つるぎ」など、音が硬い言葉を集める。
  • 集めた言葉を、季節の絵(春・夜・月)に貼って“ことばボード”にする。

この方法だと、歌詞の意味理解に偏らず、語感・韻・響きという音楽的な学びに自然につながります。

保育園のうた活動としては、子どもが「この言葉、なんか好き」と言えた時点で大きな成果です。

瀧廉太郎 保育園 童謡 独自視点 発車メロディ

検索上位の“保育での歌い方解説”にはあまり出てこないのですが、瀧廉太郎の曲は園外の生活音として出会う可能性があります。

たとえば「花」は、浅草駅(東京メトロ銀座線)の発車メロディとして使われているとまとめられており、生活の中でメロディに触れる導線がある曲です。

これを保育園の教材にするなら、「駅で聞いたことある!」を引き出すのが強い導入になります。

活動例は次の通りで、遠足や散歩の事前学習にもつながります。

  • 「発車メロディってなに?」を写真と音で紹介する(動画は短く)。
  • 「花」の冒頭だけ聞いて、子どもが知っている場所・音と結びつける。
  • 「同じ曲でも、歌と発車メロディはちがうね」を言葉にする。

この独自視点のメリットは、歌を“教室の中の課題”にせず、子どもの日常の発見として扱える点です。

結果として、歌詞が難しくても「このメロディ好き」「聞いたことある」が残り、継続して歌う動機になります。


喧嘩太郎