たけのこの歌を幼稚園・保育現場で徹底活用する方法
「たけのこ体操」を毎日ただ流すだけでは、子どもの発達効果が半分以下になる。
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たけのこの歌(たけのこ体操)の作詞・作曲と誕生の背景
「たけのこ体操」は、作詞を中沢善宏、作曲を越部信義(こしべのぶよし)が手がけた楽曲です。現在は「ボンボンアカデミー」のいっちー&なるバージョンが人気ですが、そもそもの曲はずっと以前から保育・教育の現場に根ざしています。
越部信義は1933年生まれの東京藝術大学出身の作曲家で、1963年に「おもちゃのチャチャチャ」で第5回日本レコード大賞童謡賞を受賞した人物です。NHKの子ども向け番組「おかあさんといっしょ」に約40年間にわたって楽曲を提供し続け、「サザエさん」の劇伴(BGM)も長年担当しました。子どもが自然に歌いやすい曲づくりを信条とし、「みんなに喜んでもらうものを作りたい」という姿勢で生涯活動した名匠です。2014年に81歳で逝去されています。
つまり「たけのこ体操」は、そういった日本の子ども音楽を支えた巨匠の作品の一つということですね。
現在では複数の振り付けバージョンが動画サイトに存在しています。中でもYouTubeチャンネル「ボンボンアカデミー」(チャンネル登録者数118万人、総再生回数24.7億回超)がリリースしたバージョンが最も広く保育の現場で使われています。また、同チャンネルからリリースされた新バージョンの「たけのこ体操」は、いきものがかりの水野良樹さんが作詞・作曲を担当しており、世代を超えて親しめる楽曲に仕上がっています。
歌詞は「ダバダバ ダバダバ ダッダ」「のびろ シャラララ」「おおきく たくましく パヤパヤ たけのこだ ヘイ!」など、音のリズムが中心で意味よりも「音を楽しむ」構造になっています。これが幼児の耳にとって聞き取りやすく、真似しやすい大きな理由です。
保育士として背景を把握しておくと、子どもや保護者への説明に深みが出ます。
「おかあさんといっしょ」など越部信義氏の楽曲群を知ることで、保育における音楽選びの視野が広がります。
▶ 越部信義 – Wikipedia(作曲家としての詳しい経歴と代表作品)
たけのこの歌を幼稚園で活かす年齢別の振り付け指導ポイント
「たけのこ体操」は2歳から楽しめますが、年齢によって身体能力と理解力に大きな差があります。「全員に同じ振り付けを一気に教える」指導は避けるのが基本です。
まず2〜3歳クラスへの導入では、難しい動作は一切必要ありません。「のびろ シャラララ」の部分で両手をゆっくり上に伸ばす動作、それだけで十分です。この年齢の子どもにとって、「音楽に合わせて体を動かすこと自体が楽しい」体験が最も大切であり、振り付けの正確さは二の次です。
4歳になると手足の協調動作が発達し、両手・両足を組み合わせた動作ができるようになります。「ヘイ!」のかけ声で両手を振り上げるなど、メリハリのある動きを加えるとクラス全体が盛り上がりやすくなります。この年齢はマネが上手で覚えが早いため、保育士がわかりやすく大きく動いて見せることがもっとも効果的な指導になります。
5歳児(年長クラス)は体の使い方が格段に上手になっています。足上げや体幹を使った動き、友達と向き合って動作を合わせるペア振り付けにも挑戦できます。「踊り終わると大人でもへとへとになるくらい」という声もあるほど、フルバージョンはなかなかの運動量です。これが運動会のウォーミングアップ体操として使われる理由でもあります。
指導のコツは3点です。
| 年齢 | おすすめの動き | 指導のポイント |
|---|---|---|
| 2〜3歳 | 両手を上に伸ばす・体を揺らす | 先生が大きく動いて見せる。正確さより楽しさ優先。 |
| 4歳 | 手振り・ジャンプ・「ヘイ!」のアクション | 節ごとに区切って少しずつ覚える。できたら次へ。 |
| 5歳 | 足上げ・ペア動作・全身を使ったフルバージョン | 難しい動きへの挑戦意欲を引き出す声がけを工夫する。 |
苦手な子には無理させないことが原則です。「やりたくなったらいつでもおいで」という声かけが子どもの自己肯定感を守ります。
▶ 【年齢別】保育園の体操人気曲30選・ねらいや選び方も解説(マイナビ保育士)
たけのこの歌が幼稚園の発達支援に与える5つの具体的な効果
「たけのこ体操」をはじめとするリズム体操には、単に「体を動かす」以上の発達効果があることが、保育・幼児教育の研究で示されています。保育士がこれを理解しているかどうかで、子どもへの声かけや活動の組み立て方が大きく変わります。
まず運動能力の発達です。「伸びる」「ジャンプ」「腕を振る」という複数の動作を音楽に合わせて行うことで、全身の筋力・柔軟性・バランス感覚が同時に鍛えられます。特に「ヘイ!」の動作では体幹を一瞬に使うため、体の軸を整える効果があります。
次に言語能力と音感の発達です。「ダバダバ」「シャラララ」のような音節の繰り返しは、3歳前後の子どもの語音分解意識(音のかたまりを感じる力)を刺激します。リズムと言語は発達上つながりが深く、歌いながら体を動かすことが語彙の定着や言葉のテンポ感を養う助けになります。
3つ目は協調性と社会性です。クラス全員で同じ動作を合わせる体操は、「周りを見ながら合わせる」という社会スキルを自然に育みます。友達と向き合って動くペアアクションが入るとさらに効果的です。
4つ目は集中力と記憶力です。音楽に合わせて振り付けを覚えるプロセスは、短期記憶と動作記憶を同時に使う高度な活動です。繰り返し踊るうちに「覚えた!」という達成感が生まれ、次の挑戦意欲につながります。
5つ目は感情表現と自己肯定感です。「ヘイ!」と声を出し、全身で弾けるように動ける体操は子どもの感情解放を促します。うまくできたときの「やった!」という喜びが自信の積み重ねになります。
これが条件です。「ただ曲をかけて子どもを動かす」ではなく、「どの動作でどの力が育つか」を意識した声がけと観察が、保育の質を高めます。
▶ リズム遊びで子どもの感性を磨く!保育園でも使える方法(わたしの保育)
たけのこの歌を幼稚園の春の保育テーマに組み込む活用アイデア
たけのこは3〜5月にかけて旬を迎える春の食材です。この季節感を保育活動全体に結びつけることで、「たけのこ体操」はただの体操曲から「春の象徴」として子どもたちの記憶に深く刻まれます。
まず体操とあわせて実施したいのが「たけのこ観察」です。スーパーや農協から1本たけのこを入手し、クラスで実物を見せるだけで子どもの興味が一気に上がります。「高さ約10〜30cm=はがきの縦の長さくらいから、1〜2週間で大人の背丈ほどに育つ」という成長の速さを伝えると、「のびろ シャラララ」の歌詞がリアルに迫ってきます。
製作活動との連携も効果的です。折り紙でたけのこを作ったり、クラフト紙でたけのこの「かわ」の模様を描いたりした後に体操を行うと、子どもの動きに「たけのこになりきる」表現が加わります。体操の出来が一段と豊かになります。
食育との連携も見逃せません。給食や感触遊びなど、たけのこをテーマに「なぜ旬の時季に食べると美味しいの?」という話を加えると、体操 → 観察 → 食べる体験まで一貫したテーマ保育が完成します。
さらに運動会でのウォーミングアップとして「たけのこ体操」を採用している保育園・幼稚園も増えています。全員で踊れる一体感と、年齢を問わない動きのシンプルさが保護者からも好評です。0〜5歳のどのクラスも参加できる点が、運動会の開幕体操に向いている理由です。
春の保育テーマに紐づけることが原則です。「体操だけ」にとどまらず、製作・観察・食育と組み合わせると子どもの学びが立体的に広がります。
保育士が見落としがちな「たけのこの歌」の著作権と動画活用の注意点
保育現場での音楽利用は著作権と深く関わります。これは意外に知られていない盲点です。
「たけのこ体操」の楽曲(作曲:越部信義、作詞:中沢善宏)は著作権保護の対象です。越部信義氏は2014年に逝去されましたが、著作権は没後70年間(日本著作権法による)保護されます。つまり2084年頃まで楽曲の著作権は存続します。保育室内で子どもと一緒に踊ること自体は問題ありません。保育園・幼稚園は一般的にJASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)の施設利用許諾を取得しているケースが多く、そのもとで音楽を流すことは許可されています。
注意が必要なのは「動画撮影・SNS投稿」です。運動会や発表会で「たけのこ体操」を踊る様子を動画で撮影しSNSに公開する場合、楽曲が流れている状態での投稿は著作権侵害になる可能性があります。これが条件です。施設のSNS公式アカウントに投稿する際は、著作権処理済みの音源かどうか必ず確認しましょう。
YouTubeなどの動画を保育室のプロジェクターで流す場合も同様に注意が必要です。「ボンボンアカデミー」などの公式チャンネルの動画は、非商用の教育利用について一定の許可が示されているケースもありますが、詳細はチャンネルの利用規約を個別確認することが推奨されます。
JASRACの「保育・教育施設での音楽利用」に関するガイドラインを一度確認しておくと安心です。年間利用料として施設が包括的に契約している場合、保育中の演奏や再生は多くのケースでカバーされています。
著作権の問題は「知らなかった」では済まないケースがあります。現場のリーダー保育士・主任の方が施設の契約状況を一度確認しておくことをおすすめします。
【保育士独自の視点】たけのこ体操で「内向きな子」が変わる理由
体操活動で最初から積極的に動ける子ばかりではありません。特に4月入園直後や新しいクラスになったタイミングでは、輪に入れず体を固まらせてしまう子も少なくないです。
「たけのこ体操」がそういった子どもに特に効くのには理由があります。まず歌詞に「意味」がほとんどないことです。「ダバダバ」「シャラララ」「パヤパヤ」という音のみの歌詞は、「正解の踊り方」への意識が薄れやすく、「失敗したらどうしよう」という不安が起きにくい構造になっています。つまり正解がない、ということですね。
もう一つは「ヘイ!」という掛け声の力です。自分の声を体と一緒に出す体験は、感情の解放と自己表現の第一歩になります。恥ずかしがり屋の子が「ヘイ!」だけ最初に声を出せたとき、そこを大げさなくらい認めてあげることが、その後の全身参加へのきっかけになります。
保育士が「踊り上手に見せよう」とするのではなく、「自分も楽しんでいる姿を見せる」ことが重要です。子どもは先生の表情・声のトーン・体の動きを敏感に読み取っています。先生が本当に楽しそうだと感じると、内向きな子も自然に体が動き始めることが多いです。
これは使えそうです。年度始めの4〜5月にかけて「たけのこ体操」を毎日のルーティンに取り入れると、クラスの一体感が早期に生まれやすくなります。季節的にもちょうどたけのこの旬であり、「たけのこみたいに、みんなもぐんぐん伸びよう!」という声がけが子どもの心に自然に届く時期でもあります。
また、体操を通じて「うまく踊れた」「先生に見てもらえた」という小さな成功体験の積み重ねが、登園しぶりの軽減にもつながるという声が保育の現場から上がっています。入園期の不安定な子どもに「毎日楽しみにしている活動」を作ることが、情緒の安定にとって大きな意味を持ちます。


