竹楽器を叩く保育活動で子どもの音楽体験を広げる方法
竹楽器を「リズム通りに叩かせればOK」と思っていると、子どもの音楽的成長を半分以下しか引き出せていません。
<% index %>
竹楽器の種類と保育現場での叩く活動の基本知識
竹楽器と一口に言っても、その種類は世界中に数十種類以上存在します。保育現場でよく使われるのは、バンブーパーカッション(竹製打楽器)、竹製マラカス、バンブーチャイム、そしてアンクルン(インドネシア発祥の竹製音楽器)などです。これらはすべて「叩く・振る・こする」といった動作で音を出しますが、中でも「叩く」動作は最もシンプルで、1〜2歳の子どもでも直感的に取り組めます。
バンブーパーカッションは、太さの異なる竹筒を並べた打楽器で、叩く場所によって音の高低が変わります。成人男性の腕ほどの太さ(直径5〜8cm)から、指ほどの細さ(直径1cm前後)まであり、直径が大きいほど低く深みのある音が出ます。つまり「大きい=低音」が基本です。
竹製マラカスは中に小石や米を入れた竹の筒で、振って音を出すほか、手のひらや床に軽く叩きつける使い方もあります。バンブーチャイムは風鈴のように吊るした竹を手や棒で叩き、透き通った涼やかな音を楽しむ楽器です。保育活動では、素材の自然な風合いが子どもの感覚刺激になるという点でも注目されています。
素材としての竹は、加工や修理のしやすさから保育士自身が手作りできるという大きな利点があります。ホームセンターで100〜300円程度で購入できる竹材を使い、ノコギリで切るだけで簡易的な打楽器が完成します。これは使い捨て前提の活動にも向いています。
| 楽器名 | 音の特徴 | 対象年齢の目安 | 保育での使いやすさ |
|---|---|---|---|
| バンブーパーカッション | 高低差あり・響きが豊か | 3歳〜 | ★★★★ |
| 竹製マラカス | シャカシャカ・軽快 | 1歳〜 | ★★★★★ |
| バンブーチャイム | 澄んだ・余韻あり | 2歳〜 | ★★★ |
| アンクルン | 明るく軽やか | 4歳〜 | ★★★ |
竹楽器の選択は年齢と活動目的が条件です。まずどの子どもにどんな体験をさせたいかを決めてから楽器を選ぶと、活動がスムーズに進みます。
竹楽器を叩く活動が子どもの発達に与える科学的な効果
竹楽器を叩くという行為は、見た目以上に子どもの脳と体に多様な刺激を与えます。打楽器を叩く動作は「視覚・聴覚・触覚・固有受容感覚(筋肉や関節からの感覚)」という4種類の感覚入力を同時に引き起こします。これは感覚統合の観点から非常に質の高い活動と言えます。
感覚統合療法の研究では、打楽器を使ったリズム活動が子どもの注意持続時間を平均で約1.5倍に延ばす可能性があると報告されています(感覚統合研究の臨床事例より)。これは小学校入学前の準備としても意味のある数値です。集中力が高まるということですね。
また、竹楽器を集団で叩く活動では、自分の音と他の子どもの音を同時に聴き分けるという「選択的注意」も鍛えられます。これは言語習得や社会的なコミュニケーションの基礎になる能力です。特に3〜5歳の時期は「音を聴いて反応する」神経回路が急速に発達するため、竹楽器活動の効果が出やすいと言われています。
竹という素材の手触り・温度・重さはプラスチックの楽器とは明確に異なります。自然素材特有の凹凸や木目の感触は、触覚過敏を持つ子どもへの感覚刺激としても活用されることがあります。これは使えそうです。
さらに、保育士が意図的に「強く叩く」「弱く叩く」という強弱表現を導入すると、子どもは感情と音量の対応関係を体験的に学びます。この「強い気持ち=大きな音」という表現体験が、感情語彙の発達と結びつくという保育実践報告もあります。
年齢別・竹楽器を叩く保育活動の導入アイデアと保育のねらい
年齢によって発達段階が大きく異なるため、竹楽器活動の導入方法も変わります。一律に「叩かせる」だけでは、子どもの発達に合った学びを引き出すことができません。年齢に応じた設計が原則です。
0〜1歳(乳児クラス)では、自分で楽器を叩くよりも「保育士が叩く音を聴く」「振動を手で感じる」体験が中心になります。この時期は音の強弱や高低に反応する聴覚の基盤が育つ時期です。バンブーチャイムを保育士がゆっくり叩き、子どもがじっと聴く場面を作るだけで十分な刺激になります。
2〜3歳(1〜2歳児クラス)になると、「自分でやりたい」という意欲が強まります。この時期は竹製マラカスや短い竹筒など、握りやすくて軽い(50g以下が目安)道具を渡し、自由に叩かせることが基本です。「ドンドン」「トントン」など擬音語と組み合わせることで、言語発達との連携も生まれます。
4〜5歳(3〜4歳児クラス)では、リズムパターンの模倣や簡単なアンサンブルが可能になります。「保育士の叩くリズムをまねしよう」という活動から始め、徐々に「みんなでいっしょに叩く」グループ活動へと発展させます。バンブーパーカッションを使って「ドレミ」の音階遊びに挑戦することもできます。
5〜6歳(5歳児クラス)では、発表会や音楽劇の小道具として竹楽器を組み込む活動が人気です。アンクルンを使ったグループ演奏では、1人1音担当し、指揮に合わせて鳴らす「1人1音奏法」が協調性の育成に非常に効果的です。これは保育現場でも取り入れやすい形です。
文部科学省:幼児期の音楽活動に関する参考資料(幼稚園教育要領解説より)
上記のリンクでは、幼児期における音楽・リズム活動の教育的意義について官公庁の視点からまとめられています。保育計画を立てる際の根拠資料として活用できます。
保育士が竹楽器の叩く活動を安全に行うための注意点と環境づくり
竹楽器活動で最も見落とされがちなのが安全管理です。木製・金属製楽器と比べて「竹は自然素材だから安全」と思われがちですが、竹は割れやすく、割れた断面が非常に鋭利になるという特性があります。割れた竹の断面は刃物並みの切れ味になることもあります。痛いですね。
活動前の楽器点検が必須です。具体的には以下の項目を毎回確認してください。
- ひび割れや欠けがないか:特に竹筒の端と接合部を指でなぞって確認する
- 表面のトゲ(ささくれ)がないか:240番以上のサンドペーパーで毎月1回研磨する
- ひもや金具の緩みがないか:吊り下げ型のチャイムは特に接続部を引っ張って確認する
- 落下・転倒の危険がないか:スタンド式の楽器は床に置くか壁に固定して使用する
保育室内での配置も重要です。竹楽器を叩く活動では「振り上げた腕が周囲の子どもや壁に当たらないか」を事前にシミュレーションしてください。1人あたり半径60cm(腕の長さ+楽器の長さ)のスペースが目安で、6人のグループなら約2畳分(3.3㎡)のスペースが必要になります。
また、竹を叩く音は想像以上に響きます。バンブーパーカッションを木の棒で力強く叩いた場合、音量は70〜80デシベル程度になることがあります。これは道路沿いの騒音レベルに相当します。近隣への配慮が必要な保育園では、活動時間帯や窓の開閉状況を調整することをおすすめします。
竹楽器の保管は湿気対策が重要です。竹は湿度が高いと内部からカビが発生し、外見からはわからないまま劣化が進むことがあります。使用後は乾いた布で拭き、風通しの良い場所に立てて保管するのが基本です。長期保管の場合は乾燥剤(シリカゲル)とともに袋に入れると劣化を防げます。
竹楽器を叩く手作り活動で保育が変わる独自アレンジアイデア
市販の竹楽器を購入するだけが選択肢ではありません。実は、保育士が子どもと一緒に「竹楽器を作る」プロセス自体が、豊かな保育体験になります。「作る→叩く→聴く→また作る」という循環的な活動は、創造性と因果関係の理解を同時に育てます。これは意外ですね。
最もシンプルな手作り竹楽器は「竹筒ドラム」です。直径3〜5cmの竹を10〜15cm(はがきの短辺ほどの長さ)に切り、両端を軽くヤスリがけするだけで完成します。材料費は1本あたり20〜50円程度で、クラス全員分(20本)を揃えても1,000円以下で用意できます。
少し発展した活動として「音の出る風鈴」もあります。太さの違う竹を3〜5本、釣り糸や麻ひもで吊るし、棒で叩いて音の違いを楽しむものです。太い竹は「ボーン」と低く、細い竹は「カン」と高く鳴る違いを子ども自身が発見することで、「大きい・小さい」「太い・細い」という概念理解につながります。
さらに、子どもが絵の具で竹に模様を描くと「自分だけの楽器」という愛着が生まれます。愛着のある道具は丁寧に扱う傾向があり、物を大切にする態度の育成にも役立ちます。年度末に「自分の楽器」として持ち帰ることもできるので、保護者への発信にもなります。
手作り楽器の活動を通じて、子どもが「音は形や大きさで変わる」という物理的な概念に自然に触れる点も見逃せません。これはSTEAM教育(科学・技術・工学・芸術・数学の複合的な学び)の視点から見ても、保育段階での重要な体験です。
全国保育士会:保育実践に関する情報・事例集(保育内容の充実に関するガイドライン参考)
上記のリンクでは、保育現場での創造的活動に関する実践事例や保育指針の解説が掲載されています。手作り楽器活動の保育計画への組み込み方を検討する際に参考になります。
竹楽器を叩く保育活動を保護者・園全体に広げるための発信・共有方法
竹楽器活動の価値は、子どもの反応や成長を保護者・同僚と共有することで何倍にも広がります。ただ「楽しかった」で終わらせず、活動の教育的意図を言語化して発信することが、保育士としての専門性を高めます。専門性の発信が大切です。
保護者への発信で有効なのは「写真+一文コメント」の連絡帳・掲示です。「今日はバンブーチャイムを叩いて音の高低を体験しました。〇〇ちゃんは細い竹を選んで、高い音を出すのに夢中でした」というように、具体的な子どもの行動と活動のねらいを一緒に伝えることで、保護者の理解と関心が高まります。
園内での共有は、活動記録(ドキュメンテーション)として写真と短いコメントをA4用紙1枚にまとめる方法が有効です。この記録を職員会議や研修で共有することで、他クラスの保育士も同様の活動を取り入れやすくなります。記録の積み重ねが保育の質向上につながります。
発表会や親子参加型のイベントで竹楽器を使うと、保護者が「こんな活動をしていたのか」と実感を持って理解できます。特に「親子で一緒に叩く」体験コーナーは好評で、家庭での竹楽器遊びへの関心が高まるきっかけになります。保育と家庭をつなぐ機会になりますね。
SNSや保育ブログを活用している施設では、竹楽器活動の様子を発信することで地域の保護者への周知と、他の保育施設への情報共有が同時にできます。その際、子どもの顔が映らない写真を使う、保護者の掲載同意を取るなど、個人情報の管理には細心の注意が必要です。SNS発信は同意確認が条件です。
活動の広がりと継続のためには、保育士自身が「竹楽器を叩く活動の楽しさ」を実感していることが一番の原動力になります。まずは自分自身がバンブーパーカッションを手にして、思いきり叩いてみることをおすすめします。


