胎教音楽いつから始める?週数・効果・選び方の完全ガイド

胎教音楽はいつから始める?週数・効果・選び方を徹底解説

「モーツァルトを聴くと赤ちゃんが賢くなる」は、科学的に再現されていません。

🎵 この記事でわかること
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いつから始めるべき?

胎児の聴覚器官は胎生5ヶ月(約20週)に完成。音を”処理”できるのは妊娠24〜26週以降。正しい開始タイミングを解説します。

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本当の効果は?

「母体リラックス→コルチゾール低下→胎児への好影響」という科学的に支持されているルートを詳しく紹介します。

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どんな音楽がいい?

クラシックでなくてもOK。ジャンルより「ママがリラックスできるか」が選ぶポイント。適切な音量・時間の目安も紹介します。

胎教音楽が始められる週数と胎児の聴覚発達の流れ

 

「音楽を聴かせるなら早ければ早いほど良い」と思っていませんか? 実際には、胎児が音を認識できるようになるまでには、段階的な発育のプロセスがあります。

赤ちゃんの聴覚器官(内耳の蝸牛)は、妊娠5ヶ月(約20週)ごろまでにほぼ完成するとされています。東洋大学ライフデザイン学部の山原麻紀子准教授(音楽教育学)も「胎教は胎生5ヵ月で成立する」と述べており、この時期から赤ちゃんは母親の声や音楽をしっかり受け取っていると考えられています。

胎教音楽の観点から聴覚発達をまとめると、次のような段階があります。

妊娠週数 聴覚の発達ステージ
約15週ごろ 内耳(蝸牛)の構造が形成開始
約20週ごろ 解剖学的に機能可能な状態になる
約22〜24週 外部の音に反応し始める
約24〜26週 音の周波数を処理できるようになる
約28週以降 母親と他の声を聞き分けられる

つまり、赤ちゃんに「音楽を届ける」という意味では、妊娠24〜26週が一つの目安です。この段階で初めて、外部の音が「音」として胎児の脳に届くと考えられています。

ただし、ここで一点重要なことがあります。胎教音楽のもう一つの効果である「母体のリラックス」については、聴覚の発達週数とは完全に無関係です。つまり、妊娠初期からつわりが続いていても、好きな音楽を聴いてリラックスすることは、いつでも始めてかまいません。「聴きたいと思ったときが始めどき」という考え方がシンプルで正確です。

なお、赤ちゃんは妊娠5ヶ月を過ぎると脳内の「海馬」(記憶をつかさどる部分)が完成し、ママの声を記憶できるようになります。妊娠7ヶ月ごろには音の調子を区別する部分も完成し、ママとパパの声を聞き分けられるように。生まれた直後、赤ちゃんがすぐに母親の声の方向に顔を向けるのは、まさにこの胎内での音声学習の成果です。

東洋大学:「胎教」は胎生5ヵ月で成立。赤ちゃんはお腹のなかで声や音を聴いている(音楽教育学・山原麻紀子准教授)

妊娠24〜26週が聴覚的な目安です。ただし母体リラックスの目的なら、いつから始めても問題ありません。

胎教音楽の科学的な効果とモーツァルト効果の真実

「胎教音楽でIQが上がる」「クラシックを聴かせれば頭が良くなる」という話を、一度は耳にしたことがあるでしょう。これは本当なのでしょうか?

この神話の出発点は、1993年にアメリカのRauscherらがNature誌に発表した研究です。大学生36人にモーツァルトの「2台のピアノのためのソナタ K.448」を10分聴かせたところ、空間推論テストのスコアが8〜9ポイント向上しました。ところが、その効果はわずか10〜15分で消えてしまいました。

意外ですね。しかも、この研究の対象は胎児でも赤ちゃんでもなく、大学生でした。

1999年にはChabrisが16の追試研究をまとめたメタ分析をNature誌に発表。結論は「認知能力への効果はIQ約1.4ポイント相当にすぎず、音楽を楽しむことによる一時的な気分の高揚で説明できる」というものでした。さらに2007年、ドイツ連邦教育研究省が複数の研究を総合レビューした結果、「音楽を受け身で聴くだけでは知能は向上しない」という公式見解が出されました。知能向上と関連したのは「聴く」ではなく「楽器を演奏する」ケースだったのです。

では、胎教音楽にはまったく意味がないのでしょうか? そうではありません。

科学的に支持されている有効ルートは、「母体リラックス→ストレスホルモン(コルチゾール)の低下→胎盤を通じた胎児への好影響」 という間接的な経路です。妊婦が好きな音楽を聴いて副交感神経が優位になると、コルチゾールの分泌が抑えられます。コルチゾールは胎盤を通過する性質があるため、母体のコルチゾールが下がれば胎児が受けるストレスも軽減されるのです。

2020年に発表されたランダム化比較試験(妊娠30〜36週の妊婦172人を対象)では、音楽介入グループの唾液コルチゾールが有意に低下したことが確認されています。2017年のBMC Psychiatryに掲載されたシステマティックレビューでも、妊娠中の音楽介入がストレスと不安の軽減に有効と結論づけられています。

つまり、胎教音楽の効果は「赤ちゃんを賢くする」ではなく、「ママをリラックスさせ、その穏やかな状態が赤ちゃんにとって最良の胎内環境をつくる」というのが正確な理解です。

medici.tv:胎教にクラシックは効果ある?エビデンス3つの結論とシーン別おすすめ曲(コルチゾール低下の研究含む)

効果の正体は「ママの安心感」です。それが基本です。

胎教音楽のジャンルの選び方とおすすめの聴き方

胎教というとクラシックのイメージが強いですが、「クラシックでなければダメ」という科学的根拠はありません。これは意外に感じる方も多いのではないでしょうか。

ムーニーのウェブサイトで産婦人科医・佐藤歩美先生が述べているように、「環境音楽、オルゴール音、ポップス、ロックなど、ママが心からリラックスできる好きな音楽を聴くことが大切」とされています。クラシックが選ばれやすいのは、テンポが安定していて歌詞がないぶん、リラックス効果を得やすいからにすぎません。好みでないクラシックを義務感で流しても、ストレスになるだけで逆効果になってしまいます。

音楽のジャンル選びより大切な「聴き方のポイント」が3つあります。

🎵 音量は60dB前後(普通の会話レベル)を目安に

85dB以上の大音量は、胎児の心拍数に変化が見られる可能性があることが報告されています。目安は「テレビの音量と同じくらい」。居室にスピーカーを置いてBGMとして自然に流す程度が適切です。

🎵 赤ちゃんに届けたいならスピーカーを使う

イヤホンで音楽を聴いても、ママがリラックスする目的なら問題ありません。ただし、胎児の聴覚に音を届けたい場合は、スピーカーが適しています。スピーカーの空気振動が腹壁を通じて胎児に届くためです。スピーカーをお腹に直接当てるのは音圧が局所集中するためNGで、少なくとも1m以上離して使いましょう。

🎵 1回15〜30分・1日1〜2回が適量

長時間の連続再生は、胎児への刺激過多になる可能性があるうえ、ママへのノルマ感も増します。朝のリラックスタイムや就寝前など、生活の中の心地よい時間に自然に組み込むのがベストです。

ジャンルを選ぶ際の具体的な目安として、シーン別に参考になる音楽をご紹介します。

シーン おすすめのジャンル/曲例
朝のつわりがつらいとき テンポの遅いピアノ曲ショパン夜想曲」など
家事のBGM 軽快なクラシック、ヴィヴァルディ「四季・春」など
眠れない夜 環境音楽、ドビュッシー「月の光」、サティ「ジムノペディ」など
普段からの1枚 オルゴール、ジブリ音楽、好きなJ-POPのインスト版など

これは使えそうですね。好きな音楽を選んで「ながら聴き」するだけで十分です。

ムーニー:効果的な胎教とは?いつからするべき?どんな音楽がいい?(産婦人科医監修)

胎教音楽を義務にしてはいけない理由と保育士が伝えるべきこと

「ちゃんと毎日聴かせないと……」というプレッシャーを感じている妊婦さんは少なくありません。痛いところですね。でも実はその「義務感」こそが、胎教の最大の敵になりえます。

前述の通り、胎教音楽の有効ルートは「母体リラックス→コルチゾール低下」という間接経路です。ところが義務感・焦り・プレッシャーは、コルチゾールの分泌を促進する感情そのものです。つまり「やらなきゃ」と思って無理に聴いている場合、リラックスどころかストレス源になってしまい、胎教の効果を打ち消す可能性があります。

大切なのは、妊婦さん自身のコンディションです。「今日は体がしんどい」「音楽を聴く気分ではない」というときに無理をする必要は一切ありません。また、胎教音楽をしっかり行ったからといって、産後の赤ちゃんが「全然泣かない手のかからない子」になるとは限りません。産婦人科医の佐藤先生も、「胎教の効果を期待しすぎると、産後に悲観することになるので注意が必要」と述べています。

ここが、保育士として妊婦さんや妊娠した同僚・後輩に伝えるべき重要なポイントです。子どもの発達に詳しい保育士だからこそ、「胎教さえすれば大丈夫」という誤解を正す立場にあります。

妊婦さんへの正しいアドバイスとしては、次の3点が基本です。

  • 始める時期に「遅すぎる」はない:聴覚発達の目安は妊娠24〜26週ですが、いつ始めても問題ありません。
  • 好きな音楽でOK:クラシックでなくてもよく、ママがリラックスできることが最優先です。
  • やれない日があっても大丈夫:無理なく続けることが、結果として最もよい胎内環境につながります。

つまり「胎教音楽は頑張るものではなく、楽しむもの」というのが原則です。

胎教音楽と合わせて知っておきたい:パパの声と話しかけの効果

胎教音楽の話題で見落とされがちなのが、「既成の音楽を聴かせるよりも、ママが直接歌いかける・語りかける方がより効果的」という視点です。これはあまり知られていません。

東洋大学の山原准教授は、「聴かせる音楽の種類よりも、お母さんが好きな音楽を一緒に聴いたり、抱っこして語りかけるように歌うことがもっとも効果的」と明言しています。赤ちゃんはお腹の中にいるときから母親の声に特別に反応し、生まれた直後から聴いたことのない女性の声よりもママの声を好むという研究結果も報告されています。これは「マザリーズ」と呼ばれる現象で、語りかけのとき自然に声が高くなり歌いかけるような感じになること自体が、赤ちゃんだけでなくお母さん自身の脳活動にもよい効果を与えることがわかっています。

パパの語りかけも同様に重要です。赤ちゃんは高い声を好む傾向があるため、ママの声ほど反応が強くない場合もありますが、パパが語りかけたり歌ったりすることにも同じ効果が期待できます。妊娠28週以降は胎児が母親と他者の声を聞き分けられる段階になるため、パパが毎晩お腹に向かって話しかけることが、産後の親子の絆にもつながると言われています。

胎教の実践として、次のような方法が日常に取り入れやすくておすすめです。

  • 🎵 朝晩の挨拶を赤ちゃんに声で伝える(「おはよう」「おやすみ」など)
  • 🎵 好きな童謡や子守唄を鼻歌でふんわり歌う
  • 🎵 お腹をやさしくなでながら話しかける
  • 🎵 パパに夜の「おやすみ声かけ」を習慣にしてもらう

スマートフォンアプリの「読み聞かせアプリ」や、Spotifyなどのストリーミングサービスにはリラックス系の胎教プレイリストも充実しています。「胎教ミュージック」や「マタニティ BGM」で検索するだけで見つかるので、手軽に活用できます。

既成音楽よりママの声が基本です。そこを押さえれば大丈夫です。

東洋大学:音楽が子どもの生きる力を育む。乳幼児期からの音楽教育の重要性(マザリーズ・語りかけの科学的根拠も解説)

ミッフィー 胎教 心ゆったりおだやかになるクラシック