鈴虫の歌歌詞を保育士が活かす秋の活動ガイド

鈴虫の歌・歌詞を保育で活かすための完全ガイド

「虫のこえ」の歌詞に出てくる”鈴虫”の鳴き声「リンリン」は、実は平安時代には松虫と呼ばれていた虫の声で、あなたが今教えている「鈴虫=リンリン」は約600年前まで別の虫の名前だったのです。

🎵 この記事でわかること
📖

「虫のこえ」歌詞の全文と正確な読み方

1番・2番の歌詞を平仮名・漢字で完全収録。保育の現場でそのまま使えるよう、登場する5種類の虫の名前と鳴き声の表現もあわせて解説します。

🔍

鈴虫の歌が持つ意外な歴史と豆知識

作詞・作曲者が今も不明な理由、2番の歌詞がかつて「キリギリス」だった経緯、スズムシとマツムシの呼び名が逆転していた600年の謎など、保育の場で語れるトリビアを紹介します。

👶

年齢別ねらいと手遊び・自然観察への展開

3歳・4歳・5歳それぞれに適した声かけ・ねらい・導入のコツを具体的に解説。鈴虫の歌を起点に広がる保育活動のアイデアも盛り込みました。


<% index %>

鈴虫の歌「虫のこえ」の歌詞・全文と登場する虫

 

「虫のこえ」は1910年(明治43年)に文部省の唱歌集『尋常小学読本唱歌』に初めて掲載された文部省唱歌で、2006年(平成18年)には文化庁と日本PTA全国協議会が選ぶ「日本の歌百選」にも選定されています。作詞・作曲者はともに「文部省唱歌」と表記されており、個人名は現在も公式には不明のままです。上真行・小山作之助・岡野貞一など複数の音楽家が制作に関与していたとされますが、誰が「すずむし」の部分を書いたかまでは特定されていません。これは意外ですね。

歌詞の全文は以下のとおりです。

歌詞(現代表記)
1番 あれ松虫が 鳴いている
ちんちろ ちんちろ ちんちろりん
あれ鈴虫も 鳴き出した
りんりんりんりん りいんりん
秋の夜長を 鳴き通す
ああおもしろい 虫のこえ
2番 きりきりきりきり こおろぎ
がちゃがちゃがちゃがちゃ くつわ虫
あとから馬おい おいついて
ちょんちょんちょんちょん すいっちょん
秋の夜長を 鳴き通す
ああおもしろい 虫のこえ

歌詞には合計5種類の虫が登場します。松虫・鈴虫・こおろぎ・くつわ虫・馬おいです。それぞれの鳴き声表現を以下で整理します。

  • 🦗 松虫(まつむし:「ちんちろ ちんちろ ちんちろりん」 — 澄んだ高音でリズミカルに鳴く
  • 🔔 鈴虫(すずむし):「りんりんりんりん りいんりん」 — 鈴を転がすような高く美しい音
  • 🌿 こおろぎ:「きりきりきりきり」 — 細かく刻むような鳴き声
  • ⚙️ くつわ虫:「がちゃがちゃがちゃがちゃ」 — 馬の口輪(くつわ)の音に例えられる
  • 🐴 馬おい(ウマオイ):「ちょんちょんちょんちょん すいっちょん」 — 馬を追うような小気味よいリズム

鈴虫の鳴き声の周波数は約4,500Hzにも達します。人間の話し声が主に300〜3,400Hzの帯域であることと比べると、はるかに高い音域です。つまり、鈴虫の「りんりん」は人間の声よりずっと高いということです。

この歌は保育の現場で主に幼児クラス(3〜5歳)で歌われますが、鳴き声のオノマトペが豊富に使われているため、言語感覚の発達途上にある子どもたちの語彙を自然に広げる働きもあります。繰り返しとリズムが一定で覚えやすい構造も、保育で取り入れやすいポイントです。

保育の現場で参考になる「虫のこえ」の歌詞・楽譜・解説はこちら:
虫のこえ(虫の声)童謡・唱歌 歌詞と試聴 — WorldFolkSong

鈴虫の歌の歌詞が持つ「意外な歴史」と保育で使えるトリビア

「虫のこえ」の歌詞を子どもたちに伝える際に、背景知識があるとぐっと深みが増します。実は、鈴虫の名前と松虫の名前は平安時代から15世紀頃まで、現在とは逆に使われていたことが分かっています。

現代では「りんりん」と鈴のような音で鳴く虫を「鈴虫」と呼んでいますが、平安時代にはその虫を「松虫(まつむし)」と呼んでいました。松林に吹く風、つまり「松風(まつかぜ)」に例えられたからです。一方で今の「松虫(まつむし)」、つまり「ちんちろりん」と鳴く虫の方が「鈴虫」と呼ばれていたのです。驚きの逆転ですね。

この呼び名の逆転が起きた理由について、椙山女学園大学の武山隆昭名誉教授の論考によれば、15世紀ごろ京を中心に「チリーン、チリーン」と伸びやかに鳴る風鈴が普及したことが関係しているとされます。風鈴の音が広まると「鈴の音」のイメージが変わり、「リーン、リーン」と鳴く虫こそが鈴の音らしいと受け取られるようになり、現代の「鈴虫」の呼び名に定着した、という経緯です。

また、2番の歌詞冒頭にある「きりきりきりきり こおろぎや」という部分も、版によっては「きりぎりす」と表記されているものがあります。これは中世ごろから「きりぎりす」と「こおろぎ」が混同されていたという歴史的な背景によるもので、清少納言の『枕草子』でも「蟋蟀(きりぎりす)」という漢字が使われながら、秋の夜に鳴く虫として描かれており、これは現代でいうコオロギを指していると考えられています。

  • 🎵 「虫のこえ」の初出は1910年(明治43年)。現在から約116年前の唱歌です。
  • 🔔 「りんりん」と鳴く鈴虫の呼び名が現代と逆だったのは約600年前まで。
  • 📜 2番の「こおろぎ」はかつて「きりぎりす」と表記されていたバージョンも存在します。
  • 👤 作詞・作曲者は現在も公式には不明。複数の音楽家が関わった合作とされています。

こうした豆知識は、子どもたちに直接教えるというよりも、保育士自身が歌への興味を深め、自然な語りかけのなかで「昔の人はね、鈴虫のことを松虫って呼んでいたんだよ」とさらりと伝えるだけでも、子どもたちの「なぜ?」という好奇心を引き出すきっかけになります。保育士の知識の深さは、子どもとの対話の豊かさに直結します。

スズムシとマツムシの名称逆転の詳しい解説はこちら:
スズムシの鳴き声 昔はマツムシだった?意味・理由・歴史 — WorldFolkSong

鈴虫の歌・歌詞を使った年齢別のねらいと導入のポイント

「虫のこえ」は歌詞のオノマトペが豊富で、子どもたちが声に出して楽しみやすい構造を持っています。ただし、3歳・4歳・5歳ではそれぞれ発達段階が異なるため、ねらいと導入の仕方を変えることが大切です。

3歳クラス(年少)では、歌詞の意味よりも「音の楽しさ」を優先します。「りんりん」「ちんちろりん」という繰り返し音に合わせて体を揺らしたり、手をたたいたりする活動が有効です。ねらいは「保育士と一緒にリズムを楽しむ」「秋という季節があることに気づく」の2点が基本です。
4歳クラス(年中)になると、歌詞に出てくる虫の名前に興味を持ち始めます。「鈴虫ってどんな虫?」という問いかけから図鑑を広げたり、散歩の際に草むらで耳を澄ませたりする活動に発展できます。ねらいは「歌詞の内容を理解し、秋の生き物に親しむ」ことです。
5歳クラス(年長)では、2番まで通して歌い、虫ごとに異なる鳴き声の表現を比べる活動が効果的です。「くつわ虫のがちゃがちゃって、どんな音だと思う?」と子どもたちに想像させ、自分で音を作って表現する時間を設けるのもよいでしょう。ねらいは「言葉・音・生き物への感性を広げる」ことです。

導入のコツとしては、最初から「一緒に歌って」と言うのではなく、保育士が一人でゆっくり歌いながら子どもたちに聴かせる時間を作ることが有効です。子どもが「あの歌、何?」と興味を持ち始めたタイミングで「一緒にやってみる?」と声をかけると、自然な形で活動に引き込めます。

9月の保育活動と歌・手遊びのねらいの参考はこちら:

鈴虫の歌の歌詞と連動した手遊び・自然観察への展開アイデア

歌を覚えた後の活動として、「鈴虫の歌」を起点にした手遊びや自然観察へ広げると、保育の質がぐっと高まります。手遊びは動きで体にリズムを刻む効果があり、歌詞の言葉をより深く記憶させる働きもあります。

🎵 手遊びアレンジの例として広く使われているのが「りんりんすずむし」の手遊びです。「りんりん」の部分で両手の人差し指を立ててくるくると回す動作を加え、「鳴き出した」で手を広げるなど、歌詞の流れに合った振り付けを考えるだけで、子どもたちの集中力が高まります。虫ごとに動きを変える工夫も有効で、「がちゃがちゃ」なら両手をかみ合わせるように動かす、「すいっちょん」なら腕をシュッと伸ばすなど、体全体を使った遊びに発展させることができます。
🌿 自然観察との連携について、歌の中に出てくる虫たちが実際に鳴く時期は9月〜10月が中心です。この時期の散歩や園庭活動で草むらに耳を澄ませる時間を作ると、子どもたちの「あっ、これが虫のこえだ!」という発見が生まれます。この発見は情緒的な感動を伴い、記憶に残りやすいという特徴があります。

ただし、実際の鈴虫の鳴き声(約4,500Hz)は非常に高い音域のため、感度の高い子どもの耳でないと聞き取りにくい場合もあります。保育士がYouTubeや専用音源でスピーカーを通して聴かせる場合は、音量の調整に気を配ると、子どもたちが「これがりんりんの音なんだ!」とより具体的に認識できます。

自然観察や歌活動の後には、画用紙に「自分が聴いた虫の声の絵」を描く製作活動にもつなげられます。音を絵で表現するという体験は感覚間の結びつきを促し、豊かな感性の土台を育みます。

  • 🗓️ 歌い出しの時期:9月上旬〜10月が最適(実際の虫の鳴く時期に合わせる)
  • 👂 活動のポイント:散歩先で実際の虫の鳴き声を聴き、歌と照らし合わせる
  • 手遊びの発展:虫ごとに動きを変えてオリジナルの振り付けを作る
  • 🎨 製作への連携:虫の声を色や形で表現する「音の絵」製作が感性育成につながる

保育士だけが知っておくべき「鈴虫の歌・歌詞」独自視点の活用法

「虫のこえ」の歌詞を使った保育活動で、多くの保育士がやりがちな落とし穴があります。それは「歌詞を正確に覚えさせること」だけを目的にしてしまうパターンです。歌詞の暗記が目的になると、楽しさよりも作業感が先行し、子どもたちの秋への興味が薄れてしまいます。

大切なのは、歌詞の「体験」と「現実の体験」をつなぐことです。たとえば「りんりんりんりん」という言葉を聞いたとき、子どもの頭の中に本物の鈴虫の声のイメージが生まれるかどうか、そこに保育の価値があります。

一つ有効なアプローチとして、「聴き比べ活動」があります。保育士がスマートフォンや小型スピーカーで鈴虫・松虫・こおろぎの鳴き声をそれぞれ再生し、「この音はどの虫だと思う?」と子どもたちに問いかけます。子どもたちが「りんりんはこれ!」と自分で対応させる体験は、記憶への定着を大幅に高めます。

また、鈴虫の歌詞の「秋の夜長を 鳴き通す」という部分は、保育士にとって「秋の夜長」という概念を伝える絶好のチャンスです。「夜が長くなるっていうのは、どういうこと?」と問いかけることで、昼と夜の長さが季節によって変わることを自然に学ぶきっかけを作れます。これは理科・生活科的な感覚の育ちにもつながります。

さらに、保育士としての引き出しを広げる意味で、「鈴虫の歌」は10月・11月のピアノ伴奏付き集会活動でも使いやすい曲です。音域がほぼドからレの範囲に収まるため(へ長調で歌う場合)、3歳から5歳すべての子どもたちが無理なく歌いやすいという特長があります。ピアノ演奏が得意でない保育士の場合は、鍵盤ハーモニカや既成の音源をうまく活用するという選択肢もあります。

「歌を教える」ではなく「歌と共に秋を感じる」という姿勢が基本です。


マルカン 鈴虫のジャンボマット 3.5L M-102