スキーの歌の歌詞と意味を保育士が子どもに伝えるコツ

スキーの歌の歌詞の意味を保育士が子どもにわかりやすく伝える方法

「スキーの歌」は実は2曲存在し、別の曲を教えてしまうと子どもが試験で間違えます。

この記事のポイント3つ
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「スキーの歌」には2曲ある

「輝く日の影」(林柳波・橋本国彦)と「山は白銀」(時雨音羽・平井康三郎)の2種類が存在。小学校5年生の教科書に掲載されているのは前者です。

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古語・難語が多く意味の説明が必要

「はゆる」「手練」「飛鳥」など、現代の子どもにはなじみのない言葉が随所に登場します。正しい意味を理解して丁寧に伝えることが保育士・教員の腕の見せ所です。

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1〜3番は「時系列」で構成されている

1番はスタート前、2番は斜面を滑走中、3番はゴール手前という流れになっています。この構造を伝えるだけで子どもの理解と表現が大きく変わります。

スキーの歌には2種類ある!歌詞と作詞作曲者の違い

 

「スキーの歌」と聞いて、あなたはどちらの曲を思い浮かべるでしょうか。実はこの曲、同じ「スキーの歌」という名前で呼ばれる楽曲が2曲存在しています。これを知らずにいると、子どもや保護者への説明時に混乱を招くことがあります。

まず1曲目は、作詞:林柳波(はやし りゅうは)、作曲:橋本国彦(はしもと くにひこ)による文部省唱歌です。歌い出しは「輝く日の影(かがやくひのかげ)、はゆる野山(のやま)」。これは1932年(昭和7年)に作曲され、同年発行の『新訂尋常小学唱歌』に掲載された楽曲で、現在の小学校5年生の歌唱共通教材として教科書に載っているのはこちらの曲です。つまり授業で習う「スキーの歌」はこちらが正解です。

2曲目は、作詞:時雨音羽(しぐれ おとわ)、作曲:平井康三郎(ひらい こうざぶろう)の曲で、歌い出しは「山は白銀(しろがね)、朝日を浴びて」。こちらは昭和17年に文部省発行の「初等科音楽・四」に掲載されており、「日本の歌百選」にも選ばれています。スピード感あふれる曲調で、YouTubeやカラオケでも人気がある曲です。

2曲は別の作者・別のメロディーでありながら、どちらもスキーで雪山を颯爽と滑り降りる情景を歌っています。これが正確です。保育の現場では「スキーの歌といえばどちら?」と話題にすることで、子どもの興味を引き出すきっかけにもなります。どちらを指すかは文脈や場面によって異なるため、事前に確認しておくことが重要です。

作詞者の林柳波(1892〜1974)は群馬県生まれで、他にも「うみ」「虫のこえ」「かくれんぼ」など小学校歌唱共通教材を複数手掛けた人物。作曲者の橋本国彦(1904〜1949)は東京都生まれで、45歳という若さで生涯を終えましたが、この曲をはじめ多くの名曲を残しました。一方の時雨音羽(1899〜1980)は流行歌作詞家でも知られ、平井康三郎(1910〜2002)は童謡「とんぼのめがね」の作曲者としても有名です。

2曲の違いを把握しておくだけで、保護者からの質問にもスムーズに答えられます。

教育芸術社:小学生の音楽5 教科書準拠QR「スキーの歌」について(作詞・作曲者の解説)

スキーの歌の歌詞の意味を各番ごとに丁寧に解説

歌詞の内容を理解することは、子どもが曲を「ただ歌う」から「表現する」へと変わる大切なステップです。

まずは小学校教科書に掲載されている林柳波・橋本国彦版の「スキーの歌」(歌い出し:「輝く日の影、はゆる野山」)を番ごとに見ていきましょう。

【1番の意味】

「輝く日の影、はゆる野山」という出だしは、「太陽の光が輝き、野山が映えて光り輝く様子」を表しています。「はゆる」という言葉は古語で「輝く・映える」という意味を持ちます。続いて「麓(ふもと)をめがけてスタートきれば」でスキーの出発場面に入り、「粉雪は舞い上がり、風は叫ぶように音を立てる」とスピード感が一気に高まります。1番はスキーが始まる直前〜出発の瞬間を描いた場面です。

【2番の意味】

「大空を飛ぶように大地を走っている」という雄大な情景が広がります。「一白影なき」というのは「一面の白い世界で影が一つもない」こと、つまり曇りのない快晴の雪景色を指します。「手練(しゅれん)」とは「磨き上げられた技術・腕前」を意味する言葉で、今の子どもにはなかなか馴染みがない表現です。2番の主役は滑走中の高揚感です。

【3番の意味】

「山を越え丘を越え、斜面を下る」という終盤の場面です。「風を切り裂くように左右に滑り」、跳んでも踊っても斜面は流れるように速い。「空は青く、大地は白い」という色彩的な表現が印象的で、「あの丘も招いている」と旅はまだ続く、もっと滑りたいという気持ちを締めくくります。3番はゴールが近づいても気持ちが上がり続けている場面です。

1番から3番で「スタート前→滑走中→ゴール手前」という時系列になっています。この流れを子どもに伝えると、歌を「物語」として受け取ることができ、表現の豊かさが格段にアップします。保育の場でも「1番は出発だよ」「2番は飛んでいるみたい」「3番はまだまだ続けたいね」といった言葉かけが効果的です。

ひまわり:スキーの歌(文部省唱歌)歌詞の意味と歌唱ポイント解説

スキーの歌に出てくる難しい言葉と子どもへの伝え方

「スキーの歌」の歌詞には、現代の子どもにはなかなかなじみのない古語や難しい表現が複数登場します。意味をきちんと押さえておくことが大切です。

以下に主な難語とその意味、保育現場での伝え方をまとめます。

言葉 読み方 意味 子どもへの言い換え例
はゆる 輝く・映える(古語) 「山がキラキラ光って見えること」
麓(ふもと) ふもと 山の下の方の平らな部分 「山の下のところ」
粉雪(こゆき) こゆき さらさらとした細かい雪 「ふわふわした小さな雪のかけら」
一白影なき いっぱくかげなき 一面真っ白で影が一つもない 「どこもかしこも真っ白な世界」
手練(しゅれん) しゅれん 磨き上げられた技・腕前 「すごく上手な技」
飛躍(ひやく) ひやく 大きく跳び上がること 「大ジャンプ!」
飛鳥(ひちょう/ひとり) ひとり 空を飛ぶ鳥 「空を飛んでいる鳥みたいに」

難しい言葉は「子どもにとっての言い換え」を準備しておくことが基本です。特に「手練(しゅれん)の飛躍」は、現代の子どもにはほぼ通じない表現なので、「すごく上手な大ジャンプ」とシンプルに言い換えると伝わりやすくなります。

また「飛鳥(ひとり)」は、古語では「空を飛ぶ鳥」の意味ですが、奈良の「飛鳥(あすか)」と混同するケースもあります。歌の文脈では「まるで鳥が空を飛ぶみたいにスキーで滑っている」という比喩表現です。これが理解できると、歌の躍動感がぐっと伝わります。

なお、時雨音羽・平井康三郎版(山は白銀版)でも「真一文字(まいちもんじ)に身をおどらせて」という表現が出てきます。「真一文字」は「一直線に」という意味で、ためらわずまっすぐ滑り降りていく様子を表しています。こちらも一言添えてあげると子どもが情景をイメージしやすくなります。

難語が多い曲こそ、保育士や指導者の「言葉の橋渡し」が子どもの理解を大きく左右します。

世界民謡・童謡の歌詞・解説ページ:スキーの歌(山は白銀版)の歌詞と解説

スキーの歌の歌詞が持つ時系列構造と表現指導への活かし方

この曲の最大の特長の一つが、1〜3番が「スキーの1本滑走」を時系列で描いている点です。多くの人がこの事実を知らずに歌っています。

1番では「麓をめがけてスタートきれば」という言葉があり、スキーがまさに始まる瞬間を描いています。緊張感と期待感が混ざり合う、スタート直前の場面です。

2番では「大空を飛ぶように大地を走っている」という表現が出てきます。雪面のまっただ中、ストックを手に飛ぶように進む、滑走の真っ最中です。この番は最も動的でスピード感にあふれています。

3番は「すぐに滑走をさえぎる谷をめがけて、踊るように滑り降りればまるで飛んでいる鳥の心地だ」とゴールに向かう場面です。終わりが近づいているのに気持ちはまだまだ高揚しており、「あの丘も招く」という言葉でさらに滑り続けたいという余韻が伝わります。

この時系列を子どもと一緒に確認することで、歌を通した「物語の読み取り」という学習にもつなげられます。「この歌、映画みたいに3場面あるよね?」という切り口で伝えると、小学生でもすんなり理解できます。

また、保育・教育の視点で見ると、この構造は「感情の変化を身体で表現する」授業に応用できます。1番は「よし、行くぞ!」という気合いの表情、2番は「気持ちいい!」という解放感、3番は「最高!もっとやりたい!」という満足感で歌うよう促すと、子どもたちは自然と抑揚をつけて歌えるようになります。これは単なる歌唱指導を超えた「情操教育」としての効果も期待できます。

保育士として活用するなら、歌う前に「今日は1本スキーを滑り切るお話を歌うよ」と伝えるだけで、子どもの集中力がぐっと変わります。

スキーの歌の音楽的特徴と保育士が知っておくべき伴奏・歌唱のポイント

「スキーの歌」は歌詞だけでなく、音楽的な仕掛けが豊富な曲でもあります。保育士としてピアノ伴奏や歌唱指導を担当する際に知っておくと便利なポイントを整理します。

まず注目すべきはリズムです。曲の出だしは「タッカタタ」というリズムで始まります。この「タッカ」は付点8分音符+16分音符の組み合わせで、いわゆる「跳ねるリズム」です。ここが甘くなると「かがやく」という言葉が「かーがーやーく」とのんびりした印象になり、スキーの疾走感が失われてしまいます。裏拍を意識して弾くことが、このリズムを正確に表現するコツです。

次に伴奏のスタッカートです。楽譜にはスタッカート記号(音符の上の点)が随所に書かれています。スタッカートで音を短く切って演奏することで、ウキウキ・ワクワクした雪の上の弾む感じが生まれます。指導時には「スキーが雪を蹴る感じ」と子どもに伝えると、イメージが湧きやすくなります。

音域についても把握しておきましょう。この曲はもともとイ長調(♯3つ)で作曲されましたが、現在の教科書ではト長調(♯1つ)に移調されています。これは学習指導要領に基づき、小学生が音楽として扱いやすい調号に整えられたためです。1音下がっただけなので大きな音域変化はなく、5年生が十分に歌える範囲に収まっています。

また、この曲は「a a’ b a” コーダ」という構造を持ちます。最後のコーダ部分では主題のメロディーが再登場しますが、音符の長さが8分音符から4分音符に倍になります。これにより「最後に気持ちを高らかに解放する」という効果が生まれます。子どもたちに「最後だけゆっくり・大きくなるよ」と伝えてあげると、コーダの表現がぐっと豊かになります。

ピアノ伴奏が苦手な保育士には、まず簡易伴奏から入ることをおすすめします。YouTubeに「スキーの歌 簡易伴奏」で複数の動画が公開されており、参考にしながら練習できます。シンプルなコード伴奏でも、スタッカートとリズムさえ意識すれば十分に曲の魅力が伝わります。

つくしぱんだ:「スキーの歌」の解説と演奏のヒント(ピアノ伴奏のコツ・音楽構造の詳細)

スキーの歌