ショスタコーヴィチ 交響曲第5番をIMSLPで使う前に知るべきこと
IMSLPでショスタコーヴィチの楽譜をダウンロードしても、日本では著作権違反になる場合があります。
ショスタコーヴィチ 交響曲第5番のIMSLP掲載状況と著作権の落とし穴
IMSLPは世界最大規模のパブリックドメイン楽譜共有サイトで、カナダの著作権法を基準に運営されています。 ショスタコーヴィチの交響曲第5番(Op.47)のスコアやパート譜が公開されており、全パート分を無料でPDFダウンロードできます。imslp+1
ここで注意が必要です。ショスタコーヴィチは1975年に没しており、日本の著作権法では著作者の死後70年間は保護期間が続きます。 つまり、2045年までは日本国内での扱いがグレーゾーンになるということです。
参考)無料楽譜ダウンロードサイト「IMSLP」の使い方をわかりやす…
IMSLPのページには「V/V/V」という形式で、カナダ・アメリカ・EUの著作権ステータスが表示されています。 IMSLPがカナダ法準拠で公開しているからといって、日本からのダウンロードが完全に合法とは言い切れません。ダウンロード前に確認が原則です。
参考)無料楽譜ダウンロードサイトIMLSPの使い方|ピアノ・クラシ…
- 🇨🇦 カナダ:著作権保護期間は死後50年 → 2025年時点でパブリックドメイン
- 🇺🇸 アメリカ:出版日ベースの計算で条件付きパブリックドメイン
- 🇪🇺 EU・🇯🇵 日本:死後70年 → 2045年まで保護期間内
「IMSLPにあるから大丈夫」とは限りません。 国によって著作権の保護期間が異なるため、自分の居住国の法律を必ず確認してください。
参考)https://x.com/K_Tatz/status/2007269308091818241
参考:日本の著作権法とIMSLPの関係について詳しく解説されています。
無料楽譜ダウンロードサイト「IMSLP」の使い方をわかりやすく解説(著作権の注意点含む)
参考:IMSLPからのダウンロード手順を写真付きで解説しています。
IMSLPからパブリックドメイン楽譜をダウンロードする手順(弦楽館)
ショスタコーヴィチ 交響曲第5番の楽譜構成とIMSLPで入手できるファイル一覧
交響曲第5番(ニ短調・Op.47)は全4楽章構成で、演奏時間は平均約45分です。 大編成のオーケストラ曲で、使用楽器はフルート・オーボエ・クラリネット・ファゴット・ホルン4本・トランペット3本・トロンボーン3本・テューバ・ティンパニ・各打楽器・ハープ2台・ピアノ・チェレスタ・弦楽器全パートと、実に多彩な構成です。
参考)Symphony No.5, Op.47 (Shostako…
これは使えそうです。IMSLPでは、フルスコアだけでなく各楽器のパート譜も個別にPDFで入手できます。 ファイル数は30を超えており、スコアだけでなく各パート譜ファイルが分割掲載されています。
| 楽章 | テンポ標語 | 拍子・調性 | 形式 |
|---|---|---|---|
| 第1楽章 | Moderato | 4/4拍子・ニ短調 | ソナタ形式 |
| 第2楽章 | Allegretto | 3/4拍子 | スケルツォ |
| 第3楽章 | Largo | 弦楽のみ(冒頭) | 緩徐楽章 |
| 第4楽章 | Allegro non troppo | ニ長調 | フィナーレ |
kanzaki+1
フルスコアを見るだけで音楽全体の構造が把握できます。 アナリーゼ(楽曲分析)の参考資料として活用するなら、スコアを手元に置いて実際の音源と照合するのが最も効果的な学習方法です。
参考)https://www.kanzaki.com/music/ecrit/dsch-symphony5.html
参考:交響曲第5番の各楽章を詳細な譜例付きで分析した専門的解説サイトです。
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番の音楽(主題・調性・構造分析)
ショスタコーヴィチ 交響曲第5番が生まれた時代背景と「革命」の真意
1936年、ソ連の共産党機関紙「プラウダ」がショスタコーヴィチのオペラ『ムツェンスク郡のマクベス夫人』を「音楽のかわりに荒唐無稽」と批判しました。 これはスターリンの意向を受けた事実上の政治的攻撃であり、作曲家は一夜にして社会的窮地に追い込まれます。
参考)ショスタコーヴィチ 交響曲第5番 – 交響曲、大好き!
追い詰められた状況ですね。ショスタコーヴィチはその翌年である1937年の4月から7月のわずか3か月間で、この交響曲第5番を書き上げました。 古典的な4楽章形式に回帰した「聴きやすい」構造は、体制への表向きの従順さを示す一方で、内面には抑圧された怒りと皮肉が仕込まれていたとされています。everplay+1
- 🎭 フィナーレの「強制された歓喜」:ある批評家はこの終楽章を「強制された歓喜」と評した
- ⚡ 急激な転調と金管の強烈な主題:内面の葛藤と自由を求める意志の表れとも読める
- 📌 初演日は1937年11月21日、レニングラード・フィルハーモニー大ホール
- 👏 初演後、聴衆は長時間にわたるスタンディングオベーションで応えたとされる
表向きは「芸術家としての反省と回帰」、内側には深い政治的メッセージ。結論は二重構造の音楽です。この複雑な成り立ちを知ってからスコアを読むと、音符ひとつひとつの意味が全く変わって見えてきます。
参考:政治的背景と音楽の二重構造について詳しく解説されています。
ショスタコーヴィチ 交響曲第5番の初演者ムラヴィンスキーと楽譜の「謎の異版」
初演を指揮したエフゲニー・ムラヴィンスキーは、その後50年以上にわたって150回以上もこの交響曲第5番を演奏し続けました。 演奏回数だけ見ても、この数字は桁外れです。
参考)https://classic.music.coocan.jp/sym/shostakovich/shosta5.htm
意外ですね。実は、ムラヴィンスキーの演奏だけが終楽章コーダ直前の284小節付近で、ヴァイオリンとヴィオラの音型が他の版と異なります。 これはムラヴィンスキーがショスタコーヴィチ本人に直接確認した上での演奏と、夫人が証言しています。
この事実はIMSLPのスコアを参照する際にも重要な意味を持ちます。IMSLPに掲載されているのはあくまで出版スコアの1バージョンであり、「初演者が作曲家本人と確認した版」とは音符が異なる可能性があります。つまり複数スコアの比較が条件です。
- 📖 IMSLPには複数の編集者・出版社によるスコアが掲載されている場合がある
- 🔍 スコアを使う際はファイルの出版情報(出版社名・年)を必ず確認する
- 🎤 ムラヴィンスキー版と通常版の違いは第4楽章284小節付近に現れる
参考:ムラヴィンスキーとショスタコーヴィチの関係、楽譜の異版について詳しく書かれています。
ショスタコーヴィチ交響曲第5番の演奏と異版について(classic.music.coocan.jp)
ショスタコーヴィチ 交響曲第5番を保育現場の音楽教育に活かす独自の視点
保育士がクラシック音楽を活用するとき、「子ども向けのわかりやすい曲」だけが選択肢ではありません。ショスタコーヴィチの交響曲第5番は、感情の起伏が非常にドラマチックで、子どもたちが「音の変化」を体感しやすい構造を持っています。kanzaki+1
たとえば第3楽章(Largo)は弦楽器だけで始まり、静かな祈りのような響きが続きます。 「この音はどんな気持ち?」と問いかけると、子どもたちから豊かな言葉が引き出されやすい場面です。一方、第4楽章の金管が炸裂するフィナーレでは、体が自然に動き出す子どもも多くいます。
これは使えそうです。IMSLPで入手したスコアを見ながら音源を聴くことで、保育士自身が楽曲の構造を理解し、「今から弦楽器が出てくるよ」「次は太鼓の番だよ」と子どもたちに具体的に伝えられるようになります。楽器の名前と音を結びつける感性教育の第一歩として、スコアを「読める」保育士は現場で圧倒的に強いです。
- 🎻 第3楽章Largo:静かな情景描写・想像力を引き出すBGMに最適
- 🥁 第4楽章フィナーレ:ダイナミックな変化で体を動かす活動に合う
- 📋 IMSLPのスコアで楽器を事前に確認 → 「今の楽器は何?」クイズに応用できる
- 🎹 ピアノ・チェレスタパートはIMSLPで別ファイルとして公開中
クラシックの名曲を保育に取り入れる際は、まず保育士自身が「この音楽が何を語っているか」を理解することが出発点です。 IMSLPのスコアとYouTube等の音源を組み合わせれば、費用をかけずに深い音楽理解が得られます。ただし著作権の確認を先に行うのがスコア活用の原則であることを、改めて覚えておいてください。vivaclassicalmusic+1


