島うた歌を保育で活かす!選び方から実践まで完全ガイド
島うたの歌詞に出てくる「常夏の島」は、実は子どもの語彙力を1歳分以上も底上げできる最強の教材です。
島うた「サモア島の歌」の由来と保育で使われる理由
「サモア島の歌」は1961年にNHK「みんなのうた」で初放送され、日本全国の子どもたちの間に広まった名曲です。訳詞は小林幹治が担当し、メロディは文化人類学者・畑中幸子がサモア島の調査中に偶然耳にした曲を日本へ持ち帰ったものとされています。
この歌の面白いところは、実は肝心のサモア島の人々の間ではほとんど知られていないという事実です。日本でだけ広まった「サモアの歌」という、世界の民謡ではよくある逆転現象が起きています。意外ですね。
歌詞の構成は非常にシンプルで、「青い青い空」「高い高いやしの木」「大きな大きなやしの実」と繰り返し表現が多く使われています。繰り返しのリズムが子どもの記憶に残りやすいのが特徴です。保育現場でこの曲が長年使われ続けてきた最大の理由はここにあります。つまり、繰り返しフレーズが子どもの言語発達を自然に後押しするということです。
さらに、「常夏」「やしの木」「やしの実」「浜辺」「波間」など、普段の生活ではあまり使わない語彙が豊富に含まれています。2歳児の語彙数の目安は300語程度とされていますが、こうした歌を繰り返し歌うことで、日常会話だけでは出会えないような単語に自然と接触できます。これは語彙の裾野を広げるうえで非常に価値の高い経験です。
保育士として覚えておきたいのは、歌の由来や背景を子どもに簡単に話してあげるだけで、曲に対する興味が数段跳ね上がるという点です。「この歌はね、遠い南の島の子どもたちが歌っていたんだよ」という一言が、子どもの想像力を大きく広げます。歌の背景を伝えることは、立派な保育技術のひとつです。
歌詞のルビや解説など、楽曲の詳細については以下のページも参考にしてください。
サモア島の歌の歌詞全文・由来・解説(世界の民謡・童謡)

島うた歌が子どもの発達に与える3つの具体的な効果
「島うた」のような南国・海をテーマにした歌を保育に取り入れることは、子どもの発達にとって複数の側面からプラスに働きます。ここでは特に重要な3つの効果に絞って説明します。
まず1つ目は、言語・語彙発達の促進です。子どもが歌詞を覚えるとき、脳はメロディという「乗り物」に乗せて言葉を記憶します。単独の単語を暗記させるより、旋律に乗せた言葉のほうが格段に定着しやすいことが研究でも示されています。特に「サモア島の歌」のような繰り返し表現の多い曲は、語彙の定着率が高く、3歳児でも「やしの木」「やしの実」といった日常では使わない単語を自然に覚えていきます。歌が語彙の先生になるということです。
2つ目は、情操教育・感受性の育成です。「青い青い空」「白い白いきれいな浜辺」といった表現は、子どもの頭の中にイメージを呼び起こします。目の前にない「遠い島の景色」を頭で思い描くこの経験は、想像力や感受性を豊かにします。実際、東京藝術大学のレポートでも、音楽活動は自己肯定感やコミュニケーション能力の向上に寄与すると示されています。いいことですね。
3つ目は、社会性・協調性の発達です。「みんな集まれ いつもの広場に」「いっしょにならんで 愉快におどれば」という歌詞は、みんなで一緒に動くことの楽しさをそのまま歌っています。歌に合わせてクラス全員で手をたたいたり体を動かしたりすることで、自然と「合わせる」経験が生まれます。これが協調性の土台になります。
| 効果 | 具体的な内容 | 対象年齢の目安 |
|---|---|---|
| 語彙発達 | 「やしの木」「常夏」など日常外の語彙の定着 | 2歳〜 |
| 情操・感受性 | 遠い島の景色を想像し、イメージ力・感受性を育む | 3歳〜 |
| 社会性・協調性 | みんなで合わせて歌う・踊る経験を通じた「合わせる力」 | 全年齢 |
子どもの音楽発達と語彙成長の関係についての研究報告が掲載されています。
ヤマハ音楽振興会「音楽学習に重要な能力の発達」

島うたの歌・保育でよく使われる定番曲5選と年齢別の使い方
保育現場で実際によく使われている「島うた」系の歌を5曲まとめました。それぞれの特徴と、活用しやすい年齢の目安も一緒に確認してください。
- 🏝️ サモア島の歌(ポリネシア民謡/訳詞:小林幹治):繰り返し表現が多く、2歳児から無理なく楽しめる。夏のプール遊び・水遊びの前後に特に合う。
- 🤴 南の島のハメハメハ大王(作詞:伊藤アキラ/作曲:森田公一):登場人物の個性やストーリー性があり、3歳以上で内容を楽しみながら歌える。発語を促す手遊びとしても活用できる。
- 🎶 アイアイ(アフリカ民謡):「アイアイ」という繰り返しの呼びかけが特徴的で、乳児クラスでも大いに盛り上がる定番曲。
- 🌺 手のひらを太陽に(作詞:やなせたかし/作曲:いずみたく):体全体で表現することが自然にできる曲。夏のリズム遊びに最適。
- 🪀 ひょっこりひょうたん島(作詞:井上ひさし・山元護久/作曲:宇野誠一郎):島をテーマにしたNHK人形劇の主題歌。親世代にもなじみ深く、親子参加型のイベントでも使いやすい。
年齢別に活用方法を整理すると、0〜1歳は「歌のリズムを体で感じる」段階です。保育士が抱っこしてリズムに乗りながら歌いかけるだけで十分です。肌を通じた振動や保育士の表情が、情緒の安定と信頼感を育みます。
2〜3歳になると、繰り返しフレーズを一緒に声に出すことができるようになります。「青い青い〜」「高い高い〜」の部分を子どもが先に言えるようになったら、それは大きな発達のサインです。結論として、「繰り返し表現が多い曲を選ぶ」のがこの年齢の鉄則です。
4〜5歳では、歌詞の内容から「島ってどんな場所?」「やしの実って食べられるの?」という疑問が生まれます。そこから絵本や図鑑と連携する活動に広げることで、保育の深みがぐっと増します。島の写真や絵本を用意するだけで、一曲の歌が1時間の保育活動に発展することもあります。
島うたの歌を活かす振り付けと導入のコツ【保育士の実践アイデア】
「サモア島の歌」は、振り付きで歌うと子どもの参加意欲が格段に上がります。シンプルな振り付けでも、子どもは「体で表現する楽しさ」を全力で味わいます。これは使えそうです。
振り付けの基本的な考え方として、歌詞の「絵」をそのまま体で表現することがポイントです。
- 🙌「青い青い空だよ」→ 両手を上に広げて「空」を表現
- 🌴「高い高いやしの木」→ 片手を真っ直ぐ上に伸ばす
- 🥥「大きな大きなやしの実」→ 両手で大きな丸を作る
- 🌊「青い青い海だよ」→ 両手を横に広げ、波のようにゆらゆら揺らす
- 👏「手拍子そろえて」→ みんなで一斉に手を叩く
振り付けを導入するときのコツは、最初から全部を教えようとしないことです。最初の1番だけでも十分です。子どもが「もう1回!」と言い出すころには、自然に次のパートを教える絶好のタイミングが来ます。
導入の方法としては、いきなり「今日はサモア島の歌を歌います」と始めるより、「遠い海の向こうに、ヤシの木がいっぱい生えた島があるんだって」と話しかけてから歌い始めると、子どもの集中力がぐっと高まります。保育士の「語りかけ」が導入の核になります。
保育士チームによる振り付き「サモア島の歌(泳いであそぼうアレンジ)」の実践動画は、YouTubeで公開されています。まず自分が動きを確認しておくと、現場での指導がスムーズになります。
「保育士チームが実践!毎日がゆたかになるちょこっと音楽あそび」振付紹介(YouTube)

島うたの歌を使った異文化理解保育のアイデア【独自視点】
「島うたの歌」を単なる「夏の歌」として終わらせてしまうのはもったいないです。実は、この曲は子どもたちが「世界」に初めて触れるきっかけとして、非常に優れた教材です。
ポイントは、「歌が異文化への入り口になる」という視点です。多文化共生保育が注目される今、保育現場では外国にルーツのある子どもが増えています。厚生労働省の調査では、保育所における外国籍の子どもの数は年々増加傾向にあります。そうした現状の中で、「島の歌」を通じて「みんな違っておもしろい」という感覚を幼少期から育てることは、大きな意味を持ちます。
具体的なアイデアとして、「世界の島マップ」を保育室に貼ることがあります。「サモア島の歌」を歌った日に、地球儀や世界地図でサモアの場所を指差すだけです。「ここで生まれた歌なんだよ」という一言が、子どもの世界観を広げます。所要時間は1〜2分。特別な教材は不要です。
また、「南の島のハメハメハ大王」はハワイアン風の曲で、ハワイの文化的背景(南洋の王様・のんびりとした暮らし)を子どもが自然に受け入れやすい形で歌詞に落とし込んでいます。3歳以上のクラスで「ハメハメハ大王ってどんな王様だと思う?」と問いかけるだけで、子どもから豊かなイメージが次々と出てきます。これも立派な異文化理解活動です。
「アイアイ」はもともとアフリカの民謡をベースにした曲です。「アイアイってどんな動物?」という問いかけから、マダガスカル島のアイアイという珍しい動物の話に発展させることもできます。こうした「歌から広げる保育」は、手間をかけずに知的好奇心を刺激できる保育士ならではの技術です。
「歌から世界をのぞかせる」。このアプローチは、特別なプログラムや予算がなくても今すぐ始められます。島うたの歌は、そのための最高の入り口になります。
多文化共生保育における音楽活動についての研究資料はこちらが参考になります。
多文化共生保育における外国にルーツのある子どもの音楽活動(大阪教育大学)
https://osaka-kyoiku.repo.nii.ac.jp/record/2093168/files/edu_39_15-29.pdf

サモア島の歌

