指導案 保育 歌あそび
指導案 保育 歌あそび ねらい
歌あそびの「ねらい」は、“その歌をうまく歌えるようにする”だけに置くと指導案が薄く見えやすいため、保育の育ち(安心・模倣・友達とのやり取り・表現)に接続して言語化します。例えば乳児では、保育者の声・リズム・触れ合いを通して安心感を得たり、模倣して応答したりすることが土台になり、歌あそびはその媒介になります。東京都の1歳児の指導資料でも「保育者と一緒に歌を歌ったり、簡単な手遊びをしたりして楽しむ」ことが位置付けられており、日常の安定や関係づくりの流れの中で歌が扱われています。
参考になる観点として、年齢が上がるほど“集団で合わせる心地よさ”“役割やルールを共有する”“自分なりの表現を選ぶ”へと比重が移るため、同じ曲でもねらいの書き方を変えると指導案が立体的になります(例:2~3歳は友達と一緒に触れ合う楽しさ、4~5歳は数え歌やじゃんけん歌での集団遊び)。わらべ歌の年齢別の取り入れ方は、0~1歳は一対一のゆったりした触れ合い、2~3歳は友達と楽しむ関わり、4~5歳は集団遊びに発展しやすい点が整理されています。
ねらい文の“型”を持つと書きやすくなります。
・乳児向けの型:
- 保育者の歌声や手遊びに親しみ、安心して過ごす。
- リズムに合わせて身体を動かすことを楽しむ。
- 知っている言葉や擬音語をまねして発声しようとする。
・幼児向けの型:
- 友達と歌や動きをそろえる心地よさを味わう。
- 歌詞のイメージをふくらませ、表現する楽しさを感じる。
- 簡単なルール(順番・交代・合図)を理解し、遊びを継続する。
ここで意外に効くのが「歌詞の意味を保育者が説明できる曲を選ぶ」という視点です。歌詞理解が進むと子どもがイメージを持ちやすく、歌う意欲につながると整理されており、指導案の“選曲理由”にも書きやすい要素になります。
ねらいの根拠になる公的・準公的資料(環境や援助の考え方、年齢別の姿が豊富)
東京都の1歳児のねらい・援助例(歌や触れ合い遊びの位置づけ)
指導案 保育 歌あそび 内容
「内容」欄は、活動の手順を書くだけだと“実践の記録”になってしまうため、指導案としては「子どもの行為が自然に起きるように構成した内容」を書くのがポイントです。歌あそびの内容は、①導入(注意を集める・情緒を整える)②提示(歌・動き・道具の見せ方)③展開(子どもの選択や反復が生まれる場面)④終わり(余韻・次の活動への接続)で分けると、年齢差の調整もしやすくなります。
歌あそびは「歌+手遊び」「歌+身体表現(歩く・跳ぶ)」「歌+楽器」「歌+絵本・シアター」などに分解でき、ねらいに合う組み合わせにすると内容が締まります。例えば導入に絵本やシアターを使うと歌詞のイメージが一致しやすく、活動に入りやすいという整理があり、指導案の“導入の意図”として書きやすいです。さらに、手遊びやダンスに発展させると興味が持続しやすく、保育者独自のアレンジで振り付けを考えることも提案されています。
年齢別の内容の作り方(例)を、指導案に貼り付けやすい形でまとめます。
【0~1歳児:安心と模倣を中心に】
- 内容:保育者の膝・向かい合いで短い歌、同じ動きの反復、触れ合い(こちょこちょ等)をセットにする。
- キーワード:一対一、ゆったり、同じフレーズ、心地よさ。
- ねらいにつながる“見取り”:目線が合う、口形模倣、手の動き模倣、身体の力が抜ける。
【2~3歳児:友達と一緒・やり取りの芽生え】
- 内容:輪になる、ペアになる、名前を呼ぶ、触れ合いを“選べる”形にする(手をつなぐ/肩にタッチなど)。
- キーワード:友達、繰り返し、簡単なルール。
- 見取り:友達を誘う、順番を待つ、同じ動きを笑い合う。
わらべ歌は2~3歳で“友達と触れ合う”ねらいに合う例が示されており、クラスづくりの時期にも使いやすい整理です。
【4~5歳児:集団の心地よさ・工夫・表現の選択】
- 内容:じゃんけん歌、数え歌、役割交代、テンポ変化(ゆっくり→ふつう→速い)で遊びを構造化する。
- キーワード:集団遊び、ルール、創意工夫。
- 見取り:友達と合わせる、提案する、失敗しても続ける。
4~5歳は集団遊びができるわらべ歌が合い、繰り返しで数や社会性にもつながる整理がされています。
ここで“意外に効く”内容の工夫として、歌あそびを「生活の切り替え」に組み込む方法があります。朝の会・片付け・移動などの場面で“同じ短い歌”を使い、合図の一貫性を作ると、指導案上は「活動の定着」「見通し」「安心」にもつながり、評価もしやすくなります(今日は歌あそびが“主活動”でも、日常にも波及するため)。
指導案 保育 歌あそび 環境
歌あそびの「環境」は、楽器や絵カードを準備するだけでなく、子どもが“参加しやすい距離・音量・動線”まで含めて書くと説得力が出ます。特に乳児は、声や音の刺激に敏感な子がいるため、場所の反響(廊下・ホール)や集団の密度で参加度が変わりやすく、環境構成の差がそのまま子どもの姿に表れます。東京都の資料の指導例でも、歌に合わせた触れ合い遊びを「保育者と一対一」で行う形が示されており、“人数と距離”が環境の重要要素であることが読み取れます。
環境構成は、次の観点で書くとブレにくいです。
- 場所:輪になれる広さ、転倒リスクの少ない床、見通し。
- 音:BGMを流すなら音量は控えめ、保育者の声が主になる設定。
- 道具:小物(スカーフ・鈴・タンバリン等)は数、収納、出し入れの導線まで。
- 視覚:歌詞のイメージが持てる絵本・カード・シアター。導入の“見せ方”を含める。
- 人数:全体→少人数→一対一へ切り替えられるように配置。
また、わらべ歌や手遊びうたの研究資料では、幼児が教師や友達と触れ合い、つながる楽しさを味わうために「自由に動き回れるように場を確保する」などの環境への言及があり、触れ合いを成立させる空間づくりが重視されています。触れ合いをためらう子への配慮も示されており、「触れ合い=必須」にしない環境設計(距離を保てる位置、見て参加できる席)が現場では効果的です。
環境の書き方の“文例”も置きます。
- 子どもが輪になって座れるように、保育室中央を空け、動きやすいスペースを確保する。
- 絵本(または簡単なシアター)を導入に用い、歌詞の情景がイメージできるように提示する。
- 音の出る小物は人数分+予備を準備し、使わない子も安心して見ていられるよう別コーナーに置く。
触れ合い・表現の実践研究(環境構成や援助の工夫の考え方が読める)
わらべうたや手遊びうたを通した環境構成・援助の工夫(触れ合いへの配慮も含む)
https://www.nanbukouiki-okinawa.jp/shimaken/pdf/46-276-yamazato.pdf
指導案 保育 歌あそび 援助
歌あそびの「援助」は、指導案で最も差が出る欄です。コツは、①導入の声かけ②子どもの多様な参加形態(歌う・動くだけ・見る)を肯定する③つまずきの予防線(ルール・安全・音量)④個別配慮、の順に“先回りして書く”ことです。
歌の教え方に関する実務記事では、乳児では音が鳴るものを持ちながら歌う・手遊びを楽しめる選曲が関心を引きやすいこと、2~3歳では擬音語が入る歌詞が歌いやすいことなどが整理されています。さらに、歌の練習前に絵本やシアターで導入するとイメージが一致しやすい、手遊びやダンスに発展させると興味が出やすい、といった具体策も示されています。これらは援助欄にそのまま“手立て”として書けます。
援助の具体例(そのまま文にしやすい形)
- (導入)「今日は“まねっこ”してもOK、見ているだけもOKだよ」と参加の幅を先に伝え、安心して始められるようにする。
- (提示)保育者は最初の1回は歌い切り、次に短いフレーズで止めて子どもの声・動きを拾う。
- (展開)友達と触れ合う場面は、手をつなぐ以外に「同じ動きを向かい合ってする」「となりに座って手だけ動かす」など選択肢を用意する。
- (個別)声を出すことが苦手な子には、楽器担当・カードめくり担当など“役割”で参加できる道を作る。
- (安全)走る・回る動きが入る場合は、事前に範囲(線・マット)を示し、ぶつかりやすい場所に保育者が立つ。
あまり知られていない現場的な工夫として、「保育者が“わざと小さく間違える”」方法があります。例えば手遊びの一部を逆にして見せると、2~5歳は訂正したくなり、集中が上がることがあるため、マンネリ化した歌あそびの“再点火”として有効です(ただし、ねらいが安心・安定の乳児には不向きなので、学年で使い分けます)。指導案では「集中が切れた際の切り返し」として書くと、援助が具体化します。
指導案 保育 歌あそび 評価
評価は「上手に歌えた」かどうかではなく、ねらいに対して“どんな姿が見られたか”“援助は適切だったか”“次は何を変えるか”を書くと指導案として読みやすくなります。公的な指導資料でも、1歳児の時期に「保育者と一緒に歌を歌ったり、簡単な手遊びをしたりして楽しむ」とされているため、評価も「楽しんでいるサイン(目線・笑顔・模倣・繰り返し要求)」を中心に据えると筋が通ります。
評価の観点(コピペ可能な形)
- 子どもの姿:
- 歌や動きに反応し、目線・表情・身体の揺れなどで参加が見られたか。
- 繰り返しを喜び、同じフレーズを待つ・要求する姿があったか。
- 友達との関わり(誘う・合わせる・笑い合う)が生まれたか。
- 保育者の関わり:
- 声量・テンポはクラスの状態に合っていたか。
- 「見て参加」も肯定でき、無理な促しになっていなかったか。
- 触れ合いが苦手な子への選択肢(距離・役割)が機能したか。
- 環境:
- 輪の大きさ、物の配置、動線は安全で参加しやすかったか。
- 道具の数・提示方法で待ち時間が増えなかったか。
反省(次の援助案)を短く強く書く例
- 次回は導入に絵本を入れ、歌詞のイメージ共有を先に行う(見て参加の子も入りやすくする)。
- 触れ合い場面はペア固定にせず、選択制(タッチ/見て同じ動き)にして安心感を高める。
- テンポを速める前に“ゆっくり1回”を挟み、動きの確認時間を確保する。
歌あそびは、評価が丁寧だと「次の週案・月案への接続」まで書きやすくなります。例えば、同じ歌を“朝の会の導入”に転用する、片付けの合図にする、楽器を追加して表現を広げるなど、日常への波及が次の計画になりやすいからです。
歌や音楽のねらい(表現)に触れている実務整理(指導案の根拠づけに使える)
うたや音楽が「表現」に位置付くこと、ねらいの考え方の整理
https://hoiku-box.net/useful_cat04/article073/

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