七五三と保育園と行事
七五三の由来を保育園で伝える言葉
七五三は「ここまで大きくなったことをお祝いして、これからも元気に育つようにお願いする日」という軸で伝えると、幼児にも届きやすくなります。七五三の導入で難しいのは“歴史の正確さ”より“子どもが自分の成長と結びつけられること”なので、まずは園でできるようになったこと（着替え・片付け・友だちとの関わり等）に接続して語るのが効果的です。
由来を少し深めるなら、「昔は病気になりやすく、子どもが元気に育つこと自体がとても大きな願いだった」という背景を加えると、“お願いする行事”としての意味が腑に落ちます。さらに、3歳・5歳・7歳は、昔の節目の儀式（3歳の髪、5歳の袴、7歳の帯）に由来するという話を添えると、数字の由来がストンと入ります。
子ども向けの言い換え例（朝の会や集会でそのまま使える形）です。
・「七五三は、みんなが大きくなったねってお祝いする日だよ」
・「これからも元気でいられるように、“ありがとう”と“お願いします”をする日だよ」
・「3・5・7は、昔から『ここまで大きくなったね』っていう区切りの数字なんだよ」
【参考：七五三の意味・由来（子どもに伝えやすい説明／3・5・7の由来）】
七五三のねらいと行事の組み立て
保育園で七五三行事を行うねらいは、大きく分けると「七五三の意味や由来を知り関心をもつ」「成長をよろこびながら日本の伝統行事を楽しむ」の2本柱で整理できます。ここが定まると、製作・ゲーム・お参り・会の進行が“点”ではなく“線”としてつながり、行事後の振り返り（子どもの姿の記録）も書きやすくなります。
行事を「会（集会）だけ」で終わらせないための組み立て例です（規模は園の方針に合わせて圧縮できます）。
- 導入（1〜2週間前）
・絵本や紙芝居で“言葉”と“イメージ”を先に共有
・「七」「五」「三」を見つける・並べるなど、短い遊びで数に触れる
- 展開（数日前〜前日）
・製作（千歳飴袋、紅白の飾り、壁面）で“手を動かして理解”へ
・ごっこ遊び（神社ごっこ、写真屋さんごっこ）で“社会的なやりとり”へ
- 当日（集会・お祝い）
・園として成長を祝う言葉かけ（1人ずつ褒める時間を少しでも入れる）
・作品の紹介、歌、簡単なゲーム
- 振り返り（翌週）
・「できるようになったこと発表」や作品の持ち帰りで家庭とつなぐ
特に意外と効くのが、当日だけでなく“翌週の振り返り”まで行事に含める設計です。行事当日は刺激が多く、達成感はある一方で、学びとしての言語化は遅れてやって来る子もいます。翌週に「七五三のとき、どんなお願いをした？」「どこが楽しかった？」と聞く時間を取ると、経験が“思い出”から“学び”に変わっていきます。
【参考：ねらい／子ども向けの伝え方／製作・ゲーム・お参りのアイデア】
七五三の製作と千歳飴袋
七五三の製作で定番なのは「千歳飴」や「千歳飴袋」です。ねらいに直結しやすい理由は、作品が“行事の象徴”になり、子どもが当日その作品を手にすることで「今日は特別な日」という体験のスイッチが入るからです。
実践しやすい「千歳飴（製作）」の例です。
・材料：赤白の画用紙、白い折り紙、のり、色鉛筆（またはクレヨン）
・流れ：赤白を細長く巻いて飴に見立て、折り紙に「ちとせあめ」と書いて巻く
・ポイント：文字が難しい年齢は、保育者が文字を用意（シールや下書き）して、子どもは模様づけに集中できるようにします。
次に「千歳飴袋（製作）」は、年齢差を出しやすい題材です。
・3歳児：シール貼り、好きな絵、色の選択を中心に“やり切った満足感”
・4〜5歳児：折り紙パーツ（鶴や紅葉など）や、「七五三」の文字に挑戦して“挑戦”の要素
・共通：最後の穴あけ（パンチ）やリボン結びは、発達と安全に合わせて保育者が担う
製作を“行事の説明”で終わらせない小技として、「千歳飴袋に入れる“メッセージカード”」をクラスで1枚作る方法があります。カードに「大きくなったね」「これからも元気でね」と短い言葉を添えると、持ち帰り後に家庭で会話が生まれやすく、園のねらいが家庭に届きやすくなります。
七五三のお参りと写真と安全
園外に出て神社へお参りをする場合、行事の価値は高まりますが、同時に安全とマナーの設計が必要です。まず、神社によっては撮影（場所や時間帯）に制限があることがあるため、事前に撮影可否や立ち入り範囲を確認しておくとトラブルを減らせます。
当日の運用は、子どもが「できた！」を感じられる“短時間設計”がコツです。
・お参りの動作は簡略化し、事前に園で練習（おじぎ、静かに歩く、順番を待つ）
・現地では「鳥居の前で止まる」「手を合わせる」「一言お願いする」など、やることを3つ程度に絞る
・並ぶ時間が長いと集中が切れやすいので、待機中のミニ役割（前の子を応援、静かに数を数える等）を用意
写真については、“写真撮影が七五三の中心”になりがちですが、園行事では「成長を喜ぶ」「伝統行事に親しむ」が主役です。そこで、園としての撮影は「作品を持った集合写真＋活動中の数枚」くらいに留め、子どもの体験を邪魔しない優先順位を明確にしておくと、保育者側も動きやすくなります。
七五三の行事食と給食（独自視点）
検索上位の多くは「ねらい」「製作」「伝え方」「出し物」に寄りますが、保育園の七五三行事で“意外と効く”のが給食・おやつの設計です。行事食は、視覚・匂い・味で季節と行事を結びつけられるため、言語理解が追いつきにくい年齢でも「今日は特別」が伝わりやすい強みがあります。
ただし、千歳飴そのものは誤嚥リスクの観点で園によって提供可否が分かれます。そこで、安全に寄せた代替案として「紅白をイメージしたゼリー」「紅白の食材を使った副菜」「赤飯に触れる（量は少なめでも可）」など、“意味は残しつつ形を変える”発想が現場的です。行事食は「伝統に近づける」だけでなく、「年齢と安全に合わせて翻訳する」こと自体が保育の専門性になります。
子どもへの声かけ例（食育として短く）。
・「赤と白は、お祝いの色なんだよ」
・「みんなが元気に大きくなったことを、給食でもお祝いしようね」
・「いつもより“ていねいに味わう”っていう食べ方も、行事の楽しみ方だよ」
園の実例として、七五三の“お祝い献立（お楽しみ給食）”を紹介している保育園ページもあり、行事食の組み立ての参考になります。
【参考：行事食の具体例（七五三のお祝い献立のメニュー例）】
行事食を“ブログ記事の価値”に変える書き方のポイントは、メニュー紹介で終わらせず、ねらい（感謝・成長・伝統）に戻して言語化することです。たとえば「赤飯を出した＝伝統」ではなく、「赤飯に触れて『お祝いの食』を知る」「苦手でも一口だけ挑戦して“成長”を感じる」「友だちと同じ献立で“喜びを共有”する」と、保育の観点に翻訳すると記事としての説得力が上がります。
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