生活のリズムと保育園と歌あそびと健康

生活のリズムと保育園と歌あそび

生活のリズム×保育園×歌あそび:この記事で得られること

「切り替え」が楽になる設計

朝の会・食事・午睡・帰りの会など、生活の節目に歌あそびを置くと、子どもが次の行動を予測しやすくなります(見通し)。

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年齢別の“効く”歌あそびの当て方

乳児は安心感とリズム、幼児はルール理解と共同性。発達に合わせて歌のテンポ・長さ・参加方法を変えます。

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家庭との連携に強くなる

園の歌を家庭へ“共有”すると、睡眠・食事などの生活のリズムがつながりやすくなります。

生活のリズムの形成と保育所保育指針

 

保育園で「生活のリズム」を整えることは、気合や統制ではなく、保育の基本として位置付けられています。保育所保育指針では、保育士等が「子どもの生活のリズムを大切に」し、健康・安全で情緒の安定した生活環境を整えることが示されています。

さらに、養護(生命の保持)の内容として、清潔で安全な環境を整え、食欲・睡眠などの生理的欲求を満たしつつ、家庭と協力して子どもの発達過程等に応じた「適切な生活のリズム」がつくられていくようにする、と明記されています。

つまり、生活のリズムは「園だけで完結」させるのではなく、家庭との連携を前提に設計するテーマです。

※参考(権威性):保育所保育指針(厚生労働省告示)には、生活のリズムを大切にすること、家庭と協力して生活のリズムをつくることが記載されています。

保育所保育指針(厚生労働省)

生活のリズムと歌あそびのねらい(健康・表現)

歌あそびは「楽しい時間」だけでなく、生活の節目に置くことで、子どもにとっての“合図”になります。指針の内容でも、1~3歳未満児の「健康」領域に「食事や午睡、遊びと休息など、保育所における生活のリズムが形成される」が示され、同時に「表現」領域で「歌を歌ったり、簡単な手遊びや全身を使う遊びを楽しんだりする」ことが含まれます。

ここが重要で、歌あそびは「表現の活動」でありつつ、運用次第で「健康(生活のリズム)」にも直結します。つまり、歌あそびは“領域をまたいで効く”道具です。

たとえば同じ歌でも、次のようにねらいが変わります。

  • 朝:登園後の緊張をほどき、集団への導入(朝の会のスイッチ)
  • 食事前:手洗い→着席→食事の流れを予告(見通し)
  • 午睡前:呼吸が落ち着くテンポで入眠を促す(休息への移行)
  • 帰り:振り返りと気持ちの切り替え(家庭へ戻るスイッチ)

「歌は毎日同じでよいのか?」は現場でよく悩む点ですが、生活のリズム目的なら“固定化”はむしろ武器になります。一定期間同じ歌を続けると、子どもは歌の冒頭で次の行動を予測しやすくなり、言葉での指示量を減らせます。

生活のリズムの場面別:朝の会・給食・午睡の歌あそび

生活のリズムを作る際は、「いつ歌うか」を先に決めると設計がブレません。おすすめは“行為の直前”ではなく、“移行の直前”に置くことです(例:片付け→手洗いの前、手洗い→着席の前など)。

朝の会

朝の会は、登園後の自由遊びから、その日の主活動へ移る節目です。朝の会で歌を歌うことは、子どもが「今から園の生活が始まる」と理解しやすく、集団のリズムをそろえる役割を持ちます。朝の会の一般的な流れとして、挨拶・歌・出欠確認などが紹介されており、歌あそび(呼名を歌にする等)は低年齢でも参加しやすい工夫として扱われています。

(参考リンク:朝の会の目的や、朝の歌・歌遊びの具体例が載っています)

保育園で行う朝の会とは?内容や目的、遊びのネタを紹介(ほいくis)

給食・おやつ

食事の前後は、生活のリズムが乱れやすいポイントです(空腹・疲れ・興奮)。ここに短い手遊び歌を挟むと、列の並び替え、手洗い、着席、配膳待ちの時間が“空白”になりにくく、トラブルが減りやすくなります。

また、手遊び歌は「活動の導入」や「切り替え」に役立つとされ、朝の会や給食、おやつ、帰りの会などで活用できるネタとして紹介されています。

(参考リンク:導入・切り替えに使える手遊び歌、ねらいの考え方がまとまっています)

保育におすすめの手遊び歌53選|ねらいと盛り上げ方のポイント(ほいくis)

午睡

午睡は、生活のリズムを構成する大きな柱です。保育所保育指針でも、午睡が生活のリズムの重要な要素であり、安心して眠れる睡眠環境を確保しつつ、子どもの発達や個人差に配慮して一律にしないことが示されています。

ここでの歌あそびは“盛り上げ”ではなく“鎮静”が目的です。テンポはゆっくり、音域は高すぎない、繰り返しが多い曲が向きます。さらに意外と効くのが「いつも同じ歌の1番だけ」など、短く終わる型を作ることです。長いと逆に覚醒します。

生活のリズムの年齢別:乳児・1歳・2歳・3歳以上の歌あそび

同じ「歌あそび」でも、年齢で“参加の仕方”が違います。年齢別に、ねらい(生活のリズム)へつなぐポイントを整理します。

年齢 生活のリズムで起こりやすい課題 歌あそびの当て方
乳児 環境変化で不安・眠りに入りにくい 保育者の声・一定の繰り返しで安心感。歌いかけ(語りかけ)を短く一定に。
1歳 切り替えで泣く・拒否する “同じ歌=同じ流れ”を作り、見通しを育てる。手の動きは簡単に。
2歳 自我が強く、待つのが難しい 順番や名前呼びを歌にする。参加できる役割(指差し・返事)を入れる。
3歳以上 集団のテンポ差、盛り上がり過ぎ ルールのある歌あそびで集団調整。帰りは振り返り+落ち着きの歌へ。

乳児は、指針でも「食事、睡眠等の生活のリズムの感覚が芽生える」ことがねらいとして示され、保育士等の「歌いかけ」も内容に含まれます。つまり、乳児の歌あそびは“遊び”というより“養護の延長”として成立します。

一方、1~2歳は「生活の仕方に慣れる」「きまりに気付く」などが伸びる時期です。歌の出番を固定すると、「言葉の説明」を減らしても流れが通るようになります。

生活のリズムの独自視点:歌あそびを“音の掲示”にする方法

検索上位では「手遊びネタ集」「朝の歌〇選」のようなコンテンツが多い一方で、“歌を掲示物のように扱う”設計は意外と語られません。ここでは、歌あそびを「音の掲示(音のサイン)」として組み込む方法を提案します。

ポイントは、歌を「活動の中身」ではなく「合図(サイン)」に落とすことです。視覚の掲示(絵カード、タイムテーブル)が有効なのと同じで、聴覚の掲示も強力です。特に、活動場所の移動が多い園生活では“持ち運べるサイン”になります。

音の掲示:設計の手順

  1. 節目を3つに絞る(例:片付け/手洗い/午睡)。
  2. 各節目に「歌は1つだけ」を固定する(1か月は変えない)。
  3. 歌の長さは30~60秒目安(長いほど覚醒・混乱しやすい)。
  4. 歌の最後に“次の行動の一言”を毎回同じにする(例:「おてて、あらおうね」)。

うまくいくと起きる変化

  • 保育者の声かけが減り、声量も下がる(結果としてクラスが落ち着きやすい)。
  • 「早くして!」が減り、否定語が減る(情緒が荒れにくい)。
  • 子ども同士が歌を口ずさみ、互いの行動を促し合う(集団の自走)。

ありがちな失敗と対策

  • 失敗:毎週歌を変えてしまい、合図として定着しない。→ 対策:季節歌は“鑑賞”、合図歌は“固定”と役割を分ける。
  • 失敗:盛り上がる曲を午睡前に入れる。→ 対策:午睡前はテンポを落とし、動きも減らす(座ってできる手遊びまで)。
  • 失敗:歌が長く、途中で離脱が増える。→ 対策:1番だけ、繰り返し1回だけなど、短縮版を作る。

(参考リンク:歌遊びが生活のリズムを作り、自律神経を整えることにつながる、という専門家コメントが載っています)

「わらべうた」が子どもの発達を左右する!?(マイナビ保育士)

配信者スーパー無人島生活 ディレクターズカット版