佐藤義美 犬のおまわりさん|作詞家の生涯と歌詞誕生エピソード

佐藤義美 犬のおまわりさん

犬のおまわりさんは歌詞が長すぎて子どもには無理だと作曲家が断ろうとしていました。

この記事の3つのポイント
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佐藤義美の人物像

竹田市出身の童謡作家で約3500点の作品を残し、教師と創作活動を両立させた生涯

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歌詞誕生の秘話

編集長からの短縮要求を拒否し、作曲家の妻の一言で生まれた童謡の裏側

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保育現場での活用法

年齢別の表現力を育む指導のコツと発表会での演出アイデア

佐藤義美の生涯と童謡作家としての歩み

 

佐藤義美は1905年(明治38年)に大分県竹田市で生まれ、1968年(昭和43年)に63歳で亡くなった童謡作家です。早稲田大学国文科在学中から「赤い鳥」などに童謡を投稿し、早くから童謡作家として頭角を現しました。国語の教師をしながら童謡と詩を書き続け、1932年(昭和7年)には童謡集「雀の木」を、1959年(昭和34年)には「存在」を発表しています。wikipedia+1

北原白秋の門下生として詩人活動をスタートさせた佐藤は、戦前に「グッドバイ」や「ほろほろ鳥」で名をなしました。1966年(昭和41年)に教師を辞め、日本出版文化協会児童出版課に勤務してからは童話も書き始めるようになります。chikudensaryo+1

約3500点にも及ぶ童謡や童話を残したことが、2025年の生誕120年記念企画展で紹介されています。代表的な作品には「犬のおまわりさん」以外にも「おすもうくまちゃん」「アイスクリームのうた」「むぎわらぼうし」などがあり、いずれも子どもたちに親しまれ続ける作品です。彼の童謡は親しみやすさと教育的な要素を兼ね備えているのが特徴ですね。www13.big.or+1

1937年に交通事故に遭い、その影響が晩年まで続いたという記録も残されています。この事故が彼の創作活動にどう影響したかは定かではありませんが、困難を抱えながらも創作を続けた姿勢には、子どもたちへの強い思いが感じられます。

参考)http://www13.big.or.jp/~sparrow/MIDI-inunoomawarisan.html

犬のおまわりさん誕生の意外なエピソード

「犬のおまわりさん」は1960年10月、雑誌『チャイルドブック』で迷路遊びの曲として中尾彰の迷路挿絵とともに発表されました。この挿絵に描かれている「犬のおまわりさん」の犬種はコリーであり、歌詞とは異なり子猫は泣いていない表現になっています。

参考)犬のおまわりさん – Wikipedia

当時の子供の歌としては歌詞が長すぎると編集長が歌詞の修正を求めましたが、作詞者の佐藤が「子どもは絶対に歌える」と断固として主張し、拒否したためそのまま掲載されました。この判断が結果として日本を代表する童謡を生むことになったのです。weblio+1

作曲家の大中恩が依頼を受けた際、電話で「やってみませんか?」と言われたとき、「あんな長いのは子どもには無理だよ」と断ろうとしたそうです。ところが狭い仕事部屋のしきりの向こうにいた妻から「たいした稼ぎもないのに断るの?」という気配を感じて、「あれ、やってみようか」と引き受けてしまったと大中自身が語っています。この決断が「僕の作品の稼ぎ頭」になったとは、人生は何が幸いするか分かりませんね。

参考)「いぬのおまわりさん」(佐藤義美 作詩 大中恩 作曲)の誕生…

1961年10月10日に初めてNHKの『うたのえほん』で放送され、この曲はさらに広まりました。後継番組の『おかあさんといっしょ』でも定番曲として流れ続け、2007年には日本の歌百選に選出されています。wikipedia+1

犬のおまわりさんの歌詞に込められた意味

この童謡は動物を擬人化した歌で、犬のお巡りさんが迷子の子猫に家をたずねるが、子猫は泣くばかりなので困り果てて「ワンワン」と吠えてしまうというほのぼのとした情景を歌っています。

歌詞は2番で終わり、物語の結末が明かされず、迷子の子猫のその後が示されないため、リスナーたちの間で様々な憶測や創作が生まれています。結末がないことが聴衆の不完全感から都市伝説を生む要因にもなっているのです。

参考)https://gonzalespet.com/post-1813/

子どもたちには楽しい歌として聞こえる一方で、大人には社会的な責任や子どもたちの保護について考えさせるメッセージを含んでいます。犬のおまわりさんの困惑と無力さは、個人が社会的な問題に直面した際の複雑さを表しているとも解釈できますね。

一方で、この歌が作られた1960年代の日本社会が抱えていた問題や不安も反映されている可能性があり、時代を超えた普遍的なテーマが込められているのが特徴です。単なる童謡を超えた社会性がこの作品にはあります。

佐藤義美の犬のおまわりさんを保育で活用するコツ

保育現場では、ストーリー性のある歌詞を大切にして、絵本を読んでいるような感覚で歌うことがポイントです。こねこちゃんが泣いているところや、犬のおまわりさんが困っているところの表現力を大切にしましょう。子どもたちにも伝わるように大げさに、少しおもしろく歌えると効果的です。

参考)https://hoikunote.com/note/3689

未満児の発表会でよく歌われる曲で、おまわりさんのところは敬礼ポーズをしたり、泣いているこねこちゃんになってみたりする演出がかわいらしいと好評です。

発表会にピッタリの選曲と言えますね。

年齢別の指導では、3歳児は動物の鳴き声を楽しみ簡単な動作で表現を楽しむ段階です。4歳児ではお巡りさんの役割や困る気持ちを演じ分けながら、表現力と想像力を育みます。5歳児になると子猫やくまさんなど別の動物役を考え、振り付けやセリフを工夫する協働表現力を育てることができます。

参考)犬のおまわりさん|近藤夏子による振り付き動画

表情にも気をつけて歌うことで、子どもたちの情緒表現の幅が広がります。単に歌うだけでなく、登場人物の気持ちを考えさせることで、共感力や想像力の発達につながるのです。

犬のおまわりさんと佐藤義美が現代の保育に残したもの

佐藤義美が多くの人に知られるようになったのは、彼が亡くなった1968年以後だと童話作家の稗田宰子(佐藤義美記念館名誉館長)が語っています。生前の評価以上に、死後に広く愛される作品を残したということですね。

参考)犬のおまわりさん歌詞ひらがな‥まいごのこねこちゃん

現代では「犬のおまわりさん」という名称で、目印の手ぬぐいを愛犬や飼い主が着用し、散歩をしながら子どもたちに「見守り・声掛け」をする地域防犯ボランティア活動も行われています。童謡のイメージが地域の安全活動にまで広がっているのは興味深い展開です。

参考)犬のおまわりさん

保育現場では長年にわたり歌い継がれ、NHK『おかあさんといっしょ』の定番曲として現在も流れ続けています。シンプルながら奥深い歌詞と親しみやすいメロディーが、世代を超えて愛される理由と言えます。

佐藤義美の作品は、子どもたちの情緒を豊かにし、社会性を育む教材として今も価値を持ち続けています。彼が教師をしながら童謡を書き続けた経験が、子どもの心理を深く理解した作品づくりにつながったのでしょう。

童謡「犬のおまわりさん」は単なる歌ではなく、困っている人への共感、社会の役割、問題解決の難しさなど、多層的なメッセージを含んでいます。保育士が意識的にこれらの要素を引き出すことで、子どもたちの学びはより深まりますね。

佐藤義美の生誕120年を機に、彼の功績と作品の教育的価値を再認識することは、現代の保育実践にとっても意義深いことです。竹田市では2会場で企画展が開催され、人物像と作品に焦点を当てた展示が行われています。

参考)大分:佐藤義美「生誕120年」功績紹介 竹田市出身の童謡・童…


いぬのおまわりさん (うたの絵本)