佐藤義美 犬のおまわりさん│作詞の背景と保育での活用法

佐藤義美 犬のおまわりさん

編集長が歌詞を短くしろと指示したのに佐藤義美は拒否して大ヒットした。

この記事の3つのポイント
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作詞家・佐藤義美の人物像

大分県竹田市出身の童謡作詞家で、1960年に「犬のおまわりさん」を発表。編集長の修正要求を拒否し原作のまま世に送り出した

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童謡誕生の背景とエピソード

迷路遊びの絵に合わせて依頼された楽曲で、当時としては長過ぎる歌詞が特徴。1961年にNHK「うたのえほん」で放送され全国に広まった

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保育現場での活用法

手遊びや劇遊び、発語を促す教材として活用可能。年齢別のねらいを設定し、擬音表現や役割演技で子どもの表現力を育む

佐藤義美の生涯と童謡作家としての歩み

 

佐藤義美は1905年1月20日に大分県竹田市で生まれ、1968年12月16日に63歳で亡くなった童謡作詞家・童話作家・詩人です。19歳の時に「赤い鳥」などに投稿を始め、早稲田大学第二高等学院では石川達三や新庄嘉章、金子みすゞらと同人雑誌『曼珠沙華』を創刊しました。wikipedia+1

早稲田大学国文科在学中、初期の代表作「月の中」を「赤い鳥」に発表し、童謡作家として頭角を現しました。卒業後は国語教師として教鞭をとりながら童謡と詩の創作を続け、1946年には日本児童文学者協会の創立委員にもなっています。

つまり教育現場と創作活動を両立させた人物です。

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代表作には「犬のおまわりさん」のほか、「アイスクリームのうた」「グッドバイ」「バスの歌」などがあり、生涯で童謡・童話など約3500点を残しました。「犬のおまわりさん」は2007年に日本の歌百選に選出されています。wikipedia+3

犬のおまわりさん誕生の背景と編集長との対立

「犬のおまわりさん」は1960年、雑誌『チャイルドブック』10月号で中尾彰の迷路遊びの挿絵に合わせて発表されました。作曲は大中恩が担当し、同誌別売のソノシートが初録音となっています。ne+1

当時の子供向け童謡としては歌詞が長過ぎると編集長が修正を求めましたが、佐藤義美は「子どもは絶対に歌える」と断固として拒否し、原作のまま掲載されました。

これは佐藤の強い意志の現れです。

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1961年10月10日にNHKの『うたのえほん』で初めて放送され、さらに全国に広まりました。興味深いことに、佐藤義美記念館名誉館長によると、この曲が多くの人に知られるようになったのは、作詞者の佐藤が亡くなった1968年以後だとされています。作品が真に評価されるまで時間がかかったということですね。weblio+1

犬のおまわりさんの詳細な歴史と背景についてはWikipediaで確認できます

犬のおまわりさんの歌詞に込められた意味

歌詞は「まいごのまいごの こねこちゃん あなたのおうちは どこですか おうちをきいても わからない なまえをきいても わからない」という内容で、迷子の子猫と犬のお巡りさんの交流を描いています。動物を擬人化した歌で、犬のお巡りさんが子猫に家をたずねるが、子猫は泣くばかりなので困り果てて「ワンワン」と吠えてしまうというほのぼのとした情景です。worldfolksong+1

佐藤義美記念館の稗田宰子によると、作詞家本人は弟子に「人間もみんな迷子」という深い意味を語っていたとされています。表面的には子ども向けの楽しい童謡ですが、迷子の子猫は保護を必要とする弱い立場の人々を象徴し、犬のおまわりさんの困惑は社会的な問題に直面した際の複雑さを表していると解釈されることもあります。gonzalespet+1

初出の『チャイルドブック』の挿絵では、犬種はコリーとして描かれており、歌詞とは異なり子猫は泣いていませんでした。

視覚表現と歌詞の違いが興味深いですね。

犬のおまわりさんを保育で活用する手遊び・劇遊び

「犬のおまわりさん」は保育現場で手遊びや劇遊びとして幅広く活用されています。手遊びでは「まいごのこねこちゃん」の部分で子猫の泣き声を大げさに「ニャンニャン」と表現し、手で涙を拭くようなジェスチャーを取り入れます。「犬のおまわりさん困ってしまって」では首をかしげて困惑の動きをし、「ワンワンワンワーン」では大きな声で吠える真似をします。

年齢別のねらいとしては、2歳児では擬音「ニャン」「ワン」を真似して感情表現と模倣力を育み、3歳児では物語の展開を語りかけで理解し共感力を深めます。4歳児ではお巡りさんの役割や困る気持ちを演じ分けながら表現力と想像力を育て、5歳児では別の動物役を考えて振り付けやセリフを工夫する協働表現力を育てます。

発語を促す手遊び歌としても活用可能です。

ハンカチあそびとして犬や猫を作り、歌と合わせて楽しむ方法もあります。導入では「お巡りさんが子猫ちゃんを助けようとして困ってるね。どうしよう?」と問いかけると、子どもたちの興味を引き出せます。asoppa+1

保育現場での具体的な振り付けと年齢別ねらいの詳細は「ほいくnote」で確認できます

犬のおまわりさんから学ぶ佐藤義美の作風の特徴

佐藤義美の作風は、子どもの視点に立った素直な言葉選びと、長めの歌詞構成が特徴です。「犬のおまわりさん」は当時の幼児童謡の常識では長過ぎると指摘されましたが、佐藤は子どもたちが実際に歌えることを確信していました。note+2

大中恩の作曲は、音楽的に幼児を考慮した単純的なメロディーに仕上がっており、歌詞の長さをカバーしています。佐藤義美の作品には「召し上がる」といった尊敬語を童謡で使用するなど、他の作詞家にはない独特な言語感覚も見られます。相手を立てる気持ちを表現する尊敬語を使う童謡は珍しいですね。note+1

佐藤は国語教師としての経験を生かし、言葉の響きやリズムにこだわり続けました。1932年に童謡集「雀の木」、1959年に詩集「存在」を発表し、1966年には教師を辞めて日本出版文化協会児童出版課に勤務してから童話も書き始めました。教育者としての視点が創作活動に深く影響しているということです。chikudensaryo+1

犬のおまわりさんの現代的意義と保育での継承

「犬のおまわりさん」は1960年の発表から60年以上経った現在も、『おかあさんといっしょ』などで定番曲として流れ続けています。現代では地域防犯活動にも名前が使われ、犬を飼っている人が青いバンダナを犬に着けて子どもたちの登校時に散歩する「犬のおまわりさん」活動も行われています。peppynet+2

保育現場では読み聞かせ、手遊び歌、劇遊びなど多様な形で活用され、子どもたちの発語や表現力を育む教材として重宝されています。歌の中で子猫が困っている状況やお巡りさんが助けようとする姿勢は、子どもたちに困っている人への共感や助け合いの大切さを伝える教育的意義も持ちます。

2025年には佐藤義美の生誕120年を記念する企画展が竹田市で開催され、約3500点に及ぶ童謡や童話の功績が改めて紹介されました。時代を超えて愛される作品を生み出した佐藤義美の姿勢から、保育者は子どもを信じる姿勢の大切さを学べます。編集長の修正要求を拒否したエピソードは、子どもの能力を信じる保育者の在り方を示していますね。

佐藤義美の生誕120年企画展の詳細は読売新聞の記事で確認できます

ちいさいちいさいひこうき (チャイルド絵本館)