サルの歌歌詞を保育士が使いこなす方法
「アイアイ」の歌詞に出てくる動物は、現地では”悪魔の使い”と恐れられています。
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サルの歌の歌詞の種類と保育での使い分け方
保育現場で「サルの歌」と一口に言っても、その種類は思っている以上に多岐にわたります。代表的なものだけでも「アイアイ」「おさるのかごや」「5ひきのこざる(Five Little Monkeys)」の3曲が挙げられ、それぞれ歌詞の雰囲気・リズム・ねらいがまったく異なります。この違いを知ることが、保育に活かすための第一歩です。
まず「アイアイ」は1962年に作詞:相田裕美・作曲:宇野誠一郎によって発表された童謡で、「アイアイ アイアイ おさるさんだよ」という繰り返しの歌詞とテンポのよいメロディが特徴です。繰り返しフレーズが多いため、言葉をまだ十分に話せない1歳〜2歳の子どもでも自然と口ずさみやすく、手遊びとの相性も抜群です。
「おさるのかごや」は作詞:山上武夫・作曲:海沼實による作品で、「エッサ エッサ エッサホイ サッサ」という掛け声が印象的な4番構成の曲です。1938年(昭和13年)に作られた歴史ある童謡で、歌詞には「駕籠(かご)」「小田原提灯」など日本の伝統文化を背景にした言葉が登場します。少し難しい語彙が含まれるため、3歳以上のクラスで使うのが適しています。
「5ひきのこざる(Five Little Monkeys)」は英語圏で親しまれてきたカウントダウン式の手遊び歌で、日本語版も広く普及しています。5匹のサルが1匹ずつ減っていく歌詞の構成が数の理解につながるため、数概念を育てる活動としても活用されています。
つまり、「どのクラスに」「何をねらいに」使うかで選ぶべき曲が変わってきます。
| 曲名 | おすすめ年齢 | 主なねらい | 歌詞の特徴 |
|---|---|---|---|
| アイアイ | 1歳〜5歳 | リズム感・模倣・表現力 | 繰り返し多め・シンプル |
| おさるのかごや | 3歳〜5歳 | 語彙力・文化理解・協調性 | 4番構成・日本的な語彙 |
| 5ひきのこざる | 2歳〜4歳 | 数の概念・集中力・英語導入 | カウントダウン形式 |
「アイアイが通年で使える」点も覚えておきましょう。季節を選ばずに使えるという強みがあり、朝の会・運動遊び・リトミックの導入など、あらゆる場面で活躍します。
アイアイの歌詞が持つ意外な背景と保育への深め方
「アイアイ」の歌詞はシンプルで明るく、子どもたちが大好きな定番曲です。しかし、その歌詞の主人公「アイアイ」の実態を知ると、保育がぐっと深まります。
「アイアイ」は、マダガスカル島に生息する体重約3kgの夜行性の小動物(原猿類)の名前です。歌詞の通り「みなみのしま」に住み、「しっぽがながい」「おめめがまるい」というのも事実です。ただし実際の写真を見ると、目がギョロッとして指が長く鈎爪を持つ独特の外見をしており、童謡のかわいいイメージとはかなり異なります。さらに驚くべきことに、アイアイという名前の由来には「探検隊が現地人の驚きの声『アイアイ!』を名前と勘違いした」という説や、「現地語で『知らない』を意味する言葉を誤解して命名した」という説まであります。意外ですね。
作曲者の宇野誠一郎は、アニメ「一休さん」主題歌や「ムーミンのテーマ」を手がけた著名な作曲家です。子どもの心に響く楽曲を多数生み出した彼が、1962年にこの一曲を世に送り出したことで、「アイアイ」は今日まで60年以上歌い継がれています。
保育現場では、この背景をうまく活用することができます。3歳以上のクラスであれば、「アイアイってどんな動物か知ってる?」と問いかけて動物図鑑や絵本を一緒に見るところから始めると、子どもたちの好奇心が一気に広がります。歌を歌うだけでなく、「本物はどんな動物か」を調べるきっかけにすることで、自然への興味・語彙力・探求心を同時に育てることができます。これは使えそうです。
ほいくnoteの実演解説によれば、年齢別のねらいは以下のとおりです。
- 🐒 2歳児:まねっこあそびを通してリズムや言葉の響きを楽しむ
- 🐒 3歳児:動物の特徴を歌と動作で表現する力を育てる
- 🐒 4歳児:音楽に合わせて全身を使って動く喜びを味わい、表現力を伸ばす
- 🐒 5歳児:行進・隊列あそびなどへ発展させ、協調性や構成力を育てる
手遊びの振り付けは「おさるさんだよ」のフレーズで耳の形をつくったり、「やまのおうちに」で木登りのしぐさをつけるのが定番です。保育者自身が大きく体を動かして見せることで、子どもたちの模倣力・リズム感・運動意欲が引き出されます。
アイアイの歌詞と手遊びに関する実演動画・年齢別ねらいの詳細はこちらが参考になります。
おさるのかごや歌詞の意味と文化的背景を保育に活かす方法
「おさるのかごや」の歌詞を保育で使うとき、多くの保育士は「楽しいリズムの童謡」としてそのまま歌うだけで終わらせてしまいがちです。ところが歌詞の中には、子どもたちの語彙力と文化的素養を育てるヒントが豊富に詰まっています。
歌詞の1番に登場する「小田原提灯(おだわらちょうちん)」は、神奈川県小田原市の職人が考案したじゃばら構造で折り畳みができる提灯のことです。携帯に便利で丈夫・安価・雨に強いという特徴から、江戸時代の旅人に大変人気がありました。現代の子どもたちにとっては馴染みのないアイテムですが、だからこそ「むかしの人はどうやって夜道を歩いたの?」という問いへと広がる素材になります。
駕籠(かご)もまた、人を乗せて人力で運ぶ江戸時代の乗り物です。現代で言えばタクシーのような役割を果たしていました。この言葉を使って「タクシーのかわりに昔は何に乗っていたんだろう?」という話をするだけで、子どもたちの歴史・文化への好奇心が刺激されます。
「エッサ エッサ エッサホイ サッサ」という掛け声は、重い駕籠を担いで運ぶ際に前後の担ぎ手が力を合わせるためのかけ声です。この掛け声を活用して「みんなで声を合わせる楽しさ」を体験させると、協調性を育てる活動にもなります。4番まである歌詞を全部歌えるようになれば、達成感と集中力の両方が育ちます。
おさるのかごやの歌詞と文化的背景については以下のサイトが詳しいです。
お猿のかごや 歌詞の意味 童謡 – World Folk Song
「エッサ ホイサ」が力を合わせる掛け声というのも、基本です。3歳以上のクラスで運動会の練習前に歌うと、「みんなで力を合わせる」というイメージを子どもたちに直感的に伝えられます。実際に保育経験のある保育士からも「おさるのかごやは運動会シーズンに使いやすい」という声が多く聞かれます。
なお作曲者の海沼實(かいぬまみのる)は、「みかんの花咲く丘」「里の秋」など今日でも広く歌われる名作を手がけた童謡界の巨匠で、「おさるのかごや」は彼の出世作でもあります。
5ひきのこざると数の歌詞で発達支援に活かす独自の視点
「5ひきのこざる」は、サルの歌の中でも少し異色の存在です。英語版「Five Little Monkeys」が世界的に知られており、日本語版も保育や幼児教育の現場で活用されています。この歌が他のサルの歌と大きく異なるのは、「カウントダウン構造」という独自の歌詞の仕組みを持っている点です。
歌詞では「5匹のこざるがベッドでジャンプ、1匹落ちて頭をぶつける、お医者さんが”もうジャンプしちゃダメ”と言う」という内容が繰り返され、1匹ずつ減って最後には0匹になります。単純な歌に見えて、「5→4→3→2→1→0」という数の減少を繰り返しリズムで体験させるという点で、数概念の習得に非常に効果的です。
保育現場での発達支援の観点から見ると、この歌は特に2歳〜3歳の「数への興味が芽生える時期」に使いやすいツールです。指を1本ずつ折りながら歌うことで、「手の指5本=5匹のサル」という対応関係を身体で体験できます。これはちょうど10円玉5枚が50円と同じ感覚を体で覚えるのに似ています。算数の土台になる感覚です。
また、1匹落ちるたびに「何匹残ってる?」と問いかけると、子どもたちが自分で数えようとする意欲が生まれます。保育士からの一方的なインプットではなく、子ども自身が考える「参加型の歌遊び」として機能するのが大きな魅力です。
さらに英語版と日本語版を組み合わせて歌うことで、英語への導入にもなります。特に0歳・1歳のうちから英語の音に慣れさせたい保護者のニーズが高まる中、「Five Little Monkeys」は発音やリズムが覚えやすいため、バイリンガル保育の入門教材としても注目されています。
- 🎵 手を使ったカウントダウンで数概念を身体で覚えられる
- 🎵 「何匹残ってる?」の問いかけで子どもの思考力が育つ
- 🎵 日本語版と英語版を組み合わせることで英語への興味が広がる
- 🎵 2歳〜4歳の発達段階に合わせた内容展開が可能
数えることが楽しくなれば、保育の幅が一気に広がります。
サルの歌の歌詞を使う際の著作権と保育現場での注意点
保育士として歌詞を活用するとき、見落としがちなのが著作権の問題です。「子どものために使っているから大丈夫」と思いがちですが、実際にはそうとは言い切れないケースが存在します。知らないと損します。
まず日本の著作権法では、著作者の死後70年間は著作権が保護されます。「おさるのかごや」の作曲者・海沼實は1971年没、作詞者・山上武夫は1987年没です。作詞者基準であれば2057年まで著作権保護期間が続く計算になります。「アイアイ」の作詞者・相田裕美と作曲者・宇野誠一郎も、著作権の保護期間内にある可能性があります。つまりこれらの歌詞をSNSや園のホームページに全文掲載することは、複製権・公衆送信権を侵害するリスクがあります。
著作権法違反が問われた場合、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金刑が科されることがあります。罰金だけでなく、園への信用失墜にも直結します。
ただし、保育の現場で子どもたちと一緒に歌う行為・ピアノ伴奏する行為そのものは原則として著作権違反にはなりません。問題になるのは「歌詞の全文をプリントして配布する」「歌詞を園のSNSアカウントに投稿する」「YouTubeなどに動画をアップする際に著作管理楽曲を使用する」などのケースです。
- ✅ OK:保育室内で子どもたちと一緒に歌う
- ✅ OK:ピアノで弾き歌いする・リトミックで使用する
- ✅ OK:JASRACに手続き済みのYouTubeで参照する
- ❌ NG:歌詞の全文をお便りや配布物に記載する
- ❌ NG:歌詞をSNSや園のウェブサイトに全文掲載する
- ❌ NG:著作権管理楽曲を使った動画を無断でネットにアップする
保育士として音楽の著作権を正しく理解したい場合は、JASRACの教育機関向けページが参考になります。
著作権フリーの歌詞・楽曲を探したいときは、Youtubeで「著作権フリー 童謡 サル」などと検索すると、利用条件が明記されたコンテンツが見つかります。歌詞の確認だけなら、JASRAC管理下のオフィシャル歌詞サービス「うたネット」を活用するのが安心です。著作権に注意すれば問題ありません。
著作権と保育現場での実際の注意点についての詳細はこちらをご確認ください。


