賛美歌 保育園 クリスマス の実践ガイド
賛美歌 保育園 クリスマス を行事で取り入れるねらい
賛美歌を保育園のクリスマス行事に取り入れる一番のねらいは、「クリスマス=プレゼントの日」というイメージだけでなく、喜びや感謝、思いやりといった心情に子どもたちが出会うきっかけを作ることにあります。 クリスマス会のねらいとしては「季節の行事を楽しみながら、友だちや家族、周りの人への感謝の気持ちが育つようにする」といった文言が多く、キリスト教系園ではそこに「イエス様の誕生を覚える」「神さまの愛にふれる」などが加わります。
一方で、宗教色への配慮も欠かせません。特定の信仰を押しつけないよう、導入の言葉を「世界中でお祝いされている日」「みんなが喜びを分かち合う日」といった表現にしたり、祈りを「心の中で静かに考えてみようね」と言い換えるなど、家庭の背景が多様な園でも安心して取り組める工夫が現場でなされています。 また、伝統的な賛美歌と一般的なクリスマスソングを組み合わせ、「前半はお話と賛美歌、後半はサンタさんとお楽しみコーナー」という二部構成にすることで、どの家庭の子どもも参加しやすい雰囲気をつくっている園も少なくありません。
参考)保育園のクリスマス会の挨拶の仕方!イベント前の声かけなども解…
賛美歌を歌う経験は、子どもたちの「静かに耳を傾ける」「同じフレーズを繰り返し味わう」といった姿にもつながります。アップテンポなクリスマスソングと対比させることで、行事全体に緩急がつき、集中が続きにくい年齢でもメリハリのある時間をつくりやすくなります。 保護者に向けては、園だよりや案内状で「歌のねらい」や「歌詞の意味」を短く添えておくと、賛美歌に馴染みのない家庭でも安心して行事を楽しめます。
参考)【クリスマスの歌】保育園で歌って遊べる!クリスマスの歌9選
賛美歌 保育園 クリスマス の歌選びと人気曲・意外な一曲
保育園のクリスマスで歌われる賛美歌として定番なのは、「きよしこのよる」「あら野のはてに(荒野の果てに)」「まきびとひつじを(The First Noel)」など、メロディーがシンプルで繰り返しが多い曲です。 これらは大人向けの讃美歌集だけでなく、幼児向けの「幼児さんびか」「こどもさんびか」などにも収録されており、ピアノ伴奏付きの動画や音源も豊富なため、保育士が準備しやすいのが特徴です。
一方で、あまり知られていない曲として、幼稚園の現場から生まれた「クリスマスだからかんがえる」というオリジナル賛美歌があります。 この歌は「クリスマスだからこそ、悲しんでいる人のことを考える」「自分たちにできるやさしさに目を向ける」といった歌詞内容で、プレゼントやケーキだけに目が向きがちな時期に、思いやりや共感の心を育てる教材として活用されている例が報告されています。 このような歌を一曲取り入れることで、行事のメッセージ性がぐっと深まり、年長児の話し合い活動や製作活動とつなぎやすくなります。
参考)クリスマス祝会がありました – 井上幼稚園
選曲の際には、行事全体のバランスを意識するとスムーズです。例えば、導入では「もうすぐクリスマス」のような手遊び歌、中盤に「きよしこのよる」などの賛美歌、後半に「ジングルベル」や「あわてんぼうのサンタクロース」などの賑やかな曲を入れて、静と動を交互に配置していく方法があります。 特に0・1歳児クラスでは、メロディーよりもリズムと雰囲気を味わえる曲を中心にし、歌詞は大人が歌い、子どもは揺れたり鈴を鳴らしたりして参加できるようにすると無理なく楽しめます。 また、英語のキャロルを一曲だけ「聞く曲」として流し、体を揺らしたりライトを見たりする活動に使う園も増えており、多様な文化にふれる入り口としても活用されています。
参考)保育園でおすすめのクリスマスソング16選|保育士・幼稚園教諭…
クリスマスの賛美歌・聖歌と一般的なクリスマスソングの違いは、歌詞の内容と背景にあります。キリストの誕生物語や聖書の場面を歌ったものが賛美歌・聖歌、冬の風景やサンタクロースをテーマにしたものがポピュラーなクリスマスソングという位置づけですが、保育現場では両方を「クリスマスの歌」としてミックスして用いることがほとんどです。 子どもたちに説明する際には、「お祈りの気持ちで歌う歌」「遊びながら楽しむ歌」というように、気持ちの切り替えを言葉で示しておくと分かりやすくなります。
参考)イエスさまがお生まれになった −神さまの愛に満たされるクリス…
クリスマスの賛美歌・聖歌の解説記事(曲ごとの背景や違いを保育者向けに確認したい場合)
クリスマスの賛美歌・聖歌を子どもと聴こう!おすすめのキャロル
賛美歌 保育園 クリスマス 礼拝・祝会の進行とことばかけ
保育園のクリスマス会やクリスマス礼拝の一般的な流れは、「開会のあいさつ→お話(紙芝居・パネルシアター・人形劇など)→歌や合奏→先生の出し物→サンタクロース登場→プレゼントやゲーム→終わりのあいさつ」といった構成が多く見られます。 キリスト教系園の場合は、この流れのどこかに賛美歌が組み込まれ、「おはなしのあとに賛美歌を一曲」「ろうそくの灯りの中で静かに賛美歌を歌う時間をつくる」といった形で、行事の雰囲気をぐっと厳かにする役割を担っています。
進行の中で保育士がかける言葉は、子どもたちの集中力と安心感を左右します。例えば最初のあいさつでは、「今日は、世界じゅうの人がたのしみにしているクリスマスの日のお話をききます。みんなで心をひとつにして歌も歌ってみようね」と、行事の意味と期待感を短く伝えると効果的です。 賛美歌を歌う前には、「この歌は、赤ちゃんとして生まれたイエスさまをお祝いする歌です。うれしい気持ちや、ありがとうの気持ちをこめて歌ってみようね」と、歌詞の背景を子どもの言葉に置き換えて説明すると、ただ歌うだけでなく内容に心を寄せやすくなります。
行事のクライマックスとして、ろうそくやアドベントクランツを用いた「灯りのセレモニー」を行う園もあります。 部屋の照明を少し落とし、テーブルの上や祭壇代わりの台にろうそくを灯して、「きよしこのよる」を静かに歌うと、子どもたちも自然と声を落とし、普段とは違う空気を感じるようになります。 安全面に十分配慮し、LEDキャンドルを使ったり、子どもは距離を取って座るようにしたりしながら、「光」「希望」「あたたかさ」といったキーワードで簡単なメッセージを保育士が添えると、小さな子どもでも印象に残る体験になります。
「保育園のクリスマス会のねらいと進行例、声かけのポイント」を整理したいときに参考になる記事
賛美歌 保育園 クリスマス 年齢別の工夫と活動アイデア
賛美歌を保育園で扱う際は、年齢に応じた難易度と参加の仕方を工夫することが大切です。0・1歳児クラスでは、メロディーよりも雰囲気を味わうことを中心に考え、保育士が抱っこやおんぶ、膝抱えをしながら歌い、子どもは揺れたり鈴を鳴らしたりして音を感じられるようにすると安心して参加できます。 歌詞はすべてを覚えさせるのではなく、「きよしこのよる」の「きーよしーこのよる」だけ一緒に口ずさむ、「まきびとひつじを」のサビ部分だけ真似して歌うなど、一部のフレーズへの参加を目指すとハードルが下がります。
2・3歳児クラスでは、簡単な振り付けや手遊びと組み合わせると集中が続きやすくなります。例えば、「きよしこのよる」で胸に手をあてて揺れる、「まきびとひつじを」で星を指さすポーズをする、「クリスマスだからかんがえる」でハートをつくるポーズを入れるなど、歌詞に合ったシンプルな動きを取り入れると、歌の意味を感じ取りやすくなります。 また、鈴やタンバリン、カスタネットなどの簡単な楽器を持たせ、イントロと間奏だけ鳴らす・歌の最後だけみんなで鳴らすといったルールにすることで、賛美歌の静けさを保ちつつ子どもも主体的に参加できます。
参考)幼児さんびか&おひさまおはよう ピアノ伴奏集 動画リスト
4・5歳児クラスになると、賛美歌の歌詞を味わう活動にもチャレンジできます。歌う前後に「歌の中には、どんな言葉があったかな?」「どんな気持ちになった?」と問いかけたり、歌詞の一部を絵にする活動、ロウソクや星、馬小屋などのモチーフを折り紙やコラージュで表現したりすると、歌と製作がつながり、行事全体のまとまりが出てきます。 クリスマス礼拝の前に、アドベントの期間を設けて「毎週一つずつろうそくの灯りを増やしながら歌を練習する」「毎週一つずつ優しくしたい相手を考える」など、心の準備をしていく園もあり、賛美歌が「行事の一日だけの歌」ではなく、日常の中で育っていくような使い方が意識されています。
参考)https://www.seirei.or.jp/nurseryschool/kounotori/column/4_584117ab320f6/index.html
幼児向けのクリスマス賛美歌・さんびか動画(歌い方や伴奏の雰囲気を確認したいときの参考)
賛美歌 保育園 クリスマス 園独自の物語作りと保護者とのつながり
検索上位にはあまり出てきませんが、多くの保育園・幼稚園では、賛美歌をただ「カリキュラム上必要だから歌う」のではなく、園独自のストーリー作りや保護者とのつながりづくりのツールとして活用しています。例えば、「きよしこのよる」を毎年同じタイミングで歌うことで、「この曲が流れると、子どもたちも保護者も“今年もこの季節が来たな”と感じる」という、園の“季節の合図”のような役割を担わせているケースがあります。 卒園児がクリスマスの時期に園を訪れたとき、「この歌、覚えてる?」と一緒に口ずさむ姿が見られたというエピソードも紹介されており、賛美歌が世代を超えて園の記憶をつなぐアイテムになっていることが分かります。
保護者とのつながりという点では、クリスマス会の前に家庭との協力をお願いする園もあります。具体的には、「おうちの人と一緒に歌ってみてね」と、賛美歌の歌詞カードやYouTube動画のURLを配布したり、連絡帳やアプリで「今週から“あめのみつかいの”を歌っています。お家でもよかったら一緒に歌ってみてください」と一言添えたりする方法です。 クリスマス会当日には、保護者も一緒に歌える簡単な曲を一つ選び、「よろしければご一緒にどうぞ」と声をかけることで、観客として座っているだけではない、参加型のあたたかい時間を共有できます。
また、園独自の短いお祈りのことばや、年長児が考えた「やさしさの約束」を、賛美歌の前後に朗読するという取り組みもあります。 例えば「クリスマスだから、ひとりぼっちな人やさびしい人のこともおぼえていたいです」といった言葉を年長児が代表して読み、続けて「クリスマスだからかんがえる」を歌うと、行事全体に一貫したメッセージが生まれます。 こうした小さな工夫を積み重ねることで、賛美歌は単なる“曲”ではなく、園の価値観や願いを子どもと保護者に伝える“ことば”として息づいていきます。


