作曲法の本を保育士が選ぶ際の完全ガイド

作曲法の本を保育士が選んで子どもの歌を作る方法

作曲法の本を何冊買っても、子どもの前で歌えるオリジナル曲は1曲も増えません。

この記事でわかること
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保育士向け作曲法の本の選び方

音楽理論ゼロでも使える本の見分け方と、保育現場に直結する内容の確認ポイントを解説します。

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子どもの歌を作るための作曲法の基礎

わらべ歌・ペンタトニックを活用した3音作曲など、保育士が今すぐ実践できる最短ルートを紹介します。

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本だけでは身につかない実践力の育て方

作曲法の本を読んだあとに何をすべきか、保育の現場で使えるスキルに変える具体的な練習ステップを説明します。

作曲法の本を保育士が選ぶ前に知っておきたい「本の種類」

 

「作曲法の本」と一口に言っても、その内容は大きく2種類に分かれます。一つは音楽理論コード進行を体系的に学ぶ「理論系」、もう一つは実際に1曲を仕上げることを目的とした「実践系」です。この違いを最初に理解しておくだけで、本選びの失敗がほぼなくなります。

理論系の代表例が、YouTubeでも人気の「OzaShinの誰でもわかる 音楽理論入門」(2022年刊)です。この本はコード理論・スケール理論を段階的に学べる構成で、QRコードで音源を確認しながら学習できるのが特徴です。ただし読者口コミにもある通り「DTMや音楽の作り方ではなく、”音楽理論を学ぶ本”」であるため、すぐに曲を作ることにはつながりにくいという面もあります。

実践系の代表が「ゼロからの作曲入門~プロ直伝のメロディの作り方~」(四月朔日義昭著)や、マンガ形式で楽しく学べる「作曲はじめます!〜マンガで身に付く曲づくりの基本」です。これらは口笛や鼻歌レベルのアイデアから1コーラスを完成させるまでの流れを手順通りに解説しており、音楽知識が限られた状態からでも取り組みやすいという点が強みです。

つまり目的で選ぶのが基本です。

保育士が最初に手にするなら実践系の一冊に絞って取り組むほうが、現場で使える曲を短期間で手に入れられます。理論書は「もっと曲のバリエーションを増やしたい」と感じた段階で読み始めれば十分です。なお、複数冊を同時に買い込むのは要注意です。1冊を使い切らないまま別の本に手を伸ばすと、どちらの内容も中途半端に終わりやすいため、まずは1冊を選んで最後まで取り組む姿勢が上達への近道です。

作曲本のおすすめ7選|現役作曲講師が厳選した実践的な書籍紹介(sakkyoku.info)

作曲法の本と保育士の相性:「子ども向け」の曲づくりに特化した視点

市販の作曲法の本の多くは、J-POPやアニソンなどのポピュラー音楽を題材にしています。これらは保育士が作りたい「子ども向けの歌」とは構造的に大きく異なるため、注意が必要です。

子ども向けの曲に求められる要素は明確です。

  • 音域が狭い(声変わり前の子どもは大人より声域が狭い)
  • メロディが単純(音が隣の音に動くことが多い)
  • リズムが規則的(不規則なシンコペーションは少ない)
  • 使用する音の数が少ない(わらべ歌では2〜3音のみの曲も多い)

「なべなべそこぬけ」を例に見てみましょう。この曲はほぼ「レ」の音だけで構成され、ときどき「ド」と「ミ」が顔を出す程度です。使っている音はわずか3音です。これは単純なのではなく、子どもが覚えやすく、歌いやすい構造になっているということです。

「カエルの合唱」も同様で「ドレミファミレド」というように、音がほぼ順番に並んでいます。音が大きく跳ぶことがほとんどありません。保育の現場で使える曲を作るなら、この「音の動きを小さくする」という法則が基本です。

これは使えそうです。

また、大阪教育大学のペンタトニック(5音音階)に関する研究では、保育現場でわらべ歌や5音音階の曲が実際に多く活用されており、子どもの音楽発達に適していることが示されています。ハ長調の「ドレミソラ」の5音だけで作られたメロディは、子どもが自然に口ずさみやすく、外れた音に聴こえにくいという利点があります。

幼児期の音楽教育におけるペンタトニックの有用性に関する一考察(大阪教育大学紀要・PDFファイル)

市販の作曲法の本を読む際には、題材が「子ども向け」に対応しているかどうかを確認するとよいでしょう。合唱曲を前提に書かれた「歌を作ろう!宇宙でいちばんやさしい作詞作曲ガイドブック」のような本は、子どもが歌う曲を作りたい保育士にとって比較的相性が良い一冊です。

保育士でも今すぐ実践できる作曲法:3ステップで1曲完成

「作曲法の本を買ったけれど、実際にどう動けばいいかわからない」という声は少なくありません。ここでは、本で学んだ知識を保育現場に直結させるための3ステップを紹介します。

ステップ1:わらべ歌の仕組みを借りる

まず「レ・ド・ミ」の3音だけを使ってみましょう。ピアノでこの3音を順番・ランダムに弾きながら口ずさしてみると、不思議なことに「曲らしいもの」がすぐにできあがります。わらべ歌はこの仕組みでできています。最初の一声を「レ」から始め、曲の最後の音も「レ」で終わらせるのがポイントです。まとめると、レを中心に動かすだけでOKです。

ステップ2:音階を使って広げる

3音で感覚をつかんだら「ドレミファソラシド」のハ長調(白鍵のみ)に範囲を広げます。「カエルの合唱」のように隣の音に動くことを意識するだけで、子ども向けのメロディとしてまとまりやすくなります。突然音が大きく跳ぶと子どもには歌いにくいため、5度以上のジャンプは最初のうちは使わないほうが無難です。

ステップ3:替え歌からオリジナルへ移行する

最も実践的な方法が「替え歌」を入口にすることです。「きらきらぼし」や「チューリップ」の節に、今月の保育テーマに合わせた歌詞をのせるだけで、立派なオリジナル曲として使えます。慣れてきたらリズムを少しずつ変化させ、最終的には独自のメロディに発展させていきます。

これが「作曲法の本」×「保育現場」をつなぐ最短ルートです。

作曲法の本を読みながらこの3ステップを実践すると、本の中の抽象的な説明が格段に理解しやすくなります。本を読む→鍵盤を触る→口ずさむ、この3つを同時に行うことが上達を加速させる最大の鍵です。

保育で使える!簡単に作曲できる3つの方法(保育塾・保育士向け実践サイト)

作曲法の本を選ぶ際の具体的なチェックリストと注意点

本を実際に手に取る前に、以下の観点で内容を確認することをおすすめします。選び方を間違えると、読了後も「何から手をつけていいかわからない」という状況に陥りやすいからです。

📌 確認したい5つのポイント

チェック項目 理由
音源(CD・QRコード)が付いているか 音で確認できると理解が圧倒的に速い
「1曲作る流れ」が通しで解説されているか 部分的な知識だけでは曲を完成できない
コード進行が図や表で示されているか 楽譜が読めなくても実践に活かせる
対象ジャンルが「歌モノ」に対応しているか ギター・バンド前提の本は保育士には不向き
著者の経歴が「作曲教育経験あり」かどうか 演奏家と作曲指導者では目線が異なる

注意が必要なのは、タイトルに「初心者向け」と書いてあっても内容がコード進行のパターン集になっている本です。この種の本はコード進行の語彙を増やすためには優れていますが、「メロディをどうやって作るか」については最初の数ページしか触れていない場合があります。購入前に目次で「メロディの作り方」に章が割かれているかを確認しましょう。

また「作りながら覚える 3日で作曲入門2.0」のような短期集中型の本は、3日で完成させる達成感を得やすい反面、理論的な背景が省かれていることが多いです。実際の保育現場では「なぜこのメロディが子どもに響くのか」を理解していると、曲を作るたびに応用が利くようになります。最初の1冊は「手順が明確な実践系」、2冊目で「理由がわかる理論系」という順番が理想的です。

作曲法の本だけでは足りない理由と、独学で続けるコツ

「水泳を習得するのに、本を読むだけでは泳げるようにならない」という比喩はよく耳にします。作曲も全く同じです。本を読んだだけでは曲は作れません。

これは厳しいところですね。

作曲法の本を読み終わったあとに最も多い失敗パターンは「内容を理解した気になって、実際には1音も鳴らしていない」というケースです。特に音楽理論の書籍はその傾向が強く、内容が頭に入ったような感覚を得やすいのですが、実際に音を出してみると手が全く動かない、という状態が生まれます。

おすすめなのは、本を1章読むごとに1フレーズを作るという習慣です。たとえば「メロディの作り方」の章を読んだら、その日のうちにピアノの前に座って4小節だけ作ってみましょう。録音する必要はありません。鼻歌でもOKです。4小節が全体の「東京ドーム5つ分」のうちの「1つ分」だとしたら、まず1つ分を確実に作ることが先決です。とにかく小さく始めるのが原則です。

また、保育士としての日常の中に作曲のヒントは無数に転がっています。子どもが何かを口ずさんでいる場面に注目してみてください。そのメロディを拾い上げて記録するだけでも、立派な作曲素材になります。「子どもが作った歌を冊子にして保護者に喜ばれた」という保育士の実践事例もあるほどです。

さらに独学を続けるために有効なのは、Kindle Unlimited(月額980円)を活用することです。作曲法の本を含む音楽教本が多数読み放題で含まれており、複数の本を費用を抑えながら比較できます。1冊読み切れなかったとしても損失が最小限に抑えられるため、初心者にとって特に心理的ハードルを下げやすい手段です。本を買いすぎて積ん読になるよりも、継続して少しずつ読み進めるほうが作曲力の向上につながります。

保育士として毎日子どもの前に立つ経験そのものが、作曲のセンスを育てます。「子どもが喜ぶ曲とはどんな曲か」を知っているのは保育士の強みです。作曲法の本で基礎を学び、現場の経験を合わせることで、独学でも確実に上達していけます。


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