ライブ音源と保育と発表会とBGMと効果音

ライブ音源と保育と発表会

ライブ音源を発表会で安全に使う要点

まずは「権利」と「運用」を切り分ける

BGMを流すだけなのか、録音・配布・ネット公開まで行うのかで必要な手続きが変わります。

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現場は「音響の失敗」が一番痛い

再生機器、マイク、スピーカー、音量、ケーブルを事前に点検し、当日の役割分担を決めます。

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子どもの動きに合う「設計」がコツ

テンポ・長さ・入退場の間などを、子どもの発達と舞台導線に合わせて組み立てます。

ライブ音源の保育の発表会での著作権と手続きの考え方

 

発表会で「ライブ音源」を使うとき、最初に整理したいのは“何をするか”です。会場でBGMとして流すだけなのか、発表会を録音・録画してDVD化するのか、園のサイトや限定公開で配信するのかで、必要になる対応が変わります。特に「録音・録画して配付する」ケースは、演奏(上演)と別に“録音・録画”の扱いになるため注意が必要です(学校行事での録音・録画配付は手続きが必要とされる旨が案内されています)。

現場で誤解が起きやすいのは、「園の行事だから何でもOK」という思い込みです。JASRACは、学校など教育機関での音楽利用について、一定条件を満たす場合に許諾なく利用できる考え方(著作権法第35条など)や、非営利・無料・無報酬などの条件(著作権法第38条)に触れながら、場面ごとに手続きの要否が変わることを整理して説明しています。

参考)劇遊び ごっこ遊び BGM&効果音 ~行事・日常お役立ちセッ…

また、「ライブ音源」という言葉が指すものが広い点も落とし穴です。市販のCD(既存音源)を流すのか、先生の演奏を録音して使うのか、園児の声を収録した“園オリジナル音源”なのかで、関係者の同意や扱う権利が変わります。さらに、音楽には作詞作曲の権利だけでなく、実演家やレコード製作者などの“著作隣接権”が関わることがあるため、配信・複製(コピー)・公開の範囲を先に決めておくほど安全です。

参考)音楽の著作権とは

必要に応じて、権威性のある一次情報を確認してください(制度の前提と手続きの流れを確認する箇所の参考リンク)。

JASRAC:学校など教育機関での音楽利用(手続きの要否・録音録画配付・配信の説明)

ライブ音源の保育の発表会で使いやすいBGMと効果音の選び方

発表会のBGMは「曲の良さ」よりも、「子どもの成功体験を支える設計」になっているかが重要です。例えば、入退場の導線が長いクラスは“同じフレーズが続く音源”が助けになり、転換が多い演目は“短いジングルや効果音”があると先生の合図が通りやすくなります。発表会向けにBGMや効果音をまとめた商品・シリーズもあり、行事・日常で使える効果音がセット化されている例も見られます。

「フリー素材」を使う場合は、便利さと引き換えに“利用規約の読み落とし”が事故の原因になります。たとえば、商用利用の可否、クレジット表記、二次配布の禁止、音源だけを切り出してのアップロード禁止など、サイトによって条件が違います。ルールを明確に書いている素材サイトもあるので、園内で共有する「音源台帳(URL・利用規約・表記方法・使用箇所)」を作っておくと、担当が変わっても安全に運用できます。

参考)音楽利用のルール

意外に効く小技は、「効果音を“転換の合図”として固定化する」ことです。毎年同じ効果音(例:キラッ、ドン、ジャン!など)を“次の場面へ移る合図”として使うと、先生同士の連携が楽になり、子どもも安心します。BGMが途切れたときでも、効果音1発で空気を戻せるため、当日の事故対応にも強くなります。

必要に応じて、無料BGMのルールを一次情報で確認してください(規約確認の参考リンク)。

魔王魂:音楽利用のルール(無料利用・表記・禁止事項の整理)

ライブ音源の保育の発表会で失敗しない音響と機材チェック

発表会当日の「音が出ない」は、演目の完成度とは別に、先生と子どもの自信を一気に削ります。だからこそ、最低限の音響チェックを“手順化”しておくことが最大の予防策です。ワイヤレスマイクやスピーカーを含む音響セットは、イベント用途のレンタルで「スピーカー2台+マイク+ケーブル」などの構成が一般的に提示されており、園で不足しがちな要素をまとめて補えます。

機材の不具合は、実は「壊れている」より「つながっていない/設定が違う」ほうが多いです。次のチェック項目だけでも、当日の事故率は下がります。

  • 再生端末(スマホ・PC・CD)を“当日使う端子”で接続し、最初から最後まで通し再生する(途中で音量が変わる音源が混ざりやすい)。
  • ワイヤレスマイクは電池(新品)を予備含めて用意し、混線しやすい会場はチャンネル変更手順を担当者が把握する。
  • スピーカーは客席に向けるだけでなく、舞台袖(先生の立ち位置)にも“聞こえる角度”を確保する。

    このあたりは、実際にワイヤレスマイク+スピーカーのセット商品でも「複数マイク」「運用でチャンネル変更」などが特徴として説明されており、現場では“設定の理解”が重要だと分かります。

    参考)SANWA SUPPLY(サンワサプライ) 拡声器 ワイヤレ…

意外に盲点なのが「音量の基準」です。リハは無人のホールで行うことが多く、当日は保護者が入って吸音され、体感音量が下がります。リハの時点で“当日想定より少しだけ大きめ”を基準にし、司会マイクの声量とのバランス(BGMが勝たない)を最優先で決めると、保護者の満足度が上がりやすいです。

参考)https://www.sarkland.co.jp/products/list.php?category_id=107

ライブ音源の保育の発表会での構成と練習(年齢別の組み立て)

ライブ音源を使う最大のメリットは、「テンポを一定にできる」ことです。先生の生演奏や掛け声は温かい反面、緊張でテンポが速くなったり、子どもの動きに引っ張られて間が伸びたりします。音源をベースにしておけば、子どもが“次に何が来るか”を身体で覚えやすくなり、練習の再現性が上がります。

年齢が低いほど、BGMの“長さ”は短いほうが成功しやすいです。そこで使える実務的な設計例を挙げます。

  • 0〜2歳:1曲を丸ごとより「30〜60秒の決め場」を作り、入場→見せ場→退場をセットにする。
  • 3〜4歳:Aメロ→サビなど“山”を1回に絞り、立ち位置移動はサビ前に終える。
  • 5歳:転換(暗転・小道具)に短い効果音を固定し、先生の合図を減らす。

    生活発表会の劇中歌の選び方やおすすめ例を紹介する保育系メディアもあり、年齢・場面に合わせた選曲や構成の考え方が現場で重視されていることが分かります。

    参考)生活発表会に役立つ!オススメ劇中歌3選|保育士・幼稚園教諭の…

あまり知られていない工夫として、「音源の“カウント入り”を先生だけに聞かせる」方法があります。客席には通常のBGM、舞台袖の先生にはイヤホン片耳などで“4カウントの合図入り音源”を流すと、子どもへの声かけを最小限にしつつ、転換を安定させられます。大掛かりなミキサーがなくても、再生端末を2台に分ける運用で実現しやすく、練習段階で先生の負担が下がります。

ライブ音源の保育の発表会の独自視点:保護者動画と限定公開の落とし穴

検索上位の「曲紹介」や「無料音源まとめ」では触れられにくい一方で、現場で一番トラブルになりやすいのが“発表会動画の扱い”です。園として動画を配付したり、園児限定のつもりでURL共有したりすると、意図せず公衆送信に近い形になり、権利処理の論点が増えます。JASRACの案内でも、学校行事をCD・DVDなどに録音・録画して配付する場合は手続きが必要になる旨が明記されています。

さらに、授業目的公衆送信補償金制度(SARTRAS)に関するFAQでは、リアルタイム配信は補償金でカバーされ得る一方、録画してオンデマンドで見られるようにする場合は権利者の許諾が必要になる趣旨が示されています。つまり「当日ライブ配信はOKの余地があっても、後日いつでも見られる形にすると別物」になりやすい、という感覚をチームで共有することが大切です。

参考)補償金制度利用に関するFAQ

ここでの実務のポイントは、曖昧にしないことです。次の3つを園の方針として紙1枚に落とし、年度初めに合意しておくと揉めにくくなります。

  • 撮影の可否(保護者のスマホ撮影OK/NG、フラッシュNG、三脚NGなど)。
  • 共有の可否(個人のSNS投稿は不可、親族への個別共有は可、など線引き)。
  • 園が配付する場合の方法(業者依頼、手続きの担当、収録曲リストの管理)。

    学校行事の録音・録画・配付に関する手続きが別途必要とされる点は、一次情報で明確に示されているため、運用面の“園ルール”がないと現場が苦しくなります。

必要に応じて、補償金制度のFAQも確認してください(配信とオンデマンドの違いを確認する箇所の参考リンク)。

SARTRAS:補償金制度利用に関するFAQ(リアルタイム配信・録画オンデマンドの注意)

  • 🎯 ライブ音源は「流す」だけか「録音・配付・配信」までやるかで準備が変わる
  • 🎧 BGMと効果音は“子どもの成功”から逆算して、短さ・転換・合図を設計する
  • 🔌 音響は当日の不安を消すために、接続・電池・音量基準を手順化しておく
  • 📹 発表会動画の限定公開は、オンデマンド化で権利論点が増えやすいので要注意


猫 (2018.10.7 Live at 上野恩賜公園 野外ステージ)