ピッツィカートの曲を保育で生かす方法
ピッツィカート曲を「聴かせるだけ」にしている保育士は、子どもの音感発達のチャンスを半分以上逃しています。
ピッツィカート曲の基本知識と保育士が知っておくべき意味
ピッツィカート(pizzicato)はイタリア語で「つまむ・はじく」という意味を持ち、バイオリンやチェロなどの擦弦楽器で弓を使わずに指で弦を直接はじいて音を出す奏法です 。楽譜上では「pizz.」と略記され、再び弓奏法に戻るときは「arco(アルコ)」と表記されます 。
歴史的に最初にピッツィカートを楽譜に記したのはバロック時代の作曲家モンテヴェルディで、1607年のオペラ《オルフェオ》第3幕がその現存最古の例とされています 。ポイントはここです。当時の演奏者たちは「なぜ野蛮な奏法をするのか」と猛反発したと言われており 、今では弦楽器の基本奏法の一つに数えられるまでになりました。wikipedia+1
保育士として子どもに音楽の多様性を伝えるとき、この「指ではじく」という動作は子どもが視覚と聴覚で同時に体感できる点が大きなメリットです。つまり、見て聴いて楽しめる奏法ということですね。保育活動で「音の出し方の違い」を紹介する場面で、ピッツィカートは非常に説明しやすい入口になります。
ピッツィカート曲の代表曲と保育現場への取り入れ方
保育現場で特におすすめのピッツィカート曲として、まず「ピチカート・ポルカ」があります。ヨハン・シュトラウス2世とヨーゼフ・シュトラウス兄弟が1869年に作曲した曲で、最初から最後まで全曲ピッツィカートで演奏される珍しい作品です 。弓を一切使わないため、子どもに「今日は指だけで弾いているよ」と伝えると驚きと興味を引き出せます。
参考)ピチカートが魅力的なクラシック名曲|軽やかでユーモラスな弦楽…
次に「プリンク・プランク・プルンク(Plink Plank Plunk)」はアメリカの作曲家ルロイ・アンダーソン(1908〜1975年)による全曲ピッツィカートの楽しい曲です 。曲調が明るくユーモラスで、アンコール曲としても人気があります。これは使えそうです。「プリンク・プランク・プルンク」という語感自体が音の響きを表しており、子どもに曲名を言わせるだけでも言語遊びとして活用できます。
ドリーブのバレエ音楽「シルヴィア」第3幕の「ピチカート」も軽快でスピーディーな音色が特徴です 。バレエ音楽という文脈で紹介すると、「踊りに合わせた音楽」として子どもの体を自然と動かす効果があります。保育でのリトミックやリズム遊びと組み合わせると相乗効果が期待できます。
ピッツィカート曲を使った子ども向け音感教育のコツ
ピッツィカートの音色は「ポン」「ポロン」という軽やかな響きで、3歳以上の子どもでも弓で奏でる「ザー」「ビィーン」という音と明確に聴き分けることができます。音の違いを意識させるには、まず同じ曲をアルコ(弓奏)版とピッツィカート版で聴き比べさせる方法が有効です。音の違いが基本です。
具体的な活動例として、チャイコフスキー「交響曲第4番」第3楽章はほぼ全篇ピッツィカートが続く珍しい交響曲の楽章で 、軽やかなリズムが自然と体を動かしたくなる音楽です。長さ的にも約5〜6分程度で保育の一場面に使いやすいサイズです。子どもに「音がはじけているね」「雨粒みたいだね」などイメージ言葉を一緒に探させると、語彙力と感性の両方を育てられます。
ヴィヴァルディの「四季」の「冬」ではピッツィカートで冬の冷たい雨だれを表現しています 。「これは何の音に聴こえる?」と子どもに問いかけると、「雪」「水」「とびはねてる」など多様な回答が出るため、グループ活動での対話の素材としても有効です。感性を言葉にする練習になりますね。
ピッツィカートの弦を実際に見せる体験活動の進め方
音楽鑑賞にとどまらず、実際の楽器を見せる機会を作ると子どもの興味は格段に深まります。子どものための音楽会などでは実際にピッツィカート奏法を説明して、「プリンク・プランク・プルンク」を全曲ピッツィカートで演奏する場面が設けられており、子どもたちが集中して聴き入る様子が報告されています 。
参考)子どものための音楽会 北見春菜(ヴァイオリン) 保手浜朋…
保育園や幼稚園に弦楽器奏者をゲスト招待する「音楽体験プログラム」は近年増えており、岐阜県では保育園・幼稚園向けのジャズコンサートに全国から依頼が届くほどの反響があったケースも報告されています 。音楽のプロに来てもらうことで、保育士自身が「教える」プレッシャーなく子どもと一緒に体験できるメリットがあります。
参考)【事例紹介】JAZZ FOR KIDS!こどもだってスィング…
実際の楽器が用意できない場合の代替案として、輪ゴムを箱に張った手作り楽器でピッツィカートと同じ「弦をはじく」体験が可能です。ワークショップでは木片に糸やゴムを張って指ではじく体験が子どもに好評だったという事例もあります 。手を動かしながら「同じ音の出し方だね」と本物の楽器と結びつける説明が効果的です。
参考)【森と音楽のひろば】森から生まれた楽器のひみつ!〜聴いて、さ…
参考:ピッツィカートを含む子ども向け音楽体験の事例紹介
子どものための音楽会でのピッツィカート体験レポート(トリトンアーツ)
ピッツィカート曲の保育試験・音楽用語との関わりと現場での豆知識
保育士試験の「保育実習理論」では音楽用語の知識が問われ、ピッツィカートはその頻出項目の一つです 。試験の選択肢に「弦を指ではじく奏法」と出た場合に迷わず選べるよう、意味と楽譜記号(pizz.)はセットで覚えておくことが大切です。つまり、試験対策と保育実践の両方に役立つ知識です。
豆知識として、日本語カタカナ表記は以前は「ピチカート」が主流でしたが、近年はより原語の発音に近い「ピッツィカート」という表記も使われるようになっています 。どちらも正解ですが、保育士試験の問題や楽譜ではどちらの表記も登場するため、両方の表記を認識しておくと混乱しません。
参考)ピッツィカートについて
さらに特殊なものとして「バルトーク・ピッツィカート」という奏法があります。ハンガリーの作曲家バルトーク(1881〜1945年)が好んで使った奏法で、弦を指板に対して垂直に強く引っ張って離すため「バチン!」という硬質な音が出ます 。通常のピッツィカートとは明らかに異なる音で、子どもに聴かせると「すごい音!」という反応が期待できます。意外ですね。
参考:ピッツィカートの奏法と音楽用語の詳しい解説
参考:ピッツィカートが印象的なクラシック名曲の紹介
ピチカートが印象的なクラシック曲まとめ(ぐんま なび)

交響曲 第4番 ヘ短調 作品36/第3楽章:スケルツォ;ピッツィカート・オスティナート(アレグロ)

