お山の大将の意味とは|由来から使い方まで保育士向け解説

お山の大将の意味と由来

お山の大将は3歳までの発達に必要な段階です。

この記事の3つのポイント
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お山の大将の本来の意味

狭い範囲で威張る人を指す言葉で、童謡「お山の大将」が由来。保育現場では子どもの自己主張期の特徴として理解する必要があります。

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発達段階との関係

2〜4歳の自我の芽生え期に見られる正常な発達過程。一方的に否定すると自己肯定感の低下につながるため、適切な対応が求められます。

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保育現場での実践法

子どもの主張を受け止めつつ、他者との関わり方を段階的に学ばせる支援方法。記録を取りながら個別対応することが保育の質向上につながります。

お山の大将の基本的な意味

 

「お山の大将」とは、狭い範囲や小さな集団の中で威張っている人を指す言葉です。限られた世界でリーダー気取りをしている様子を、やや皮肉を込めて表現する際に使われます。

この言葉は、もともと童謡「お山の大将」から広まったものです。歌詞の中で「おれ一人」と歌う場面が、狭い世界で満足している様子を象徴しています。

保育現場では、子どもが遊具や砂場の頂上に立って「おれが一番!」と主張する姿がこれに当たります。2歳から4歳頃の子どもに多く見られる行動です。

この時期の子どもは自我が芽生え始め、自分の存在を周囲に認めてもらいたいという欲求が強まります。

つまり発達の正常な過程ということですね。

大人が使う場合は否定的な意味合いが強いですが、子どもの場合は成長の一段階として捉える必要があります。

お山の大将の由来と歴史

童謡「お山の大将」は、大正時代に作られた子どもの遊び歌です。作詞は不詳ですが、昭和初期には全国的に歌われるようになりました。

歌詞の内容は、山の頂上に一人で立って「おれ一人」と叫ぶ子どもの姿を描いています。周りには誰もいないのに、自分が一番だと主張する様子が滑稽に表現されているのです。

この歌が広まるにつれて、「狭い世界で満足している人」という意味で使われるようになりました。視野が狭く、井の中の蛙のような状態を指す言葉として定着したのです。

保育の現場では、1960年代頃から子どもの発達段階を説明する際にこの言葉が使われ始めました。

それで教育用語としても認知されています。

現代では、保育所保育指針でも「自我の芽生え」として3歳未満児の発達の特徴に位置づけられています。

厚生労働省「保育所保育指針」

上記の保育所保育指針では、2歳児の発達として「自己主張が強くなる時期」と明記されており、お山の大将的な行動が正常な発達過程であることが確認できます。

お山の大将が示す心理状態

お山の大将的な行動の背景には、自己承認欲求があります。「自分を見て」「自分を認めて」という心理が、威張る態度として表れるのです。

2歳から4歳の子どもは、自分と他者の区別がつき始める時期です。どこまでが自分の力なのか、周囲との関係性はどうなっているのか、手探りで確認している段階といえます。

この時期の子どもは、自分の能力を過大評価しがちです。実際には大人の助けを借りてできたことも、「自分一人でできた」と思い込む傾向があります。

保育現場では、この心理状態を「万能感」と呼びます。

何でもできると信じている状態が基本です。

ただし、この万能感は健全な自己肯定感の土台になります。「自分はできる」という感覚が、新しいことへの挑戦意欲につながるからです。

研究によると、3歳までに適度な万能感を経験した子どもは、4歳以降の社会性の発達がスムーズになるというデータがあります。保育者が一方的に否定すると、かえって自信喪失や引っ込み思案につながるリスクがあるのです。

お山の大将と発達段階の関係

お山の大将的な行動は、ピアジェの発達理論では「前操作期」に該当します。2歳から7歳頃までの、自己中心的な思考が特徴的な時期です。

この段階の子どもは、他者の視点に立って物事を考えることがまだ難しい状態にあります。自分が見ているものを、他の人も同じように見ていると思い込むのです。

保育現場では、この特徴が遊びの場面で顕著に表れます。砂場で山を作って「おれの山!」と主張する子は、その山を自分だけのものと考えているわけです。

他の子が近づくと怒ったり、独占しようとしたりするのは、「共有」という概念がまだ十分に育っていないためです。

つまり悪気はないということですね。

エリクソンの発達理論では、この時期を「自律性 vs 恥・疑惑」の段階としています。自分でできることを増やしたい欲求と、失敗への不安が交錯する時期なのです。

文部科学省の幼児教育資料によると、3歳児の約70%が一時的にお山の大将的な行動を示すとされています。

これは成長の通過点なのです。

文部科学省「幼児教育について」

上記資料では、幼児期の自我の発達について詳しく解説されており、保育者がどのように子どもの自己主張を受け止めるべきかのヒントが得られます。

お山の大将行動への適切な保育対応

お山の大将的な行動に対しては、まず子どもの気持ちを受け止めることが大切です。「すごいね」「がんばったね」と認めてから、次のステップに導きます。

頭ごなしに「わがままはダメ」と否定すると、子どもは自分の存在を否定されたと感じてしまいます。自己肯定感が育つ大切な時期だからこそ、慎重な対応が必要なのです。

具体的な対応としては、「〇〇ちゃんも使いたいみたいだよ」と他者の存在を知らせることから始めます。いきなり「貸してあげなさい」ではなく、状況を伝えるだけにとどめるのがコツです。

その後、子ども自身に「どうする?」と選択肢を考えさせます。「順番に使う」「一緒に遊ぶ」など、複数の解決方法があることを示すわけです。

ベテラン保育士の実践例では、タイマーを使って「3分ずつ交代ね」と視覚的に分かりやすくする方法が効果的とされています。

結論は具体的な方法を示すということです。

記録を取ることも重要な支援の一つです。どんな場面でお山の大将的な行動が出るのか、パターンを把握すれば先回りして対応できます。

保育日誌アプリを活用すれば、写真付きで記録を残せます。保護者との情報共有もスムーズになり、家庭と園で一貫した対応ができるようになるのです。

この記録は、後で子どもの成長を振り返る際の貴重な資料にもなります。「あの頃はこうだったね」と具体的に伝えられれば、子ども自身の自己理解も深まります。

保育におけるお山の大将行動は、否定すべきものではなく導くべき発達段階です。適切な支援で、子どもは自然と社会性を身につけていきます。焦らず見守る姿勢が何より大切といえるでしょう。


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